GODZILLA

98年公開。アメリカ制作のゴジラ映画…だったはずだが、ゴジラらしき生物は登場せず巨大イグアナと小型イグアナが大量に出現するモンスターパニック映画。92年頃に制作が決定し、国内でのVSシリーズも『VSメカゴジラ』で1度終了する予定だったものの、監督の降板劇などで制作が遅れに遅れたため、VSシリーズの再継続が決まり『VSスペースゴジラ』が制作されたが、今度こそ制作のメドが経ったため、『VSデストロイア』をもって国内のゴジラシリーズはいったん終了。期待の中で公開された今作は期待度の高さから大ヒットを記録したものの、ゴジラとはあまりにかけ離れた巨大生物の造形、生態などからとてもゴジラとは思えないとして、「これはゴジラではない」合言葉のように繰り返される超絶不評作品となってしまった。

あまりの悪評っぷりに、半ば封印作品、ゴジラシリーズの中では黒歴史化してしまっているが、前述のようにコケたどころか大ヒットしていて、国内でもVSシリーズや後のミレニアムシリーズすら越える興行収入を記録している(ただし観客動員数ではVSシリーズ最大ヒット作『ゴジラVSモスラ』を下回る)。当然続編の構想もあったが、あまりの酷評っぷりに頓挫。日本側も翌99年には歴史を塗り替えるように即座にミレニアムシリーズを制作した。ミレニアムシリーズでは、1作目冒頭から今作のゴジラが絶命したミサイルと同じものをゴジラにぶつけてゴジラがピンピンしている、さらに2作目では「98年にアメリカでゴジラに似た生物が現れたゴジラと名付けられたが日本の学者はあれをゴジラとは認めていない」などと当てつけのような描写を行った挙句に、ミレニアムシリーズ最終作となった『ゴジラFINAL WARS』ではVSシリーズの怪獣を無視しておいて、今作のゴジラに似た生物を「ジラ」として登場させた挙句にゴジラに瞬殺させ、「マグロ喰ってるようななのはダメだな!」などとコケにするなど、公式にネタ扱いしている。

 

日本の漁船が沈没させられる事件が発生し、唯一生き残った漁船の老人は「ゴジラ…ゴジラ…」とうわ言のようにつぶやいた。チェルノブイリにて放射能によるミミズの巨大化を研究していたニックは政府の要請で謎の巨大生物の調査をすることになる。巨大生物は巨大な足跡を残す、さらに漁船を沈めるなどした後にNYへ上陸。何故か全身を見せずにひたすらパーツのみを見せながら迷路のようなNYのビル街を破壊しながら練り歩き、そのまま姿を消してしまった。

ニックの提案で、大量の魚を餌にして再び巨大生物をおびき出し、巨大生物はその姿をついに現す。それは巨大なイグアナだった!

ということで何故か巨大イグアナの登場は焦らされまくる。あまりに造形が違いすぎるため、いきなり出すよりも焦らしている間にストーリーに引き込んでショックを和らげようという狙いがあったのだろうか…。登場後は地上からの銃撃とヘリからのミサイル攻撃をするんだけど、巨大イグアナは動きが素早く、また巨大ビルで迷路みたいになっていてスペースが無いため、なかなか補足できない、このイグアナ意外と頭良くて先回りしてヘリ撃墜するなどでなかなかうまくいかない。水中船でも魚雷を回避しながらひきつけて3台のうち1台を同士討ちさせるなどかなりの戦略家。ただ結局追い詰められて魚雷を喰らって沈黙。人々はこれで終わったと思い込む。

ゴジラは無性生殖ができて既に地下街に潜んでいる間に巣を作って卵を産んだかもしれないと提唱していたニックだったが、元恋人のオードリーが特ダネ欲しさに機密情報を盗んで報道したため、追い出されてしまった。オードリーもまたネタを上司に横取りされ、ニックが外された事を知り大号泣。

帰宅しようとしていたニックだが、ゴジラ誕生の原因を作ったのはフランスの核実験で、その後始末と称してアメリカとは協力せずに独自で潜入していたフランス人のフィリップにスカウトされる。フランス部隊とニックは共に卵を探しに地下に潜入。オードリーもカメラマンのアニマルと共に信用失墜したニックの説を証明しようと後を追う。ニックの予測通りに地下には大量の卵があり、処分しようとしたが数が多すぎ&このタイミングで一気に孵り、小型の巨大イグアナが大量誕生。フランス部隊は全滅。ニック、フィリップ、オードリー、アニマルは何とか地上へこの危機を伝えようとする。

巨大なイグアナを海中(というか川の中)で仕留め、アメリカ人は全てが終わったと勘違いしている中で、後半以降は地下に潜入した4人(+全滅するフランス部隊)に巨大ですら無い、人を食い殺すくらいは出来て人よりは大きい程度の大量のイグアナが襲い掛かってくるという「ジュラシックパーク」のようなモンスターパニック映画になってしまう。最早ゴジラ映画の面影はない。

なんとか外部に危機を知らせることに成功し、即決でこの地下街がミサイルで爆破されることが決定。6分以内という期限の中でギリで脱出した4人の目の前で地下街はぶっ飛ばされ、100体近くいたようなイグアナの群れは全滅するのだった。ドサクサでヨリを戻したニックとオードリー。晴れてエンディング…。

かと思いきや、何故か爆撃されて木端微塵の瓦礫の中からさっきの巨大なイグアナが出現。川底で仕留めたはずのヤツが生きていて巣に戻ってきていたのだった。死んでいる我が子たちを確認して怒りに燃えた巨大イグアナは目の前にいた4人を復讐対象としてロックオン。物凄い勢いで追いかけてきた。乗り捨ててあったタクシーに乗り込んだ4人はタクシーを半壊させながらの超絶な追いかけっこを繰り広げる。何とか軍隊に危機を知らせ、橋まで巨大イグアナをおびき寄せた4人は巨大イグアナにタクシーごと喰われかけながらもギリギリで脱出。戦闘機によるミサイル攻撃を6発、動いているのでさらに6発喰らった巨大イグアナ。特に血を噴出すとか当たった箇所が吹っ飛ぶ様子も無く目立ったダメージは受けてないかにも見えたが少し動いてそのまま力尽きた。人類は勝利に沸き立つのだった!

 

よく言われるのがゴジラなのに熱線吐かない、ミサイルで死んでしまうという、日本のゴジラ的には全くありえないラストだけど、そもそもこの巨大イグアナ、ゴジラではないのでまあ熱線吐かなくても、ミサイルで死んでも別にいいんじゃないの?というのが個人的な感想。

ここにたどり着くまでに既に大量の人間よりデカいサイズの大イグアナの群れとジュラシックパークを繰り広げているので、これがゴジラ映画である事はとっくに忘れていたし、いちいち軍や主人公たちが「ゴジラめ!」とか「ゴジラぁぁぁぁ!!」とか巨大イグアナに向かってゴジラゴジラと連呼してたら嫌気が差していたかもしれないけど作中でもさほど巨大イグアナを「ゴジラ」と呼ぶシーンが出てこない。

冒頭シーンが日本の船が沈没させられ、乗組員がゴジラと呼んでいたからゴジラという名前になったというシーンはまあ日本に敬意を払っているんだろうけど、この世界での日本にゴジラが出現しているのかは不明だし、日本人もその後出てこない。そもそもゴジラだと言ったじいさんにしても、なんかよう分からんうちに巨大生物に襲撃されたわけで「巨大生物といえばゴジラ」という固定観念でゴジラだと言っただけで、襲ったのがキングコングでもキングギドラでも巨大生物なら何でもゴジラだと証言していたに違いない。そういう風に受け止めておこう。

これはゴジラではないという感想が大方である一方でまた巨大イグアナによるモンスターパニック映画として考えれば悪くない、という意見も比較的多いと聞くが、実際その通り。迷路のようなビル群の中を巨大イグアナがスピーディーに動き回るサマはそれなりに迫力があったし、登場人物たちもどれも分かりやすいキャラクターで見やすかった。アメリカより潜入しているフランスの方が事態を憂慮しているっていうのはアメリカ的にどうなんだという気はするけど。あとなんでこの映画はずっと土砂降りの雨模様だったんだろうか。晴れてたシーンってニックが最初に足跡のところに連れて行かれたところくらいで、冒頭土砂降り、ニック初登場のチェルノブイリも土砂降り、残りのNYも曇天か土砂降りととにかく雨降りまくり。

後年のインタビューで監督本人が、本当は違う内容の映画を作りたっかのに急にオファーが来て強い押しでやることになり、さらに細かいルールを指示されて嫌気が差したので、逆にあちらから断ってくるだろうというほどのいい加減な脚本とデザインを提出したのに何故かオッケーが出てしまって仕方なく撮影に入ったなどと語っているそうだが、実際そうでもなきゃここまでゴジラとは異なる作品にはならないだろうなと思う。

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★★★☆☆

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