the FIELD OF VIEW 20周年 全曲レビュー〜後期ZAIN時代 2001-2002+〜

2月に「Truth of Love」をリリースしたわずか3ヶ月後、ZAINへ出戻りするとともにバンド名を「the FIELD OF VIEW」へ改めると発表。どうやら改名に対する強い動機やこだわりは無かったようで、移籍に伴う大人の事情だったと後に説明されており、本人も半ば忘れているほど。ビジュアルイメージも一新し、浅岡が茶髪になったり、小橋が金髪になったりし、全体的にアダルトで暗いイメージへ変化した。まっすぐで明るくさわやかという最大の持ち味を捨て、さらにバンドサウンドも捨て、メンバー4人がどこまで参加しているのか不明な打ち込み全開のサウンドという激変っぷりと非売れ線な展開に戸惑うファンが続出。さらにこのイメチェンしすぎなシングルを2枚出したと思ったらあまりにも不振だったせいかそのまま1年放置状態となってしまう。アルバム制作中とも伝えられていたが、02年初夏になって年内解散を発表。当時既に同レーベルの先人たちの多くがリリース停止のち放置or解散事後報告になっていたことも知っていたので、tFOVもついになのか…と薄々思ってはいたけどやはりショックだった。

当時解散の事後報告が多かったこのレーベルにおいては、解散ベスト、解散PV集(初の映像作品)、そして解散ライブまでもがバッチリと行われるという異例の展開になったのは嬉しかった。公式には追加公演の12月1日赤坂BLITZでのライブが本当のラストだったが、DVD化されたのは当初予定されていた大阪・東京での2公演のうち東京公演となる11月28日の模様。

その後2012年のBEING LEGENDツアーの最終公演が11月28,29日だったので、メンバーは「ちょうど10年前に解散した」と連呼。12月1日公演が失念されるばかりか、12月1日公演のみにゲスト出演した安部潤までもがつられてしまい「10年前の今日(11月28日)、僕も参加した」などと発言。嘘つき大会状態になってしまったのは哀しかった…。

なお大人の事情ゆえかtheがついていた事はメンバーはおろか会社側でさえあまりこだわりがないようで、the FIELD OF VIEW名義で発売されたのは解散までの作品に限られ、解散から1年も経たない翌03年夏にat the BEING studioシリーズでベスト盤が発売された際は早速FIELD OF VIEW名義に戻っており、その後の企画ベスト、BEING LEGENDにおいても「the」は完全消失。そしてBEING LEGENDではFIELD OF VIEW名義にはなっていたものの、浅岡雄也の公式な見解では完全な再結成では無い(小田孝がいない、日によって参加しないメンバーがいるなど)とされている。

またFIELD OF VIEWの略称はFOV(フォヴ)だったが(FC名がF・O・V placeでフォヴプレイスとフリガナも振られていたので公式の呼び方である)、theがついてからはtFOVが略称となった。これも公式表記であり、移籍1発目の「夏の記憶」から早速tFOVと記載されていた。流行ってた時期だけのにわかじゃなくて私は今も応援しているぞ!という意思表示を込めてなのか、当時のネット上では改名後FOVではなくわざわざtFOVと表記するリスナーが多かったように記憶している。

※2015年分割、解散後の未発表曲を追加

18thシングル 夏の記憶
01年5月30日
作詞:小田佳奈子、作曲:猪島庄司、編曲:新津健二&池田大介
前作からわずか3ヶ月だったがビジュアル及び曲調は全然違う方向に。タイトルから期待していたさわやかなイメージはまずジャケ写の時点で嫌な予感に変わる。地下道で撮影された緑がかったどんよりした色合い、スーツを脱ぎ捨てているのはFOV時代後半にもあったけど、浅岡がボッサボサの茶髪(ソロ含めてもここまでイメージと違うのはこの時だけ)、小橋にいたっては長髪から短い金髪へと変貌。新津が単独で参加したというアレンジは超どんよりした陰鬱な空気を放っている。大人な雰囲気というかじっとりと暗い。これでは夏の記憶ではなく「梅雨の記憶」じゃないだろうか…。打ち込みっぽいサウンドゆえに、PVでスティックを持って座っている小橋の姿はなんか哀愁が漂っているようにさえ感じた。PVでも「冬のバラード」以降イメージシーンがメインになってきており、今作でも4人が立ってるだけとかそういうイメージシーンのみでフルで持たせているが、あまりに絵が無かったのか、終盤では真顔で並んで立っているメンバー4人が全員で歌唱しているというシュールかつ謎すぎるカットも。とにかく今作はなにもかも衝撃で、FOVはC/Wやアルバムでも期待外れの曲はほとんどなかったと思っていたが、初めてハズレだと正直思った。聞き込めばそれなりに味は出てくるものの…FOVじゃなかったら好んで聞かなかっただろうなぁこの曲調は…。
★★★☆☆
3rdベスト『Memorial BEST〜Gift of Melodies〜

C/W きこえるかい
作詞:浅岡雄也、作曲:浅岡雄也&小田孝、編曲:the FIELD OF VIEW&池田大介
tFOV名義での浅岡作詞はこれが唯一。提供されない限りは浅岡作詞は鉄板だったが、解散に先駆けて作詞から撤退してしまったというのは地味に驚きだ。こちらは編曲がバンド名義なので多少はバンドサウンドっぽい感じになっているものの、さらに暗い陰鬱全開ソング。舞台設定は「降り止まない雨」と冒頭から歌われてこれまたじめじめと梅雨のにおいが漂うが、今作ではさらに「生命に終わりを告げた」という「あなた」へ、向けて「きこえるかい」と死んでしまった大切な人へ向けて歌われている。全曲中もっとも暗くダーク。発売当時、祖父母もみんな元気で小学1年生の頃にひいばあちゃんが亡くなったくらいしか葬式の記憶が無かったので、あまり身近な人の死に実感が無かった事もあるんだけど、03年に祖父が亡くなり、初めて身近な死に触れてからは少し違って聞こえるようになった。悲しみから抜け出そうと思うんだけどどうにも抜け出せない、もう少し時間がかかりそうだという心情にピタり当てはまるような楽曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 夏の記憶〜Acoustic version〜
theがついてからは3曲目に別バージョンが収録されるように。今作に関しては元の曲がアコースティックギターメインだった事もあり、よりアコギ色が強くなってアコギが重なってるなぁ程度であまり大きな変化がない。
★★★☆☆
アルバム未収録

夏の記憶


19thシングル 蜃気楼
01年7月25日
作詞:高森健太&Jane-F、作曲:高森健太、編曲:新津健二
わずか2ヶ月でリリースされた改名後第2弾。不評だったのか浅岡の髪型は早くも元に戻っているがPVでは…。今回はついに新津健二が単独編曲。

解散ライブのパンフレットにて新津はFOVに加入するまで洋楽しか聞いてなくて、加入に当たってはその時点までのFOVの曲を聞いたがどこがいいのか分からず、このバンドはもっと違う曲が似合うんじゃないかと思ったと赤裸々に語っている。そして、でもダメだった、できるものと良いものは違うということが分かったとも語っている。FOVで学んだ事は音楽の良さをそのアーティストの身になって考えられるようになった事だというニュアンスで答えている。このインタビューでは、学生時代に新津が合唱部に入っている男子を男ならバンドだろうとからかって怒られたことがあるとも語っているが、その考えは根本では変わっていないようであくまで「その音楽が好きな人の身になって考えられるような柔軟性が出て来たと思う」で締めくくられている。「CDでーた」の解散時コメントでも好きな曲や思い出を各自が答えている中で「思い出になってないので答えられない」、「今の時点でこれがいちばん、というのはありません」と1人だけ回答せずにバッサリ。最後のコメントも「いつかいい思い出としてよみがえる日まで…ありがとう」と、ファンへの感謝の念はこめながらも、theがついてからは単独でアレンジを手掛けてるほどサウンド面での中心を担っていた割にはなんだかファンへは感謝しながらもあまりバンドへの愛を感じられず、音楽性がそもそも最初からかけ離れていたことが露呈するばかりのコメントが目立つ結果に。

今作発売当時はまだこれらの発言前なので分からなかったが、解散時の一連のコメントがけっこう個人的にはショックで、それを踏まえて聞くとこの一連の新津編曲作品群が、彼が思っていた向いてると思ってやってみたけど「でもダメだった」という方向性なのか?という気もする。今作ではさらに打ち込み全開。「蜃気楼」というタイトルや相変わらず暗いジャケットからして期待はしていなかったので今回は前作よりは衝撃が少なかった。テンポがアップしているが、歌詞のほうも少し優柔不断で嫌な男が主人公になっていてこれまでとは違う。前作よりはどんよりしてないのでマシかなといった感じではあるが…。PVでは無謀にも演奏シーンを入れている。演奏はしているのだが、曲とは全く合っていないというチグハグな雰囲気がなんともいえない。
★★★☆☆
3rdベスト『Memorial BEST〜Gift of Melodies〜

C/W 愛しき人よ
作詞:小橋琢人、作曲:小田孝、編曲:the FIELD OF VIEW&池田大介
theがついてからの4曲の中では最も聞きやすいバラード。大人っぽくて相変わらずスローな雰囲気はあるんだけど、ここまでの3曲に漂っていた暗さよりも少し美しさを感じられる。また何故かここから「ながれる雲」以来となる小橋が作詞担当になった。もう完全に打ち込みにしか聞こえない軽いサウンドに仕上がっていて、ドラムの出番がないので作詞で参加したかった…わけではないと思うが…。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 蜃気楼〜Acoustic version〜
前作は本当にアコースティックギターメインだったが、今作ではアコースティックギター、キーボード、パーカッション辺りのような音で構成されたアコースティックスタイルでのアレンジ。打ち込み全開の原曲よりはアコースティックコーナーっぽい演奏なのでむしろライブでやる機会があれば(「蜃気楼」はライブでは1度も演奏されなかった)、こっちのバージョンで披露されたのではないかとも思う。
★★★☆☆
アルバム未収録

蜃気楼


20thシングル Melody
02年7月10日
作詞:小橋琢人、作曲:小田孝、編曲:新津健二
アルバム制作中という情報はあったが、1年経過してようやく入ってきたのは解散という衝撃の事実。ラストシングル、ベスト、ライブが発表され、今作も帯に「フィールド・オブ・ビューからの最後のメロディー」(「ザ」が無ぇぞ)とラストシングルを大々的に打ち出して発表された。浅岡以外のメンバーが分担で曲を手がけるという最後にして新スタイルで発表された今作は、ファンが待ち望んでいたさわやか路線。だが、アレンジャー新津はバンドサウンドに全くといっていいほどこだわりを見せず今作も打ち込みのような浮遊感のある不思議サウンド。「君がいたから」へのオマージュかのように初期でよく聞かれたギターサウンド(チャカチャカチャッカ、チャラ〜♪っていうやつ)も導入されているところは粋な演出だ。まあこの曲に関してはさわやかさはあるし、有終の美のような雰囲気があるのでバンドサウンドじゃなくてもそれを補って余りある良さを感じた。PVでは過去の映像をふんだんに盛り込んでいてより集大成っぽさが感じられるが新たに撮影された映像では相変わらず4人とも佇んでいるだけでバンドとしての演奏シーンは無し。ラストライブでも重要な位置を締めたこの曲だがオーケストラと生のバンドサウンドによる迫力はまた違った魅力があって良かった。ただ間奏のギターソロはライブでは何故かギターでは無くストリングス隊が奏でていたのが地味に謎。
★★★★☆
3rdベスト『Memorial BEST〜Gift of Melodies〜

C/W アンダンテ
作詞:小橋琢人、作曲:浅岡雄也、編曲:the FIELD OF VIEW&池田大介
「愛しき人よ」よりも美しい雰囲気のあるバラード。軽い打ち込みっぽいサウンドはもうバンドサウンドは披露しない彼らのこだわりなのかは不明だが…。4人組バンドとしての姿は全く見えないけどまあ曲に合ってればいいのか。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W  Melody〜Everlasting version〜
前2作とは異なり、音を削ぎ落としまくって、簡易なリズムとギターとコーラス等、最小限シンプルにしたリミックスのような別バージョン。こういう軽いリズムが流行りまくっていた02年っぽい感じはする。メロディーの綺麗さが印象に残る。
★★★☆☆
アルバム未収録

Melody


gift
作詞:小橋琢人、作曲:小田孝、編曲:新津健二
解散ベストに収録された最後の公式新曲。同時期に小松未歩が5thアルバムで同じタイトルの曲を発表していたのでまさか最後に提供曲?という不安を一瞬感じたが「Melody」同様に浅岡以外の3人が作詞作曲編曲を分担したオリジナルだったので安心した。相変わらずバンド感はない、打ち込みっぽいサウンド。"愛してます"とファンへの感謝を歌っているようなのに何故こんなに物悲しいのだろうか…。「Melody」同様に解散ライブで披露された生音バージョンこそがこの曲の完成形であったと思う。
★★★☆☆
3rdベスト『Memorial BEST〜Gift of Melodies〜


gift〜my dearest〜
作詞:小橋琢人、作曲:小田孝
アルバムラストに収録された別バージョン。アレンジ表記が無くなっており、ピアノとボーカルのみ。雑踏の音がバックに入っている1番と2番以降で空間が異なるミックスになっている。より歌詞とメロディーを噛み締める事ができるが、オリジナルよりもさらに物悲しい。さわやかな王道FOVで締めてほしかったという気もするけど(解散ライブではそれが実現)、なんかもうこれ聞くと完全完結完全終幕って感じなんだよな。
★★★☆☆
3rdベスト『Memorial BEST〜Gift of Melodies〜


解散後に発表された未発表曲&未発表音源

解散後に発表された未発表曲と音源は全て03年8月の『at the BEING studio』に収録されたものに限る(浅岡雄也がソロデビューした1ヵ月後だった)。他にもお蔵入りしている曲があることは示唆されているが、今のところ世に出たのはこの時のみ。

あの時の中で僕らは
作詞作曲:浅岡雄也、編曲:池田大介
view時代の音源とアナウンスされていたのにいざ聞いてみたらviewでもFOV音源でも無かったという正体不明の未発表音源。語尾を極端に短く切っていたview音源、極端に伸ばしていたFOV音源のちょうど中間くらいの語尾の伸ばし方をしているのがこの音源の特徴。声が若くview時代寄りなのでview時代の別テイクじゃないかとも思うんだけど…。バランス的にはこのバージョンが1番好きかも。
★★★☆☆
4thベスト『complete of FIELD OF VIEW at the BEING studio


君を見ていた僕と 僕を見ていた君と
作詞作曲:浅岡雄也、編曲:池田大介&FIELD OF VIEW
シングル「Truth of Love」制作時の未発表曲とされている。既にバンドサウンドを逸脱していた時期だが今作は比較的バンド寄り、しかし王道ではいられないような試行錯誤感溢れるシリアスな仕上がりに。不思議と引き込まれる魅力はあると思う。
★★★★☆
4thベスト『complete of FIELD OF VIEW at the BEING studio


Real prayer
作詞:浅岡雄也、作曲:小橋琢人、編曲:池田大介&FIELD OF VIEW
theがついて2枚のシングルを出してから解散発表して「Melody」が出るまで1年近いブランクがあったが、当時はアルバム制作中とアナウンスされていた。実際制作していたようでその中の1曲とされているが、編曲表記にはtheが無い。theがついて以降はミディアム〜バラードしか出ていなかったが今作では打ち込みっぽさはそのままながらアップテンポなナンバーとなっている。浅岡のボーカルがソロ以降もあまり聞かれないような少し力を抜き気味な歌い方になっているのは、曲調に合わせている事も含めて新境地なのは確か。未発表に終わったアルバムや他のお蔵入りしたという未発表曲が聞きたくなるような曲だ。
★★★★☆
4thベスト『complete of FIELD OF VIEW at the BEING studio


君がいたから(Acoustic Version)
作詞:坂井泉水、作曲:織田哲郎、編曲:池田大介&FIELD OF VIEW
「冬のバラード」C/W用に制作していたとされるリアレンジ。バンドでは無くほぼアコースティック弾き語りに近いアレンジになっているが、ライナーでは小田ではなくギター演奏はDIMENSION増崎氏だとバラされている。アレンジ自体はけっこういいんだけど、ボーカルがサウンドに合わないほど変に力んでいて、かなり違和感。本当の解散ライブ12月1日のラストでアンコールまですべて終了したのに観客がその場を動かなかったため、急きょメンバーが再登場し、小田がギターを持っていたのに「新津のギターで」と何故か新津にギターを渡して新津の演奏で観客と大合唱した。ライナーではこのバージョンを演奏したとしているが、実際はもっと簡易な単なるコード弾きストロークの演奏だったように記憶している。
★★★★☆
4thベスト『complete of FIELD OF VIEW at the BEING studio

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