映画ドラえもん主題歌大全集

コーラスアレンジ:高浪敬太郎(2)
編曲監修・ピアノ:羽田健太郎(4)

リリースデータ

映画ドラえもん35周年を記念した映画主題歌集アルバム。歴代の映画主題歌と挿入歌を可能な限り収録。長編主題歌→短編主題歌が発表順に収録されている。「魔界大冒険」主題歌の「風のマジカル/小泉今日子」は前回の『映画ドラえもん30周年記念企画 ドラえもん映画主題歌大全集』には収録されていたにも関わらず今作では再び未収録となった。またこの時点での最新作だった「のび太の宇宙英雄記」のEDである「360°/miwa」も未収録。これ以外には『ドラえもんズ』シリーズの主題歌でTHE ALFEE高見沢俊彦が提供(歌手は別)した2曲が未収録で、3Dアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌の「ひまわりの約束/秦基博」も未収録。

95年にリリースされた武田鉄矢関連の主題歌のみを集めた『ドラえもん映画主題歌集』はリアルタイムで入手していて個人的に思い出深い作品だ。映画主題歌集というのはこれが初だったようで、以降は99年の『DORA THE BEST』は映画とTV版両方を収録。そして04年の『映画ドラえもん25周年 ドラえもん映画主題歌篇』、10年『映画ドラえもん30周年記念企画 ドラえもん映画主題歌大全集』(武田鉄矢と海援隊除く)、『ドラえもん映画主題歌集+挿入歌』(武田鉄矢、海援隊のみを収録)、13年『藤子・F・不二雄生誕80周年 ドラえもん 歌の大全集』(TV版含む)…とけっこう小刻みに出していて特に25周年以降は30周年、35周年と5年おきに映画主題歌集を出すようになった。こんだけ出しておいて網羅したものが無く、毎回こっちは収録されたが今度はこっちが未収録になった…というのを繰り返していた模様。今作の後もきっちり40周年の2020年に『映画ドラえもん うたの大全集』を発売。全82曲4枚組となっている。

今作は挿入歌や劇中歌を入れるともう少し抜けが発生するようだが、長編映画主題歌(OP/ED)では「風のマジカル/小泉今日子」と発売2ヶ月も経っていなかった「360°/miwa」、仕様が異なる(3Dアニメ映画)「ひまわりの約束/秦基博」以外は収録しているのでまあ頑張った方なんじゃないだろうか。

映画ドラえもんは春休み映画なので学年が切り替わる頃に毎年上映されている。5歳の頃に「アニマル惑星」を映画館で見たのがたぶん最初(記憶が薄く、その後TVで見た記憶の方が濃い)。そして「夢幻三剣士」〜「銀河超特急」までの3作は毎年映画館で見ていた。これは84年度生まれの筆者にとって小学3→4年生〜5→6年生までの時期に当たる。この間にレンタルビデオ店で旧作も順次全部見た。

その次の小6→中1に上がる春休みには『ドラえもん』を始めとした子供向けアニメは小学生までで卒業するものという意識がなんとなく共通認識として自然に周囲にあったので一緒に見に行ったり話題にしていた友人たち含めてそのまま見なくなった。中学以降知り合った友人たちとは「夢幻三剣士」が熱かったよな！みたいな思い出話で盛り上がったことはあったものの、それ以降の映画の話をすることは無かった。

「銀河超特急」の後に藤子・F・不二雄が死去したのに伴い「ねじ巻き都市冒険記」は遺されていた原作を基にして続きをスタッフが完成させたものだった。武田鉄矢も藤子・F・不二雄が亡くなって主題歌担当を降りたらしいが、結果的には藤子・F・不二雄が原作をきっちり書き上げ映画上映を見届けた作品「銀河超特急」を最後に偶然にも自分もドラえもんを見なくなった事になる。

よって個人的には「のび太の恐竜」〜「のび太の銀河超特急」までは全部見ていたのでDISC-1はかなり懐かしいのではないか…と思っていたんだけど案外懐かしくは無かった。小学校1〜5年頃に見漁ったものだけにさすがにストーリーはおぼろげに記憶していても最後にかかる主題歌までじっくり聞いてなかったので、先に書いた武田鉄矢関連の主題歌のみを集めた『ドラえもん映画主題歌集』に入っていた曲と、TV版OPとしても有名な「ぼく ドラえもん」「ドラえもんのうた」以外は聞き覚え皆無。ハッキリ映画と共に記憶されていたのは「夢幻三剣士」の劇中でかかっていた「夢の人」で当時流行りの曲も聞いていない小学生にとってこの曲はめっちゃカッコいい曲だったのを記憶している。今聞くとけっこうチープなんだけどあの頃を思い出して求めていたなつかしさに浸れた。

武田鉄矢が降りてしまって人選に迷ったのかDISC-1の最後にいきなり永ちゃんが出てくるのは謎だが以降はチラホラとJ-POP歌手の起用が出てくるようになり、ヒット曲コンピレーションみたいになってくる。しかし挿入歌ではキッズソング路線を貫いているのでJ-POPとキッズソングが混在するという何ともカオスな流れになり、DISC-3後半からは短編主題歌集になるため、またキッズソング路線でアルバムは終了。ボリュームはたっぷりだが、前述のようにあまり懐かしくは無かった。もう少し後の世代、00年代までドラえもんに親しんでいればもう少し思い出と共にある曲が増えてきて楽しめるのではないかと思う。それこそJ-POPの原点が思い返せばここにあったという平成生まれ世代は多いんじゃないだろうか。

あと今回初めて知ったのが「ドラえもんのうた」が大杉久美子から山野さと子に代わっていた事。山野バージョンはTV版OPとしては92年から使用されているので恐らく山野バージョンを1番リアルタイムで聞いていたんだと思うけど、さかのぼって映画を見た時にこの曲を違う人が歌っていたとは気づかなかった。アレンジほとんど同じだし、歌のおねえさん的な年齢不詳で匿名性の高い歌声も普遍的すぎて…。

またこの曲98年だけ何故唐突に吉川ひなのがカバーしていたんだろうか。EDではオリジナル曲を歌い、この年だけひなのがOP/EDを完全に牛耳っているのが謎すぎる。そして00年のウィーン少年合唱団バージョンには吹いた。ミレニアムなのでなんだか豪華に行きたかったのかもしれないが、ウィーンなので歌い回しの随所にカタコト感が出ているのがじわじわ来る。

印象度★★★☆☆

2017.12.3更新

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