MOON CHILD シングル回顧~1996-1999~

当時新鋭のレコード会社で主にダンスミュージックを中心に手掛けていたエイベックスから初のロックバンドとして96年にデビュー。メンバーは作詞作曲をほぼ一手に手掛ける佐々木収(Vo,Gt)、渡邊崇尉(Ba)、樫山圭(Dr.)の3人組だった。3rdシングルよりサポートメンバーとして参加していた秋山浩徳(Gt)が加入して4人組となった。

97年にドラマ『FiVE』主題歌に起用された「ESCAPE」が大ヒットして一躍有名となった。続くシングル2作もトップ20ヒットとなり、2ndアルバムはトップ10ヒットを記録するも以降人気が続かず、ほぼ1発屋として扱われるようになってしまった。99年年明けには早々に解散を発表して解散してしまった。

ポストMr.Childrenとして期待されていたなどと言われているが90年代後半に出てきたV系の流れとは異なるポップロック系のバンドは割とすぐにポストミスチルとか言われがちで、そんな時代であったのでミスチルっぽいところがあったかどうかについては正直あまりそういった要素は見当たらない。ただし本人たちもその意識があったようで後期の頃にはC/Wで直接的には伏せているがポストミスチルと言われていた事に言及する歌詞が登場する曲もある。

途中までプロデュースを担当していた浦清英は当時ミスチルのサポートキーボードを担当していたという繋がりがあったため、余計言われやすいところはあったのかもしれない。また共同アレンジャーとして途中で今井裕を起用し、最終的にたどり着いたのが井上鑑という点においては同時期に活動していたBluem of Youthとも共通している。

現役時代シングル11枚、オリジナルアルバム3枚をリリースしたが、枚数の割に活動内容は非常に濃く、アルバム3作全て方向性が異なるなど90年代らしい変化の多いバンドでもあった。

またMVを見るとボーカル佐々木は毎回のようにさほどダンスミュージック的なサウンドでもないのにクネクネと猛烈に踊り狂っており、何故彼らがダンスミュージック色の強いエイベックスからデビューしたのかの答えの一端が伺える(?)。

解散発表から解散までがかなり急で、3rdアルバム発売直後のツアーがそのまま解散ライブとなった。一方で解散後のベストアルバム発売が解散から半年も経過してからだったり、何故か05年に唐突にもう1度ベスト盤を発売することになり、ジャケット撮影のためだけにメンバーが再集結、シングル『アネモネ』のジャケットと全く同じ構図で『COMPLETE BEST』のジャケットが撮影されたりと、解散後にもリリースやメンバーが集結する動きは少なからずあった。

佐々木收と渡邊崇尉は解散直後にSCRIPTを結成。休止や移籍を挟みながらも2010年代前半頃まで活動していた。SCRIPTはエイベックスではなかったが、佐々木は石田匠と組んでRicken’sというユニットでも一時活動しており、そちらはエイベックス所属であった。この縁もあって佐々木とエイベックスとの繋がりも続いていて主にエイベックスの所属ミュージシャンへの提供活動も行っていた。この頃にはササキオサム名義になっていて、ソロでもこの名義でライブを行っていたようだ。

大塚愛が主演した『東京フレンズ』で大塚愛の相手役だった瑛太が引き抜かれて加入したメジャーデビュー間近の人気バンド「フラワー・チャイルズ」はRicken’sが演じており、演技シーンはほとんどなかったがライブをしている姿が作中に登場する(ただしスキャンダルにより超失脚してメジャーデビューの話が立ち消えになって物語から消えるバンドという役どころであった)。個人的に解散以降10年ぶりくらいに久々に佐々木収が予想だにしない映画の作中で出てきて驚いたが、その顛末にもっと驚いた。

2013年にはMOON CHILD再結成を発表。この際はデビュー当時の3人となっていて秋山は不参加だった。ライブは盛況だったようで公式サイトも制作されていたことから当初は継続的な活動も視野にあったものと思われるが、直後に佐々木が原因不明のめまいにより活動休止を発表するなど体調がおもしわくない状態が続いたようで、気が付けば公式サイトも消滅してしまい、MOON CHILDの活動も無くなっていた。

すっかり忘れかけた2017年になって突如同じ1度解散を経て復活したエイベックスのバンド同士という共通点を持つDo As Infinityとの対バンが行われて再度復活。この際には秋山も参加して4人が揃ったという。以降は再び活動は無く、ソロ活動へ戻っていたが、2019年には2年ぶりに復活して再びDo As Infinityとの対バンが行われることが発表されている。

2018.10執筆



1st Brandnew Gear

Brandnew Gear
96年5月8日
作詞作曲:佐々木収、編曲:Moon Child・浦清英
VictoriaのCMソング。100位圏外とあまり話題にならなかったデビュー作。新たな夜明け、ここから始まるという希望を感じさせるポップナンバー。エレキギター主体のロックバンドというより、聞きやすくトータル性重視でポップにまとめ上げたオシャレなバンドといった装いで、新人とは思えない落ち着きも感じられる。2番の冒頭では歌詞中にバンド名も飛び出すなどデビュー曲にふさわしい名刺代わりの1曲でもあった。始まりにふさわしい曲ながらも解散時にはメンバーそれぞれの新たな始まりの意味も込められていて、ラストライブでも24曲目に披露されたという。

広がりのあるサビ部分も気持ちいいんだけど、最初と最後のチュルッチュッチュチュッチュッル♪の方がキャッチーでかなり印象に残る。

このチュルッチュパートは『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』のシークレットトラックにおけるライブ音源でより強調されており、オリジナルアレンジ部分の演奏が終わって以降もメンバー紹介しながら演奏を延長した後にこのまま終わりたくないとばかりに観客と合唱する形でチュルッチュパートをリフレインしているので、『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』を聞いた時に他の部分よりも先にチュルッチュッチュチュッチュッル♪の曲として最初に記憶された。

統一感のあるサウンドが展開する初期3シングルと1stアルバム期においてはデビュー曲である今作が1番印象的。
★★★★☆
1stアルバム『tambourine
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

2nd Over the rainbow

Over the rainbow
96年7月17日
作詞作曲:佐々木収、編曲:Moon Child・浦清英
「ESCAPE」でのブレイク前の初期4作で唯一トップ100にランクインしていたシングル。99位とギリギリにランクインしたがこの曲だけ売れたというより、当時の100位ボーダーは数千枚程度はあったと思われ、たまたまこの時のボーダーがちょっと低かったとかそんな感じだったのかもしれない。

虹を越えていくので明るい曲かと思いきやちょっと煮え切らない感じのところから希望を見出していくような1曲。曲冒頭では雨が降っていて、最後の最後で”涙が乾いてく 初めて笑えたよ”と悲しみを抜け出していくので、曲自体も暗くは無いが…そんなに明るくもない…と正直ちょいとどっちつかずなところがある。デビュー曲がパッとしない場合は2枚目以降が良くなっていくというパターンもあるけど、この場合はデビュー曲が良かったけど2枚目はまずまず…といった印象。
★★★☆☆
1stアルバム『tambourine
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

3rd Blue Suede Shooting Star

96年10月9日
作詞作曲:佐々木収、編曲:Moon Child・浦清英
今作でサポートだった秋山が正式に加入して4人組バンドとなった。1stアルバムまで展開していたトータルで聞きやすくも練りこまれたポップロックな方向性での最後のシングル。元々この曲のデモが評判になってレコード会社が争奪戦を繰り広げたとされている。

そんな業界的に衝撃の1曲を満を持しての3作目としてのリリース…だったようだが結果は伴わず。というかバンド自体アマチュア時代よりもっと成長していたと思われ、それゆえにシングルの中では特段インパクトの強い曲でもないような…。ただポップで聞きやすいので何度聞いても意外と飽きが来ないのはさすが。
★★★☆☆
1stアルバム『tambourine
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

4th 微熱

97年3月12日
作詞作曲:佐々木収、編曲:Moon Child・今井裕
1stアルバムを経て前3作よりもエレキギターを前に出してロックバンド色を打ち出し、確かなバンドサウンドを構築して新たな境地へ向かおうとした1曲。これまでに比べるとややダークさを感じるところもあるし、メロディーというよりサウンドそのものを堪能したい曲だ。

アルバムではalbum mix(ベストではALBUM version表記)としてミックスを変えている。どこがどう違うというより確かにドラムとか音の響きが違うものになっていて比較的分かりやすく変わっていると思う。何となくシングルの方がストイックな感じはする。
★★★☆☆
2ndアルバム『MY LITTLE RED BOOK』(album mix)
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』(ALBUM version)(2ndアルバムのalbum mixと同じ)
2ndベスト『COMPLETE BEST

5th ESCAPE

ESCAPE
97年5月28日
作詞作曲:佐々木収、編曲:Moon Child・今井裕
ドラマ『FiVE』主題歌。当時アイドル的人気を誇っていた若手女優(時期は前後するが全員歌手デビューもしている)のともさかりえ、鈴木紗理奈、篠原ともえ、遠藤久美子、知念里奈、榎本加奈子が出演したスリリングなサスペンスアクションドラマ。いや鈴木紗理奈とかめちゃイケ芸人やん…というイメージの人も多いかもしれないが当時はそんなでもなかっついでにチョイ役だが深田恭子が民放初出演したドラマでもあった。全員が物語開始時点で犯罪者として服役中で、唐渡亮が彼女たちを脱獄させ、彼の指揮下で組織と戦っていくというけっこうハードで当時の日テレ土曜9時らしいドラマだった。初回ではともさかりえだけ別行動で、鈴木紗理奈、篠原ともえ、遠藤久美子、知念里奈、榎本加奈子が一緒に行動していてともさかりえが加わっていくという流れだったがこれじゃFIVEじゃなくてSIXじゃん…と思っていると榎本加奈子がいきなり死亡退場してFIVEになった。土9的には「家なき子2」「聖龍伝説」にレギュラー出演済みで、他の面々よりも主演作もけっこうこなしていた榎本加奈子の退場はけっこう衝撃だったが、中盤過ぎからは組織との戦いが激化していき、1話につき1人死亡退場していくというダークな展開に。確か篠原ともえがいきなり狙撃されて一撃死、遠藤久美子は追い詰められて飛び降り自殺、鈴木紗理奈は囲まれて絶体絶命の中でダイナマイト体中に巻いて巻き添え爆死、次々と仲間を失う中で最終決戦に挑んだともさかりえは唐渡亮と共に敵と相討ち…そして1人生き残って刑務所に逆戻りとなった知念里奈の前に死んだ仲間たちが微笑みながら出現し、知念里奈もまた冥界へ旅立っていく…という強烈な全滅ENDだった。VHS化もされたがDVD化されておらず半ば幻と化しているあの頃の土9ドラマの1つ

そんなハードなドラマにサスペンスチックなアレンジが施されたこの曲は妙にハマっていた。さほど高視聴率ではなかったが、初登場7位といきなり初のトップ10入りを果たすと2週目は9位、そして3週目に突如1位になってチャート的にも大騒ぎとなった。実際は当時珍しすぎる隙間のような週で7.5万程度で1位になってしまったというラッキー週だった。前週1位のELTがこの週は3位に沈んだが翌週には初動並の数字に戻して1位に返り咲いていたりもするので本当にタイミングだった。しかしいずれにせよこのチャートアクションには単なる初登場1位よりも強烈なインパクトがあったのでヒットチャートにも爪痕を残した。

結果的には彼らの中でもかなり異色の曲調ではあったが、スリリングなカッコよさは唯一無二であり、そう簡単に繰り出せるような1曲では無く、やはり実力があるからこういう曲を柔軟に作れたんじゃないかと思う。ベスト盤のライナーによればドラマサイドの強力なリクエストを受けても何も動ぜずに受け流してイケイケでレコーディングされたと書かれている。L⇔Rの「KNOCKIN’ ON YOUR DOOR」なんかもドラマタイアップの依頼を受けながらもあまり迷うことなく勢いで完成された自信作だったようだけど、なんかそういう時ってあるのかもしれない。
★★★★☆
2ndアルバム『MY LITTLE RED BOOK
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

6th アネモネ

アネモネ
97年9月10日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD・浦清英
TBS「CDTV」OP、花王サクセスCMソング。「ESCAPE」ヒット後最初の1作だったが、全く方向性の異なるさわやかなポップチューン。歌われているのは夏の風景のようだが、曲のさわやかさが秋の始まりを感じさせる。締めのサンシャイン リップスティック キッス♪もキャッチー。キッス♪がファルセットなのがまたいい。ベスト盤のライナーにも多大なる賛否両論を呼ぶ、と書かれているのでメンバーはともかく、あまりに「ESCAPE」と同じバンドとは思えない爽やかな作風はやはりもう少し慎重に行くべきだったと会社側は思ってそうな感じもある。

実際13位とトップ10入りを逃してしまったが、そこそこの小ヒット程度のインパクトは残し、当時手に取らないながらも何となくリリースされたのと爽やかな印象だけは当時も残っていた。後追いで聞いたらかなり好きなタイプの曲調だったのでかなりハマった。

また前作時にバンドロゴが先に変更されていたが、今作よりバンド表記がMoon Childから全部大文字のMOON CHILDへ変更になった。2ndアルバムでは前作と前々作も大文字表記になっているが、ベスト盤ではいちいち編曲クレジットを前作まではMoon Child、今作以降をMOON CHILDとして明確に区別している。同時に変えた理由は“深い意味もなく”とも記載している。

そして05年の『COMPLETE BEST』ジャケット写真は今作とほとんど同じだが使い回しではなく、久々にメンバー全員再集結して今作のジャケット写真を同じ構図で再現したものとなる。初期は割とこれじゃ売れなかったわ…というようなもっさりとしたセンスのジャケ写が多かったが今作のジャケ写は確かに00年代になって再現してもなんだかカッコよかったし、バンドのイメージも何となくこんなイメージだった。
★★★★★
2ndアルバム『MY LITTLE RED BOOK
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

7th Hallelujah in the snow

Hallelujah in the snow
97年10月29日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD・浦清英
サッポロビール「冬物語」CMソング。用意していた2ndアルバムのラインナップに入っていなかったがCMサイドの強い要望で書き下ろしたという冬の大バラード。冬物語は91年の槇原敬之「冬がはじまるよ」の大ヒットを筆頭に95年にはカズン「冬のファンタジー」など、お茶の間に冬の到来と冬ソングをお届けする役割も果たしており、前作よりはタイアップ的にも気合の入った改めての勝負作的な意識がエイベックスにはあったと思われる。結果的には94年のDual Dream「Winter Kiss」くらいの感じ(トップ20ヒット)であった。

壮大な冬の愛の歌。少々長いが無駄なところは感じさせず、タイアップ先の要望にも真っ向で答えた正統派のウィンターソングにして大名曲。年末が近づくと毎年聞きたくなるし、聞くと冬が深まっていくなとかもうすぐ1年が終わるんだな…とか色々気持ちが年末モードへ向かっていく。さらっと書き下ろせてしまうのはこのバンドの只者ではない実力そのものであったと思う。ただいかんせん「ESCAPE」「アネモネ」そして今作と全部同じバンドとはあまり思えないくらい方向性が違いすぎた。インターネットを始めた頃に何故MOON CHILDはブレイクし損ねて解散してしまったのかみたいな個人のレビューサイトをを見た事があるんだけど、タイアップ先の要望に応え、実力がありすぎてなんでもできるゆえにきっちりこなすんだけど、あまりに振れ幅が広すぎて定着できなかったみたいな論考が書かれててなるほど確かに…と思った記憶がある高校1年生くらいの頃(00年頃)。

シングルでも6分越えの大作だがこれでも削っていたらしく、アルバムがフルバージョンのようになっているが、イントロやアウトロがシングルちょっと長い程度でそこまで長くなってもいない。
★★★★★
2ndアルバム『MY LITTLE RED BOOK』(album version)
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

8th requiem for the man of nomad

98年5月13日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD・明石昌夫
RED BOOK version編曲:MOON CHILD・浦清英

2ndアルバム『MY LITTLE RED BOOK』収録用に制作されていたが、見送られてしまい、年明けに新たに明石昌夫を招いてアレンジしなおしてシングルとしてリリースされた。一定の成功を収めた97年から年明けに全てがリセットされたというか同じところに留まる事をせずにアレンジャーも変えて更なる変化を求めた…ように思う。“風向きを変えようか”とか歌ってるし。ただ風向き不明というかなんだか混沌としていて分かりにくい曲だなぁと。明石昌夫とはこれっきりだったので試行錯誤に突入していたのかもしれない。かなり凝っていて聞き応えのあるサウンドではある。レクイエムというほど暗くなく、むしろ疾走感があるんだけど、あまりシングル曲っぽくなく、前2作と違ってこれに関しては更なる低迷もやむなしなところがあると思う。

『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』にはRED BOOK versionとして前述の元々2ndアルバム収録用に用意していた浦清英との共同アレンジによるバージョンが初収録となった。こちらは『MY LITTLE RED BOOK』用だけあって確かにあのアルバムに入っていそうな雰囲気。シングルバージョンでは暴れまわっていたピアノサウンドが無く、もっとストレートにブラスセクションを生かしているのでブラスの印象が強い。シングルにするに当たっては新たに明石昌夫を招いたくらいなので、さらにその先を目指したのかなといった感じ。
★★★☆☆
3rdアルバム『POP AND DECADENCE
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』(RED BOOK version)
2ndベスト『COMPLETE BEST

9th フリスビー

フリスビー
98年8月12日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD
TBS「CDTV」ED。98年になってからMOON CHILD見なくなったなぁ…と思っていたが(前作出たの知らなかった)、これはCDTVでかかっていたので把握していつの間にかすっかり売れなくなってきたんだなと思った記憶がある。確か当時の友人がこの機に乗じていい曲なんだよ!聞いてくれよ!何で売れねーんだよ!とか騒いでいた記憶もあるが、いかんせん「CDTV」のOPとかEDでほとんどBGMでまともに耳に入ってこなかったし、さすがに前年のヒット曲ほどのインパクトも感じなかったので結局スルーしてしまった。当然周囲みんな総スルー。今思うとスマン…。

試行錯誤の末に今作では共同アレンジャーを入れずにバンドのみでアレンジ。エレキシタールを全面導入したり、民族楽器を吹かずに掃除機で吸い上げた音をイントロに使用したりとかなり色々な音楽実験を繰り広げながらも、見事にポップチューンとしてまとめ上げていてあまり実験色を感じさせない。

一方で”同じ夜明け見つめてた””同じ夢を重ねてた”とかあの頃の過去の情景をサビ頭に持って来たり、どこか現状への迷い、そしてそこからまた新たな旅立ちを目指そうとしているかのようなデビュー時には無かった迷いのような感情が見え隠れする。1度売れて多忙な日々を過ごすもすっかり1発屋扱いとなってしまって至った境地のような視点だろうか。

解散理由を後に語った際に、佐々木収は作詞作曲を一手に手掛けていたため、地方へのツアーなんかでも自分は曲作りに追われる中でメンバーは遊びに行ってただとか自分だけに責任がのしかかって大変だったような事を語っていたそうなので、日々に追われていたのは確かだったようだ。また今作のC/W「極東少年哀歌」ではストレートに“ポスト★★★★★★★★★期待された早3年 1発屋でおわっちゃってんだ”などと自虐しまくりのぶっ飛んだ内容になっていて、当人たちも1発屋状態になっていたのをかなり気にしていたっぽい。なおポスト★★★★★★★★★は実際の歌唱でもエフェクトで隠されているが、彼らがポストミスチルと言われていたのは割と有名だし、エフェクトかかっているものの普通にミスターチルドレンと歌っているように聞こえる。

学生の頃聞いた時は初期や前作よりは好きだけど…くらいの印象だったけど、働くようになって学生時代が”あの頃”と呼ばれる年月を重ねてきたら刺さってくる1曲になっていった。
★★★★☆
3rdアルバム『POP AND DECADENCE
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

10th グロリア

98年11月26日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD・井上鑑
大正製薬「コーラック」CMソング。今作で共同アレンジャーに井上鑑を起用し、3rdアルバムはそのまま井上鑑と共に制作された。シングルの中ではかなりはじけたロックチューン。珍しくエレキギターがけっこう派手になっていたり、歌詞がなんかぶっ飛んでいたり、1番と2番でAメロのメロディーが違っていたり(しかも謎のウ~ラウララ~♪コーラスまで入る)と突如壊れたかのようなはじけっぷり。後追いで聞くと解散前の御乱心みたいな楽曲だが、しかしサビはけっこう爽快なポップロックチューンに仕上がっている。タイアップ先のコーラックって要するに便秘薬だけど、こんなはじけた曲がかかっていたのか…?そっちは記憶にないが…。しかしここでも歌詞にさりげなく“便秘ぎみのカタルシス”とかしっかり入れてくるあたり、今作に関しては完全に遊び心だとは思うけどしっかりタイアップに重ねてきててさすがだなぁと思う。
★★★★☆
3rdアルバム『POP AND DECADENCE
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

11th STAR TOURS

99年1月13日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD・井上鑑
解散発表直前の3rdアルバムへの先行シングル。最後にして最もメロウなポップチューン。FMラジオでは当時かなり好評でかかりまくっていたらしいが残念ながらCDセールスにはもう結びつく状態ではなかったようだ。個人的に1度売れて売れなくなったミュージシャンはその売れなくなってからにふいにとんでもない名曲を生み出す(が世間はもう1度見切っているのであまりヒットしない、良くてプチロングヒット程度)説、というのがあってその考えはやはり中高である90年代末期~00年代序盤にかけて形成された。この曲もその1つ。

ベスト盤で後追いしてぶったまげた曲の1つで、現在では最後にして最大の名曲だと思う。真冬の夜の光景を描いていて、白銀の闇にシュプールを描くのは流れ星なんだけど、ナイタースキーではそのままの意味で適用できるのでスキーヤー的にはナイターのゲレンデのイメージもある。”僕等はまだ夢果てる場所を知らない”というフレーズは彼らの新たな旅立ちを思わせる曲として最後のシングルにふさわしかったと思う。こういう曲を最後にされてしまうともっとたくさん聞きたかった。3rdアルバムのリード曲だったのにこの系統の曲が他に一切なくてマニアックな曲ばかりだっ
★★★★★
3rdアルバム『POP AND DECADENCE
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

GOLD

Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
99年9月15日
作詞作曲:佐々木収、編曲:MOON CHILD
解散から7ヵ月経過して発売されたベスト盤『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~』1曲目に収録された未発表曲。未発表曲は他に存在せず、これが唯一だとされている。3rdアルバムのレコーディング時に収録したとされているが、井上鑑は不参加。完成は98年3月6日、当日大雪だったため仮タイトルが「雪の日」で、「GOLD」になるまで10ヵ月とライナーに書いてある。3rdアルバムの発売は99年1月でこれが10ヶ月後に該当するものの、井上鑑を招いての「グロリア」が98年11月だったので、98年3月の制作時にはまだ井上鑑は関わっていなかったと思われ、そのまま井上鑑との共同アレンジを経ずに完成させたという事だと思う。そうなると3rdアルバムとは少し違って同じセルフアレンジである「フリスビー」の方が時期が近い気がするが…。

未発表曲になったくらいなのでそんなにパッとした曲では無いのかと思いきやこれまでのシングルとは違う、しかし確実にこれがシングルでもありだなと思えるくらいの名作。冒頭の”もう何も見えない もう何も聞こえない”のフレーズはMOON CHILDをやり切っての到達点にも思えるが、直後に字余り気味に歌詞が詰め込まれてまくしたてるように加速していき、まだまだ終わらないような勢いを感じる。ベスト盤の最後ではなく最初に収録されたのも納得の非常に勢いのある楽曲だ。
★★★★☆
1stベスト『Treasures of MOON CHILD~THE BEST OF MOON CHILD~
2ndベスト『COMPLETE BEST

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