松浦亜弥 10周年シングルレビュー

ハロプロから飛び出したスーパーアイドル松浦亜弥。アルバムを2作連続で30万枚売るなど、シングル>アルバムだったハロプロ勢で唯一アルバムで2,3倍近く売るという快挙を達成するなど順調だった。2ndアルバムは当時のモーニング娘。の2倍売れた。ただ一気に大ブレイクした感があるが実は大きなヒットが無く、残ったのは「ズバッと」だけとなってしまい、バラードを連発した結果ファンは激減。早い時期につんく離れを実現できたのは良かったものの、シンガー路線への転向はあまりにも柔軟性が無く、個人的にはもったいなかった。作詞に一切手を出さず、あくまでシンガーに徹しているのもこだわりなのか謎である(1度安倍なつみが自身のエッセイ等で自作ポエムとして発表していたものがモロパクリだったのが発覚して以降、事務所全体が神経質になって自作させなかった可能性もある)。歌唱力が意外と高かったりもするんだけどこれも「ズバッと」のせいでまともに聞いてもらえない。歌謡曲系のカバー等にもけっこう参加したり、実力派が揃ったとされるコーラスジャパンに参加しても1人だけなんで?と言われてしまうのは「ズバッと」の怨念であると同時にシンガー路線への転向が全くうまくいっていないことの証明だろう。気がつけば10年経過しており、それを記念して歴代シングルを振り返ってみるが、とにかくアルバム未収録で放置されたままのシングルが多いのも特徴である。

1st ドッキドキ!LOVEメール
ドッキドキ!LOVEメール 01年4月11日
デビュー曲ながら初登場10位を記録したモーニング娘。以外での初のハロプロ成功例。この頃良く聞いていたニッポン放送の春キャンペーンソングとしてラジオで聞いたのが最初だったと思う。前年くらいからプレデビューはしていたのでハロプロファンの中でも知ってる人は知っていたらしいが事前情報は全くなし。ただ曲の印象付けのための怒涛のCM大量投下が実施され、これもあって耳に残り、これは名曲だろうと購入。この当時はZONEもデビュー作から購入したりと、今までとは違ってブレイクしてからファンになるのではなく新人を1stから応援しようという心変わりがあった。そんなわけでこの少し前のZONE『GOOD DAYS』とこの曲は買うに至る経緯がほとんど同じであり(ラジオで偶然聞く→曲に惚れる)、その経緯が俺にしては特殊だったので思い出深い。正直この頃の松浦に対しては格別にかわいいとは思わなかった。ドアップのジャケ写にしても、むしろちょっと面白い顔だなって感じだったしもう本当にこの曲そのものにアレンジ含めて最高にはまった。そんなわけでもう個人的にはこれが最大にして最高傑作。つんくはさほど名作家とは思わず、本当にメロのいい残る曲は量産体制の中でも数少ないと思うんだけどこの曲はつんくが作ったアイドルポップの中でも最高の出来だ。今でもそれは揺るがない。『Naked Songs』ではスタジオライブ形式の生音リメイクが施されている。そちらもオシャレで出来はいいが、シングルバージョンの方が完成度は高いと思う。
★★★★★
1stアルバム『ファーストKISS』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
1stカバーアルバム『Naked Songs』(リメイク)


2nd トロピカ〜ル恋して〜る
トロピカ〜ル恋して〜る 01年6月13日
少し前のZONEの2nd『大爆発No.1』と共にこれが1曲目だったらはまってなかったな…的1曲。どちらにも共通してるんだけど2曲目にして前作よりはじけてるんだけど個人的にはじけすぎてて許容範囲を越えてる感じ?それでもメロディーの良さはなかなかである。彼氏に南の島への2人旅を誘われて、両親にどう説明しようかと戸惑いながらも浮かれちゃってる女の子の心を歌った曲で戸惑いを表現した台詞まで登場するのだが(会話風にするためにつんくが彼氏役をやってレコーディングしたという話も!)、設定が何とも珍妙。両親に説明が必要なくらいな上に、この浮かれようだと大学生以上にしては幼いので高校生以下、当時の松浦(中学3年)より少し上程度だと思われるが、どっちかつーと妄想に近いような舞台設定で現実感皆無。とにかくトロピカルな雰囲気で支配されている。PVの方ではそれとは全く関係なく、松浦VS松浦でテニス対決してて、審判も松浦、それをテレビで観戦してるのも松浦という徹底的な「松浦しかいない絶対世界」。さらにブックレット内ではちょっと胸元など見せてみたりして、コアなファン層を喜ばせることも忘れない。初期松浦の売り出し戦略は色んな意味で絶対的だった。スキが無い。『Naked Songs』ではスタジオライブ形式の生音リメイクが施されているが、さすがにこの曲の本来の勢いを生音に差し替えると勢いは半減。いくらオシャレにまとめても似合ってなくてなんだかしっくり来なかった。
★★★★☆
1stアルバム『ファーストKISS』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
1stカバーアルバム『Naked Songs』(リメイク)


3rd LOVE涙色
LOVE 涙色 01年9月5日
初登場3位を記録して17万枚を売上げた結果的に2番ヒット曲。初回特典はイベント参加券。抽選なしで、参加券を持って会場であるよみうりランドに行けば誰でも参加できた。友人のウヤウヤ氏も行きたいというのだが、買いに行く時間が無いとかで俺が買うはめになりCD2枚買いを初めてやったのも思い出深い。よみうりランドでのイベントは台風接近の不安定な天候の中で行われながらも、バックの草むらまでいっぱいになる5000人を越える人々が集結。規模的に限界ラインに達してしまった購入者全員参加イベントは以降は当然無くなってしまった(この当時は売れる前にイベントでファンを増やし、増えるとイベントをやらなくなる戦略で、イベント抽選券が生命線である現在とは違う)。

このイベントが未だ伝説と化しているのはいわゆる「松浦最強晴れ女伝説」なるものだが、その場にいた誰もが驚いた。司会が喋っている時や松浦が準備で引っ込んでいる時は豪雨。松浦が出てくるたびに雨が止むのだ。1度だけではない。2度3度と同じ事が続いた。これはデマではない。俺自身が実際にそれを目の当たりにした。松浦ファン熱、最高潮の瞬間がこの時だった。曲の方は実は歌詞があんまり好きではないのだがアレンジがいいので名曲とまではいかないけどまあまあ好き。『Naked Songs』ではスタジオライブ形式の生音リメイクが施されており、原曲のフレーズは生かしたままオシャレな感じになっている。C/W『○○-女子高生の主張-』は何とロックバンド風の1曲。全盛期でさえつまらないR&B調に走るのがほとんどでロクな曲のないC/Wにおいて異色の気合入った1曲。あとイベントで未だに覚えてるのは座席のあるブロック最後尾(俺らは草むら最前列にて通路隔てて座席ブロック)にいるハゲた小太りのおっちゃんが、発売間もないこの新曲の振り付けを誰よりも完璧にノリノリにこなしていたのが衝撃過ぎて忘れられない。この当時はいわゆる熱狂ファンだけでなくライトなファンもけっこう多く来ていたので振り付けなんて知らないからとりあえず手拍子してる人も多かった。それだけにおっさんの姿は余計目立っていた。
★★★★☆
1stアルバム『ファーストKISS』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
10周年ベスト『松浦亜弥
10TH ANNIVERSARY BEST』
1stカバーアルバム『Naked Songs』(リメイク)


4th 100回のKISS
100回のKISS 01年11月28日
CDデビュー数ヶ月前のハロプロライブで歌われた最初の1曲。当時は2番が無かったらしいが、今回新たに作り直したらしい。地味なバラード曲で、これがデビュー曲だったらさほど売れなかっただろうなという気はする。実際初めてライブで披露された時のハロプロファンはほぼスルー状態だったみたいだし。普通のラブソングではあるのだがサビ以外、特に2番に関しては親元を離れて上京してきて頑張っていた当時の松浦にとってはかなり共感するものがあったらしく、当時のインタビューではサビには触れずに2番のAメロについての共感をけっこう語っている。地味ではあったが運良く最高位更新の2位にランクイン。以降まさかの連続2位記録がスタートした。ビジュアル的にはここで茶髪になって一気に垢抜けてきた。
★★★☆☆
1stアルバム『ファーストKISS』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
10周年ベスト『松浦亜弥
10TH ANNIVERSARY BEST』


5th 桃色片想い
桃色片想い 02年2月6日
元旦リリースの1stアルバムは浜崎あゆみに負けて2位となったものの、ハロプロの中でも異例のシングルを大きく越える30万ヒットを記録。わずか1ヶ月でリリースされた今作も唯一の20万を越える最大ヒット作。ベスト盤の投票順位は発表されなかったがこの曲だけは1位だったと明らかになっている。シャンプーのCMソングだったのだが、ほとんどシャンプーはおまけ状態。特にシャンプーに関係のないこの曲を歌う松浦のPVのようなCMが大量OAされたアイドル全開ソング。まさに全盛という感じで、間奏では飯田圭織が名づけて定着しつつあった愛称「あやや」を登場させ、「あ〜やあやややっやっやや♪」などとコーラスまで入る絶好調ぶり。ちょっと10年経ったら恥ずかしくて歌えない気もするが…。とりあえず大ヒットしたので嬉しかったが、初期のファン達はこの辺りからちょっと違和感を覚え始めていた。俺もその中の1人で何が違うっていうとうまく言えないし、この曲も耳には残るのでいいんだけど…。個人的には桃色に染まったこの世界は濃すぎてちょっとついていけなくなってきた。ただいろんな意味で最高に輝いていたオーラが出ていたのはこの曲であり、アイドル松浦亜弥のピークもここだったと思う。それにしてもこのジャケ写はちょっとアダルトビデオみた
★★★☆☆
2ndアルバム『T・W・O』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
10周年ベスト『松浦亜弥
10TH ANNIVERSARY BEST』


6th Yeah!めっちゃホリディ
Yeah! めっちゃホリディ 02年5月29日
前作が最高売上を記録して絶好調の中でリリースされた作品。勢いも直球のアイドルポップで「ズバッと♪」などの振り付けがウケて松浦モノマネの定番ソングとなった。まず翌年のドラマ『ムコ殿2003』でTOKIO長瀬が劇中で超ハイテンションで「ズバッと!」を岸本加世子と共に連発(つんくが社長役だったためと思われる)。これ自体はドラマのうるさいだけ度合いに拍車をかけただけだったが、その後は芸人の前田健がモノマネを披露して一時ブレイク。だがこれは松浦本人が嫌っており、次に出てきたはるな愛のモノマネに完全にとって変わられた。このせいで全盛期でも特に大きなヒットは残せなかった松浦にとっては唯一の代表曲として扱われるようになった曲だが実は売上は前作の半分、『LOVE涙色』にも及んでいない。ただこれ以降さらに売れなくなったので3番売上。人気絶頂を迎えたはずだったが、実は初期ファンはこの辺りで続々とエスケープを開始。この年のうちに初期からあったファンサイトは続々閉鎖。その理由の大半がかつてほどの情熱を失ったというものだった。初期ファンだった俺も2作続いた微妙な感じにこの曲も惰性で購入したものの、もう買うほどではないとしてレンタルへの格下げを考えた。現在うちに置いてあるこのシングルはほとんど開けなかったせいか、新品同様に綺麗である。曲自体、別に悪くはないと思う。覚えやすいし、明るいし、これ以降のつんくの楽曲に比べればかなりマシだ。でも当時は何かがもう違っていた。現在はもはや怨念の如く、いつまでも松浦のイメージにつきまとい続けるし、正直あまり好きな曲ではない。
★★★☆☆
2ndアルバム『T・W・O』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
10周年ベスト『松浦亜弥
10TH ANNIVERSARY BEST』
3rdアルバム『×3』(HIGH TUNED mix)


7th The 美学
The美学 02年9月19日
前作に近い売上を記録し、人気絶頂期は続いているかに見えたがファンには恐ろしく不評だった1曲。わりと何でも受け入れていた当時のファンの間でも初めて賛否両論なんてものが出てファンサイト掲示板で色々言われていた記憶がある。この影響でファンサイト閉鎖もさらに加速した。最大手だったサイトや俺がよく見ていたところも全て消えてしまった。実際人気がないのは確かなようでベスト盤収録を決める人気投票では収録漏れとなっている。何が悪いというわけではないのだが単純にメロディー、アレンジが微妙。あまりに微妙すぎたのでなかなか切捨てが出来ない俺でさえ心置きなくレンタルに格下げできた。PVでも松浦しかいない絶対世界が崩壊し、ダンサーや演奏者が出演するようになった。それとは関係なしにPVにおける無敵のオーラや完成度もガタ落ちした。C/W『I Know』はつまらないエセR&Bやあからさまな手抜き駄曲が乱立するC/Wにおいて、実に珍しく気合の入ったポップな楽曲でファンの人気はこちらの方が高い。ベスト盤でもこの曲は選出され、『Naked Songs』ではリメイクもされるなど待遇は完全に逆転している。これは確かに1stアルバムに収録されていた楽曲群のようにレベルの高い1曲だった。
★★☆☆☆
2ndアルバム『T・W・O』


8th 草原の人
草原の人 (限定盤) 草原の人 02年12月11日
美空ひばり(名義は本名の加藤和枝)が生前遺していた歌詞につんくがメロディーをつけたポップス。穏やかな曲調だが、曲をつける前提の歌詞というより単なるポエムみたいな内容だったので、サビは歌詞を繰り返したり、間はそのまま台詞にしたりと苦心した跡がうかがえる。これまでにない落ち着いた曲調で、しかもつんくが走りがちなエセR&Bっぽいという点では珍しい曲。文字通りにさわやかに吹き抜けていく草原の風を感じさせるメロディーはなかなかいいのだが、ハイテンションな曲を連発していた中ではいかんせん地味すぎて、時期的には少々早すぎた感がある。ひばりの曲が蘇る!というかなりの前評判の割にはパッとしなかったのはやはりそういうことだろう。今作から初回盤と通常盤が出ているが、DVD付ではなくパッケージが豪華とか特殊とかそんな程度なのが延々続いている。
★★★☆☆
2ndアルバム『T・W・O』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』(TSUNKU♂ Mix)


9th ね〜え?
ね〜え? (初回生産限定盤) ね〜え? (通常盤) 03年3月12日
2年連続となったシャンプーの本人出演CMソング。途中でボワ〜ンとズッコケたり、ちょこまかしたかわいいアレンジは小西康陽が担当している。基本的には「桃色片思い」のノリを継承した曲。派手派手なアイドルソングだが、実際勢いはすさまじくまさに会心の一撃。サビの1度聞いたら離れない具合も後のつんくからは感じられない出来である。個人的に「桃色」よりも好き。売上も回復したが世間が何となく記憶していたのはこの曲までだったような気がする。このハイテンションを維持するのは相当しんどかったと思うし、当時は松浦本人も嬉々としてあややを演じている感もあったのだが、後に苦痛を週刊誌上で語るなどしている。
★★★★☆
3rdアルバム『×3』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』


10th GOOD BYE 夏男
GOOD BYE 夏男(初回) GOOD BYE 夏男 03年6月4日
超絶なハイテンポのギラギラダンスナンバー。とにかく早い。当時中学の同窓会で女の子がこの曲を歌ったのが意外だった。当時もう人気のピークは越えてきていたので、あ、聞いてたんだ、みたいな。インパクトは絶大で耳には残るんだけど、案外それくらいしかないみたいな印象があり、あまり何度も聞いた記憶がない。ただカラオケで歌った女の子はかなり声を張り上げてギリギリで歌っていたので、この曲案外難易度高いんだなと感じたのを覚えている。
★★★☆☆
3rdアルバム『×3』
ベスト『松浦亜弥ベスト1』


11th THE LAST NIGHT
THE LAST NIGHT (初回生産限定盤) THE LAST NIGHT 03年9月26日
「The 美学」以上にファンに不人気と思われる曲でベスト盤にはじかれた初の本格バラード。切ない失恋の世界観を表現するために大げさなストリングスまで導入。本格バラードと銘打ったはいいが、メロディーが完全に演歌の領域に足を踏み入れており、かなりだるい。シングル史上最も退屈で聞きどころのない1曲である。はっきり言って大げさすぎた。感情をこめまくって歌っているのでボーカリストとしての表現力は改めて分かるけど、それ以前にやっぱり退屈。
★☆☆☆☆
3rdアルバム『×3』


12th 奇跡の香りダンス。
奇跡の香りダンス。 (初回限定盤) 奇跡の香りダンス。 (通常盤) 04年1月28日
3年連続の本人出演シャンプーCMソング。いわば勝負どころの1つだったが、今回はハイテンションというノリはそのままながら前2年とは方向性を変えて少しデジタルロック色を打ち出している。それが反映された衣装やPVのダンスは正直ダサい事この上ないが楽曲だけ聞くとこれはけっこうカッコいい。夏男に続いて巻き舌歌唱は少々気になるところでもあるけどまあ曲の勢いに合ってるからいいか。単にアイドル全開で元気なだけじゃなくて、勢いそのままに少しカッコいいところも打ち出してきたのは面白かったんだけど、本人はどうやらもっと普通のシンガーになりたかったのか以降この手の路線は無くなり、ハイテンションなシングルは早くも今作が最後である。実に惜しい。
★★★★☆
ベスト『松浦亜弥ベスト1』


13th 風信子(ヒヤシンス)
風信子(ヒヤシンス) 04年3月10日
谷村新司が提供。「草原の人」路線の普遍的なポップスに仕上がっており、サウンドは生のバンド編成。感謝をテーマにしていたので何だか早々に引退するみたいな曲だった。最後のサビを繰り返し過ぎるのが少々ウザいが、全体的にはかなりじっくり聞ける味わい深い1曲である。新たな松浦亜弥を提唱していく上ではまずまずの曲だったと今でも思う。…まあこの後が失策すぎて失敗するんだけどな!
★★★★☆
ベスト『松浦亜弥ベスト1』


14th YOUR SONG〜青春宣誓〜
YOUR SONG~青春宣誓~(初回生産限定盤) YOUR SONG~青春宣誓~ 04年7月14日
自身が主演した土9ドラマ「愛情イッポン!」主題歌。早い時期からドラマに出ていた割には連ドラで目立った代表的な出演作が出なかった松浦だが、唯一のゴールデンの連続ドラマ主演。なお単発ドラマではそこそこ話題になった作品にも出ている(より子の半生を描いたやつとか)。アテネオリンピックに合わせたのか柔道をテーマにして谷亮子をゲストに呼んだりしたが、大コケ。あまりにつまらなさに俺も初回ポッキリでエスケープした。たぶんこれで主演には少なくとも使えないということになり、以降は本人がシンガー志向ということもあって連続ドラマに呼ばれなくなったのでは…。曲自体はミディアムでつんくにしてはかなり珍しく、やれ好きだ嫌いだという恋心ではなく槇原敬之が掲げていたライフソングみたいな内容の歌詞になっている。さらに生バンド編成。ハロプロにおけるつんくの作風とはかなり異なっており、青春ミディアムの傑作を作ろうといつもと気合が違ったのは確かだが、何はともかくミディアムな曲調は退屈でほとんど耳に残らない。地味なバラードはこの後も多いが、じっくり聞くと良さが見えてくる曲も多い。だがこの曲だけはやはり地味である。何が悪いというわけではない。とにかくあまり残らない。唯一にして初の主演ドラマ主題歌なのに、ベスト盤投票でも余裕でスルーされたのも仕方ない。それどころかアルバム未収録のまま。この後オリジナルアルバムがしばらく出せなかったのと、つんくを離れた経緯もあって、未収録のシングルが多い。
★★☆☆☆
アルバム未収録


15th 渡良瀬橋
渡良瀬橋 04年10月20日
森高千里のカバー。後に後藤真希もカバーしている。アイドルバリバリだった森高はこういう名バラードを出して(あと強烈な自作詞やドラム演奏)シンガーとして独自の地位を固めていったが、松浦が歩もうとしたのも普通のシンガーへの道だったと思われる。手始めに先輩の曲をカバーしたのは良かったし、松浦のボーカル力の高さも目立ついいカバーである。何より曲がハンパ無く良いのも改めて分かる。原曲のイメージを崩さずにフルバンド編成+ストリングスという丁寧な作りになっており、間奏のリコーダーもアレンジを変えずに残しているのが好印象。後に『Click you Link me』ではセルフカバーもしているが、この際にはドラムが打ち込みに変わってしまったものの、森高本人がリコーダーとコーラスで参加(原曲では自らピアノドラムリコーダーを演奏)している。どうせなら森高のドラムも聞きたかったところ。自分の数々の持ち歌よりよっぽど耳に残るし、ことバラードに限れば他の曲は足元にも及ばないかもしれない。それくらい名曲。
★★★★★
ベスト『松浦亜弥ベスト1』
2ndカバーアルバム『Click you Link me』(リメイク)


16th ずっと好きでいいですか
ずっと 好きでいいですか (初回) ずっと好きでいいですか 05年2月23日
作詞はつんくだが、作曲はSomething ELseの今井千尋。事務所が当時同じでまもなくサムエルは独立するんだけど、その直前だったこの時期にはメロン記念日にも曲を提供したりと事務所内課外活動をしていた。切ない系のラブソングだが、かなり大人っぽい作風になっている。サムエルらしさは皆無で、何だか全体的には歌詞のせいでいかにもつんくっぽい。煮え切らない感情を歌った曲とはいえ曲自体が煮え切らなすぎて暗い。メロはそこまで悪くないのだがアレンジが突き抜けきらない。実際試行錯誤していたのか分からないが鈴木Daichi秀行と小西貴雄というそれぞれ単独でアレンジしてきていた2人が共同でクレジットされているのでけっこう悩んだっぽい。どうせなら「国道16」に代表されるようなポップな曲をここでドカンとやってほしかったところ。正直この起用をうまくいかせたとも思えなかった。
★★★☆☆
アルバム未収録


17th 気がつけば あなた
気がつけば あなた (DVD付) 気がつけば あなた 05年9月21日
本人が出演していた「午後の紅茶」のCMでアカペラで口ずさんでいた曲(ジャケットもそのままそれを持っている上に初回盤と通常盤で紅茶の中身が違う小細工も)。かなり耳に残るさわやかなメロディーが好評で、当初CM用のサビしかなかったものを急遽フルオケで制作、アレンジしてCD化した。当時としては少しは売れて世間にも多少は知れ渡った久々にして最後の1曲。紅白に出たのもこれが最後だったか。サビの爽快さの割に、それ以外はあわてて作った感もあるんだけど、メロディーのさわやかさは織田哲郎のようで、つんくの作風とは少し違う。さらにハロプロの中では異色のさわやかロックバンド風のアレンジ(ベースだけクレジットが無く打ち込み)。本当に90年代のビーイングみたいだった。つんくが関わったのはこれが最後。年齢的にもせめてこういう等身大の青春路線はもう少し続けても良かったというか続けるべきだったと思う。『YOUR SONG〜青春宣誓〜』もコケてしまったとはいえ、青春路線としては悪くない試みだったし、大人のバラード路線へ向かう前の橋渡しとしてさわやかガールポップをもっとやって経由する必要は確実にあったと思う。だってこの当時まだ19歳だぜ?やはり普通の学生生活を送れなかったことで青春路線に対する本人の興味や共感がほとんど無かったのが早々に大人路線に転向を図った最大の理由なのだろうか。なお17作続いたトップ10入りは今作が最後となった。またシングル初回盤でDVDがついたのはこれが最初で最後(オールナイトニッポンを収録)で、次からは初回盤そのものを廃止した(PV収録のシングルVを同時リリースするのは継続)。
★★★★☆
10周年ベスト『松浦亜弥10TH ANNIVERSARY BEST』


18th 砂を噛むように…NAMIDA
砂を噛むように・・・NAMIDA 06年2月1日
つんくを離れてここから完全にバラードシンガー路線に移行。バラードを連発することになる。たいせーがアレンジを小西貴雄と共同でやっているが、演奏面でオルガン&タンバリンで参加、作曲は海外のプロデューサーに任せている。フルバンド編成+ストリングスという生音志向なのでたいせーの色は正直かなり薄く、またこれが大成功。バラードになると弱いつんくに比べても、過去最高の良く出来たバラードになっている。地味ながら聞き込める1曲だ。たまにこういう曲を出すみたいなリリース活動をしていればもっと名曲として認知されていたと思う。ついに今作をもってトップ10落ちとなってしまった曲ながら本人が相当気に入っているようで、近年の作品に何度も収録されている。この後の『Naked Songs』ではスタジオライブ形式でリメイク。これは比較的原曲通りだがより落ち着いたライブ感が出ている。次のオリジナルアルバムにはシングルバージョンで改めて収録した上に、2枚目のリメイクアルバム『Click youu Link me』でも再リメイク。2度目のリメイクだけにアレンジを変更してサックスやトランペット等ホーンセクションを導入(ただギターベースパーカッションまで入れるもドラムは使用していない)。これはあまりに渋くなっているが発売当時24歳という年齢を考えると行き過ぎてしまった感もある。
★★★★☆
1stカバーアルバム『Naked Songs』(リメイク)
4thアルバム『ダブルレインボウ』
2ndカバーアルバム『Click you Link me』(再度リメイク)


19th 笑顔
笑顔 07年8月29日
谷村有美の提供曲。厳密には06年にCSのニュース番組タイアップとしてかかっていた谷村が歌っていた未CD化曲をカバーした形。谷村は00年代に入ってからはほぼ新作のリリースが停止した状態にあったが、この後にベスト盤を出してそこで初めて自身が歌ったバージョンをCD化している。Aメロはそうでもないのだが、Bメロからかなりの高音。サビも高いがBメロが最も高く、そこをブレなく歌い切る様子にボーカリスト松浦亜弥の実力が垣間見える。全盛期の印象からあまり評価されていないがアイドルとしてはトップクラスの歌唱力だというのは前から言われていた。「生きてさえいれば何かが生まれる」と絶望からの再生を歌った静かだけど確かに支えてくれる応援歌である。今回もフルバンド編成で作りも丁寧である。この年は7月に新潟県中越沖地震が発生したばかり(04年に起きたもっと被害が大きかった方ではない)で、発売時期的に意識したのかは不明だが、冒頭では「起こるはずのないことが、現実になりヒトは誰も無力さを思い知る」と歌われており、日常生活というよりもそういった惨事における絶望からの希望を思わせる歌詞になっている。これを書いている2011年4月時点では東日本大震災という未曽有の惨事で、音楽には癒しと応援歌が求められる状況にあるが、単に明るいだけの応援ではなく、歌詞の内容からして最もしっくりくる希望の曲だ。ただ当時はいかんせん1年半ぶり待望の新曲がまたバラード。よく聞けば相当な名曲でも、地味な印象しか残らなかった。それと大前提としてこういう悟りを開いたような曲を歌うにはまだ若すぎたっていうのもある。さらに10年20年経ったときに本当の意味での説得力が出てくる曲だと思う。
★★★★☆
4thアルバム『ダブルレインボウ』
10周年ベスト『松浦亜弥
10TH ANNIVERSARY BEST』


20th きずな
きずな 08年5月21日
年1になってしまった久々のシングルはまたバラード。歌謡曲路線の大人の音楽的な番組出演等もかねてから多くこなしていたが今回そっち方面に振り切っており、タイアップが障害者のオリンピックテーマ曲だったり、The Voice of Japanがコーラス参加したりしている。この頃には売上が激減してしまっており、金のかかるコーラス陣を招いた時点でフルバンド編成にする予算が尽きたのか、前作までとは一転してクレジットはAll Other Instrumentsとしてアレンジャーがクレジットされるのみ。そのため感謝と絆を歌った暖かい歌なのに打ち込み全開のサウンドで音が軽い。感謝を歌った曲は『風信子』があったがあれは身近だったのに対して今回は「何万年の昔」とか「何十億の人」とか時間軸も捉える人の数もスケールがでかくて世界観が拡大。それだけにこんなに軽いサウンドに処理してしまったのは失敗といっていいと思う。しかもコーラス招いた割に普通にバックコーラスしているだけの印象。正直この程度の入れ方ならいつもみたいに自分でコーラス入れれば良かったんじゃないか…。前2曲に比べればあまり耳に残らない曲だったのと、連発されるバラードにすっかりうんざりしてしまったこともあり、非常にパッとしない印象の曲だ。20歳を迎えて以降の活動がイマイチすぎたのは本当に残念で、ジャケットの風貌も30代以上にしか見えないが、この時点で22歳直前。14歳から活動してきて激動の人生を送ってきたとはいえ、生き急ぎすぎたのでは?
★★☆☆☆
5thアルバム『想いあふれて』


21st チョコレート魂
チョコレート魂 09年2月11日
アルバムリリース直後にリリースされた久々の明るいポップソング。アイドルっぽさはあるが、落ち着きもある単純にポップな1曲であり、「渡良瀬橋」などをヒットさせた森高でも当時の松浦よりも年齢を重ねた時点で「気分爽快」などのポップな代表ヒットを生み出しているのでなんら不思議ではない。むしろこの手の路線のシングルをバラードと織り交ぜながらもっと出すべきだったのにいったいこの5年間何をやっていたのかと言いたくなるくらいの快作である。ただ世間的には今更という感が強くて(まだ22歳だったんだけど)、特にヒットにはならず。これっきりシングルのリリースも途絶えた。この頃には制作に専念することを理由にしてツアーの休止を宣言。だが専念しているはずの制作の成果は2010年にはリメイク&カバーアルバム1作がリリースされるのみという何とも物足りない展開となっている。体調不良が原因とはされているもののこの数年のあまりに地味すぎる活動にファン離れが加速してしまいツアーを行えるだけの集客力が無くなってしまったのではないかとも思える。何とかたどり着いた10周年、今後シンガーとしてどうなってしまうのか心配だ。
★★★★☆
アルバム未収録

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