Mr.Children 2005-2012+ レビュー

小林武史がプロデューサーではなく単なる演奏者になったのがこの時期だ。この頃からギターが1歩後ろへ引っ込み、ピアノとストリングスが3歩くらい前面に出たアレンジが主流になっていく。一部ファンの間では「ピアノまみれ」という新語が誕生。今までライブに参加していなかった小林がライブに参加するようになったため、視点が変化したことが最大の要因のようだ。実際桜井は09年のロキノンのインタビューで小林に対してそのような印象を抱いたことを語っているそうだし(ただし好意的に)。当然このサウンドの変化はバンドの総意(と思われる)。映画『Sprit of Difference』では小林武史が制作を指揮・先導している様子がありのまま公開され、メンバーよりも画面に多く登場。ロック色の強かった曲もピアノ始まりへ改変されるなど露骨な状況が改めて明らかになる。昔から小林武史を離れるべきだという意見はずっとあったが、それが一気に拡大してしまった印象を受ける。小林武史が主張を押しつけているという声も多いが、それは最初から。小林武史がほとんどピアノストリングスだけになってしまい多彩さを見失ってしまったのが最大の問題だ。こうなってしまったミスチルをコバチルと勝手に呼んでいる。

小林武史は確かに天才ポップス職人だった。だがプロデューサーにだってピークはある。90年代まではそれまでシーンの最前線を走っていた作家は新たな作家の台頭や時代の変化で徐々に退いていった。それでも過去の栄光で権威を獲得。いわゆる大御所化というものだ。ところが90年代に大活躍したプロデューサーは、大御所化しながらもトップレベルの仕事量で00年代を余裕で突き抜け、10年代に突入してもシーン最前線の立場を維持し続けている。表に出ているミュージシャンも若手が育っていない状況だが、裏方も同様で停滞した状況が続いている。小林武史に限らず、その辺りの大物プロデューサーのアレンジには圧倒的な堅実感、安定感はあっても、手がけたミュージシャンをブレイクに導いた時のような新鮮な感動は無い。そりゃそうだ。2010年代、それらは全て10年15年どころか20年前の出来事になりつつある。80年代末期にサザン/桑田佳祐との仕事で頭角を見せた小林武史にこれ以上の進化を求めるのは酷な話なのかもしれない…。もうとっくに守りに入っていていいだけの功績も残した。

また以前のベスト盤のライナーではミスチルを「ロックバンド」と形容されていたが、同じライターが説明文を書いた映画「Sprit of Difference」では「ポップ・ロックバンド」という形容に変わっている。個人的には「しるし」以降で違和感を感じ始め、『HOME』以降のアルバムは聞けばこんな曲もあったなと思い出すものの以前のように1曲1曲の印象はしっかり残らなくなってしまい、曲を聞いてもタイトルが分からない、一部の曲しか把握できていないという状況になっている。そんな時期だけにメロディーにはさほど衰えを感じていないが、アレンジとのバランスが気になって★の数を調整した曲が後半にかけてかなり多い。妙に赤★を多用しているのはそのためである。

Worlds End
バンドとストリングスが壮大に盛り上がるアルバム1曲目(オリジナル、ベスト共に)にして、あまりの盛り上がりっぷりに1曲目からクライマックスみたいな曲である。何に縛られるでもなくどこまでだって行けるとまくしたてるひたすら前向きなパワーが心強い。シングル「未来」の1番の歌詞といい、何にも縛られず(その気になれば)どこまでだって行けるんだよ!という今作の歌詞もまさしくニートの叫びとも同調していた、と言う点は興味深い。そんな05年当時自分もまたニートになる恐怖に脅え、この曲に励まされていた。
★★★★☆
12thアルバム『I U
3rdべスト『
Mr.Children 2001-2005<micro>


僕らの音
シンプルなミディアムナンバー。いわゆるピアノメインの「歌モノ」路線。そこそこいいなとは思いつつ、どのアルバムにも毎回入っているような初期から現在に至るまで余裕で量産してきたような普通にいい曲。この曲がベスト盤に収録されるとは思っていなかった。4作のベスト盤全楽曲の中で最も意外な選曲。とはいえこのアルバムから他に何か収録すべき曲があるかというと…案外浮かばない。21世紀以降のミスチルでは最もハードな「Monster」も流れとしては浮きすぎるし、日本中が全部みのもんた(「跳べ」)になってもなぁ…。ピアノをサウンドの軸にするのこそ現在のバンドのモードである、と考えればもっとも無難な選曲か。個人的には「靴ひも」>>「僕らの音」>>「CANDAY」
★★★☆☆
12thアルバム『I U
3rdべスト『
Mr.Children 2001-2005<micro>


靴ひも
文字の並びで絵を形成しているため歌詞が異常に見難いアルバムの中で唯一普通に記載されているアルバム中盤に配置された曲。淡々とした印象の曲だが、「僕らの音」や「CANDY」と比べるとバンドメインの楽曲で、サビではそれなりに盛り上がる。しっとりメロディーとピアノ主体で聞かせるいわゆる"歌モノ"の方がいつの間にかミスチルらしい曲、という感じになってしまったが、はっきり言ってそれはコバチルであり、このくらいメンバー4人が躍動している曲の方が最初期から続いてきたミスチルっぽい音だと思う。当初この曲はピックアップする予定の無い曲だったが、聞き直しているうちにハマってしまい、急遽追加した。
★★★★☆
12thアルバム『I U


潜水
わざわざ『深海』を思わせるタイトルをアルバムラストに持ってきているのでタイトルを見て最初に引っかかった曲。これは狙ったのだろうか。ただメロディーやアレンジは定番化していくコバチルバラードといった感じで面白味は無い。単にプールで潜水して苦しくなって浮上し、息をして生きている事を実感するだけである。この大胆不敵さは深読みしようとするリスナーを意識していたのかいないのか、そこまで踏まえて考えると面白い。「Door」を筆頭にこのアルバムでは何かしらの意味を匂わせながら実は何も無い、みたいな深読みしたがるリスナーを牽制するような表現も隠れている。
★★★☆☆
12thアルバム『I U


28thシングル 箒星
06年7月5日
果てしなく前向き、そしてわりと田原さんが前の方にいる感じがする、バンドと小林武史のバランスが程よい(現時点で)最後のシングル。年齢の割にはデビュー数年の若手バンドのようなフレッシュさが眩しい。個人的には当時この曲に励まされ救われた。ここまで自分の中に入ってきた思い出の1曲になったのはミスチルでは2005-2012の時期でぶっちゃけ今作以外には無い。
★★★★★
13thアルバム『HOME
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

C/W ほころび
ap bank fes、つまり野外で演奏されるのを前提にした曲らしく、ノリはそこそこいい。最初に聞いた時の印象もまあまあ良かった。ただ次回作のC/Wの方がさらに印象が良かったのですっかり忘却の彼方に…。
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

C/W my sweet heart
少女に少女のままでいてくれという曲。ちょっと危険なロリータソング…ではなく、単に桜井自身の子供がちょうどいいお年頃になっていた時期だと思うので、自分の子供を見てかわいいなと思って作っただけなんじゃないだろうか。曲自体はメロもアレンジもかなり地味。
★★☆☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

初回盤DVD 箒星-Ordninary Beauty-
初回盤はDVDケースを薄型にしたようなサイズの特殊ジャケット。DVDにPVというかショートムービーを収録。20分に及ぶ長編になっており、冴えない日々を送っていた地味な男女がお互いに勇気を出して共鳴し、1歩前に進んでいくようなストーリーが展開する。かなり話が進んでからようやく曲がかかり始めるが、1コーラス終了、2コーラス終了、最後のボーカル終了、など幾度となく曲が途中で止まる。メンバーは登場せず、演奏シーンも無い。ジャケ写になっているのはお互いの想いを確認し、1歩先へ進んだ2人が天にも昇る心境に到達し、ついには空中浮遊していくというラストシーンである。また歌に合わせてこの男女と全く同じ変装をさせられた人々が大量に出てきて華麗にダンスを披露するのも圧巻だった。なおベスト初回盤にもPVが収録されているがそちらは曲の尺に合わせて大幅に内容がカットされたもの。いきなり2人が大量分身するところから始まったり、雨のシーンも台詞なしだし、1歩踏み出せない序盤のシーンがカットされているので告白の際に青年が1歩踏み出すシーンもカットしていきなり空中浮遊しちゃうし、単なるシュールギャグムービーにしか見えない。そちらではストーリーを把握することはできないの上に、何故か額縁映像に縮小されてしまっているので16:9でちゃんと収録されているシングル初回盤推奨。

箒星 (初回限定盤)(DVD付)   箒星 (通常盤)


29thシングル しるし 
06年11月15日
ドラマ「14才の母」主題歌。70万枚を突破し、「Sign」と並ぶ現在のところ最後の特大ヒット作。かなり強い渾身のバラードでこれまでよりもさらに濃厚こってり。こういった直球のバラード曲でこれ以上の壮大さはもう不可能というくらいの極めに極めたような仕上がり。セールス的にもこれが最後の特大ヒットとなっているのも納得というか、ここまで大作にしてしまうと同系統でどんなバラード出しても「しるし」に比べると弱いなぁ…となってしまう。個人的には装飾なしでもけっこうこってりしている曲をひたすら濃厚アレンジのゴリ押しで名曲風に仕立てあげているといった印象もあり、"歌モノ"曲としては究極の1曲だと思う。好きかどうかというとさほど好きな曲ではないし、このサウンドが連発されるようになり、半ば標準化してしまった事は単純に残念。PVは何故か画面が異常に狭い上に、熱唱している桜井(と椅子)しか出てこない。
★★★☆☆
13thアルバム『HOME
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

C/W ひびき
『B-SIDE』発売時にPVが制作され、リード曲のような扱いになったC/Wの名曲。コーラスの感じが『Versus』以前の最初期っぽい。しかもかなり軽やか。壮大すぎるA面の後でこういった曲をやった事もあり、非常に懐かしい気分になった。メロディーもポップで馴染みやすい。
★★★★☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

C/W くるみ-for the Film-幸福な食卓
映画「幸福な食卓」主題歌のために25thシングルを小林武史がリメイク。原曲はキーが高すぎるためか、キー下げをした上で小林のピアノと桜井のボーカルだけでスローに歌われる。これならBank Bandでやれよ!と言いたくなってくるほど、延々2人だけの演奏が続く。このままバンドは出てこないのかとあきらめた最後のサビではついにメンバーが登場し、バンドサウンド化(ただしギターは遠い)。バンドがナッパ戦やナメック星に遅れてきた悟空のようだが、この流れには当時感動した。歌い方もより優しくなっており、このバージョンも悪くない。とはいえこれ以降、片っ端からこの手の悟空パターン(主役(バンド)が遅れてやってくる)が連発されるようになるとは思っていなかった。なので改めて聞くとあまり大したアレンジに思えなくなってしまった。まさにコバチルの本格的始まり。
★★★★☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

しるし


30thシングル フェイク
07年1月24日
映画「どろろ」主題歌。1曲500円の40万枚限定生産として発売された。確かに店からは完全に消えて完売したはずなのにO社の累計は32万程度でかなり余った計算になってしまった(00年前後に浜崎あゆみが30万枚限定シングルを出した時はほぼ30万前後で収まっている)。今でこそ申告された売上は片っ端から集計しているので、O社とサウンドスキャンとの差がありえないことになる事も多々あるチャート界だが、この頃はO社でもまだリアル店舗以外のAmazonなどのネットショップの売上集計がちゃんとしていなかったのだろうか。打ち込みを駆使した攻撃的な曲。優しい曲調の多いアルバム内では少々浮いていた。シングルには収録時間4'54とわざわざ書かれているが、実際にコンポにCDを入れると倍の時間が表示される。曲が終わってしばらくすると同じトラック内に打ち込みのインストが収録されている。またシングルでは「それすら」で曲が終わるが、『HOME』初回盤DVDのライブ映像ではラストが「それすらフェイク」と終わる。そんなに好きな曲ではないが、優しい曲ばかり続くのもつまらないしアクセント的にはいい曲である。しかし11年も経ってまたジャケットでベロを見るとは思わなかった。
★★★☆☆
13thアルバム『HOME』(シークレットトラックのリミックスは未収録)
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

フェイク


Wake me up!
アルバムの実質的なオープニングナンバー。タイトル通り目覚めのブラスポップな1曲。「めざましテレビ」のタイアップこれで良かったんじゃないかという…。装飾音とドラムは躍動しまくっているんだけど、少しインパクトが薄いというか、メロもアレンジもポップなんだけどちょっと物足りない感じも。1番各楽曲を記憶していないのがこのアルバムで曲名と印象がパッと浮かぶ曲がほとんど無い。聞けば思い出すんだけど結局忘れちゃう。
★★★☆☆
13thアルバム『HOME


彩り
労働賛歌。というか作業労働賛歌。なんてことない作業が回りまわって誰かのためになっているという慰め?励まし?の歌。こう思えれば辛い仕事にも意味が見いだせる…ものなだろうかと当時まだ学生だった頃は思っていたが、実際なってみたら正直慰めにも救いにもならなかった。この時点で国内最大のリスナーを抱えていたバンドがこの曲を歌うという行為自体が「なんてことない作業」ではないわけで、特に大勢の観客の前でこの曲が歌われる時、どう聞けばいいのか…。実際自動車組み立ての仕事をしている友人に向けて書いたらしいので、そこから「単純作業」という言葉が出てきたようだ。この「次元を下ろしてきた」感がこの曲に限っては気になってしまい正直しっくりこない。槇原敬之だったらこういう書き方はせずに、どんな作業にだって意味がある、君がやっているのはなんてことない事なんかじゃないという説明文のような歌詞を構成しそうな気はするし、それもそれでうざったいがまだそっちの方がマシだ。アルバム初回盤DVDではこの曲についてMCで長々語っているがそれでもやはりしっくりこない。安住の境地に辿りついて余裕があるからこそ、という感じが強い。常にもがき探し続けてきたようなバンドとはいえ、年齢的にとっくに落ち着く時期ではあったのかもしれない。多分好きな人が圧倒的に多い曲だとは思うけど、一部では猛烈にナシ!っていう人もいるんじゃないだろうか。なおPVはアルバムのブックレットと同様の外国人の実写相関図の連発。ブックレットでは同じ構図でメンバーと一緒に写っていたスタッフや小林武史は出演せず、メンバー4人だけになっている。小林武史は既に桜井に続くメンバーと言って問題ない状況になっており、ライブにも参加するようになったが、それでもあくまで正式メンバーではないという最後の砦がPVだ。なおアルバム初回盤DVDでのライブアレンジはもっとピアノメインのものとなっていたが、CD版ではバンドメインとなっている。数年後とやっている事が逆なのが面白い。
★★☆☆☆
13thアルバム『HOME
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


通り雨
『HOME』からあと1曲あげるとすれば「SUNRISE」かこの曲。けっこうワクワクするポップな曲調。発売当初はここに辿りつく前に飽き飽きしてしまっていてスルーしていたが、今作を聞いた弟が「通り雨がまあまあ良かった」とか言っていたので改めてこの曲だけ聞いてみたらあらホント、良かった、という。
★★★☆☆
13thアルバム『HOME


あんまり覚えてないや
発売当時このアルバムについて桜井がどう思われてもいいとか発言していたけど、アルバムラストを飾る曲のタイトルはまさにこのアルバムの印象である。それなりにいい曲も入ってるんだけど、どうもあんまり覚えてない。でもなんかそれでもいいと思える。この曲もメロディーや序盤の歌詞はわりと何でもないんだけど3コーラス目の「じいちゃんになったお父さん ばあちゃんになったお母さん」以降のくだりは泣ける。そのおかげでこのアルバムの中では"わりかし覚えている"曲になった。それにしても一気に悟りすぎなアルバムだった。
★★★☆☆
13thアルバム『HOME


31stシングル 旅立ちの唄 
07年10月31日
映画「恋空」主題歌。女子中高生中心に泣けると大ヒットしたケータイ小説だったが、当初実話と言っておきながらその昼ドラも真っ青な破天荒な展開と、明らかにリアリティに欠ける描写の連発から、あっさりフィクションと見破られ、ネット上では袋叩きにあった。無邪気に感動していたのは当時の女子中高生だけで、恐らくミスチルファンのメイン世代である"大人"からは大いなる批判にもさらされた話題作だった。ただ映画とはあまり関係が無く、卒業シーズンにピッタリなタイトル通り旅立ちの唄だったので、タイアップと切り離しても聞ける曲だ。取り立てて好きでも嫌いでもない曲だったけど、「Sign」や「しるし」の時と同じでこういうバラード曲がどうせヒットするんだろ?と思いながら聞いていた記憶がある。実際には売上も下がってしまったのであまりウケも良くなかったんだろうか。バラードはもう「しるし」で極めすぎたというのもあるけど。PVはライブ映像を使用。映像だけでなく音声もライブそのままでアレンジもキーも異なっている。そっちは恒例の悟空パターン(ピアノだけで始まってバンドは後からやってくる)。ミスチルのPVの演奏シーンではメンバーではない小林武史は絶対に出演しない、というこだわり(?)があったが、今作はライブ映像なので例外的に小林武史が演奏している様子が映っている。
★★★☆☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

C/W 羊、吠える
狼の血筋じゃないので狼ではなく、羊の声で吠えるという負け犬の遠吠えならぬ羊の遠吠えみたいな曲。その何とももどかしい思いを表現したかのようにアレンジもスッキリせず、パワーを放出するというよりかはどんどん内にため込んでいくような雰囲気。やけにドラムばかりドタドタと目立って聞こえるのは、ギターが絞られているせいだろうか。
★★★☆☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY

C/W いつでも微笑みを from HOME TOUR 2007.06.15 NAGOYA
10thアルバム収録曲のライブ音源。ポップな作風が評価されてかこの時期、原曲がCMに起用されていた。元がほとんどバンドじゃないので、若干アレンジが異なっていて、歌詞も一部変えて歌われているが、後半声がひっくり返ってしまう。あえてこのテイクを…というかわざわざバンド感の薄い曲を『1/42』以来のライブ音源に選んだ理由が当時タイアップ起用されたから以外にあまり見えない。個人的には原曲の方が好きだ。
★★★☆☆
10thアルバム『IT'S A WONDERFUL WORLD』(原曲)

旅立ちの唄


32ndシングル GIFT
08年7月30日
NHK北京オリンピックテーマ曲。前大会のゆず「栄光の架橋」も壮大だったが、ミスチルとなればさらに壮大なんだろうなと。そう思っていたにも関わらず、上限を知らないのか!?と驚いたくらい壮大なスケールの曲。金メダルよりも価値のある選手全員の健闘を称えるような内容だが、「みんなのうた」のような普遍性も持っている。紅白にも初出演し、別ステージでフルコーラス熱唱という破格の待遇を受けた。この壮大さを演出しているのは間違いなくその壮大なストリングスアレンジだが、けっこう頑張っているバンドサウンドの上に厚く被せすぎで個人的には少しくどく感じる。1回聞いただけでかなりの満腹感になるので意外と何度も聞く気分にはなれない曲だ。なおミスチルに限らずゆずの「栄光の架橋」がやたらインパクトを残してからのNHKはバラード曲のみをオリンピックのテーマ曲にするようになったが(代わりにサッカーW杯はロック系)、個人的にはアトランタオリンピックの事なんか何一つ記憶に無いのに大黒摩季の「熱くなれ」が「オリンピック」と言った時に真っ先に浮かぶイメージ。北京オリンピックの印象も同じく小林武史がプロデュースしていたレミオロメン「もっと遠くへ」の方が熱かった。オリンピックってもっと暑苦しくてもいいんじゃないだろうか。今世紀になってから崇高すぎないか。
★★★☆☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

C/W 横断歩道を渡る人たち
久々に吉田拓郎調の曲。壮大な曲が多い中では、意外と安心できる曲だ。まあアレンジはけっこう派手だけど…。ただこの頃になるとすっかりピアノがプロデューサーとしての判断じゃなくて、1人のピアノ演奏者として主張しているといった感じになってるなぁ…。また何故かシングルジャケットでは「GIFT」っぽいのは中央に置かれているリボンのようなものだけで、背景になっている横断歩道と人々という構図は明らかにこの曲に合わせたかのようになっている。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 風と星とメビウスの輪(Single Version)
アルバムでは壮大すぎてくどすぎるコバチルアレンジだったが、このシングル発表の段階で既にそちらが出来上がっていたようで、まだアルバムが出ていないのにSingle Versionとして発表された。Single Versionはピアノと歌だけのシンプルなバラード。ここまで完璧に小林と桜井しか参加していないってのも逆に珍しいような…。当時のシングルレビューで書いた悪い予感がそのままアルバムアレンジだったので当時から印象がよろしくない。アレンジ過剰でもなんだかんだメロディーが良ければそこそこ好きな曲になってくるんだけど、この曲に関してはメロディーもさっぱり印象に残らなかった。
★★☆☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
15thアルバム『
SUPERMARKET FANTASY』(大幅アレンジ)

GIFT


33rdシングル HANABI
08年9月3日
ドラマ「コード・ブルー」主題歌。その後のSPや2010年の続編でも引き続き主題歌として起用された。発売はドラマも終盤に差し掛かった9月になってからだった。真夏ではなくあえて夏の終わりにリリースしたことで儚さも際立ったように思う。久々に個人的にもグッと来た1曲だったが、ここまで来てもまだこんな青春な曲が書けるのも地味に凄いと思う。アコースティックを生かしたバンドサウンドも印象的だが、前作に続いて上モノとしてストリングスを大音量で被せすぎなところが唯一気になる。またライブではキー下げがデフォになっているらしい。確かにただでさえ高音続きでなのに最後のサビで半音上がってヘロヘロなところでダメ押しの最高音「もういっかぁぁぁぁぁい」はカラオケで歌うと地獄を見る。
★★★★★
15thアルバム『
SUPERMARKET FANTASY
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>

C/W タダダキアッテ
「タガタメ」の別アレンジバージョンだが、実はこれが原曲だという。かなりほのぼのした曲調で「タガタメ」の真剣さ・壮大さとは真逆。歌詞もメロディーも同じなのにこんなに呑気な楽曲だったとは…。
★★★☆☆
アルバム未収録

11thアルバム『シフクノオト』収録『タガタメ』の原曲

C/W 夏が終わる〜夏の日のオマージュ〜
タイトル通り、夏が終わるような寂しい地味な曲。涼しくなってきた頃に毎年1回だけ聞きたい感じ。
★★☆☆☆
アルバム未収録

HANABI


花の匂い
映画「私は貝になりたい」主題歌。配信限定でもリリースされていた。ミスチルの配信限定というのは着うたと着うたフルの事であってPC配信ではない。メロディー主体のバラード。映画自体あらすじを聞いただけでなんともやりきれない内容なんだけど、そのやりきれなさをそのまま曲として表現したかのようなやりきれなさ。かつてのような多彩さは無くなったとはいえ、ここまで表現できるミュージシャンは売れている若手にはいない。さすが小林武史&ミスチルといった印象。
★★★☆☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


エソラ
消費されることを肯定的にとらえて開き直ったアルバムを象徴するキラキラなポップナンバー。ポップすぎるとか過剰すぎるというリスナーも当然いるとは思うけど、この曲の圧倒的な勢いはこの過剰なアレンジが生み出した結果なので、このアレンジに関しては先にシングルで出ていた2曲よりは曲に合っていたのかなと思う。
★★★★☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


少年
意外と淡々としていてサビでも耳に残りにくいんだけど、ポップな作風の中ではわりとバンドが前に出ている印象の曲。このアルバムの印象が良かったのは一応こういうそこそこギターの聞こえる曲もちゃんとあったからだと思う。
★★★☆☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY


東京
描いた夢をかなえられるのはほんの一握りだと分かっているけどそれでももう少し頑張ってみよう、という現実を見つつも前向きなストリングス前面な応援歌。まあ夢を叶えまくってきた夢の象徴そのものであるバンドが今更歌う曲なのか?という気もするんだけど「彩り」が受け付けなかった割にはこの曲はけっこうスーッと入ってきた。ちょうどこのアルバムの発売直後にインターンで都会のど真ん中で仕事していて、その往復でアルバムを聞いていたので歌詞の内容を感じられたからだと思う。とはいえこういう歌詞はもっと売れてないミュージシャンが歌った方が格段に説得力はあるし、歌い手自身にとってのリアルにも聞こえるのも確かだろう。少なくともミスチルのリアルとしてはもう全く聞こえないもんな。
★★★★☆
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY


fanfare
アニメ映画「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」。これまた配信限定(着うた・着うたフルのみ)でリリースされていたが、CD化されるまでには1年かかった。アニメの世界観に合わせたのか、やたらとド派手に荒波の中を航海していくようなエネルギッシュな曲。さすがにこの曲ではギターも一緒に曲を引っ張っている。ボーカルの叫ぶような最高音といい、バンドも小林武史もストリングスも全てがMAXのテンションで突き進んでいくミスチル史上最高峰の全力ソング。バラード連発の中では際立っていた事もあり好きな1曲だ。この時期のバラードに対して好印象かそうでないかでも好みが分かれるんじゃないかと思う。
★★★★☆
16thアルバム『SENSE
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


I
アルバムオープニングを飾ったロックナンバー。何の宣伝も無く、ただタイトルだけが直前に明かされるなど正体不明だったアルバムということで全く予想はつかなかったが、この曲を聞いた瞬間に少し安心したのを覚えている。ロックなミスチルもまだ死んでなかったんだなと。
★★★☆☆
16thアルバム『SENSE


擬態
わりと穏やかじゃない心境を歌っているかのようにも聞こえる最近では珍しいナンバー。「富を得た者はそうでない者より満たされてるって思ってるの?」という歌詞は今のバンドの目線でもあるわけで、「彩り」や「東京」のようなリスナー(庶民)の実感に合わせていっているような曲よりももよっぽど自身の内面をさらけ出しているように思えてその方がいいと思う。元々Salyuに提供する予定が愛着が沸いてきて自分で歌ったという曲でもある。
★★★★☆
16thアルバム『SENSE
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


365日
NTT東日本、西日本のCMソング。1年前くらいから使用されていてライブでも既に定番化していたようだ。HYが「366日」というバラードを歌っていたすぐ後で、どちらもピアノがメインのバラード。さらにコブクロやいきものがかりもバラードを大量連発していくようになったのが00年代後半のヒットシーン。この辺り、どれか1つしか聞いてなければどれも単独で名曲なんだけど、同時期に全部聞いていたので完全に食傷気味でストバラアレルギーを起こす勢いだった。とにかくCDが売れなくなってきて、それでもストバラ出せばそこそこウケるからヒットシーン全体がそんな傾向になったんだろうけど、いくらなんでも閉鎖的すぎだろ…。すっかり世間が懐古主義に染まってしまったのも仕方ない流れに思えてきた。とはいえ前述のように時期が悪かっただけで単独で聞けばそれなりにいい曲。1度聞けば耳に残るメロディーラインはさすがだし、そういうのを連発するのって案外難しい。イメージ的にはソナポケやファンモンに最も接近した印象もあり、着うた世代に最もウケそうな曲でもある。
★★★☆☆
16thアルバム『SENSE
4thべスト『
Mr.Children 2006-2011<macro>


かぞえうた
震災後に最初に発表された曲で、着うた配信とライブでのみ披露されていた。明確なサビが無く、アルバムで聞くまで印象すら無い曲だった。徐々にバンドサウンドが盛り上がっていくが、ストリングスを使ってないところは現在のミスチルとしては異例。ただ演奏者小林によるピアノまみれ感が…。バックで薄くなってるキーボードとバンドだけでも十分だった気がする。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]


34thシングル 祈り〜涙の軌道/End of the day/pieces
12年4月18日
3曲A面。配信でのシングル(PCなしの携帯だけ)が続いていたので3年7ヶ月ぶりのシングル作品。桜井へのインタビュー用紙も封入され、今作に至るまでの経緯も記されている。

祈り〜涙の軌道
映画「僕等がいた」前篇主題歌。超安定の王道ストリングスバラード。サビの「さようなら」3連発など1発で耳に残る圧倒的な存在感はさすがだけど、溢れまくりのピアノストリングスに押し流されるように過去最高にギターが遥か後方に。最初は単にこの路線に飽きてきたからそう思えるのかもしれないと思ったんだけど、試しに「Sign」など00年代半ば以前の同系統の王道バラードをそのまま聞いてみたら、確かに田原さんはいた。ここに来てサウンドバランスが思いのほか変わっている事に気づいた1作。PVでもバンドメンバーは登場せず、桜井1人で熱唱している。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]

End of the day
初期っぽい作風で軽快な前向きソング。やはり初期っぽい音色を使いながらも田原さんが以前よりも奥にいるので、相対的にベースとドラムまで以前より目立って聞こえる。この中の3作ではダントツで気に入った曲。歌詞の中に「乞食」が登場するので放送コードに引っかかり、電波に乗っかる際にはカットされる。DAMのカラオケでもこの部分には歌詞が表示されず「××」に置き換えられてしまっている。
★★★★☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]

pieces
映画「僕等がいた」後篇主題歌。別に非売れ線に走ったわけでも無い。だが「祈り〜涙の軌跡」の存在感に比べても他の作品と比べても、とにかく圧倒的に地味。悪いところは無いんだけどシングルの流れで聞いても、アルバムの流れで聞いても薄〜い印象は変わらず。意外と深みのある曲ではあるんだけど…。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]

祈り ~涙の軌道 / End of the day / pieces  


hypnosis
ドラマ「トッカン」主題歌。夏ドラだったので夏には着うた配信されていたが、CD化は年末になってから。アルバムのリード曲の1つになって、TVでもよく歌われていた。安定王道の大ストバラだが、近年には珍しいロックバラード的な要素も感じられる。エレキギターがけっこう攻撃的に鳴っているのもちゃんと聞こえるのだが、何故か左奥に押しやられてバッチリと音量が絞られている。これぞコバチルという仕打ち。これが唯一残念。せめて「【es】〜Theme os es〜」くらいギターが前に出て来れば文句なしの大名曲だったのに…。それでも大ストバラ路線に飽き飽きしていた中で、またこの路線かよと最初は思ったんだけど、最終的には引きこまれ、個人的には「しるし」以降のストバラでは最も好きな曲である。Bメロがメチャメチャ高いのに、サビの出だしが低く、結局サビの最後はメチャメチャ高い、という大熱唱必須の構成も圧巻。ただ無理しすぎでTV出演でも歌い切れてない場面が目立った。アルバムのPVの中で唯一メンバーが全員登場して演奏している。大ストリングス隊もいるが、小林武史はPVには出ない法則が続いており出ていない。こんだけPV用にストリングス隊の人数揃えておいて1番前で鳴っているピアノだけいないってのは逆に不自然だ…。
★★★★☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]


Marshmallow day
資生堂のCMタイアップ。ストリングスだけでなく管アレンジが冴え渡るとびきりポップな1曲。小林武史は弦だけの人ではなく、管弦アレンジを含めて曲に合わせてバランス良く仕立てあげるポップス職人であった。ここのところは弦ばかりが耳についていたので、こういったシングル扱いのヒットチューンで管アレンジを効かせるというのは久々だった。先行シングルで切るなら食傷気味のストバラを押すよりもバランス的にこの曲が最適だったのではないかと思う。TVでもこれ歌えば良かったのに…。ただポップで耳馴染みはいいんだけど、もっとサウンドバランスが優れている「エソラ」もあるし、個人的にはそこまで好きではない。PVも制作されたがメンバーは桜井しか登場しない。チューインガムをにこやかに膨らませるという内容だったが、鈴木はともかく田原・中川の2人が笑顔でそれをやっている絵は全く想像できない。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]


常套句
ドラマ「遅咲きのヒマワリ」主題歌。一応主題歌とされているが、実際にはED付近で挿入歌として使用されていた。実質的な主題歌はOPに専用映像付で主要キャスト全員で歌うMONGOL800の「あなたに」のカバー。どちらも「会いたい」を連呼する曲だったのでドラマサイドがテーマに設けたのが「会いたい」だったのかもしれない。主題歌として合っており格段に印象を残したのは「あなたに」、ちょっとしんみりした場面の挿入歌として合っていたのは「常套句」だった。最初ドラマで聞いた時はギターが全く聞こえず、コバチルどころかコバシルじゃねーかよ!とガックリしたものの、「祈り〜涙の軌跡」同様にメロディーはさすが。他の時期の作品にポンと収録されていれば素直に感動できたかもしれない。TV出演では「hypnosis」と並んで披露されていたが、ただでさえトークでも田原中川が置物のように動かないのに、演奏でまで置物のようになってしまっていた。PVは線画アニメーションだったのでますますバンドの影が…。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]


Happy Song
「めざましテレビ」の2012年度テーマソング。すっかり見なくなってしまいタイアップ先で1度も聞いていない。「めざましテレビ」テーマ曲というとかなり初期の森高千里「ララサンシャイン」(小学校時代)や小松未歩「チャンス」(中学時代)の印象が1番強い。03年のTUBEの四季連動4曲、その後の地獄の「手のひらを太陽に」連発辺りを最後に一気に遠ざかってしまった。曲の方はそんな思い出の曲たちに比べると朝に合うのかな?という感じはするものの(むしろ大団円っぽい雰囲気)、実にコバチルらしい(=ピアノ、ストリングス、ブラス全開)ハッピーな歌だと思う。
★★★☆☆
17thアルバム『[(an imitation)blood orange]

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