DEEN The LAST

No タイトル 作詞 作曲 編曲 名義
1 LOOP 池森秀一 山根公路 篠崎裕 DEEN
2 Destiny 池森秀一 田川伸治 田川伸治 DEEN
3 ROUND AND ROUND 山根公路 山根公路 古井弘人 山根公路
4 T.A.G.   田川伸治 田川伸治 田川伸治 Instrumental
5 流れ星 池森秀一 くどうたけし くどうたけし 池森秀一
6 Moon River 山根公路 古井弘人 古井弘人 山根公路
7 Eternal Janne Da Arc   田川伸治 田川伸治 田川伸治 Instrumental
8 パッパヤ♪ボクトキミ 池森秀一 くどうたけし くどうたけし 池森秀一
9 Go Cozzy Go! 山根公路 山根公路 古井弘人 山根公路
10 Cause Your Love Is My Love 田川伸治 田川伸治 田川伸治 田川伸治
11 思い出にできるから… 池森秀一・
くどうたけし
くどうたけし くどうたけし 池森秀一

Produced by DEEN

メンバー

Vocal 池森秀一
Keyboards,Back-up Vocals,Vocal,Guitar&Programming 山根公路
Guitar,Back-up Vocals,Vocal,Percussion&Programming 田川伸治

ファンクラブ限定の完全生産限定プレミアム盤にはDISC-5として3人での最後のオリジナルアルバム『DEEN The LAST』が付属する。FC会員しか入手できない形でのオリジナルアルバム発売は初となった(かつて山根公路のソロミニアルバム『Cozzy』をFC限定で出したことはある)。DEEN名義での楽曲は2曲のみで後はそれぞれのソロ名義の楽曲が3曲ずつ収録されている。バンド演奏されているのはDEEN名義2曲と「Moon River」のみで残りは基本的には打ち込み主体、一部ストリングスやホーンを導入という程度になっている。またそれぞれのソロには一切関わっていないようで、池森ソロ曲にはサポートのキーボード、ギタリストが表記されている。山根は自身のクレジットにいつもは無いギターが追加されているので自分でギター弾いていると思われる。

突如の謎のソロ展開だが、シングル「君へのパレード♪」C/Wを3人のソロ曲で3パターン複数商法にするという試みがされ、2017年12月31日のカウントダウンライブは「DEEN LIVE JOY-COUNTDOWN SPECIAL〜ソロ!ソロ!!ソロ!!!〜」と題され、3人のそれぞれのソロをメインにするという初のライブが行われていた。今作はこれらの延長にあるソロ展開と思われる。ソロ企画のライブと今作、そして田川脱退とどれが先に決定していたかは不明だが、少なくとも夏のシングル「君へのパレード♪」で行われたソロ曲展開を経てのソロ企画のライブは17年9月後半には開催告知がされているので、脱退決定よりは先じゃないかと思う。脱退決定により今作の発売経緯に変化が生じたのは確かと思われ、今作は3人でのラストオリジナルアルバムと銘打たれた割には、ラストっぽさが微塵もない。というか取ってつけたように冒頭2曲でDEENしているだけで、後は3人バラバラって。

「LOOP」はアレンジャーが同じKYDEENの「遊びにいこう!」とほとんど同じような明るいポップロックナンバー。「Destiny」は一転してややファンキーなノリ。田川曲は初期の頃にメロディー勝負ではないファンキーなノリの曲が多かったがその頃の雰囲気に近い。アンチエイジング極まっていたここ最近ではちょっと久々な感じがする曲だ。3人での集大成という感じも特になく、そのつもりで作ったともあまり思えない。

山根ソロは自身でボーカルも担当し、デビュー前からの旧知の仲である古井弘人と組んでいる。ここのところ上海ロックスターがやや迷走気味な中で自身のソロ名義では比較的落ち着いた曲を用意していたが、今回は「ROUND AND ROUND」「Go Cozzy Go!」はノリのいい曲。ロックスターやる前のソロコーナー用の楽曲といった感じだろうか。古井弘人が珍しく作曲まで手掛けた「Moon River」は聞かせるバラード。今回のソロでは唯一バンド編成によるしっかりしたアレンジになっているというのもあるが、今作では1番いい曲だと思う。

田川ソロは基本的に1人で制作している模様。ここ最近DEENで発表しているソロとあまり大きな差は無く、以前のソロ活動で見せていたバリバリのロックではなく打ち込みで軽めのサウンド。ソロアルバムでやっていたようなハードなサウンドの中でも聞きやすいメインメロディーがあるようなタイプの曲に比べるとどうにも印象には残りにくい。一応「Cause Your Love Is My Love」は全英語詞ながらソロアルバムでもやった事の無い全編ソロボーカルではあるが、そこまで歌メインの構成では無かったりもして…。

池森ソロはシングル「ずっと伝えたかった I love you」をアレンジしたくどうたけしと組んで3曲。池森さんは時乗浩一郎が事務所を退所してからは一気に作曲しなくなってしまったが昨年のC/Wソロでは共作でかろうじて作曲していた。しかし今作では全部くどうたけしに任せてしまうとは…。「パッパヤ♪ボクトキミ」のパッパラパー(?)な感じからは改めて近年の過剰なアンチエイジングっぷりが最早心配になってくる状態ではあるが、かつて得意としていたR&Bでもなく、ソロでやりたい方向性って実は今あんまり無いのかなぁ…と思わなくもない。なんかR&Bというのもすっかり過去に目指していたものという認識になっているっぽいのはインタビューからも感じられるし。

そんなわけでDEENとしてはかなりイレギュラーな上に打ち込み中心で全体に軽めなこともあり、通常のオリジナルアルバムに比べても企画作、特典ディスクの域を出ない作品だと思う。FC限定にしたのも納得。このためにFC入って買ったとか、それ以上に近年の作品を全部買っているわけではないが今回は今買わないと入手できなくなるからという理由で入手した場合は期待の圏外のような作品だったなんてことも普通にありうるのではないかと思う。"3人最後のオリジナルアルバム『DEEN the LAST』"としてはこれはあまりにも違うなという感じで、あくまで2017年からのソロ展開を発展させたベスト盤のおまけの企画アルバムとして考えればまあこんなものじゃないかというそんな1枚。やっぱタイトルだけ取って付けだよなぁこれは…。

またFC限定盤はブックレットがDVDトールケースと同じような大きさの冊子になっており、メンバー3人へのソロインタビューが掲載されている。それぞれに25周年を振り返ってもらう形式の内容。ここでの田川さんのインタビュー内容は脱退には一切触れていない。まるで今後も続けるかのようで、確かによく見ると未来の話はしていないんだけど、少なくともここで辞めるとは到底思えないようなインタビューなのでどうにも不可解だった。結局ここまで来て何で辞めるのか、そして辞める直前にこのソロ曲展開があったのは何だったのか(今更各自がそれぞれのルーツや好きなジャンルを探求するみたいな作風では無かったし)、どうにもスッキリしないところはある。

印象度★★★☆☆

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