SMAP 25th Anniversary 1999-2004

99年は音楽面でのプロデューサーだった鎌田俊哉、野沢孝智が離れた。『Smap Vest』での両名のプロデュース表記が「朝日を見に行こうよ」までになっているので、これを最後に離れたものと思われる。これに伴いこれまで多く関与していた作家陣の大半が離れ、新たな作家陣の起用が増えた。

なお鎌田俊哉はそのまま同年デビューの嵐の担当へ移行したらしく、初期の嵐、特に1stアルバムで98年までのSMAPへ参加していた国内作家陣がやたら多用されているのはこのためと思われる。

NYセッションも終了したため、それまでの生音重視のサウンドプロダクションから当時の時流だったクールな打ち込みサウンドへ移行するもSmappies時代のような一貫性は無く、ややどっちつかずな状態が続いたのがこの時期だ。それでも「らいおんハート」での2度目のミリオンヒット、そして個人の活躍面も目立つようになり、木村の電撃結婚、稲垣メンバー事件も乗り越えたSMAPはついに「世界に一つだけの花」を手にしてオンリーワンの領域に達し、文字通りの国民的存在へと昇りつめた。しかしあまりにも売れすぎた「世界に一つだけの花」の影響は大きかったのか、翌04年は次の一手が打てない(新曲が出ない)という事態に陥ってしまう。04年はSMAP史上唯一新曲が一切リリースされない1年となった(解散理由に直結する形で新曲どころではなくなった2016年除く)。

2016.8.23〜9.6更新

29th 朝日を見に行こうよ
99年1月27日
作詞作曲:安田信二、編曲:CHOKKAKU、mellow session take編曲:佐山雅弘
安田信二が所属したユニット、ミラクルシャドウの97年の楽曲のカバー。安田信二は『003』と『007』で曲提供をしていたことはあったが久々にしていきなりの起用。

前年12月頃にはリリースされるという情報も出ていたが、未定→延期を繰り返して結局年明けに発売された。当時はネットが無いのでCDショップの発売告知だけが頼りだったが、随分前から情報が載ってるのに延々のらりくらりされてヤキモキした(『Smap Vest』なんて1,2年前から情報が出ては消えてたし…)。タイトルからして明らかに「夜空ノムコウ」を意識したようなバラード曲だが、初のバラード「Time goes by」で同時期にミリオンヒットを飛ばしたELTが同日にやはりバラードでもう一度!とばかりに「Over and Over」をリリースしたものの両者共に昨年の大ヒット再現にはならなかった。このときの1位は月9主題歌だったthe brilliant green「そのスピードで」、2位が上昇してきていた宇多田ヒカル「Automatic」で今作は3位、ELT4位。現在は同じ顔ぶれが何年も何年も変わらず居座っているが、当時はサイクルが早くヒットって移り変わっていくんだなぁとチャート見ながら感じた中2の冬…。

歌割は稲垣ソロに始まり、香取と草gのデュオから木村がBメロを歌う。Bメロをカッコよく歌うキムタクという構図は「夜空ノムコウ」を踏襲していたが今作の方がメロディーも複雑でキムタク節も極まったような歌い方をしている印象だ。あれ?中居の声だけ聞こえな…。

「夜空ノムコウ」に比べるとシングルにしてはのっぺりしたバラードという印象で地味。けっこうゴージャスといえばゴージャスなのだがA面にはムーディーすぎた。「夜空ノムコウ」よりも「胸さわぎを頼むよ」に系統が近い印象。大人っぽくていい曲ではあるんだけどそれに気づくにはもう少し聞き込む必要があるし、何より「夜空ノムコウ」とは全く別の曲なので切り離して聞く必要がある。

アルバム『013』ではmellow session takeとして佐山雅弘による全面アレンジ変更が行われた。これまでもこれ以降もアルバムにおけるアレンジ変更はあるが変更っぷりではこの曲がNo.1じゃないだろうかというくらい違う曲へ変貌。外人アカペラコーラスからピアノ演奏と同時に歌が始まり1番はほぼピアノ1本の伴奏だが、2番以降は渋いバンド演奏が加わり、さらにコーラスも盛り上がっていきかなりゴージャスな雰囲気になり、歌が終わってからのアウトロもたっぷりと演奏を聞かせる。Smappiesとは違う形でそれ以上に大人な方向性を打ち出そうという試みが全開。正直当時は行き過ぎている感じで理解できなかったが改めて聞いたら実に上質な味わい。
★★★★☆
12thアルバム『BIRDMAN〜SMAP 013』(mellow session take)
3rdベスト『
Smap Vest

C/W 見えないもの
作詞:相田毅、作曲:寺田一郎、編曲:岩田雅之
これまでの制作陣での実質ほぼ最後の楽曲。Smappies時代のSMAPの王道といえる曲調だが、買ってきて最初に聞いた時点で絶対に初めて聞いた気がしなかった。確かこのサビのメロディーは数年前に野球中継のエンディングでかかっていたものだったはず…。しかし、そんな昔の曲が今更?と疑問は抜けなかったが、ネットが発達してから検索をかけてみるとやはり97年の日テレ野球のテーマ曲だった事が判明。当時かかっていただけで曲名も不明で放置されていた未発売曲を何故に2年のブランクを置いてのCD化だったのか、当時のアルバムにもC/Wにもならなかったのか?「朝日を見に行こうよ」のC/Wが「見えないもの」って狙ったのか?そして何故に2曲とも97年発表の曲で統一されたのか。ちょっぴり大人っぽいミディアム調だが、当時徐々に変革を迎えつつあった中では2年前の曲という事もあって少し前に戻ったような雰囲気である。今作は2曲ともまったりしたイメージ。ただ朝日に透明に重なった5人の顔というジャケはちょっとかっこよかった。そういえば「たいせつ」「恋の形」からC/W含めてこの曲まで4曲連続で全てソロパートは木村・稲垣の2人体制だったな…
★★★☆☆
アルバム未収録

朝日を見に行こうよ

2016.8.23更新


30th Fly
99年6月23日
作詞:ゆかり美和、作曲:野戸久嗣、編曲:岡雄三
心に翼を持った男たち=BIRDMANをコンセプトに掲げて、アルバムと世界観をリンクさせてアーティストっぽさを演出した。SMAPはMVを作らないことも多かったが今作では稲垣が組織に捕まったのをメンバー4人が助けに行くというMVというよりショートムービーに近い気合の入ったものが制作された。なお2年後に本当に稲垣が捕ま当時は今回随分ビシッとした方向性打ち出してきてるなと思っただけだったが、制作陣が一新された事に伴い、気合が入っていたのかもしれない。

クールなファンクナンバーだがこれまでとは質感の異なる渋い大人っぽさが印象的。国内の演奏陣で固めた生のバンド演奏+ホーンセクションによるサウンドメイクも素晴らしく、NYセッションしなくても国内でもこれぐらいの事は出来るとでも言いたげな上質さだ。メンバーも新鮮さがあったのかプロモーション活動においても今までで1番好きとかコメントしていた。

一方で限界ギリギリのサビの高音は木村以外まともに歌えないんじゃないかという勢いで、実際木村のソロパートが異常に多い。1番の前半こそ稲垣のソロパートだが、続けて木村のソロパートでサビ後半の高音部分も木村。2番は前半も後半も木村が歌い通すという異例の歌割。しかし間奏明けのサビではオクターブ下で中居が歌うという予想だにしない展開が待ち受けている。すっかり音痴ネタが浸透して今作リリース時もレコーディングが「15分で終わりました」などと語っていた中居だったが、明確に分かる形で歌っていたのだ。「夜空ノムコウ」ではデュオパート2ヵ所を歌わせてもらえなかったが、この年の紅白ではしっかりとこの部分を歌唱。中居ボーカルを聞き届けて1年を締めくくれたのは感慨深かった。以降ソロパート回しが増えるので珍しくもなんともないが、中居ボーカルを聞いて1年を締めくくれた元年として99年は記録的な年だった。

『013』のhigher takeはアレンジ変更ではなくいわゆるLong Version的なもので2番突入後の全員パートからソロパートまでの間奏が引き伸ばされている。コーラスも増量され、エンディングではそのまんまhigher!higher!と外人コーラス隊がバージョン名を連呼するので最終的にオリジナルより1分程度長い。メンバーのボーカルパートは変わっていないのでメンバーのボーカルはそのままと思われる。
★★★★☆
12thアルバム『BIRDMAN〜SMAP 013』(higher take)
3rdベスト『
Smap Vest

C/W End of time
作詞:坂田直子、作曲:西村一彦、編曲:飯星裕史
キー高すぎなA面とは正反対にかなり低めのキーで落ち着いたAOR風ナンバー。低音で落ち着いた大人っぽさは新鮮だった。木村・稲垣・草gにソロパートがあり、草gのソロパートは少し不安定だが、稲垣の声はこのくらいのキーが1番合っていると思う。そのためか稲垣のパートが多く、稲垣の曲という印象が強い。

また8センチシングルはこれにて終了したが、最後はこれまで違う横開き仕様だった。
★★★☆☆
アルバム未収録

Fly

2016.8.24更新


idea
作詞:Y@SUKIYO、作曲:堀込高樹、編曲:河野伸
キリンジの堀込高樹の提供曲。制作陣が一新されポップさよりもクールさ、デザインの面からも黒のイメージが前面に出たようなアルバムにおいてはとびぬけて明るくポップな楽曲。これまでの豪華生演奏に慣れていると打ち込みサウンドはややコンパクトにまとまっている感じはあるものの、聞いていてかなり気持ちのいいポップ感を味わえる。全員にソロパートがあるのも特徴だが、かわいく歌えという指示でもあったのか、何だか妙に幼い雰囲気を出そうとして変な歌い方を全員がしているように聞こえるのが奇妙だ。特に中居のこの歌い方は…どうした…?
★★★★☆
12thアルバム『BIRDMAN〜SMAP 013

2016.8.25更新


逢いたくなって
作詞:安部純、作編曲:武藤星児
10年代になって48関連の常連作家の1人としても活躍している武藤星児の作家キャリア初期の頃の提供作。以降もちょくちょく登場するがSMAPへの参加はこれが最初だった。ピアノのみの伴奏で、稲垣と中居がほぼ自身の歌唱だけで勝負するというマジ・バラード。この2人の組み合わせというだけで異色だが、音痴ネタ解禁以降の中居はソロ曲は全部ネタのような曲だったし、ソロパートもオクターブ下とかガラガラ声で強引に押し切るとかそもそも出番が異常に少なかったので、ここまでのマジ歌唱をじっくり繰り広げるのは音痴ネタ解禁以降ではこれが初であり、もっと言えば自身のソロバラード「My Childfood Friend〜鏡の中のRadio」以来5年ぶり。リアルタイムで聞き始めてからの初の中居マジ歌唱に当時勝手に盛り上がった。ひたすらがんばれ!意外とうまいぞ!と応援したくなるような中居ボイスの魅力、落ち着いた曲調がメンバー中最も似合うのは稲垣だという事がよく分かる1曲。
★★★☆☆
12thアルバム『BIRDMAN〜SMAP 013

2016.8.25更新


31st Let It Be
00年2月9日
作詞:相田毅、作編曲:Face 2 fAKE
ビートルズと同名の楽曲というのは「ダイナマイト」C/W「Fool On The Hill」に続いてだ。作詞作曲も同じ作家陣となっているので狙ってやったのかも(前回はCHOKKAKU編曲だったが今回は編曲もFace 2 fAKEが担当)。ただ曲調は「Fool On The Hill」とは異なり、クールでカッコいいダンスナンバー。当時は何だかパッとしないというかフツーな新曲だなぁと思ったのが正直なところだが、改めて聞くとイントロからアウトロまでひたすらカッコよくこれはこれで印象的。サビ以外が全てソロパート(Aメロ1は1番は稲垣、2番は草g、Aメロ2は木村、Bメロは香取)になっているところはこれ以前とこれ以降の橋渡しのようでもあるけど、中居にだけソロが無いという…。スマスマ初披露後には中居自ら「僕にだけソロが無い」と突っ込まれるより早く自ら突っ込んでいた。

今作からマキシシングルへ移行。しかしいきなりなんとも味気ないジャケットになってしまい、せっかくマキシになったのになんか手抜き感が漂う。ジャケットにメンバーが登場しないのは「Peace!」や「たいせつ」に続いて3度目だが、「Peace!」は裏ジャケで、「たいせつ」は封入されていたカードにそれぞれメンバーが出ていたのに対して今作は全くメンバーが出てこない。以降そのパターンも増えるとはいえ、あまりデザイン性も感じないし、PVも作らないし…00年1発目、マキシ化1発目なのに味気なさはハンパ無かった。
★★★☆☆

13thアルバム『S map〜SMAP 014
3rdベスト『
Smap Vest

C/W 世紀末
作詞:神山剛、作編曲:K-Muto
いわゆる"宇多田以降"的なR&BとかHIP HOP風味の軽めのトラックによるグルーヴィーなナンバー。未来を心配しつつもTVがいうほど悪くないだろうと楽観思考で今=世紀末を歌う。100年に1度のタイミングだから歌えた世紀末ソングだ。木村・稲垣・香取にソロパートがあり、大サビで香取ソロがけっこう高音なパートを堂々歌いきるところはなかなか気持ちがいい。
★★★☆☆
アルバム未収録

Let It Be

2016.8.26更新


1st 慎吾ママのおはロック
/慎吾ママ
00年8月18日
作詞作曲編曲:小西康陽
中居と香取のバラエティ『サタ☆スマ』の中で香取が扮していた「慎吾ママ」名義での楽曲。コーナー内で連呼していた「おっはー」をふんだんに盛り込んだ楽曲で文字通りに一世を風靡することとなったが、元々テレビ東京の「おはスタ」で使用されていた「おーはー」のパクリであった(香取本人が認めており、半ば事後承諾に近い形で許可は取っていたはず)。同時期に「夏祭り」のイメージがジッタリン・ジンからWhiteberryへ移行する形でヒットしていたが、こちらも同様で本家おはスタのおーはーを上回る勢いを見せ、そのまま「らいおんハート」と並んでロングヒットしてミリオンを突破するなど恐ろしい勢いで一大ムーブメントとなった。まさかそこまでヒットするとは思ってなかったのか、CDジャケットは歌詞中で出てくるマヨチュッチュ、すなわちマヨネーズを直接チューチュー吸い込む慎吾ママの様子を番組VTRから切り取ったざらついて色味もおかしな静止画像をテロップも残したまま使用。

小西康陽によるコミカルな楽曲は非常に覚えやすく、子供達にも幅広く受けたのが効いたと思われる。香取も柔軟な歌声を見せて「慎吾ママ」キャラで元気に歌っているが、わざとなのか維持できないのか歌い方が1曲の中でもかなり異なり、キャラになりきってかわいく元気に歌っていたと思ったら、一部では妙に男らしく声を張り上げたりと1曲の間にキャラブレが激しい

とにかく大ヒットしたという印象が強く、インパクトも絶大だったが、一過性の流行りという感もあり、その後あまり繰り返して聞くことは無かった。名曲というよりかは00年という時代を写したヒット曲の1つといった感じ。この当時小学生以下だとけっこう幼少期の思い出の曲になっているのかもしれない。PVには多くの有名人が出演して「おっはー」を披露しており、PVでしか聞けないオリジナル音声となっていたが、まだDVDがつく時代じゃなかったので商品化されなかったのは残念。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 慎吾ママのおはロック(readymade cliche 524 mix)
リミックスというよりかは別バージョン程度な印象で間奏の台詞が冒頭に配置されたくらいで曲は普通に進行する。ただ「おっはー」連呼のサビのところを加工して高速ループさせるなどいかにもなリミックスも施されている。「早い」という印象のリミックス。
★★★☆☆
アルバム未収録

慎吾ママのおはロック

2016.8.27更新


32nd らいおんハート
00年8月30日
作詞:野島伸司、作編曲:コモリタミノル
草g主演ドラマ「フードファイト」主題歌(九官鳥の声として最終回までシークレット扱いで木村も声だけ出演していた)。大食い対決で毎回敵に勝利するという話だったが野島伸司の脚本ということもあって、主人公草gが後半になると徐々に調子を崩していき死の気配が漂うなどかなり暗くて重い空気もあるドラマだった。最終回ではついに力尽きて死んだかに思われたが、微妙に生存を匂わせて終了。01年4月、9月に続編も2度制作されて、最後のSPではラスボス帝王の欽ちゃんに「私の胃袋は大宇宙だ」と決め台詞までバージョンアップでパクられ(毎回勝利時の決め台詞は「俺の胃袋は宇宙だ」だった)、圧倒的大差で草gが敗北。さらにはこのラスボス欽ちゃんよりも凄そうな草gの妹が存在する事を匂わせるなど伏線張りまくり、そもそも敗北した草gが死にかけているというとんでもない引きで終わってしまった。半年ペースでの続編制作だったので02年年明け前後には続きが見れるだろうと期待していたが、実際に大食いで死亡した者がいたことなどが原因か、それっきりこのドラマは無かったことにされてしまった。

そんな激しいフードファイトの後にエンディングという形で癒しのようにかかっていたのが今作で脚本担当の野島が自ら作詞を担当。文字通りに「夜空ノムコウ」の再来かのように発売前から評判が良くて、2度目のミリオンを一気に達成。秋には木村と工藤静香が電撃結婚を発表し、歌詞の内容がプロポーズ的でもあった事もあって更なる再浮上を繰り返した。2週前に出たばかりの慎吾ママが確変状態でミリオンになっていたが、SMAP本体もあっさりそれを上回ったというのも何気に凄い。

草g主演ドラマなのに何故か草gだけソロパートが存在せず、ラストサビ前のBメロを香取とデュエットしているだけ。ジャケット中央が草gだったし、中居にまでソロがあったのに不可思議な扱いだった。1番冒頭でキムタクが2パート連続で歌っているのでそこを草gに1パートあげればバランス良かったのに…。アコースティックギターみたいな音色のエレピの音色が印象的だが、当時宇多田の出現で本格的にJ-POPがR&B方面に傾いた時期だけに時流に合わせたような軽くてクールなバックトラックでこざっぱりしていて全体的にシンプル。明るいピコピコ系というイメージが強かったコモリタミノルがマジのメロディー勝負、シンプルなアレンジでも聞かせることが出来る優れた作家である事を示した1曲にもなったと思う。

014 Versionではソロパートが全てシャッフルされて5人全員にソロがあるほかコーラス隊によるコーラスパートがイントロ前に35秒程度加えられている。中居が1番と2番のBメロ担当になったのでオリジナルよりも危うい感じもするが、2番の「君のママに出会った〜」のくだりを担当したのが結婚発表の木村なのは何かの偶然なのか。
★★★★★
13thアルバム『S map〜SMAP 014』(014 Version)
3rdベスト『
Smap Vest
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

C/W オレンジ
作詞作曲:市川喜康、編曲:ZAKI
気がつけば「らいおんハート」を凌ぐ勢いの人気を得てC/Wの中では一番有名だと思われる曲。シングル以外どころかシングル曲も半分程度しか把握してないリスナーでもSMAPで好きな曲を聞くとこの曲を挙げがち…というくらいには知名度が高い。リズム隊は打ち込みなのでこざっぱりした雰囲気だが、エリック宮城、中川英二郎、清岡太郎、鈴木明男とホーン隊にはその道では有名な面々を取り揃えている。発売1ヶ月くらいした頃には周囲でも「オレンジ」の方が好きだという評判がじわじわ広がっていたのを記憶しているが、『ウラスマ』収録も大きかったか。続編として02年の「freebird」C/Wの「Song2 〜the sequel to that〜」、03年のアルバム『016/MIJ』収録の「夏日憂歌」もあるが、この曲が強すぎて霞む勢いだし、他のC/Wと比べてもこの曲はズバ抜けている。2曲とも知名度が高いという意味でSMAP最強のシングルは今作だろうか。あと木村、香取、草gにソロパートがあるが、草gだけ「らいおんハート」でソロパートを聞けなかったのでここで聞けて安心した。
★★★★★
4thベスト『ウラスマ
5thベスト『
SMAP AID
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

らいおんハート

2016.8.28更新


ジャラジャラJAPAN〜for the Japanese〜(featuring James Brown)
作詞:鈴木収、作曲:コモリタミノル・James Brown、編曲:コモリタミノル
ファンクの帝王と呼ばれるジェームス・ブラウン(06年他界)を作家兼ゲストボーカルとして招いた楽曲。アルバムにおいては話題作として扱われていたが…。作曲に参加しているとはいえ、コモリタミノル色100%のピコピコ系サウンドなのでファンク感無いしいつもより軽めなノリ。タイトルからしても日本を2回も強調するくらいなのでSMAPの世界にジェームス・ブラウンを召還したみたいな作風。結果的に何だかファンキーなおじいちゃんがSMAPのバックで奇声を張り上げている、ナンダコレ…といったビミョーな印象に…。Smappiesの頃みたいにもう少し相手の色に染め上げた上にSMAPが乗っかる形の方がしっくり来たんじゃないだろうか。
★★★☆☆
13thアルバム『S map〜SMAP 014

2016.8.29更新


愛の灯〜君とメリークリスマス〜
作詞:ERIKO、作曲:堀込高樹、編曲:冨田恵一
アルバム発売のスケジュールが軒並み夏で固定されていたがこの年は秋にずれ込み、ここに来て初のクリスマスをタイトルに持ってきたクリスマスソングが登場。後に登場する「Song of X'smap」「Christmas Night」と並ぶSMAP三大クリスマスソングの1つとなっている。「idea」も良かったけど、今作でも堀込高樹は抜群のポップ性を発揮。温かみのあるクリスマスソングとして毎年聞きたくなる。
★★★★☆
13thアルバム『S map〜SMAP 014

2016.8.29更新


33rd Smac
01年7月28日
作詞:森浩美、作編曲:渡辺未来
デビュー10周年記念作。SMAP MUSIC ANNIVERSARY CDの略でSmacとされている。「Smac」という表記のみで実は「SMAP」と一切記載されていない作品(帯やジャケットも「Smac」のみ)。

ジャケットとブックレット裏の写真はとてもジャケ写とは思えないラフな様子の5人のだる〜い雰囲気、歌詞カード最後間違ってるし(最後のサビの「ヤレルヤ」が「ハレルヤ」に誤記されている)、1曲+カラオケで950円(消費税5%当時)という前作までの100円引きにしかならない暴利(ただし次回作から通常価格1050円が1155円に値上げされた)で、どうにもこうにも手抜き感は漂った。PVは顔の映らないTシャツ姿の青年5人が歩いているもので、Tシャツにメンバーの顔がプリントされていて動くというこれまた微妙な代物だったがまあ作られただけマシだろうか…。

歌詞には過去のシングル楽曲のフレーズが大量に使用され、その程度なら割と他でもあるんだけど、今作では編曲でも過去の楽曲の要素があちこちに引用され、さながら超合体ロボみたいな混ぜすぎなくらい混ぜまくり。バ〜リバリウォウウォウウォーが引用されている「青いイナズマ」、エンディングがまんま引用(しかも3連打)な「Let It Be」、2番の入りでまんまイントロ引用の「らいおんハート」は特に印象が強いが他にも「ダイナマイト」「SHAKE」「KANSHAして」などなど聞き覚えのある歴代シングルのキメのフレーズが続々出てくる。面白い試みだったが、さすがにこれだけの引用連発を1曲にまとめ上げるのは至難であり、そっちに気を取られすぎたのか、メロディー自体はなんとも地味というか盛り上がりに欠ける。というか最早不気味にも思えてくるような複雑怪奇な仕上がりになってしまい、10周年を祝うどころか不穏な空気が漂いまくる事に…。渡辺未来はTOKIOやZONE、YeLLOW Generationなどにもかなり良メロバラードを提供しているメロ重視系の作家というイメージだったが今作に限ってはさすがにその面影はまるでない。一方で音楽的には過渡期に突入していたSMAPの前期と後期を繋ぐかのように、今作ではついにメンバー全員に歌のソロパートが用意されたという部分は記念すべきポイントだ。

ただ発売1ヵ月後に稲垣が駐車違反を指摘されて車を動かしたところ制止しようとした婦人警官に全治1週間のケガを負わせて逮捕されるという、いわゆる「稲垣メンバー事件」が発生。「Fly」のMVでの稲垣が捕まった!が2年後にリアルになっちまっ稲垣のソロパートを誰かが代替わりするわけにもいかなかったのか、逮捕以降はTVでは歌われなかったが、ツアーもあったので4人で活動を継続。年末に4人で最後に出演したMステでは「オレンジ」と『ウラスマ』収録の「雪が降ってきた」のバラードVer.を歌唱、紅白は辞退した。今でも時々稲垣の事を「稲垣メンバー」と呼んだり、グループの誰かが不祥事をおこすとネット上で「○○メンバー」という呼び方をするのはちょうどネット普及時のこの時のインパクトの強さゆえ。これは当時の報道で「稲垣容疑者」とまで表記するのを遠慮しつつも捕まった人をさん付けするのも…となったのか「稲垣メンバー」として報道したというもの。類似する報道呼称として「島田紳助司会者」を筆頭にした「清水ボーカル」「布袋ギタリスト」などもあるが、ジャニーズのスーパー圧力のおかげでメディアが妙に一貫して使用した「稲垣メンバー」が1番インパクトがあったように個人的には記憶している。

『Smap Vest』以降のシングルでは解散までアルバム未収録なままだった曲が多数ありその最初の1曲でもある。10周年記念という触れ込みで発売されたのにあまりヒットしなかった事や(慎吾ママ2ndより10万程度少ない)、稲垣メンバー事件もあったことからいつの間にか黒歴史感が漂うような1曲になってしまっている。実際「Smac」で検索すると候補に「黒歴史」と出てしまうほどで…。
★★★☆☆
アルバム未収録

Smac

2016.8.30更新


2nd 慎吾ママの学園天国-校門篇-
/慎吾ママ
01年8月22日
作詞:阿久悠、作曲:井上忠夫、編曲:小西康陽
SMAP以外のソロ含めた企画作品で同一名義で2作目が出たのは今作だけ。前年まさかのミリオンヒットという空前の大ブームを受けて制作されたと思われるザ・二匹目のどじょう。今回はフィンガー5の「学園天国」におっはーを取り入れてリメイクカバー。新しいメロディで前作のインパクトを越えるのは至難なので既に知られている曲のカバーで二匹目のどじょうを狙うのは面白い考えだったと思う。売上は30万は突破し『Smac』より売れるなど十分にヒットしたとはいえ、教室篇、校庭篇、給食篇…と言った続編がつくられることもなく、番組自体が低迷、迷走の挙句に終了してしまった。慎吾ママというキャラクターもこれにて終了となった。楽曲自体はテンションは高いものの、01年当時に「学園天国」は現代のアレンジにしても少々古さを感じるというか…。1周回る前の1番良くない時期にカバーしちゃった感じが。「おっつー」(お疲れ様の意味)とかさりげに派生形も提示したみたものの全然流行らなかった…。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 慎吾ママのおはロック音頭
作詞作曲編曲:小西康陽
新作ではなく前作「慎吾ママのおはロック」のリアレンジバージョン。なんとあれを無理やり音頭にしてしまった超絶楽曲。トラックを音頭っぽくして、エラヤッチャエラヤッチャとかヨイサとか終始合いの手が入り続けるいう改変を施して強引に音頭っぽい雰囲気に。アップテンポのままなのでなんだか忙しなく、実際にこれに合わせて太鼓とかお囃子とか入れたら演奏するの凄い疲れそう。
★★☆☆☆
アルバム未収録

慎吾ママの学園天国-校門篇-

2016.8.31更新


34th freebird
02年5月15日
作詞作曲編曲:シライシ紗トリ
01年末のスマスマのクリスマスSPではついにあの男が!と散々煽った挙句に稲垣潤一が登場。「稲垣です」と名乗る潤一に中居がそっちじゃないとツッコむというお約束みたいなネタを披露して「クリスマスキャロル〜」を歌うというネタみたいな展開もあったが、既にそんなギャグをかますくらいの余裕が出来上っていた状態で満を持して稲垣は年明け02年になって復帰。スマスマでは「BEST FRIEND」(2001 version)を歌いながら盛大に復活して絆を深めるなどまさに感動の復活劇だったが、それから5ヶ月してようやくリリースされた新曲。98年から続いていた年2枚ペースも気づけば年1になってしまっていた。

今作はORANGE RANGEのプロデューサーもしていたシライシ紗トリが担当。ラップともメロディーともつかぬAメロに始まる辺りは当時のトレンドっぽいが、Bメロも含めて全員でソロを歌い繋いでいくという個を強調した楽曲。軽やかな雰囲気で非常に開放的でさわやか。また新たなSMAPを提示した楽曲になったと思う。香取→草g→稲垣→サビ。木村→稲垣→中居→サビ。間奏明け中居サビ→サビ。ということでこれまでかなりソロが多かった木村の1強状態が今作以降本格的に解消した。これに伴ってか木村がゲッチューや渋滞のタクシーなどでイメージされるようなグイグイ歌い上げるような目立つ歌い方をしなくなっていく。今作では復帰した稲垣…でなくなんと中居をフューチャー。当時は衝撃が走った。ソロパートがあるだけならまだしも間奏明けで音数が少なく、ボーカルが際立つサビを中居ソロにするとは「君色思い」以来じゃないか。紅白では多少外し気味だったが、この展開は非常にワクワクした。
★★★★☆
14thアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!
5thベスト『
SMAP AID
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

C/W Song2〜the sequel to that〜
作詞作曲:市川喜康、編曲:知野芳彦
この曲、何故にタイトルが「2」なのかパッと聞きは不明なのだが、名曲「オレンジ」に続く市川喜康の提供で「オレンジ」の続編だからと思われる。別れてしまった後に、別々の道を歩き出すことを歌っているのだが、「オレンジ」で別れた後の思いを歌っているように思える。また最後に鍵カッコ付で歌われている『雨上がりの街に〜』と『そして街も暮れ逝く』の2文。「オレンジ」では「イタズラな天気雨」が降っており、舞台は「今日の夕日のように」と夕暮れだった。曲の方も名曲っぽい雰囲気が漂う。実際かなりいいメロディーだが、どことなく地味でもあり「オレンジ」ほど1回聴いて名曲!という雰囲気ではない。
★★★☆☆
アルバム未収録

freebird

2016.9.1更新


愛の唄〜チョンマル・サランヘヨ〜
/チョナン・カン

02年6月26日
作詞:つんく、韓国語訳詞:チョナン・カン、作曲:つんく、編曲:鈴木Daichi秀行
草g剛の初ソロシングル。メンバーそれぞれが個性を打ち出す中で「いいひと」以外の特徴があまり無かった草gは、バラエティの企画もあり名前のハングル読みである「チョナン・カン」として活動を開始。韓国語を習得して、韓国で一躍人気を得た。「冬のソナタ」が日本で放送されて人気になったのは03年以降なので、いわゆる「韓流」よりも先だった。韓国ブーム以降にスマスマにも韓国スターが来るようになったり、音楽番組で共演することも増えたが、草gだけが韓国語で相手と会話して通訳をしたり、盛り上がりすぎて周囲が放置されるという光景もよくみられるようになった。

楽曲は当時のハロプロ制作陣によるものでそのままハロプロ仕様。作詞はつんくの日本語詞をチョナン・カンがハングル訳したものとなっているが、そもそもの日本語詞が異様に単純で簡単であり、サビにいたってはUhとかAhとかWowを除くと「愛してる」だけなため、「サランヘヨ」を繰り返すだけ。それ以外も単語の繰り返しを多用した簡単なものとなっている。草gがハングルを習い始めたのは01年と言われており、韓流スターと通訳なしで会話するようになっている現在ならもっと複雑な曲でも軽くいけるのではないかと思われるが、学習1年ではまだそこまで達者じゃなかったと思われ、つんくが気を遣ったのだろうか…。何だか拙く聞こえるのは単純に歌唱力がいっぱいいっぱいだからだろうけど。いずれにせよハングルへの入口としては実に覚えやすい曲になった。ただ当時のつんくがハロプロでもやたら連発していたHIP HOP風のうるさいオッサンコーラスが随所で連発されるが入れ方が毎回同じなので「またこれか」感がハンパなかった。
★★★☆☆

C/W 愛の唄〜チョンマル・サランヘヨ〜(A COOL BOY REMIX
Remied by Todd Okawa
高速改変したリミックス。いかにもなリミックスという以外にはあまり特筆することが無いリミックス。
★★☆☆☆

愛の唄~チョンマル サランヘヨ~

2016.9.2更新


GO NOW!
作詞:立田野純、作編曲:松原憲
R&BブームからHIP HOPブームも混ざってきて形成された当時の時流であるラップ風味でクールな方向性を押し出した楽曲。というか当時CHEMISTRYがやってた「FLOATIN'」みたいな路線をそのままやったような感じ。派手さは無いんだけどこのクールなスピード感がけっこうクセになる。これまで以上のソロパート回しも含めて現在へ通じる方向性が定まってきたようにも感じられ、後期SMAP始まりの1曲という印象も強い。
★★★★☆
14thアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!

2016.9.3更新


番外編
缶飲料 Drink! Smap!
アルバムのジャケットに描かれている缶ジュースは架空のものではなく、アルバム発売に合わせて実際にキリンから発売。秋ぐらいまでだったと思うけど、コンビニやスーパー、キリン系の自販機でも普通に売っていた。人々がこぞって独特の味だと感想を述べていたが、本当に独特の味だったように記憶している。当時の印象は炭酸にしたアセロラが1番近いけどもうちょっと苦味というかシロップ系の薬っぽい風味もある…といったもの。マズイとバッサリな友人もいたが、マズイのとはまた違い、うまくはないんだけどあまりに不思議な味なので何故かもう1度飲みたくなる…そしてもう1度…と結局1度2度ではなく、10回までは行かずとも5,6本は当時飲んだように記憶している。

2016.9.3更新


世界に一つだけの花
作詞作曲編曲:槇原敬之
14thアルバム『SMAP 015/Drink!Smap!』に槇原敬之が提供したオリジナルバージョン。当時から人気は高かったようだが、アルバム自体がいつも通りの30万そこそこの売上だったのでアルバムまで聞いているSMAPファンの間で評判が高かった程度で一般には知られていなかった。年明けの草g主演ドラマ『僕の生きる道』主題歌に起用され、一気に注目を集める事となった。シングルカットが3月だった事もあり、ドラマで使用されていたのは最終回前まではこのバージョン。シングルが出るまでは『SMAP 015/Drink!Smap!』が再ヒットしていた。

このオリジナルバージョンは1番は木村→草g→稲垣→香取・中居でサビ(「セロリ」2番Aメロ並に香取強め)、2番は稲垣→中居→香取→木村・草g・稲垣でサビ、木村(小さい花や〜♪の部分)→全員、というシングルとは全く違う歌割になっていて、全員で歌うのは最後だけ。演奏もラララ歌唱のままフェードアウトする。また全員の歌い方が槇原敬之を意識したかのような澄んだ歌い方をしているのも特徴的。特に歌いだしの「花屋の店先に〜」部分の木村は本当に一瞬槇原敬之かと思うほどソックリ。

個人的にはこのオリジナルの方がオケが強調されていて輪郭がくっきりしているように聞こえるし、このバージョンの方が槇原敬之っぽいと思う。派手すぎず、普通のポップナンバーとして聞くことが出来るのでこのバージョンが1番好きだ。ソロパート編成もこのバージョンの方が安定感がある。
★★★★★
14thアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!

2016.9.4更新


35th 世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)
03年3月5日
作詞作曲編曲:槇原敬之、ストリングスアレンジ:門倉聡
草g主演ドラマ『僕の生きる道』最終回直前になってようやく待望のシングルカット。このため実はドラマで使用されたのは最終回だけである。待たせただけあってCD不況だCCCDだ!と業界が明後日の方向で躍起になり、ますますCDが売れなくなる悪循環に陥る中で初動だけで60万枚を突破し、一挙品切れ状態となった挙句に年末に紅白出演後には1位に返り咲くなどとんでもない事になり、200万枚を突破する空前の大ヒットを記録した。今作には密かに初回盤が存在し、初回盤はCDレーベル面の花がカラー仕様(ジャケット下に咲いている花と同じカラーデザイン)。以降はレーベル面はコストダウン白黒仕様となっている。

シングル・ヴァージョンという表記は帯の裏の曲目及び発売当時袋に張り付けられていたドラマ主題歌である事を示すシールに記載されていたのみで、ジャケットや背文字部分には「世界に一つだけの花」としか表記されていなかった。歌詞カードでのみSingle Versionという英字表記になっていた。SMAPのシングルの帯裏のカラオケバージョン(music track、back trackなど名称は安定していない)の表記は通常英字表記だが、今作だけカタカナ表記になっていたため、今作限定のカタカナ仕様であり、正式な表記は英字表記かと思われたが、『SMAP AID』収録時もカタカナ表記なのでカタカナが正式表記という事になった模様。

槇原が当時オーケストラライブで起用していた門倉聡によるストリングスアレンジが施された。基本アレンジは同じだが、ストリングスが全体を覆ったことで、かなりスケールが増している一方でオリジナルに比べると全体にふわっとした感じも。またオリジナルでは最後に出てくるフレーズ「No.1に〜♪」の部分をド頭にも追加、エンディングも完奏する形に変更されているのでオリジナルよりも演奏時間が長い。

発売を引っ張ったくせにMVを制作しなかったため、発売からしばらくスペースシャワーTVやViewsic(現在のM-ON!)などCSのランキング番組ではMVが無いと曲を流せないので空前のヒット作にも関わらずOAされないというねじれ現象が発生。CDTVやMステなど民放各局はサビ程度だけ流せばいいし、TV出演時の映像や同時発売されていた『Smap! Tour! 2002!』のライブ映像(当然アルバムバージョン)を使用していた。ただライブでもシングル・ヴァージョンで披露されたMIJのライブ映像が出来上がってからはCS番組ではそれを使用してランキング入りさせていた記憶がある。

サビは全員歌唱になり、ソロパートも全て変更され、草g主演ドラマ主題歌という事もあってか最後のソロは草gになった。オリジナルだと共に木村が担当していたAメロ歌い出しと最後の部分が中居と草gになったのでどうしても危うくなった感じはしてしまうか…。歌い慣れたのかそれぞれの歌い方をしているが、個人的にはオリジナルのソロ編成や統一された感じの歌唱の方が好きだった。

文字通りの国民的愛唱歌となり、誰もが歌えて、うちの祖母までもが、この曲だけでなくSMAPの顔と名前が一致するようになっていたので本当に国民的存在になったんだなぁ…と実感した。同時に「国民的」が常につきまとうようになって、以降音楽的にはドン詰まりになった(ひたすら豪華提供路線を続ける)のも元を辿ればこれがきっかけだったのかも。

また売れすぎたゆえに早くから歌詞の矛盾に関する指摘、綺麗ごとすぎるといった批判も噴出していた。No.1とオンリーワンの違いを突き詰めると結局一緒になってしまうのではないかという事や、花屋に並んだ時点でそれは競争を勝ち抜いた勝ち組の花なのだから綺麗で当たり前なわけで話にならないといった2点が批判ポイントの定番としてよく挙げられる。花屋の花は既に勝者説は正直それを言ってしまえばどうしようもないが(汗)、特にNo.1よりオンリーワンというのは徒競走で順位をつけるのを止めにした小学校とか色々な「?」が生まれる原因にもなったが、元々最後に出てくるフレーズだったのを最初に持ってきて最後にもう1回という形にして強調したので、オリジナル時よりもこのフレーズが独り歩きするほど目立つ事になってしまいこれが曲解を招く要因になったと思う。言葉以上の深い意味は無いはずが、プロリスナーやプロ評論家みたいな人たちがスゲー勢いでNo.1とオンリーワンについて論じてたもんなぁ…。

付随して就職氷河期が続いていたので、この曲が嫌いになる就職前夜の若者も多かったと思われ、実際に自分より少し年上の80年生まれ前後の世代(ヒット時にちょうど就職活動から新社会人期に当たる世代)に妙にこの曲が嫌いな人が集中しているような印象が個人的にはある。確かにお祈りメールの後にこの曲を聞く気にはならないし、学生生活が終盤に差し掛かり社会の厳しさを目の当たりにした時にこの曲はとても白々しく見えてしまう事もあるのは数年後に自分も実感する事になった。花屋の店先に並ぶ段階に達してないじゃん自分…とむしろ余計落ち込む勢い。

槇原自身の当時の作風を考えると恐らく歌詞を突き詰めて考えると矛盾が生じる事に関してはそこまで深く考えてない。過剰な競争社会に対して救いになるような歌として機能すればそれで良かったはずで、問題なのは過剰に反応してNo.1よりオンリーワンだからと競争自体を過剰否定するようになったり、それとは真逆の曲解で所詮競争に敗北した負け犬の歌だとやさぐれたり、ついには次元の彼方へ解釈して反戦歌にしてしまったりした大人たちにあったと思う。また理想論だとしても理想は綺麗なままでいいじゃないかとも思う。深く考えずに聞くべき曲であり、大好きな曲だ。
★★★★★
5thベスト『SMAP AID
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

C/W 僕は君を連れてゆく
作詞:工藤哲雄、作編曲:都志見隆
何故か初期TOKIOを手がけていた作家のコンビによる制作曲。何故ここでこの起用方針だったのか謎すぎるが、初期TOKIOのような時代遅れな作風ではなく普通にいい曲。聞いてる間は意外といいんじゃないの?とも思うんだけど表題曲の印象が強すぎるせいか、あまり印象に残らない…。それでもダントツ最大ヒットシングルのC/Wというアドバンテージは大きかったのか『SMAP 25 YEARS』でついにアルバム初収録となった。
★★★☆☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

世界に一つだけの花

2016.9.4更新


世界に一つだけの花(organ version)
編曲:上杉洋史
シングルカットから4ヶ月後、シングルなしのまま発売された唯一のアルバム『SMAP016/MIJ』のDISC-2、5人のソロ曲の後に最後に収録された別アレンジバージョン。2番をカットしたスローテンポのバージョンで、最後のラララ歌唱以外はソロパート回し。あくまでオリジナルありきの別バージョンといった感じ。まだオリジナルやシングルを持ってないリスナーがオリジナルの代わりとするのは厳しいというか。なおクレジットをよく見るとアレンジャー上杉のプログラミングとキーボード表記、さらにベース、ギター、バイオリンはクレジットされているが、organ versionなのにオルガンの演奏クレジットが無い。確かにオルガンっぽい音色から曲が始まるが終わってみればそんなにオルガン色強くないし、普通にバラードバージョンとかならまだしもこれで何でorgan versionなんていう名称になったのか謎だ。
★★★☆☆
15thアルバム『SMAP 016/MIJ

2016.9.4更新


SUMMMR GATE
作詞作曲:井手コウジ、編曲:米光亮
シングルなしのまま全曲新曲でリリースされた『SMAP016/MIJ』のMIJはMade In Japanを意味し、作詞作曲編曲から演奏陣まで日本製にこだわる徹底ぶりだった。比較的新しい雰囲気が続いていた中で、あえてアイドルの王道に挑んだような打ち込みのサマーポップチューン。これ以降は何をやっても誰が提供しても何をやってもSMAP路線へ本格突入する。シングル曲が無い中でのアルバム発売だった事もあり、実質リード曲的な扱いで、これまでのアルバム1曲目(インスト除く)の中でも知名度も高い方だと思う。
★★★☆☆
15thアルバム『SMAP 016/MIJ
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

2016.9.5更新


ススメ!
作詞:多田琢、作曲:TAKUYA、編曲:田辺恵二
TAKUYAは元JUDY AND MARYギタリスト。翌04年TBSのアテネオリンピックテーマ曲に起用され、以降解散までTBSオリンピックテーマ曲を毎回担当するようになった。ポップな合唱系応援歌。当初04年9月に『ススメ!GOLD盤』というタイトルでシングルカットされるという発売情報が流れたが中止になってしまった。2連続でシングルカットになってしまう事、さらに「世界に一つだけの花」の後では何を出してもコケたように見えるのは明白だったとはいえ、何がGOLDになるのか聞きたかった気はするし、シングルになっていたら更なる人気曲になっていたと思う。
★★★★☆
15thアルバム『SMAP 016/MIJ
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

2016.9.5更新


Wonderful Life
/&G

04年3月10日
作詞作曲:市川喜康、編曲:小西貴雄
稲垣吾郎の実質2枚目のソロ作品。以前のソロが失念されており、初のソロシングルと言われたりもした。草g主演ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」主題歌として当初クレジットなしの謎の曲としてオンエアされた。曲調はSMAPっぽかったものの、なんかこれ全部稲垣の声しか聞こえなくね?という中で「&G」というアーティスト名が公開されるも稲垣とは明言せず。ジャケットでは顔がピンボケだがあまりにドアップ過ぎる上に特徴的な輪郭や髪型でさほどファンじゃなくても稲垣だと分かるようになっており、TV出演が開始される頃には変装もせずに稲垣吾郎そのままで出演。しかもMステ出演時には昔の話をした際に6人だったことを話したと思ったら突如「森君元気?」と思いっきりカメラ目線で私信を送るといった突飛な行動に出てある意味で曲よりもインパクトを残した。

人気曲「オレンジ」の市川喜康による期待を裏切らないSMAPファンが好みそうな楽曲だけに、普通にSMAPの新曲として用意したものと思われるが「世界に一つだけの花」の次という状況で異様に慎重になっていたのか、その結果がこの謎のソロ展開だったのか。結局04年は初の新曲ゼロに陥った。別にSMAPで歌っても何ら問題は無かったと思うというか、稲垣1人で唐突に歌ってそれっきりでソロ終わりというほうがよっぽど不自然だった。

とはいえなんだかんだ稲垣の声質が最も良く響くところで作られている印象で、小難しく理屈めいた歌詞も稲垣のキャラクターになんとなく沿っていた。結果的にソロ曲としても綺麗にハマった楽曲だったし、個人的にもけっこう好みな曲調だったのでSMAPとしてリリースされないモヤモヤはありつつも、翌05年の迷った結果それ?というシングル群に比べても好きな1曲。
★★★★☆
アルバム未収録

C/W 平和の歌
作詞作曲:KAN、編曲:中西亮輔
ソロシングルのC/Wは大概リミックスだったが今作ではちゃんともう1曲用意。しかもKAN提供。ちょっと懐かしい雰囲気が漂う安定感のあるポップソング。地味ながら佳作的な1曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

Wonderful Life

2016.9.6更新


HATTORI3(参上)
/ハットリくん
04年8月25日
作詞:藤子不二雄A、作曲:菊池俊輔、編曲:近田春夫・山岸大輔
香取のソロ4枚目。昭和の人気アニメ「ハットリくん」の実写版「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」に香取が主演し、キャラクターのままリリースしている。今回はアニメ版主題歌として有名な「忍者ハットリくん」のカバー。しかし普通にはカバーせず、タイトルは言葉遊びを導入して改変。楽曲は何故かHIP HOPになってしまい、最初からリミックスかサンプリングのようなトラック重視の微妙な出来に。しかもメインメロディーは終始コーラス隊が合唱しており、ハットリ君(香取)はラッパー気取りで平メロをラップしているが、ちゃんと歌わずにすぐに主メロを外れてしまい、叫んだり、イエスとかヨーヨー、イェとかラッパー風の掛け声を入れまくる。香取の音域にキーを合わせることもしなかったためと思われ、これを普通に歌うとキーが香取の音域よりも若干オーバー気味で恐らくけっこうキツイんじゃないかと。

そんなわけで何とも不気味な怪曲に仕上がってしまった。映画自体は香取の強い意向で、監督が当初入れる予定の無かったハットリ君のほっぺたのうずまき模様を実写でも再現。アクションをカッコよく見せるスタイリッシュさに対して見た目の間抜けさが混在する何とも言えない仕上がりだったのを記憶している。ハットリ君が親交を深める小学生ケンイチを演じたのは後のHey! Say! JUMPメンバーとなる知念侑李だったというところに時の流れを感じる。
★★☆☆☆
アルバム未収録

C/W HATTORI3(参上)(What's up?への字口Mix)
remixed by 近田春夫・山岸大輔
元からリミックスみたいな曲をさらにリミックスした結果、ついに歌が入っていないという謎トラックに…。映画はそれなりにヒットを記録したものの、今作は12位に終わり見事にコケてしまった。ただ今作に関しては他のソロシングルと比べても最初から売る気が無かったよなぁ…。
★☆☆☆☆
アルバム未収録

HATTORI3

 

戻る