サザンオールスターズ 40周年シングル+回顧4~1984-1985~

当時の最先端であったコンピューターサウンド、80’sテクノロジーに果敢に挑んだ時期。これに伴いコンピューターサウンドに長けた外部のサポートメンバーの参加が増えたり、バンドサウンドではない曲も増えた。1800時間に及ぶレコーディングで完成させた大作『KAMAKURA』が1つの到達点となり、これを最後に活動は長期休止となった。

休止期間中である87年には『バラッド’77~’82』の続編である『BALLADE 2 ’83~’86』がリリースされている。バラッド=BALLADなのに「BALLADE(バラード)」表記だったり、アルバム3作から2枚組という対象範囲の狭さ、アルバム初収録曲が1曲も無かったりとやや非公認色の強い作品だが、サザンとしては初めてCDとカセットで発売されたCD時代突入のアルバムだったりもする(『KAMAKURA』まではレコードとカセットをメイン媒体として発売して新規格であるCD化は少し遅れて発売していた)。

2018.7執筆
2008年30周年時に聞いてないシングルがありながら禁断の空欄突破で公開した過去曲回顧「30周年シングルレビュー」を、2013年35周年復活時にA面全曲聞いた上での完成版「35周年シングルレビュー~1978-2008~」として公開。
今回は40周年を記念して全C/W追加各アルバムからも数曲ずつピックアップして全面リメイク。以前書いたA面部分もほとんど破棄して書き直している。
シングルは05年リマスター盤、アルバムは08年リマスター盤を全て聞いての執筆。



20th ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)

ミス・ブランニュー・デイ
84年6月25日
前2作の低迷から再びトップ10ヒット(6位)となり、チャコ以外の82年3シングルの水準(30万前後)まで売上を回復させた。クレヨン絵アニメーションによるPVの奇抜な内容が過激だと話題となり、PVだけ長らくお蔵入りとなっていた…という逸話も。

ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:新田一郎
いよいよシングル曲でも本格的にデジタルサウンドを導入してきた80’sデジタルポップナンバー。80’s特有の堅い音の響きに味気無さと時代性を感じるが、ド頭から最後までキャッチーなメロディーはノリがいい。歌詞もまた当時の女子大生を揶揄したような内容なので全体に時代性が強く反映された楽曲だが、楽曲の勢い自体が時代性の強さを上回る。デジタルサウンドの中でいい味を出しているエレキギターの存在感も印象的。なんだかんだキャッチーさが抜群でここから休止に至る85年までの楽曲は個人的にサウンドに味気無さを感じてしまいどうにも好きになれない部分も多いが、この曲が1番好きかも。
★★★★☆
7thアルバム『人気者で行こう
限定ベスト『すいか』
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!
23rdシングル『メロディ(Melody)』C/W(Live at BUDOKAN)

ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
サザンオールスターズ
1984/06/25 ¥250

C/W なんば君の事務所

作曲:大森隆志、編曲:サザンオールスターズ&藤井丈司
大森によるインストナンバー。デジタルなビートとエレキギター、キーボードなどが絡んでいくテクノポップ風味。タイトルが意味不明だが…。この時期のサザンが目指していた方向性に沿った楽曲で、少し前のように何でもやろうというよりかはコンピューターサウンドに挑んでいく一貫した姿勢を感じる。またアルバムに先駆けて以降重要なブレーンとなる藤井丈司が最初にクレジットされた楽曲となった。
★★★☆☆
7thアルバム『人気者で行こう

なんば君の事務所
サザンオールスターズ
1984/06/25 ¥250

From 7thアルバム『人気者で行こう』

人気者でいこう(リマスタリング盤)
84年7月7日
デジタルサウンドを積極導入したアルバム。桑田ソロ1期を含んで90年代初期頃まで大きく関与する藤井丈司が”Techno”としてクレジットされた。

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎
ジューシィ・フルーツに提供した曲のセルフカバー。A面「萎えて女も意志を持て」も桑田の作詞作曲だったがこの曲はそのC/Wとして提供していたもので、現在は提供曲だったともほとんど知られていない。元々「ミス・ブランニュー・デイ」ではなく今作をシングルにする予定だったという。「ミス・ブランニュー・デイ」のような斬新なインパクトを持った曲が出来ればそっちを選択したのも分からなくもないが、今作も当時のシングルと並べても遜色のないいい曲。『海のYeah!!』収録もあって最初は普通にシングルだと思って聞いていた。夏とか海のイメージが強い割にここまで夏曲をシングルで出しておらず、この直球なタイトルがアルバム曲になってしまったのは少しもったいない。シングルでもないのに『BALLADE2 ’83~’86』『すいか』『HAPPY』『海のYeah!!』とベストアルバムに連続収録された稀有な曲でもある。
★★★★☆
7thアルバム『人気者で行こう
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86
限定ベスト『すいか』
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!


サザンオールスターズ
1984/07/07 ¥250

夕方 Hold On Me

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:新田一郎
ホーンセクションを前面に出した明るくポップな楽曲。この時期のアルバム曲では珍しく1回聞いた段階で聞きやすいなと感じられた曲。ライブでの披露も多めなようで、08年リマスター盤の帯でも「ミス・ブランニュー・デイ」「海」と一緒にこの曲も収録曲としてピックアップしてアピールしているので人気もかなり高いようだ。
★★★☆☆
7thアルバム『人気者で行こう
限定ベスト『HAPPY!

夕方 HOLD ON ME
サザンオールスターズ
1984/07/07 ¥250

21st Tarako

Tarako
84年10月21日
唯一の全英語詞シングル。Recorded at The Record Plant.Los Angels,CA USA Sept.1984というLAでレコーディングを行ったことを示す一文とRecording Engineer Michael Brausteinという現地エンジニアが担当した旨が記載されている。作詞作曲表記もKeisuke Kuwata、Southern All Starsと英字表記になっていたようだが、05年リマスター盤では日本語で表記されている。

トップ10入りをギリギリで逃す(11位)も10万枚は突破。サザンとしては最後のトップ10落ちシングルとなっており、次回作以降は全てトップ10入りしている。ただし以降でも累計売上では「女神達への情歌」「イエローマン」の2作は今作を下回っている。

Tarako

作詞:桑田佳祐&Tony Haynes、作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ&Paul Fox
80’sなデジタルビートに乗せたストイックなロックナンバー。終始カッコいいといえばカッコいいが、これといった盛り上がりが無くどこがサビなのかも良く分からないという洋楽一直線なナンバー。シングルとしてはかなり攻めた楽曲だと思う。洋楽や英語詞への憧れはサザン休止後の86年にはKUWATA BANDを結成して全英語詞のロックに挑んでいくがそこに通じていく要素もある。当時はロックをやるのであれば英語詞でなければならない、日本語ではいけないというような意識が強かったようだが、後年この辺りへの反省とも思われるようなコメントやそもそもに全英語詞のロックにもう1度挑むような事が無かったことからもある種の若気の至りのようなところもあったのかもしれない。『すいか』や『HAPPY』にさえ選曲してない完全アルバム未収録シングルなので、結構早い段階で桑田さんの中での評価が低くなっていたっぽい。

なおせっかくLAまで行ってこだわって曲を作ったのにタイトルには無頓着だったのか、ギリギリまで決めていなかったようで「Tarako」というタイトルは合宿先のテーブルに置いてあったリトル・トーキョーで購入したタラコふりかけを見て決めたと発言しており、深い意味が無いようだ。ここまでこだわっておいてそんなテキトーで良かったのか…。ジャケットのセンスも謎で「ら」の字がデカデカと書かれた異様なもの。「LA」をさりげなくアピールしているという説もあるが「ら」ではロサンゼルス感(?)皆無だし…。
★★★☆☆
アルバム未収録

Tarako
サザンオールスターズ
1984/10/21 ¥250

C/W Japaneggae(Sentimental)

作詞:桑田佳祐&Tony Haynes、作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ&Paul Fox
アルバム『人気者で行こう』収録曲「Japaneggae」の全英語詞リメイク。このような場合English versionと表記するのが一般的だがSentimentalと題された。Instrumentalではない。原曲自体がデタラメ英語っぽい雰囲気だったので、きちんとした英語詞楽曲として生まれ変わらせた感じ。演奏も一応再録音しているっぽいけど楽曲自体の印象はあまり変わらない。JAPAN+REGGAEの造語でアレンジだけでも摩訶不思議な世界観になっているのでインパクトは強い。謎曲としてのインパクトではあるけど…。

またバラッドシリーズには最早バラッドでもバラードでも無いようなのがふいに選曲されるがこの曲もその1つだと思う。
★★★☆☆
Sentimentalアルバム未収録
7thアルバム『人気者で行こう』(オリジナルバージョン)
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86』(オリジナルバージョン)
限定ベスト『すいか』(オリジナルバージョン)

Japaneggae(Sentimental)
サザンオールスターズ
1984/10/21 ¥250

JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)
サザンオールスターズ
1984/07/07 ¥250

22nd Bye Bye My Love(U are the one)

Bye Bye My Love
85年5月29日
今作は4位を記録。結果的に今作以降シングルの連続トップ10入り記録は続いている。前作の不振から一転して今作は40万近い売上を記録し、80年代ではチャコに続く2番ヒット(89年までは4番ヒット)となっている。

個人的には85年3月生まれなので生まれてから最初に出たサザンの曲はこれだったという事になるらしい。また今作の3日後である85年6月1日にはTUBEがデビューしている。

Bye Bye My Love(U are the one)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ&リアル・フィッシュ
藤井丈司と編曲に参加しているリアル・フィッシュが演奏にゲスト参加。Saxの矢口博康は『人気者で行こう』にも単独で参加していたが、今作では自身が所属するリアル・フィッシュとして参加した。

80’sデジタルサウンドを生かしながらも実験的な感触だけではなく、ヒット曲してのポップさも併せ持った洗練された1曲。よく聞くとけっこう色々な音がぶち込まれていてエスニックな雰囲気も漂っている。この時代特有である感じは否めないが、この方向性がより磨かれてきたことを感じられる。やりたいことや実験に振り切ったと思ったらふいにヒット性も出してくる辺りのバランス感覚も凄い。
★★★☆☆
8thアルバム『KAMAKURA
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86
限定ベスト『すいか』
ベスト『海のYeah!!

Bye Bye My Love(U are the one)
サザンオールスターズ
1985/05/29 ¥250

C/W Dear John(Live at BUDOKAN)

作詞:桑田佳祐、作曲:桑田佳祐&八木正生、編曲:サザンオールスターズ
アルバム『人気者で行こう』収録曲の日本武道館ライブバージョン。原曲とは演奏が異なるのが聞きどころ。原曲は八木正生の編曲でオーケストラサウンドだったが、ここではバンド名義による編曲でバンドサウンドで構成されている。没後3年、ジョン・レノンへ捧げたバラードで正直そんなにライブ映えする曲でもないと思うんだけど、思いは伝わる楽曲。

なお特にいつのライブ音源なのかは書いていないが、直近での日本武道館公演は85年の2月4~6日、その前は84年1月30日~2月1日で原曲発売前なのでまあ普通に85年2月4,5,6日の3日間のうちのいずれかでの収録と思われる。また基本的にサザンの全曲が配信解禁された後でもライブ音源に関しては解禁されていない模様
★★★☆☆
Live at BUDOKANアルバム未収録
7thアルバム『人気者で行こう』(オリジナルバージョン)
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86』(オリジナルバージョン)

23rd メロディ(Melody)

メロディ
85年8月21日
アルバム『KAMAKURA』先行シングル。結果的に休止前最後のシングルとなった。原由子がアルバム制作途中で産休に入ったため、コーラスは原由子ではなくイリア、大谷幸が担当している、とされているが、『恋するマンスリー・デイ』で急遽不参加になってクレジットがMindになった時とは異なり、今作では普通に原由子がキーボード、コーラスとしてクレジットされている。

メロディ(Melody)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
デジタルバラード。デジタルサウンドに凝るよりもデジタルでシンプルにバラードに挑んだという意味では意欲作か。最初に『KAMAKURA』を聞いた時にこれがシングル曲だったとは思わなかった。タイトルが直球だけに純粋にメロディーに浸ればいいのか…というとそこまででもなく…。どうにもこうにもかなりの味気無さが漂う薄味のバラードだが、聞き込むと味は出てくる。

『KAMAKURA』のCMでは明石家さんまがこの曲を口パクするという内容だったらしく、当時を知る人にとってはさんまの印象が強いらしい。
★★★☆☆
8thアルバム『KAMAKURA
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86
限定ベスト『すいか』

メロディ(Melody)
サザンオールスターズ
1985/08/21 ¥250

C/W ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)(Live at BUDOKAN)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
20thシングルの日本武道館ライブバージョン。前作に続いての日本武道館でのライブ音源収録となり、やはり収録は2月4,5,6日のいずれかと思われる。こちらは改めてライブ映えする楽曲だなという事が分かる盛り上がり。またスタジオテイクにはない生演奏ならではの熱さがある。
★★★★☆
Live at BUDOKANアルバム未収録

From 8thアルバム『KAMAKURA』

KAMAKURA(リマスタリング盤)
85年9月14日
1800時間をかけて挑んだ2枚組大作。収録時間、曲数、単純な情報量の面でも後の『キラーストリート』の方が遥かに超大作ではあるが、85年当時の最新テクノロジーに挑んだ作品としての評価が高く、特にリアルタイムで経過しているオールドファンの中では最高傑作に位置づけるリスナーも多いという。一方でイマイチ良さが分からないという声もあり、賛否が分かれる1作(個人的には後者)。

制作途中で原由子が産休に入っていたが、サザンとしても9~10月に4都市8公演のツアーを最後にそのまま活動休止状態となった。特に休止すると宣言したわけではなかったようだが、86年には桑田・松田はKUWATA BANDを結成、関口・大森・野沢もソロでアルバムを発表した。

Computer Children

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ&藤井丈司
デジタルサウンドを突き詰めたアルバム1曲目。90年代以降の感覚で聞くと打ち込みに凝った曲だなぁ程度の印象にしかならないが、当時は最先端、革新的なサウンドで実際わざわざ注意書きで「スクラッチ、不規則なリズムなどの各種のEffect、処理が行われています。未体験のサザン・サウンドをお楽しみください。」と書かれている。その手の打ち込み加工が音飛びと誤解されるような時代だったという事だろう。

歌詞はTVゲームの普及で外で遊ばなくなった子供たちを揶揄したもの。現代では外でも友達と通信ゲームで遊ぶなんてことが普通にあるだけにこの曲が書かれた時代からすれば異次元のような変化である。TVゲームと子供に対する大人の憂いは当時から変わらないのかもしれないが(いやでもこの頃の子供が親世代になってるのでかなり変わってきているのか…?)、85年という時代を写した1曲。
★★★☆☆
8thアルバム『KAMAKURA

Computer Children
サザンオールスターズ
1985/09/14 ¥250

鎌倉物語

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:大谷幸
原由子ボーカル曲。長男妊娠中で身重だった原由子はこの曲のレコーディングを自宅で座った状態で行っている(自宅に機材を持ち込んだ)。元々激しくシャウトするようなボーカリストであればあからさまな違いは出るんだろうけど、初期の堅かった頃を除いてスタイルが確立してからはほんわかしたボーカルスタイルだったので正直そんなに違いは感じないがそれでも今まで以上に優しく聞こえる

これまで原ボーカル曲は歌謡臭の強い楽曲が多かったが今作はもっと普遍性の高いポップス。リズムの響きの時代性は仕方ないにしてもアルバムにおいても一際輝く存在感を放っている。3連続でのベスト盤選出、決定打となる『海のYeah!!』収録もあって原由子のボーカル曲で最も代表的なのはこの曲なんじゃないかと思う。
★★★★☆
8thアルバム『KAMAKURA
2ndバラードベスト『BALLADE2 ’83~’86
限定ベスト『すいか』
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!
原由子2ndベスト『ハラッド

鎌倉物語
サザンオールスターズ
1982/12/05 ¥250

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