SUMMERDELICS

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 シン・ゾンビ HISASHI HISASHI GLAY&亀田誠治 53rdシングル『G4・W』1曲目「彼女はゾンビ」を基にして作り直した改作
2 微熱Agirlサマー HISASHI HISASHI GLAY&亀田誠治 52ndシングル3A面2曲目
3 XYZ TAKURO TAKURO GLAY&亀田誠治 先行配信曲(3月)
4 超音速デスティニー HISASHI HISASHI GLAY&亀田誠治 54thシングル『[DEATHTOPIA]』2曲目
5 ロングラン TAKURO TAKURO GLAY&亀田誠治  
6 the other end of the globe TERU&TAKURO TERU GLAY&亀田誠治
&DJ Mass MAD Izm
先行配信曲(4月)
7 デストピア HISASHI HISASHI GLAY&亀田誠治 54thシングル『[DEATHTOPIA]』1曲目 最高6位 売上4.2万枚
8 HEROES TERU TERU GLAY&亀田誠治 52ndシングル3A面1曲目 最高5位 売上4.9万枚
9 SUMMERDELICS TAKURO JIRO GLAY&亀田誠治  
10 空が青空であるために TERU TERU GLAY&亀田誠治 53rdシングル『G4・W』3曲目
11 Scoop TAKURO JIRO GLAY&亀田誠治 53rdシングル『G4・W』2曲目 最高1位 売上5.4万枚
12 聖者のいない町 TAKURO TAKURO GLAY&亀田誠治  
13 Supernova Express 2017 TAKURO TAKURO GLAY&亀田誠治 53rdシングル『G4・W』4曲目「Supernova Express 2016」改題
14 lifetime JIRO JIRO GLAY&亀田誠治  

Strings & Brass Arranged by 亀田誠治(5,12)

※「the other end of the globe」は"Written & Composed by TERU&TAKURO、Composed by TERU"と作曲が二重表記されているが、公式サイトでは"Written by TERU&TAKURO、Composed by TERU"となっている。ブックレットの誤植と思われる。

リリースデータ

2017年7月12日 初登場1位 売上7.1万枚 Produced by GLAY&亀田誠治 ポニーキャニオン(LSG)

メンバー

Guitar TAKURO
Guitar HISASHI
Bass JIRO
Vocal TERU

GLAY14thアルバム。アンソロジーシリーズ2作を挟んで2年8ヵ月ぶりのオリジナルアルバム。前作以降の3シングルからライブ音源以外のオリジナル曲は全て収録された(52ndシングル3A面の3曲目「つづれ織り〜so far and yet so close〜」は05年のバラードベスト『-Ballad Best Singles- WHITE ROAD』収録曲のライブ音源)。さらに3月、4月に「XYZ」「the other end of the globe」が先行配信されていたため、純粋な新曲は4曲のみとなった。ただし「シン・ゾンビ」は「彼女はゾンビ」を基にしてサビメロを残して全面的に歌詞とアレンジを変更した改作となる。「Supernova Express 2017」は「Supernova Express 2016」にはなかったタイアップ先北海道新幹線の車内アナウンスの音が入っている程度で曲自体に大きな変更はないようだ。初回盤は2015年7月26日に行われたライブ『Single Track Only Live@函館アリーナ』を全曲収録したDVD2枚が付属する。

また公式通販のG-DIRECT限定のSpecial Editionは初回盤のライブDVD2枚のBlu-ray1枚化、そこから16曲を抜粋したライブCD、7thPV集『VIDEO GLAY 7』Blu-ray、アルバムのハイレゾ音源とドキュメンタリー2本を収録したBlu-ray、2016年のライブ3本を収録したライブCD3枚、バンダナ、ステッカー、ポスターなどのグッズをセットにした5CD+3Blu-ray+グッズ仕様となっている。

今作のインタビューでTAKUROはTAKUROメロディーを世間に忘れてほしいと発言し、自分がGLAYのメインソングライターであることを降りて、他のメンバー3人それぞれの作家としての優れた一面(特にHISASHIの才能をいかに世間に打ち出すかを考えていたとしている)を前面に出したかった、そしてそのために長期のスパン(事務所も独立してリリースしたアルバム『GLAY』以降)徐々に舵を切っていたと語っている。TAKUROはメンバーにA面になりうる曲を書くように言い渡し、メンバー4人がそれぞれデモを亀田誠治に提出、亀田誠治がジャッジしてアルバムの構成を考え、そこにTAKUROが意見を入れて選曲が完成したとされている。このデモ段階でメンバー間でコンペするのではなく亀田誠治に一任するというやり方はかつてSOPHIAが亀田誠治プロデュースになった際に取っていた方法と全く同じだ。SOPHIAの場合、松岡充はこれでバンドの風通しが良くなったと語っていて、実際息を吹き返した感じはあったものの、最終的にはA面採用が松岡曲ばかりに偏った挙句にやがて決定的な亀裂に繋がってしまったようでバンドは休止を余儀なくされてしまい、当初の松岡の目論見のような20周年へ向けての復活も叶わず過ぎてしまった。個人的には亀田誠治にデモをジャッジさせる手法はその事を思い出してしまったが、GLAYの場合はずっとTAKUROがメインライターで、そのTAKUROが自らメインを降り、メンバー3人もそれぞれがシングル曲を書くという覚悟を持って挑んでいるという形なので状況はまるで違い、4人が平等なソングライターになるという状況にまずは到達したので現時点では非常にいい試みだったんだと思う。このやり方を続けすぎて亀田誠治のジャッジに対してメンバー間で温度差が出始めたりするとどうなるかは分からないが、インタビューの感じだと今のところ心配はなさそうだ。

そんなわけでこれまでも兆候はあったが、今作では非常に分かりやすくソングライターがほぼ均等に4人になった初のアルバムとなり、『G4』シリーズのアルバム版といったバラエティ豊かなアルバムになった。厳密には『G4』の1作目は単なる4曲入り豪華シングルであり、4曲ともTAKURO曲だったので、メンバー1人1曲ずつ4曲というスタイルになったのは公式通販限定の2作目だった。しかも第3弾リリース時は当初は『G4』シリーズにするつもりは無かったようで、亀田誠治が20周年を理由にメンバー1曲ずつ入れたらと提案したのがきっかけでシリーズ第3弾になったらしいので、『G4』シリーズが1人1曲ずつの4曲のシリーズとして固まったのって割と最近であり、同時にこれがTAKUROにとっては自分以外のメンバーの曲を前面に出していく上では非常に有効なアイテムになったので第3弾から1年半で第4弾と短い期間で出したという側面はあったのかもしれない。

前作の頃からそうだったが、今作収録の3枚のシングルもこれ1曲というA面ではなく、複数A面の乱発状態になっていたので正直シングル曲としてのこの1曲、というのがどうしても1曲A面に比べると弱く、既出曲が多い割にはキラーチューンが無い感じはどうしてもある。過去の名曲を越えていくとか並ぶような曲は個人的には無かった。その一方で今作の魅力は多彩さとこれまで以上にメンバー各自がGLAYのメインライターの看板を背負う覚悟を持ったことによるアベレージの高さであり、統一感は無くてバラバラではあるがGLAYを4人それぞれが楽しんで自由にのびのびと自己表現をしているというのはこれまで以上に伝わってくる。夏のアルバムというコンセプトも今作にはあり、これまでのルーティンだと秋冬のアルバムリリースになっていたのを夏リリースにするため、これまた数年かけてスケジュールをズラしていったそうだが、そこまでして夏にこだわった割には今作には夏っぽい曲はあまりない。それでも夏がテーマなのは夏っぽさ=開放感という事だと考えれば今作の風通しの良さはまさにそれだ。

これは確実に新しいGLAYになったと思う。『GLAY』でTAKUROメインのGLAYの集大成を見せてから、前3作はどこか物足りないところがあった中で、今までとは違う新しい可能性を見せてくれるんじゃないかという期待が持てるような1作になった。前作まではTAKUROの一歩退くような感じに不満があったんだけど、改めてTAKUROが立場と考えを明確にしたことで少し見方が変わったというのもあるし、内容自体が今までよりもその狙いが鮮明になった事でようやく納得できるようになったというのもある。むしろ懸念は亀田誠治頼みになりすぎないかどうかか…。

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印象度★★★★☆

2017.10.7更新

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