サザンオールスターズ 40周年シングル+回顧8~1997-2000~

97年以降、時代は20代の若手達の天下となり、ベテランのサザンはシングル売上が20万前後にまで低迷していき大御所化していった。そんな状況下でも「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」で意地のロングヒットを見せると、夏の企画ベストとして『海のYeah!!』が250万枚を越える大ヒットを記録。この時点でベスト盤はバラッドシリーズしかなく、歴代のヒット曲をおさらいできる唯一の本格ベスト盤として大ヒットした。

しかしベスト盤で完全に”上がり”を迎えてしまったのか以降はさらに低迷。ついにはトップ10落ちの危機にも陥ったまま90年代は終了。00年になると「TSUNAMI」が空前の大ヒットを記録。サザン人気はこれまで以上に鉄壁のものとなり、そのまま現在に繋がっている。

地元茅ヶ崎でのライブも成功させたが、年末にはギター大森が休養。そのまま翌年脱退してしまい、デビュー以来不動の6人組だったサザンオールスターズは初めてメンバー脱退を経験することとなった。

2018.8~9執筆
2008年30周年時に聞いてないシングルがありながら禁断の空欄突破で公開した過去曲回顧「30周年シングルレビュー」を、2013年35周年復活時にA面全曲聞いた上での完成版「35周年シングルレビュー~1978-2008~」として公開。
今回は40周年を記念して全C/W追加各アルバムからも数曲ずつピックアップして全面リメイク。以前書いたA面部分もほとんど破棄して書き直している。
シングルは05年リマスター盤、アルバムは08年リマスター盤を全て聞いての執筆。



39th 01MESSENGER~電子狂の詩~

01MESSENGER
97年8月21日
1年ぶりの新作。前作に続く5位となったが、累計売上は大幅にダウンし、20万枚を越えるのがやっとにまで低迷した。活動10年未満の新鋭がトップセールスを更新しまくるようになったこの時期はしばし1位からも遠ざかり、やや過去の大物歌手(大御所化)というイメージになりつつあった。

なお翌年発売された『海のYeah!!』はオリジナルアルバム『Young Love』収録曲までという事だったのか、今作以降の楽曲は収録対象外となっている(97年ビデオで発表した「平和の琉歌」除く)。

05年のマキシシングル化に伴いジャケットのチンパンジーが3匹に増殖しているが当時ひっそりマニア向けに発売されていたEP盤でも3匹仕様だったらしい。

01MESSENGER~電子狂の詩~

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:山本拓夫
シングル史上最もハードな楽曲。Windows95の喧騒、マルチメディア、インターネットなどといったコンピューターにまつわる話題や新語が続々登場し、『こち亀』でもパソコン用語特集の回が何度か組まれるなど、市民の生活に急速にコンピューターが入り込んできた時代背景を切り取った楽曲。この頃は有名人がホームページを開設しただけで最先端な事をやっているとニュースになるような時代だった。当時の実感が無い世代は今当たり前にあるコンピューター関連が生活に入り込み始めた時期に書かれた曲という事を念頭に置いて聞くとまた違って聞こえるんじゃないかと思う。97年当時の我が家は白黒だったPCが買い替えでカラー化したもののインターネットにはまだ繋がっていなかった。また車にナビが無かったのでノートPCにナビソフトを入れてGPSを車に持ち込んで助手席で起動させていた。まさにこの曲が発売された時にちょうど北海道旅行でそれをしていたんだけどGPSの精度低いわ、パソコン重いわ(今思えばスペックに無理があっ)、初日で壊れて使用不能になるわでてんやわんやであった(結局アナログに地図見て旅した)。

曲自体はデジタルな感じの音を導入してサイバー感を醸し出しているが、どちらかというとハードなギターサウンドやドラムなどアナログなバンドサウンド主体で楽曲を引っ張っている。何となくマルチメディア感(?)は醸し出しているが…。

コンピューター用語を絡めながら社会を皮肉ったような内容だが現在では古くなってしまった部分や、それはちょっと無理矢理なんじゃ…という表現もいくつか見られる。大サビ部分のフロッピーを男女にたとえたほぼ直球下ネタのくだりなどはフロッピー自体が死滅してしまっているのもあるが、発想がちょっと電脳化についていけない中年オヤジみたいだ。まあメンバー全員立派な中年になっていたのでみたいというかリアルではあるけど…。

ハードなサウンド自体は非常にかっこいいが、小倉博和がサポートでエレキギターを担当している。アルバム曲では例外もあったが、A面においては小倉博和の起用は前々作でのGut Guitarのように大森も桑田も得意としてないであろう部分で任せるようにしていた印象があった。ある種線引きにしていたラインを越えて起用してきたという事は…。4年後の脱退を思うとここから脱退に至るまでの末期の大森の窓際化は気になるところではある。

アルバム『さくら』では「(The Return of)01MESSENGER~電子狂の詩~<Album Version>」と改題。全面的にアレンジが変更され、より電子音を強調した仕上がりになっている。『さくら』というアルバムにおいてはシングルバージョンのサウンドも決して浮くものではなくむしろハマっていたとも思うけど「電子狂」というサブタイトルや歌っている内容にはより即したアレンジだと思う。なおサザンでアルバムバージョンと明記されているのは今作が唯一である。

シングルバージョンが長らくアルバム未収録のまま20年以上放置されていたが2018年の『海のOh,.Yeah!!』でついにアルバム初収録となった。最早「(The Return of)01MESSENGER~電子狂の詩~<Album Version>」の方しか知らないというリスナーも増えていると思われるが、シングルバージョンのヘビーなロックサウンドに驚くのではないだろうか。
★★★★☆
13thアルバム『さくら』((The Return of)01MESSENGER~電子狂の詩~<Album Version>)
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

01MESSENGER~電子狂の詩~
サザンオールスターズ
1997/08/21 ¥250

(The Return of)01MESSENGER~電子狂の詩~
サザンオールスターズ
1998/10/21 ¥250

C/W SEA SIDE WOMAN BLUES

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
A面とは一転してまったり穏やかなミディアムナンバー。ややハワイアンなノリが時間を忘れさせてくれる。変化する時代に焦りを感じるような表題曲に対して、こちらは時代が変わろうとも変わらないものもあるというような安心感もある。多くのリスナーがサザンっぽい、桑田さんっぽいと感じるのもたぶんこっちのような曲なんじゃないかと思う。いい曲とはいえ割とベタでもあり、けっこうベタな曲は嫌うかのように企画盤選曲を外したりもする割には今作はオリジナル、バラッド、40周年と収録機会全てに連続収録しているのでけっこう本人お気に入りな模様。
★★★☆☆
13thアルバム『さくら
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

SEA SIDE WOMAN BLUES
サザンオールスターズ
1997/08/21 ¥250

40th BLUE HEAVEN

BLUE HEAVEN
97年11月6日
「ネオ・ブラボー!!」以来にして6人のメンバーがジャケットに登場している最後のシングル。6人に限らず5人になってからもメンバー全員登場は今作が現時点では最後である。しかし桑田がライトで文字のようなものを書いているため、桑田本人の顔が自身の腕に隠れて見えない野沢の目元と原の口元が光で隠れている…と3人のメンバーの顔がきちんと写っていない。

「愛の言霊」『Young Love』に続いてリアルタイムで聞いた作品だが、前2シングルはスルーしていた。今作は普通にいい曲だなぁと思って手に取り(レンタル落ち200円)、以降サザンを継続して聞くようになった。よって今作以降は映像作品除いてC/W、アルバム(桑田ソロ含ム)全てリアルタイムである。

BLUE HEAVEN

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:TOMMY SNYDER、編曲:サザンオールスターズ
前作とは対照的にサザンらしいポップなミディアムナンバー。アコースティック色強めにデジタル色も加味して非常に優しい仕上がり。爽やかながらもタイトルのようなブルーというよりはどこか曇り空が似合う。当時トップ10ヒットした程度でそんなにロングヒットもしなかったのでこんないい曲が何故なんだろうと思った記憶があるが、当時からかなり聞き込んでいたので個人的にはスタンダード化している。発売時期がだった事もあり、暑さが完全に過ぎ去った頃に聞くとよりしっくり来る。
★★★★☆
13thアルバム『さくら
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

BLUE HEAVEN
サザンオールスターズ
1997/11/06 ¥250

C/W 世界の屋根を撃つ雨のリズム

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
プログレ風のロックナンバー。『さくら』を予告するような楽曲で実際収録予定だったらしいが、完成した『さくら』は収録時間がギリギリ一杯で収録の余地が全く残されていなかったため収録できなかったという。サウンドの不穏で混沌とした空気は世紀末っぽいが、歌詞のデタラメっぷりもカオス。完全に語感重視だけで単語を並べたてたと思われ、日英織り交ぜた歌詞は意味不明。しかし曲として聞くととても流れが良く聞こえるという(歌詞カード見ないとなんて言ってるのか聞き取りにくいけど)。決して万人受けする曲ではないと思うが、『さくら』の時期が好きだったり、ロックなサザンが好きだというなら外さない1曲。
★★★★☆
アルバム未収録

世界の屋根を撃つ雨のリズム
サザンオールスターズ
1997/11/06 ¥250

41st LOVE AFFAIR~秘密のデート~

LOVE AFFAIR
98年2月11日
珍しい真冬のリリースで2月発売のシングルは「涙のアベニュー」以来2作目。初動は12万程度だったが、前後のシングルはこの半分か半分よりは少し多い程度だったので初動時点でもかなり好調だった。ただ初登場4位という順位にこの時期としては好調だった事があまり出ていないのはミスチル、ELT、JUDY AND MARYが揃ってトップ3に初登場していたため。90年代勢に阻まれての4位はベテラン奮戦も及ばずっていう感じで、98年当時はまあ普通の事だった。いつしかベテランにアイドル以外若手みんな及ばず…になってしまうとは当時想像もしなかっ

2週目9位に落ちるも3週目は売上を伸ばして7位に浮上、4週目はさらに浮上して5位、以降も7位、6位、7位、10位…と8週連続トップ10入りしてロングヒット。累計売上の60万弱は98年当時では中ヒットレベルではあったが、「愛の言霊」のミリオン以降は連続して低迷して20万程度まで落としていたサザンがここでかなりの意地を見せた感じはあり、97~99年の間のシングルではダントツのヒット作となった。90年代末期唯一の代表曲となったが、2018年の「三ツ矢サイダー」CMソングの1曲にも選ばれるなど現在は全期通しての人気曲の1つとして親しまれているようだ。

今作のヒットは収録対象外とはなっていたが、20周年へ向けての景気づけとなり、4ヶ月後の『海のYeah!!』の250万枚ヒット(98年時点)へ少なからず繋がったと思われる。ただしこの反動か次回作以降で20万を割り込むようになり完全にベストが区切りにされてしまう事にも繋がっ

LOVE AFFAIR~秘密のデート~

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:島健、管編曲:山本拓夫
ドラマ『Sweet Season』主題歌。ドラマは格段にヒットしたわけでもなかったのでこの曲のヒットは曲の力によるところが大きかった。不倫ドラマだったので、歌詞もそのまま不倫の歌だが、非常にロマンチックな雰囲気になっていて予想されるドロドロ感は皆無。非常にポップな曲調で、不倫というどこか後ろ暗いイメージを感じさせない。ポップソングとして非常に優れた仕上がりでロングヒットも納得だった。前作が当たらなかったのは納得いかなかったけどな横浜のデートスポットを列挙するサビや歌詞全体の時間の流れから主人公の不倫男の様々な思いも一緒に疑似体験できる仕様だが、不倫に関係なく登場する場所を聖地として巡るファンもたぶんこの20年間かなり多かったんじゃないかと思う。ただし書いた本人は横浜に土地勘があったわけではなかったらしく、ガイドブックを見ながら書いたなどとコメント。大黒ふ頭で虹を見てというくだりの虹はリアルな虹ではなくレインボーブリッジの事を指していたはずが、大黒ふ頭から見えるのは横浜ベイブリッジ。レインボーブリッジとベイブリッジを間違えてしまったためで、こうなると歌詞通りに大黒ふ頭でリアルな虹を見るのは至難である。
★★★★★
13thアルバム『さくら
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

LOVE AFFAIR~秘密のデート
サザンオールスターズ
1998/02/11 ¥250

C/W 私の世紀末カルテ

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
サザン名義ではあるが桑田の弾き語り(アコースティックギター&ハーモニカ)による中年の悲哀独白ソング。タイトルに「世紀末」が入ってくるのがいかにも90年代末期ではあるが、あまり明るいビジョンの見えない中年男の日常のぼやきが延々と歌われる。1コーラスおおよそ1分弱で7番まであるので楽曲は7分近くまで達する。そんな長尺曲を入れるから「世界の屋根を撃つ雨のリズム」が収録不可になったとか「この青い空、みどり」が犠牲になったとか言ってはいけな大きな展開も無い曲だが、果てしない哀愁に「ホロホロリ」と来る泣きの1曲で、シンプルさの中に不思議な魔力がある。当時の桑田佳祐と同じ世代になって改めて聞いた時、果たして何を思うのか。20年も経っているので到達したリスナーも経過したリスナーも多いと思うけど、きっと初めて聞いた中学1年の終わりの頃には分からなかった本当の「ホロホロリ」がそこにあるに違いない

また「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」の主人公の本当の日常がこの曲にあったのだとしたら…不倫相手といる時だけ日常を忘れてロマンチックな感傷に浸っている「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」にもまた深みが増す。
★★★★☆
13thアルバム『さくら
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

私の世紀末カルテ
サザンオールスターズ
1998/02/11 ¥250

42nd PARADISE

PARADISE
98年7月29日
デビュー20周年記念ベストアルバム『海のYeah!!』発売後最初のシングル。前作のロングヒット、そしてベスト盤が大ヒットする中でのドラマタイアップという好条件だったが、あまり大きなヒットには繋がらず、累計売上はついに20万枚を割り込んだ。アルバム『さくら』への先行シングルにもなった。

PARADISE

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:TOMMY SNYDER、編曲:サザンオールスターズ、Japanese Rap inspired by:北原白秋、
ドラマ『ハッピーマニア』主題歌。この2,3年でヒットドラマの脇で出演して人気を得ていた稲森いずみの初主演作(2番手が藤原紀香)。話題作で初回視聴率が20%を越えて即「続編決定」などというニュースがスポーツ紙に掲載された覚えがある。1話だけで決まるのかよ?と思っていたら案の定視聴率は15%ちょいまで低迷。続編など作られることはなかった

マニアックな雰囲気は「愛の言霊」に通じるものがあるが、当時の子供たちを虜にしたあの曲と違って、今作はOL向けドラマタイアップだったので恐らく視聴者にも変な曲としか認知されなかったと思われ、不発だったのもそれが原因だったのではないだろうか…。

楽曲自体はバンドである事よりも打ち込みサウンドにこだわって練りに練り込んだ複雑怪奇な楽曲で聞きごたえはあるし、間奏で急に原由子が北原白秋の詩を朗読し始めたりとインパクトも強い。ただ終盤複雑に展開しまくってなかなか終わらずにシングル最長楽曲になってしまうなど、かなりのアーティストがこの時期陥った世紀末病によってこねくり回しすぎた感じはある。面白い事は面白い楽曲で聞くたびに新たな発見が生まれるような曲ではある。
★★★★☆
13thアルバム『さくら

PARADISE
サザンオールスターズ
1998/07/29 ¥250

C/W CRY 哀 CRY

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
アルバム『さくら』へ通じていくようなハードロック調のナンバー。サビでの加速感はたまらないが、あまりヒット性は無く、当時はそんなでもなかった記憶がある。しかしこういう激しい曲調は03年以降全くやらなくなってしまうので、今となっては貴重であり、年月を経てだいぶ好きな曲になっていった。「PARADISE」がカオスすぎてこれでもだいぶストレートに聞こえてしまう古語を取り入れた歌詞には独特の雰囲気が漂う。といっても聞くだけだとなんとなく古語っぽい感じという程度で、崩した歌い方をしているためほとんど何を言っているのか聞き取れず、歌詞カード無しではサビでのタイトル部分くらいしかほとんど判別できない。そして歌詞カード見ても結局良く分からないっていう。ワケの分からなさが楽しい1曲でもある。
★★★★☆
13thアルバム『さくら

CRY 哀 CRY
サザンオールスターズ
1998/07/29 ¥250

From 13thアルバム『さくら』

さくら(リマスタリング盤)
98年10月21日
『KAMAKURA』の1800時間も霞む3000時間をかけたという渾身の大作。1枚組ではあるが収録時間は78分30分とほぼCDの限界ギリギリとなっている。このためC/W曲の「世界の屋根を撃つ雨のリズム」が収録から外された。

結果的に6人での最後のオリジナルアルバム。2週連続1位は獲得したものの、今作は売上はミリオン目前で止まってしまいミリオンには届かなかった。とはいえ大ヒットには違いないが、4ヶ月前の『海のYeah!!』が250万枚に到達するような最大ヒット(当時。現在は300万枚を突破)を記録していた事、その前の『Young Love』も同じく250万に迫る売上であり、そこからすれば150万枚に及ぶ大激減であった。ミリオン連発の90年代においてミリオンを割った=売れなくなったという図式が当たり前の感覚だったため、当時から“売れなかったアルバム”という印象を持たれていた。

加えて桑田本人が売れなかったとコメントした事や、この次の『バラッド3』も250万枚を突破する大ヒットとなったため、200~300万代のメガヒットトップ3に挟まれてポツンと今作90万台…というリリース順に並べると著しく見劣りする数字になってしまった事でより売れなかった扱いに拍車をかけた。

しかし売上96.9万枚(リマスター盤除く)は十分に大ヒットである。

NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
全アルバム中最も激重なオープニングナンバー。ここ最近見せてはいたがさらにヘビーなサウンドが響き渡り、しかも4曲目に「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」が出てくるまでポップな曲、パブリックイメージのサザンらしい曲は全く出てこないという攻めっぷり。当時の並々ならぬ決意を感じる。歌詞は正直何を言っているか分からないが、たぶんほとんどこれといった意味も無い。ヘビーなサウンドに載せてさらっとSGT.Doraemon(サージェント・ドラえもん、「ドラえもん」のふりがな付)とか出てくるのはちょっと笑った。
★★★★☆
13thアルバム『さくら

NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH
サザンオールスターズ
1998/10/21 ¥250

素敵な夢を叶えましょう

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:島健&サザンオールスターズ
ドラマ『こいまち』主題歌。フジテレビ火曜22時枠のドラマだったが、連ドラながらオムニバス形式を取った変則的なドラマで、1話ごとに土地も役者も全て変わり、日本各地を舞台にした1話完結のラブストーリーだった。内容が大人向け、社会人以上向けだったため何回か見たが中学2年生にはあまり面白さを感じなかった記憶がある。最終回はサブタイトルに「素敵な夢を叶えましょう」が使用された。

前作の最終曲「心を込めて花束を」同様にオーケストラを起用したバラードでアルバムを締めくくる楽曲。散々ひねくれまくった後にド王道の美メロ、涙なしでは聞けないような今は別々の道を行く友たちへエールを送る友情バラード。”夏の夜に咲く花火が僕達を繋ぐ最後の絆だと誰かが言った”のフレーズがとても印象に残っている。これは中2当時今作を共有していた友人たちと徐々に疎遠になっていった大学時代半ば頃まで仲間内で継続していたのが夏に花火を見に行くというイベントだったためで、03年とか04年頃に本当にこの通りになってきそうだなと感じ、実際その通りになった。やがて花火にも集まらなくなって疎遠になり、それぞれがそれぞれの場所へと進んでいった。あの頃の仲間の思い出が個人的に投影される1曲。サザンとしても『NUDE MAN』や「YA YA(あの時代を忘れない)」辺りからの年月を経ての思いと捉えると深みが増す。最後のフレーズ”南十字に戯れる星座に願いを”というのもニクい演出だ(南十字はSouthern Crossなのでサザンオールスターズに戯れるファン、と捉えると熱い)。

『さくら』で最終曲、『バラッド3』でDISC-2最終曲、『海のOh,Yeah!!』DISC-1最終曲…と収録された3作のアルバム全てで最終曲という全楽曲史上唯一の記録を持つ最終曲オブ最終曲。
★★★★★
13thアルバム『さくら
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

素敵な夢を叶えましょう
サザンオールスターズ
1998/10/21 ¥250

43rd イエローマン~星の王子様~

イエローマン
99年3月25日
99年唯一の新作。桑田が特殊メイクでずんぐり体型で登場するPVは発売前そこそこ話題になったし、ツアーで4大ドームを回るという過去最大規模の会場でのライブを発表するなどこの当時のサザンは話題性に乏しくなっていたわけではなかった。しかし今作は初登場10位というトップ10入りギリギリ、累計売上10万割れにまで低迷(05年リマスター盤で10万枚突破)。90年代最後にして90年代最低売上となった。

この数年低迷ムードは漂っていたし、98年の『海のYeah!!』ヒットと同様に『Neue Musik』が300万級のヒットになったユーミンもこれを最後の花火としてさらに低迷していたので、サザンもユーミンも98年のベスト盤が区切りとなり、このまま大御所化(過去の栄光により大物扱いなんだけど新作売れない)するのではないか…という感じは確かにあった。

イエローマン~星の王子様~

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
冒頭からかなり変な歌い方&電子狂よりも狂っているという言葉がしっくりくるようなヘンテコなサウンド、みんながイメージするサザンとは一線を画す挑戦的ナンバー。この時期は攻めた曲が多かったとはいえ、なおさらにその上を行くような強烈なインパクトは意味不明ではあるが、意味不明なままに突き進んでいく勢いに当時圧倒された。当時レンタルで聞いたんだけど、まだカセット録音だったのでもっと繰り返し聞きたいと思ってわざわざシングル盤を買ってきた記憶がある(出来たばかりのブッ●オフで400円とかでの中古購入だったので売上に貢献しない中学2→3年生の春)。そのまま覚えてカラオケで歌ったら友人1名をこの魔境(?)に引きずり込むことに成功、シングルを貸してくれというので貸したらその後のカラオケでは今度はその友人がこの曲を熱唱していた。

そんなわけで売れなかったとされている曲で、この曲知らん!と言われがちだが当時自分の周囲ではそれなりに話題になった曲なのであまりそういう感覚が無い。購買力が無かったのでみんな売上には貢献していなかったがむしろ今までより話題になっていた

すぐにチャートアウトしてしまい流行らなかったおかげでそこまで問題視されなかったが歌詞に出てくる“下司なPleasure””木偶なTreasure”というフレーズは前年のB’zの大ヒットベスト盤を揶揄したとしか思えないもので、よりによって揃って登場させた挙句に下司だ木偶だとつけてしまうのはなかなか…。当時珍しかった派手な特典商法をぶちかましての歴代売上記録突破だった事もあり、ファン以外の間では汚い売り方だという認識も少なくなかったのでそのことを良く思っていなかったのではないかという説もあったが、本人は遊びで入れただけで皮肉の意図も無いとしている。
★★★★☆
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

イエローマン ~星の王子様~
サザンオールスターズ
1999/03/25 ¥250

夏の日のドラマ

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
松田弘ボーカル曲。38th以来のボーカル曲だが、今作を聞いた当時は『Young Love』以降の作品しか聞いていなかったため、原由子以外がボーカルを取る曲があるというのを全く知らなかったなんか声が全然違うんだけどナニコレ…?と思ったのを記憶している。ボーカル=桑田という図式は当時鉄壁だったため相当歌い方を変えて歌った上で何か加工でも施しているのかと本気で思っていたほどだ。

今回は自作ではなく初期のように桑田作を歌う形に。さりげに『バラッド3』に選出されたことで知名度を大きく上げた。この時期にしてはストレートにいい曲路線の楽曲でマニアックな事ばかりやっていたわけでは無い事も良く分かる1曲。というか今までのソロ曲と違ってこれ完全に王道ポップなサザンナンバーなので、何故ボーカルを松田に変えたのかの方が謎だったりする。この時期の攻めっぷりからして自分で歌うにはあまりにいつも通りすぎるのでボーカルを変える事でマンネリ感を打破したかったのか…。いずれにせよ結果的に今作が桑田・原以外のメンバーが歌う最後の楽曲となってしまっているというのはもったいない。
★★★★☆
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

夏の日のドラマ
サザンオールスターズ
1999/03/25 ¥250

44th TSUNAMI

TSUNAMI
00年1月26日
発売と同時にすさまじい売上を記録し、1位確実視されていたモーニング娘。「恋のダンスサイト」をぶち抜いて初動60万枚突破での1位を獲得。96年の「愛の言霊」以来のシングル1位獲得であった。そのままロングヒットして20世紀最後にしてCDシングル史上最高売上を突破した自身最大ヒットシングル。現在O社歴代シングル売上4位CDシングル2位(SMAP「世界に一つだけの花」の購買運動で抜かれた、なお今作が「だんご三兄弟」を抜いたのは05年リマスター盤再発による加算である。)、8センチCDで発売されたCDとしても歴代1位となった(O社では再発盤がそのまま加算されたが純粋に8センチCD盤のみの売上ではだんごの方が上)。なおこの年の『CDTV』での年間チャート特集や20世紀を振り返ってのCDシングル歴代チャート企画をやる頃にはまだ米米CLUB「君がいるだけで」の方がわずかに上回っており、歴代1位として石井竜也が中継出演するも、(もうすぐTSUNAMIに抜かれるのに)すいませんねぇ、あとちょっとだったのにねぇ、などと司会者が返しにくいギャグにしていた。

初回盤はマキシシングルサイズのスリーブケース入り特殊ジャケットだった(中身は8センチ)。受験生だったので少し遅れて買いに行ったらもう通常盤短冊8センチジャケットしか置いてなかった。あまりに予測不可能な爆売れで瞬く間に売り切れてしまったため、当時目にする事はできなかったが、現在は時々中古で転がっている事もある。

今作がサザン関連で最後の8センチシングルここまでの44作が05年にリマスター一斉再発された。シングルの再発は現時点でこれを最後に行われておらず、次回作以降は1度も再発されていない。

タイトルゆえに海外で津波による被災が起こった際には放送自粛になることがあったが、2011年3月11日に国内で津波による大災害が起きてからは実質封印状態となった。直後は歴代ヒット特集等でも不自然にこの曲に触れない状態が続いたが、現在OAや発売は普通に行われており、『海のOh,Yeah!!』では1曲目に配置された。しかしライブでの歌唱は未だ実現していない。

TSUNAMI

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:島健
バラエティ『ウンナンのホントコ!!』内コーナー『未来日記』第3弾のテーマ曲。オーディションで選ばれた素人の男女に未来日記を渡し、本人の意志に関係なく特定のシチュエーションになったら日記の指示通りに発言・行動するという、恋愛ドラマが廃れていく中で『あいのり』と同様に支持を集めた素人参加型のラブストーリー。なんか人気にものすごい火がついて、この年のうちに映画化まで行ったが一気に飽きられてブームが終わった

「未来日記」は見ていなかったが、勝負作っぽい雰囲気があって事前に直球バラードのいい曲という認識もあったので、まあ「BLUE HEAVEN」くらい(20万越え)まで売上が回復するというのはあるんじゃないかなと発売前は思っていた(前作10万割れだったし、これでも2倍以上の予想)。

ところがこれである。まさかあんな破格のヒットになるとは思いもよらない。とにかく上位に居座り続け、冬の間は毎週ありえない売上枚数をたたき出し続けた。サザンもこのヒットで完全に永遠の国民的トップアーティスト的ポジションを確立

前作までのサザンからするとなんてことのない直球すぎるくらい直球のバラード、過去の自身のヒット曲の必殺要素を詰め込んだような日本のポップスとしてのわび・さびを確実に捉えたような楽曲。普遍性と平凡は紙一重だと思うんだけど、その難しいところを見事について成功した1曲だと思う。この曲が1番好きかと言うとそうではないけれど、あれだけの大ヒットをリアルタイムで目の当たりにした事や、やはりあれだけ大ヒットすれば必然的に自然と耳にする機会も格段に増えるわけで、どのくらい好きかというのを越えてスタンダード化した楽曲と言うのが率直な認識。

ただ冬の間に大ヒットしてて、冬の間にあの冷たい雨が降りしきるPVも散々流れていたはずなのに、数年後にはもうMステとかの夏の歌ランキングで上位に入るようになったのにはかなり強烈な違和感があった。雨ではなく雪が降りしきっていたらさすがに無かったとは思うが、人々の認識はあっさり冬の大ヒットの印象をサザン=夏=夏の大ヒット曲という認識に変えてしまったらしい。
★★★★★
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

TSUNAMI
サザンオールスターズ
2000/01/26 ¥250

C/W 通りゃんせ

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
鎌倉の名所が登場するハードロックナンバー。冒頭で歌詞には記載されているが、加工されすぎて何を言っているのか聞き取れず冥界からの声みたいになってしまっている部分がめっちゃ怖い。その瞬間に浮かんだ「亡霊行進曲」というイメージの方が「通りゃんせ」というタイトルよりも自分の中で強くなってしまっている。

冒頭が怖すぎるが以降はハードなロックサウンドが展開。こちらは『さくら』前後からの路線の延長にあるような攻めの楽曲といえる。これを最後にこのようなハードロックな方向性はやらなくなり、多少ロックな曲調になっても今作や『さくら』までで見せていたようなハードな雰囲気は全く見せなくなってしまった。その点が残念。
★★★★☆
アルバム未収録

通りゃんせ
サザンオールスターズ
2000/01/26 ¥250

45th HOTEL PACIFIC

HOTEL PACIFIC
00年7月19日
今作からマキシシングルへ移行した。『涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~』を除くと今作から01~02年の桑田ソロ含めて初回盤はスリーブケース仕様(薄型マキシシングルケース)で『愛と欲望の日々』までフォーマットが統一されていた。初回盤のスリーブケースと通常盤のプラケースのジャケットは基本的に同じものだが、初回盤スリーブケースの中のプラケースのジャケットは異なるものが使用されているため、中古で初回盤のスリーブケース無しなのか通常盤なのかは見分ける事が可能(あと初回盤は品番の数字の末尾に「A」が入っている)。この初回盤のプラケース(中ジャケ)の方ではメンバー6人が揃っており、水しぶきの中を桑田が先頭を切って6人で突進してくる躍動感のある写真となっている。みんな突進態勢なのに大森1人だけ何故かのぞき込むような謎姿勢を取っている(態勢を崩している?)のとまもなく訪れる休止(のち脱退)は特に関係が無

今作に関しては初回特典としてTATOOシールが付属する。

GLAY・ラルクとのチャート対決が話題になり、50万枚を突破した両者に対して今作は初動30万で3位となった。しかし翌週今作は2位に浮上するとそのまま両者を上回り続けて20万以上あった大差をひっくり返して3者の中で1番のヒットとなった。

…と思ったらこの週14位に初登場していた中島みゆきの「地上の星」が100位以内ランクイン歴代最長となる驚異的ロングヒットにより数年かけてミリオンセラーを達成。何かとドラマの多い00年7月19日発売作品であった。

HOTEL PACIFIC

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、管編曲:山本拓夫
ギラギラとした夏の歌謡ロックナンバー。18年もの長きにわたってアルバム未収録だったにも関わらず高い知名度と人気を誇り、ダンサーとか大挙して出てきてド派手なパフォーマンスが繰り広げられる00年代のサザンのパブリックイメージそのままの曲。これ以前にも派手な曲はあったが、ダンスを取り入れたのは何気に今作が初だったりもするので、この曲で00年代の夏だ!お祭りだ!なサザンのイメージがより固まったような印象もある。

モデルになったホテルパシフィックは茅ケ崎に実在したホテルでさりげに「夏をあきらめて」の歌詞中にも登場した事がある。ホテルの全盛期は70年代で「夏をあきらめて」がリリースされた80年代当時は営業は末期の状態ではあったようだが一応存続していた。サザンが活動を再開した88年に完全に廃業となり、以後10年間廃墟となっていたが取り壊されて現在はマンション地帯になっている模様。桑田自身の少年期の思い出と学生時代にはバイトもしていたらしく、今作が全体に失われたものを振り返る視点になっている上に昭和を思わせる雰囲気で貫かれているのはそういった過去の風景が反映されているためと思われる。

派手なのに同時にどこか切ない哀愁が漂っていて歌詞にもメロディーにも泣きの要素が感じられるのもそういった背景があるからなのだろう。そしてこれこそが今作の魅力であり、案外ほかのド派手な曲にはあまりないオンリーワンな部分でもあるかもしれない。当時はちょっと歌謡っぽいのがなぁ…と思っていたが今ではかなり好きな1曲だ。
★★★★★
プレミアムアルバム『海のOh,Yeah!!

HOTEL PACIFIC
サザンオールスターズ
2000/07/19 ¥250

C/W 虫歯のブルース~インディアン狂想曲[MEDLEY]

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
アルバムではたまにやっていたがシングルでは唯一となるメドレー形式の楽曲。冒頭1分にも満たない部分が「虫歯のブルース」で、以降の曲の大半が「インディアン狂想曲」という構成。

「インディアン狂想曲」が先にあって「虫歯のブルース」を付け足したそうだが、「虫歯のブルース」はほとんど歯から血い出た~♪と連呼しているだけの文字通りのブルースでかなり地味というかナンダコレな珍作

「インディアン狂想曲」はけっこうノリのいい曲でインディアンとか狂想曲という字面から思うようなドンドコした雰囲気(?)はほとんどない。ストレートにいい曲ではあるんだけど随所でヘンテコなSEを入れ込んでいて遊び心が全開。途中では「虫歯のブルース」へ言及した原・関口のコント(?)が入っていたり、ここで原由子が発したセリフの一部(ダメ)を切り取り加工して、以降曲が普通に進行しているのにバックでダメ・ダメ・ダメ・ダメと連発させたりとなかなかユニークな曲だ。曲自体も普通にいいし、随所のユニークな試みは面白いしでかなりお得仕様な1作。
★★★☆☆
アルバム未収録

虫歯のブルース~インディアン狂想曲〔MEDLEY〕
サザンオールスターズ
2000/07/19 ¥250

46th この青い空、みどり~BLUE IN GREEN~

この青い空、みどり〜BLUE IN GREEN
00年11月1日
20世紀最後のシングル。「TSUNAMI」と同じ未来日記タイアップで200万枚オーバーの年間2位を記録した福山雅治の「桜坂」、その「桜坂」に続くオリンピックタイアップだった「HEY!」が30万台に落ち着いた中で、同じアミューズのサザンも今作が30万程度に落ち着いた。直後にリリースされた『バラッド3』は『海のYeah!!』に続く200万枚オーバーの特大ヒットを記録し、タイミング的には先行シングルだったが今作は収録されなかった。むしろ『バラッド3』に購入者が集中して新曲である今作は埋もれた

今作への参加を最後にギター大森が休養を発表し、年末のライブには不参加。この時点ではまだ脱退になるとは思われていなかった。過去には関口が数年休んだこともあったため、大森も同様という見方が大半だったためである。サザン6人は鉄壁だと思われていたが、そのまま01年夏に大森は脱退を発表。これに伴いサザンは更なる長期休止となり、しばらく桑田ソロでの活動が続いた。当初は大森の代役として参加した青学時代の後輩である斎藤誠はそのままサポートメンバーとして定着し、以降サザンでも桑田ソロでも欠かせない最も重要な桑田の片腕的ギタリストとなった。

結果的に6人での最後の新作が今作となっている。ジャケットは桑田のイラストのみだが、初回盤のプラケースの方のジャケットと通常盤の中ジャケットでは前作同様に6人のメンバーの写真が掲載されており、サザンメンバーとしての大森のシングル盤最後の姿を拝むことができる。『バラッド3』の方にもメンバー写真あるけどあっちはちょっとふざけた当て込み写真だし

今作のみアナログ盤シングルに追加収録がされていて、「いなせなロコモーション<茅ヶ崎ライブVersion>」が追加されているという。

この青い空、みどり~BLUE IN GREEN~

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:Tommy Snyder、編曲:サザンオールスターズ
桑田佳祐&ユースケ・サンタマリアによる音楽バラエティ「音楽寅さん」テーマ曲&ドラマ『神様のいたずら』主題歌のWタイアップ。ドラマは見ていなかったが音楽寅さんの方は見ていて、これがものすごい名曲だと買いに走ったが、なんか初登場3位に終わった挙句にさほどヒットせずにチャートアウトしてしまったのが当時不思議でしょうがなかった。翌年の桑田ソロがサザンを凌ぐようなミリオン2連発で特大ヒットしたため、ますます今作が埋もれてしまったような…。アルバム未収録のままだし…。

楽曲自体はアコースティック調のシンプルなバンドサウンドで、来るべき21世紀への希望が歌われている。同時期の19「背景ロマン」も同様のテーマで、さらにそれをお祭り感覚にまで持ち上げていったのがモーニング娘。「恋愛レボリューション21」だったが、20世紀から21世紀への世紀が変わるという100年単位ゆえに人生良くて1度(2度の人も一応いる)しか体験できない節目の瞬間を切り取ったような空気感の1曲だ。大きく盛り上がるわけではないが、混沌の世紀末を経ての21世紀への希望を感じられる事もあって当時かなり好感触な1曲だったし、今でもやっぱりいい曲だとは思うが、ほかの曲以上にその時代を切り取った1曲という印象も強く、『海のOh,Yeah!!』未収録自体は納得できてしまうところもある。

この曲にはさらに特別な思い入れがあり、それは高1当時の音楽の授業で“何でもいいから1曲単独で披露せよ”という課題があった。ほぼ全員がリコーダーやカラオケの披露にとどまる中で突如としてアコースティックギターを片手に参上してこの曲を弾き語り披露するというイメージとかけ離れた行為に及び音楽の授業を取っていた者たちとクラスメイトを驚愕させたという思い出がある。またこの前にギターをカーネル・S・マルオ氏(経由でその友人)に貸しており、返してもらうはずがその友人との手違いで当日まで戻ってこず。あきらめてDEENの『哀しみの向こう側』をカラオケしようと思っていたところ、当日の朝にカーネル・S・マルオ氏がギターを返しに登場。伝説の遅刻王として3年間君臨したあのカーネル・S・マルオ氏が早起きして学校に取りに行って戻ってきたという異例中の異例の事態であり、ちょっと感動的であった。なお圧倒的なギターセンスの無さと当時既に喉がおかしくなりかけていてほとんどの曲が歌えなくなってきていた状況の中で1コーラスのみの発表で手一杯、ギターコード間違えずにリズムキープして弾くのにいっぱいいっぱいで歌は余裕がなく小音量に。個人的には無謀な失敗ではあったが、後でカーネル・S・マルオ氏と共通の知り合いで同じ中学だった女の子に「失敗だったよなぁ」とか話をしたところ、思いがけず「けっこう良かったよ」とにこやかに言われて、150%お世辞でもけっこう嬉しかった。個人的に青春な1曲
★★★★★
アルバム未収録

この青い空、みどり ~BLUE IN GREEN~
サザンオールスターズ
2000/11/01 ¥250

C/W チャイナムーンとビーフン娘

作詞:関口和之、作曲:原由子、編曲:サザンオールスターズ、弦編曲:島健
原由子ボーカル曲。桑田・野沢以外のメンバーが単独で作詞作曲して自分で歌う曲や桑田と共作した曲はあったが桑田以外のメンバー同士で共作したのは初。ほんわかとした原由子ボーカル曲としては比較的王道の香り漂う曲だが、歌詞がユニーク。何故か横浜中華街の遠い親戚の店で働く中国の女の子が故郷を思うという明確な舞台設定がされており、間奏ではこの女の子として故郷へ充てた手紙の朗読のような台詞も挿入されている。ビーフン娘というのは店で働いているうちにおいしいビーフンが作れるようになったという台詞の締め部分に由来。独特の世界観と原由子のボーカルがこれまた不思議と溶け合い、決して派手ではないものの舞台設定が変わっていることからかなり印象に残る1曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

チャイナムーンとビーフン娘
サザンオールスターズ
2000/11/01 ¥250

C/W 心を込めて花束を<茅ヶ崎ライブVersion>

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
96年のアルバム『Young Love』最終曲のライブ音源。2000年8月19、20日に茅ヶ崎公園野球場で行われた通称「茅ヶ崎ライブ」は99年末に地元茅ヶ崎でライブがしたいと桑田が発言したことで実現した地元凱旋の野外ライブ。結果的に大森が参加した6人での最後のライブとなった事や、映像化されていないことも重なって数あるライブの中でも伝説視されている。この曲は両日ともにアンコールの最終楽曲として披露したもので、20日公演の音源だと明記されている。

オリジナルはオーケストラ演奏のみだったが、このライブバージョンでは6人のバンド演奏を中心としたバンドサウンドでのアレンジとなっているためオリジナルとはまた違った味わいがある。デビュー時からの6人のオリジナルメンバーでの最後のライブ演奏曲という事にも結果的になってしまったわけで、ひたすら噛み締めるしかない貴重な音源だ。
★★★★☆
ライブ音源アルバム未収録

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