WANDS シングル回顧+~2期 1995-1996~

95年以降のWANDSは急速にロック色を強めた。生音バンドサウンドへ移行し、オルナタ方面へ向かった結果、キャッチ―さは薄れ、ヒットからも遠ざかっていく事となった。
あまりに急速にやりたい方向に舵を切りすぎたゆえか、「WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~」の次のシングルとして用意された曲は(用意されたと言っているので提供だったっぽい)ポップ路線で、もう無理だと感じた上杉昇は脱退を決意。上杉のいないWANDSに興味がないとした柴崎浩もそれに追従して共に脱退して、他社でal.ni.coを結成。結局上杉と柴崎の間にも音楽性の隔たりがあったのか、al.ni.coは立て続けにシングル3枚、アルバム1枚をリリースして1stツアーを行うも1年以上の沈黙の末に解散してしまった。




9th Secret Night~It’s My Treat~

95年2月13日
Secret Night
久々のリリースで期待が高かったのか、実は今作が初動売上では最高を記録。
しかし路線変更の影響か一気にファンが離れて広がらなかったため、累計売上は大幅ダウンした。最後の1位獲得シングル。

Secret Night~It’s My Treat~

作曲:栗林誠一郎、編曲:池田大介
栗林誠一郎の『It’s My Treat』のカバー。『It’s My Treat』は英語詞の曲でこれに上杉が日本語詞をつけて改題したためクレジットにいつも「英作詞(“It’s My Treat”)栗林誠一郎」という表記が付属する。『at the BEING studio』では上杉が気に入った、『BEST OF BEST 1000』では長戸が気に入ったと、この曲をカバーした理由が異なっているが、上杉本人がインタビューでこの曲をやりたいと直談判したと語っているので上杉の意向というのが正しい模様。
上杉本人もやりたいことをようやく少しずつやれてきたと語っている通りに、これまでとは異なるダークさとロック色の強さが印象的。初めてベースとドラムも生音となり、完全な生のバンドサウンド編成になったが、結果的に後追いで聞いた場合の古さが一掃され今聞いてもカッコいい。なんだかんだサビのメロディーはキャッチ―だったりもするし、舵を切っていくきっかけの1曲としては抜群の選曲だったのでは。
PVが2種類ありどちらも『WANDS BEST LIVE&CLIPS』で初商品化となったが、流れ無視で唐突にラストに収録された方のPVはユル~い微笑みを浮かべながら仮装して歌う上杉昇という衝撃的な内容になっていてビックリした。
★★★☆☆
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS

Secret Night – It’s My Treat
WANDS
2002/08/25 ¥250

C/W KEEP ON DREAM

作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
シングルでは葉山たけしは最後の登場。バラード曲だがこれまでとは大きく雰囲気が異なり、かなりロック色が強い。『PIECE OF MY SOUL』路線のWANDSが好きなら確実に聞いて損は無い名ロックバラード。ここから本当にやりたい夢を叶えていこうという思いが反映されていたのかもしれない。まさに隠れた名曲。
★★★★☆
アルバム未収録

From 4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』

95年4月24日
PIECE OF MY SOUL
2015年に発売20周年記念で行った対談で全曲語っているのでそっちも見てね。

FLOWER

作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
生音ロックバンド化した4thアルバムの1曲目。一応先行シングルという1クッションはあったとはいえ、当時はかなり驚かれたんじゃないかというくらい音も違えば投げやり気味な上杉のボーカルスタイルも違う。ド頭から”PUNK ROCKを聞いてはMilkを飲む老婆”とは…。
ただ00~01年頃にWANDSを一気に集めて1st~3rdまでは割と早い段階で1度飽きてしまったのに対して今作以降は当時からあまり古さを感じずにどんどん好きになっていたこともあり、ここからが始まりという感じもしている。
★★★★★
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL

PIECE OF MY SOUL

作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
抑えたA,Bメロからサビでバンドサウンドが炸裂するヘビーなロックナンバー。向かい風に魂を削られながらも前進し続けるようなボロボロの歌詞が痛みを伴うが何故かとても魅かれる1曲。
★★★★★
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL

MILLION MILES AWAY

作曲:木村真也、編曲:葉山たけし、3期カバーバージョン編曲:WANDS
木村真也の初作曲作品。上杉・柴崎在籍時は唯一の作曲作品。痛みを伴う歌詞は共通しているが、1番は浮遊感が漂い、2番から本格的にバンドが入るアレンジはFIELD OF VIEWの「君がいたから」に共通するものがある。連呼される”粉々に砕けたガラスのようだ”はまさに当時の心境だったのか…。

3期でリーダーとなった木村真也の2期時代唯一の作曲作品だったせいなのか、『WANDS BEST』ではまさかの3期でカバーという離れ業をやった。
3期は当時ファンにバッシングされまくったが、火に油注いだのがこの曲のカバーだったと思われる。何せバージョン違い表記無しで収録され、再生してみれば声が変わっているという…。編曲がWANDS名義になったが、基本アレンジはほぼ同じで生演奏だったベースドラムを打ち込みに変えただけなので、もちろんよく聞けば違うんだけど、パッと聞きはボーカル差し替えただけにも聞こえるようなレベル…。しかもバックコーラスの声ってそのまま上杉の声使ってるような…。気のせいか…?しかるべきタイミングでカバーすればこれはこれでありだったとは思うんだけど、始動したばかりでこれはなぁ…。
★★★★★
3期カバー★★★☆☆
4thアルバム『PIECE OF MY SOUL
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(3期によるカバー)

10th Same Side

95年12月4日
Same Side
2期になってからは初の自作シングル。作曲だけに留まらず、編曲もWANDS名義となった。
同時に大幅な路線変更によりファン離れが加速、人気が急落した。

Same Side

作曲:上杉昇、柴崎浩、編曲:WANDS
アルバムで見せていたロックよりも更にサウンドは重くなり、完全にビーイング系と聞いて浮かべるかつてのイメージから逸脱したようなハードなロックナンバー。静かなアコースティックギターによる平メロから一転して激しい爆音サウンドが炸裂して物凄い迫力で迫りくるサビの迫力は圧巻。
当初『BEST OF WANDS HISTORY』で00年頃に聴いた時はウルセーだけで全く良さが分からなかったが、大学受験期が迫る鬱屈とした状況の中で徐々にこのヘビーさがクセになってきて気がついたらけっこう好きな1曲になった。
なおキーボードはほとんど聞こえないが、そんな薄い存在感にも関わらずシンセサイザーとしてDIMENSION小野塚晃がサポート参加している事になっており、木村氏の蚊帳の外感もけっこう半端ない。一応PVでは木村氏もたたきつけるようにキーボードを弾いているが…。

『WANDS BEST』ではミックス変更によりボーカルがより前に浮き出ているが、サビの爆音サウンドはぎゅっと固めて後方に押しやられたかのようになっていて違和感がすさまじい。この処置は「もっと強く~」でのギター消去と並ぶ悪行として捉えられて当時のファンの反感を買った。

上杉自身はこの曲が今の原点であるという考えを持っているようで後に自身が世に出たデビュー曲「寂しさは秋の色」と共にソロ名義でのカバーアルバムでもこの曲を取り上げている。そちらのバージョンも今作とは異なるがロックでカッコいい。
★★★★☆
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(リミックス)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS
上杉昇 カバーアルバム『SPOILS』(ソロでセルフカバー)

Same Side
WANDS
2002/08/25 ¥250

C/W Sleeping Fish

作曲:柴崎浩、編曲:WANDS
抑えめだが生音志向の強いロックナンバー。“ひかりと影はとても交われなかった”と歌うサビなどもうポップには回帰しないという宣言に受け取れる。ベースも柴崎が担当しているが…木村は…どこに…?
★★★☆☆
アルバム未収録

11th WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~/Blind To My Heart

96年2月26日
WORST CRIME
2期の結果的にラストシングル。7thと異なり、ジャケットの表裏だけでなく、背文字部分でも両A面扱い、公式サイトや公式のディスコグラフィーでも正式に両A面扱いされているWANDS唯一の両A面シングル。
とはいえベスト盤では「Blind To My Heart」はオールスルーされているのでシングル盤でしか聞けない。

WORST CRIME~About a rock star who was a swindler~

作編曲:柴崎浩
今回は柴崎が編曲まで単独で手がけている。激しくがなり立てつボーカルに加えて、サウンドもガンガンロックに鳴り響いているが、前作と違ってスピード感があるのとメロディーはそれなりにキャッチ―さもあってシングルA面っぽい強さもある。後のal.ni.coは反動が凄すぎたのかメロディーに良さが感じられなくなってしまい、その点が大きく異なるだけに、このままWANDSでもう少しバランスを取りながら好きな事を推し進めていってほしかったなとはどうしても思う。やはり『BEST OF WANDS HISTORY』を聞いた当初はうるさいだけで意味不明だったのだが、自己嫌悪と肯定を繰り返しながら進んでいく大学受験期になって急に良さに目覚めた。

『WANDS BEST』ではこの曲のみリミックスした事がライナーで明言されていないが、ミックス変更された曲は全て野村昌之が担当していてこの曲もバランスがどこか異なって聞こえるのでリミックスされていると思われる。
★★★★★
2ndベスト『WANDS BEST~HISTORICAL BEST ALBUM~』(リミックス)
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio
5thベスト『BEST OF BEST 1000 WANDS

Worst Crime – About a Rock Star Who Was a Swindler
WANDS
2002/08/25 ¥250

Blind To My Heart

作曲:上杉昇、編曲:柴崎浩
作曲を上杉が単独で担当したWANDSでは数少ない楽曲。これまた重たくヘビーなロックナンバーだが、なんだかんだサビメロは印象的。しかし歌詞のほうはかなり病んでいる様子でやりたい音楽とWANDSとの狭間で相当悩んでいたのだろうが投げやりな雰囲気が漂う。アルバム未収録なのが惜しい。
★★★★☆
アルバム未収録

未発表曲

現役時代から2期WANDSの未発表曲はベスト盤へ小出しに収録されてきた。

白く染まれ

作曲:川島だりあ、編曲:葉山たけし
収録された『SINGLES COLLECTION+6』には何故か1曲ごとにレコーディング年月が併記されており、今作は収録された曲の中で最も新しかった「世界が終るまでは…」のレコーディング94年3月より半年ほどの後の94年9月
そのままお蔵入りしていたようだが、『SINGLES COLLECTION+6』収録に当たって発売1ヶ月前の96年2月にミックスが行われている事が分かっている。ポップだった頃のWANDSがロックに傾倒していこうとしている時期にレコーディングされた曲を「WORST CRIME」リリース頃に発掘してミックスし直しているのでどっちの流れで聞いても過渡期を感じさせる不思議な立ち位置の楽曲だと思う。
基本的には『SINGLES COLLECTION+6』の中ではかなりエレキギターが効いていてロック、これまでとは明らかに変わってきている事を感じるが、しかし『PIECE OF MY SOUL』以降のWANDSにしてはそれ以前寄りで、恐らく収録候補にも入らなかったんじゃないかという質感。
「Secret Night」以降かなり急速に変化してしまった印象もあるが、こういう過渡期的な曲がもっとあっても面白かったかも。
★★★☆☆
1stベスト『SINGLES COLLECTION+6

白く染まれ
WANDS
1996/03/16 ¥250

太陽のため息

作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
特に制作時期は明言されていないが、作編曲、演奏陣やサウンドから『PIECE OF MY SOUL』頃でほぼ間違いないと思われる。WANDS解体時にしれっと発表された楽曲。『PIECE OF MY SOUL』頃を思わせるロックなサウンドだが、アルバム全体を覆っていたダークさは今作には無くどちらかというとカラッとさわやかで明るい。未発表曲の中でも屈指の名曲。
しかし歌詞はかなりとんでもない事になっていてWANDS脱退へ向かうやりたいことがやれない、全て投げ捨てても自由になりたい心情を綴ったとしか思えないような独白に…。一応ラブソングの形を取っているんだけど、“僕はプロデュースされているよ”など詩的というよりはもうほぼそのまんま直球みたいなフレーズまで飛び出す。最後にこれを出してくる会社も凄い…。
★★★★★
3rdベスト『BEST OF WANDS HISTORY

太陽のため息
WANDS
2000/04/26 ¥250

君が欲しくてたまらない~WANDS Version~

作曲:織田哲郎、編曲:葉山たけし
93年のZYYGのデビュー曲で歌詞提供していた曲のセルフカバー。同時期のDEEN「このまま君だけを奪い去りたい」とほぼ同じ経緯と思われ、CMタイアップが来ていて複数のボーカリストが歌ったところZYYGボーカルになった高山に白羽の矢が立った…という事だったと思われる。
タイミング的に3rdアルバム『Little Bit…』収録候補だったという。何故外してしまったのか。MANISHへの歌詞提供曲である「声にならないほどに愛しい」を先にC/Wに収録しておきながら『Little Bit…』にも収録したのも意味不明じゃないか…。
ZYYG高山のボーカルがダイナミックながらこもった感じがあるのに対して上杉ボーカルは圧倒的に高く突き抜けていく感じでより爽快さが感じられる。アレンジも変に地味にしたりせずに直球なので、普通にこのWANDSバージョンの方がいいなと思った。
★★★★☆
4thベスト『complete of WANDS at the BEING studio

君が欲しくてたまらない (WANDS Version)
WANDS
2002/08/25 ¥250

ささやかな愛情

作曲:柴崎浩、編曲:葉山たけし
もうないと思ったらまだあった未完成デモ音源。1コーラス+間奏(ギターソロあり)+サビという2番が無い構成ながらしっかり生のバンドサウンドで収録されている。『PIECE OF MY SOUL』へ向かっていく時期とされているが、作風が違う事からそのままお蔵入りしていた。正統派のロックバラード。しかるべきタイミングで完成してリリースされていたらそれなりの人気バラードになっていたんじゃないだろうか。
★★★★☆
コンピ盤『vocal compilation 90’s hits vol.1~male~ at the BEING studio

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