ZYYG シングル回顧~1993-1997~

93年に高山征輝(Voacl)、ソロシンガー、作曲者として活動していた栗林誠一郎(Bass,Keyboards)の2人組ユニットとしてデビュー。4thシングルで後藤康二(Guitar)藤本健一(Drums)が加入して4人組バンド編成となり、1stアルバムをリリースするも栗林が脱退。メインライターだった栗林の脱退により1年近くリリースが止まったが、加藤直樹(Bass)が加入し、高山がメインライターとなり活動を再開。最終的に10枚のシングル、アルバム3枚をリリースするも3rdアルバムをリリースした97年に活動が停止し、99年に解散が発表された。

06年2月には当時のGIZA studio御用達の大阪のhillsパン工場の地下にあるライブハウスでの一夜限りの復活ライブにして正式なラストライブが開催されたという。

ボーカルの高山はBON-BON BLANCOに1曲提供した程度でその行方はほぼ不明だったが、現役当時はメインではなかったが作曲も手掛ける事があったギターの後藤康二は作家として覚醒。当初はビーイングGIZA内部での提供にとどまっていたが、大島こうすけ、小澤正澄らと同様に外部への提供を開始してからは作編曲家として活躍しているので現在では後藤康二の名前が最も現役作家として知られていると思う。後藤康二はついに2013年には乃木坂46「ガールズルール」(作曲・編曲を単独で担当)で自身初の1位、最大ヒット記録を更新している。

ZYYGは既にビーイング主力作家でZARDへの提供でもお馴染みの栗林誠一郎がメンバーにいたので、当初から自作だった。しかしヒットした2シングルはともに織田哲郎の作曲だった。3度のトップ10入りは果たしているが、最終的に100位圏外に陥っていてあまり固定人気もつかめなかった。ビーイングのブームの中で生まれ、ブームと共に消えてしまったバンドの1つといえる。

しかしアニメ「SLAM DUNK」2代目OPを手掛けていた事もあって、スラムダンク世代にとっては聞いてみるきっかけが非常に大きなバンドである。実際そこから聞いてみたが、思っていた以上に自分たちのサウンドを確立し、鳴らしていたバンドだったんだなというのが最初の印象だった。

2012年頃に公開していたものを2017.9全面修正



1st 君が欲しくてたまらない

君が欲しくてたまらない
93年5月19日
作詞:上杉昇、作曲:織田哲郎、編曲:栗林誠一郎
赤井英和が出演していたサントリービール「ダイナミック」CMタイアップ。いきなり3位70万越えのダントツ最大ヒットを記録した。当時の記憶は無いし、90年代後半以降に過去のヒット曲を漁った際にもあまり耳に入ってこなかった。当時のチャートでは既にデビューしたてのDEENやらTUBE、B’z、T-BOLAN、ZARD、WANDSなどが上位を占めまくっていて最上位クラスはミリオンヒットだったので、70万枚でも埋もれてしまうくらいだったためと思われる。
2ヶ月前のDEEN「このまま君だけを奪い去りたい」と同じく、作詞はWANDSの上杉昇。この時期に限って歌詞提供をしていた上杉だが、DEENのケースが「試しに歌ってみたところ」で決まったというのと同じパターンで、この場合もデモの段階で色んなボーカリストが歌っている中でサントリーサイドに選ばれたのが高山ボーカルVer.だった…という経緯らしい。織田が作曲していて栗林が編曲するというのは珍しい。ポップだがロック寄りのダイナミックなサウンドになっていて、キラキラ感は当時の他のビーイング勢に比べるとやや薄め。キャッチーなサビから始まる楽曲もテンポ良く最後まで聞かせてけっこう耳に残る曲である。上杉ボーカルのWANDSバージョンは02年にat the BEING studioで初公開され、そちらは高く通る声がかっこいいのですっきり聞ける。対して高山のボーカルはけっこうこもっている。しかしそれが逆に曲をダイナミックな雰囲気にしている印象もあるので文字通りに「ダイナミック」という名称のビールにはピッタリだったのだろう。
★★★★☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

2nd 風にまぶしい

風にまぶしい
93年11月10日
作詞:高山征輝、作編曲:栗林誠一郎
ビクトリアCMソング。今作もトップ10入り(6位)した。最初から高山の声を生かしてロックでいくと決めていたのか、まだメンバーが確定していなかったにも関わらずけっこうギターが効いててこの当時のWANDSやB’zと比較してもけっこうロック。それでもZYYGのシングルの中では最もビーイングっぽく、最もさわやか風味。サビではかなりキャッチーなメロディーを聞かせるのでいかにもヒット曲っぽい煌めきがある。歌詞にしても後の高山らしいアウトローな姿勢よりも、良くも悪くもたぶん相当指導が入ったんだろうなと思えるようなテンプレ的なキラキラしたラブソングになっている。
★★★★☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

3rd 壊したい現実

壊したい現実
94年3月4日
作詞:高山征輝、作曲編曲:栗林誠一郎
前作をよりロック方面に延長したかのような曲。勢い良く進んでいくので3分程度で終了する。印象としては前作にあった煌びやかさをごっそり抜いたような感じ。歌詞も全体的にもがいている感じだが、最終的に高山の歌詞はアウトロー宣言のような世界に突入していく(3rdアルバム『SWEET PUNK』)のでだいぶ自分の色を出してきていたのかもしれないし、本当にやりたいのはもっとロックな方向性なんだという思いが強く出ていたのかも。
★★★☆☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

4th NO RETURN LOVE

NO RETURN LOVE
94年4月23日
作詞:高山征輝、作曲編曲:栗林誠一郎
2ヶ月連続リリース。後藤康二(Guitar)、藤本健一(Drums)が加入。正式に4人組バンドとなった。アップテンポで一直線な曲が3連発続いたので1stアルバムを前にして違う一面もあるんだよ的なポップな1曲。サウンドはけっこうロックなので中途半端にポップな雰囲気があまり合っていない感じもするし、メロディーも突き抜けきらないので印象はちょっと薄い。2番サビ最後でそんな煮え切らなさに耐えかねたかのように突然「My Angel」という歌詞を叫ぶのは一瞬失敗テイクかと思うほど唐突でビックリする。
★★★☆☆
1stアルバム『GO-WILD
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG



5th ぜったいに誰も

ぜったいに誰も
95年6月26日
作詞:高山征輝、作曲:織田哲郎、編曲:ZYYG
栗林脱退で1年以上のブランクを経て加藤直樹(Bass)が加入して2期ZYYG始動の1曲。3度目のトップ10入り(3位)となり、30万近くのヒットになった。アニメ『SLUM DUNK』2期OP。主人公の桜木花道が海南戦敗北の責任を取って坊主にして以降に起用された。ヒロインの晴子さん目当てでバスケを始めたようにさわやかスポーツアニメ風だったBAADの「君が好きだと叫びたい」とは対照的にストイックにバスケに打ち込む硬派なスポーツアニメっぽくなったが、楽曲自体もよりロックバンドらしい逞しさを増している。かなり強い決意を感じる曲で絶対に全国に行くぞ!!というムードになっていた当時のアニメの展開とも合っていた。アニメを見ていたので当時からなじみのあった唯一の楽曲。「君が好きだと叫びたい」より10話ほど使用回数が少ないとはいえ、結果的にはほぼアニメ全話数の折り返し付近で交代になった形だったが、この曲になってからも予告時のBGMが「君が好きだと叫びたい」のメロディー(歌なし)のままだったりしたので、ほぼ半分使われていた割にはそこまで使われていた気がしなかったりもする。

デビュー曲以来の織田哲郎作曲での仕切り直しとなったが、知名度以外に2期ZYYGとして極端に浮いた作風ではなく、編曲がバンド名義になっているだけあってこの後目指していった方向性とそんなに離れていない楽曲になったと思う。
★★★★★
2ndアルバム『Noisy Beat
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG

6th JULIA

JULIA
95年11月13日
作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
高山がメインライターとなってから初の完全自作によるシングルで、2ndアルバムでも1曲目を飾った。このため新生ZYYGの再デビュー作のようにも感じられる。サビはけっこうキャッチーなメロディーだが、全体的にビートロックとでもいうのか硬いバンドサウンドが炸裂していてこれまで以上にロック色も強い。というかここからが本番だ!といった趣き。個人的にはBOOWYってこういうサウンドだと思ってて学生の頃に5,6年遅れで98年発売の『This BOOWY』を聞いたらいきなりパーララパーララと装飾音が鳴り響いて文字通りにズッコケた…という記憶が凄く強く残った。その後この曲を聞いたのでこれだよ!これ!という感覚があった。

久々のヒットの後の完全に自立しての1曲としては申し分ない会心の1曲だったと思うが、チャートでは35位と大幅に後退してしまい、最後のトップ50入りとなってしまった。
★★★★☆
2ndアルバム『Noisy Beat
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG



7th GYPSY DOLL/BLOOD ON BLOOD/微笑みだけをくれないか

ジプシー・ドール/ブラッド・オン・ブラッド
96年7月22日
唯一マキシシングルで発売された3曲入りシングル。帯や背文字では「GYPSY DOLL/BLOOD ON BLOOD/微笑みだけをくれないか」3曲A面のように表記されていた。このシングルに関しては現在のビーイング公式でもきちんと3曲A面扱いされているほか、シングルで唯一Musingへの購入リンクが生きていて公式に新品を購入可能だったりもする。

実質的なメイン扱いである「GYPSY DOLL」さえも2ndアルバムの路線を引きずった曲で3rdアルバムには合わないと判断されたようで3曲ともオリジナルアルバム未収録となった。

GYPSY DOLL

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
シングル1曲目の中で歌詞に恋愛が全く出てこない1番硬派な作品。いきなりサビから入るが、Aメロなどと比べるとこのサビが少々インパクトが薄いような感じもする。地を這うように突き進んでいくロックサウンドは相変わらずかなりかっこいい。

『BEST OF BEST 1000 ZYYG』リリース時には今作のみアルバム収録を果たした。実に11年越しのアルバム初収録だった。
★★★☆☆
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』

BLOOD ON BLOOD

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
ロック寄りだがある程度キャッチーさも出そうとして結果的に少し過渡期のように感じられるナンバー。意外とありそうでなかったノリのような感じも。己の道を突き進んでいこうとする歌詞の方がむしろ確固たる自身の色を打ち出してきている印象。
★★★☆☆
アルバム未収録

微笑みだけをくれないか

作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
バラードに近いミディアムロック。3曲の中で唯一のラブソング。サビに至っても全くサビと分からないほど地味なメロディーが延々展開していくので何度聞いても「ゆったりした曲」としか記憶できない。ちょっとこれは地味すぎる…。
★★☆☆☆
アルバム未収録

8th Something

Something
96年11月18日
作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
やりたい方向性を貫きながらも多分にシングルらしさを意識したのか、わりかしキャッチーでもある1曲。ラブソングの体裁は取っているが、全体的に社会への不満や自分自身の生き方をどうあるべきか的な要素は当初からあり、その辺りの色が一気に濃くなるのが3rdアルバムだった。ビーイングというイメージで聞けば予想以上にガツンとはしているが3rdアルバムの中においてはこの曲はまだかわいい方かもしれない。
★★★☆☆
3rdアルバム『SWEET PUNKS
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』

9th LULLABY

LULLABY
97年3月5日
作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
珍しくアコースティックギターから入るがほどなく激しいロックサウンドへ。一直線に硬派なイメージの強いZYYGのシングルの中では唯一切なさも感じる曲だ。強い決意を感じる曲が多い中で、過去の別れを想起しつつ、それを封じ込めて明日へ向かおうとするような歌詞の内容だからだろうか。後期屈指の名曲
★★★★★
3rdアルバム『SWEET PUNKS
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』

10th この情熱のそばで

この情熱のそばで
97年5月21日
作詞作曲:高山征輝、編曲:ZYYG
ついに今作で100位圏外、続く3rdアルバムも100位圏外となり、非常に分かりやすくこれが決定打となったか、結果的に最後のシングルとなった。3rdアルバムでもラストを飾ったため、ZYYGの最終曲という印象が強い。これまでのアップテンポなシングルとは少し違ってミディアムテンポ。さらに終始アコギの音色も聞こえているなど、少々落ち着きのあるやや毛色の違う曲。アルバムの中ではラストに置くしかない感じではあったが、今後のZYYGの可能性も見える曲だけにこれで終わってしまったのは惜しい。

ただ3rdアルバムの世界観はさらに濃いので、シングルだけではZYYGの本質は見えないような気もする。キャッチーさは薄いが、オリジナルアルバムを聞くとやりたい放題のアルバム曲とシングル曲のバランスが良く、ZYYGの良さがよりよく分かる。
★★★★☆
3rdアルバム『SWEET PUNKS
ベスト『BEST OF BEST 1000 ZYYG』



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