GODZILLA ゴジラ

 2014年公開。98年以来のハリウッド版ゴジラにして日本含めて04年以来のゴジラ映画。98年の巨 大 イ グ ア ナ の 悪 夢から16年。今回は本来のゴジラに近い造形、リスペクトした新たな世界観を構築した内容となり、概ね好意的に受け取られることとなった。タイトルは98年作品を無かったことにするかのように全く同じタイトルになっており、「リターンズ」や「アメイジング」などリブートモノの映画にありがちな単語が付加されたりもしていない。メインキャストの1人に渡辺謙が起用され、役名は第1作の芹沢博士と、第1作含めて昭和シリーズの監督を担当した本多猪四郎を合体させた芹沢猪四郎となっている。日本版ゴジラのストーリー及びイグアナ映画とは繋がっておらず、過去に日本にゴジラが登場したという設定も無く、ゴジラ誕生の経緯も新たに設定されている。

 

99年、探鉱調査中に地下に大空洞があるのが発見され、調査に出向いた芹沢博士(渡辺謙)たちは巨大生物の痕跡を発見する。冬眠した状態の卵が1つ発見されたが、もう1つは明らかに孵っており、その巨大な移動の痕跡は海の向こうへと続いていた。

その少し後、日本の雀路羅市(バックに富士山がそびえたっている都市ですぐ近くには海もあるという外人が思うザ・ジャパンな街)の原発職員ジョーと妻のサンドラの夫婦は原発に迫る異常地震と電磁波の正体が掴めず危機感を募らせていたが、調査中に決定的な大地震が起こり、原発は完全倒壊。炉心調査へ出向いていたサンドラは逃げ遅れて死亡してしまう。

そして現代、ジョーとサンドラの息子フォードは海軍の爆弾処理担当の隊員へと成長。サンフランシスコで妻と幼い息子と幸せに暮らしていたが、日本に残り原発倒壊の原因を探っているジョーが雀路羅市の立ち入り禁止区域に侵入して逮捕されたと聞き、単身日本へ出向く。ジョーは政府が真相を隠している、陰謀だと主張し、再度潜入の準備を整えており、フォードも仕方なく同行。

原発倒壊による放射能汚染で立ち入り禁止区域だったはずの雀路羅市は15年の間にビル群も風化してツタが生い茂るような半ジャングル化した荒廃した姿をさらしていたものの、ガイガーカウンターは無反応。放射能などどこにも無かった。15年前のフロッピーデータを回収して帰ろうとしたところで2人は拘束されてしまう。

連れて行かれた先では何か巨大な昆虫の足のようなものが封印され、管理計測されていた。原発倒壊でまき散らされたはずだった放射能は全てこいつが吸収し尽くしたらしい。そこには芹沢博士らもいて、15年前のデータを持っていたジョーに興味を示すが、直後に15年前と同じような大地震が発生。芹沢らはこれ以上は危険だと判断し、巨大生物を殺そうとするが時すでに遅く、巨大生物はその姿をさらして拘束を解いて辺りを破壊しまくり、何処へと飛び去ってしまった。

この際にジョーが重傷を追ってしまうが、フォードもかなり危険な目に遭いながらもほぼ無傷で助かった。芹沢らはアメリカ軍の管理下でムートーと呼ばれるこの巨大生物の追跡を開始する。ジョーと無事だったフォードも必要な人材として芹沢が指名したが、搬送中にジョーは死亡。フォードは父が電磁波の研究をしていたことなどを告げ、代わりに芹沢たちはムートーと呼ばれる怪物を研究していた事を告げる。また「ゴジラ」の存在も明かされた。古代生物の頂点に立っていたゴジラは地中深くへ追いやられていたが第二次大戦などで放射能度が上昇し、その末裔が地表へ出現。1954年に発見されたゴジラはその後、核実験と称した核攻撃を受けても全く効果が無かったというが、それ以後は現在まで出現していなかった模様。

またムートーの復活により、日本はマグニチュード6を越える大地震で壊滅状態になった事が報じられていたが、日本の出番はこれにて終了。怪獣に破壊されるだけではなく、地震で日本壊滅とか、怪獣がやってきた事でハワイやサンフンシスコに大津波が襲い掛かるとか2014年現在の日本じゃ絶対に不謹慎だとか言われて作れない描写の連発…。

フォードはこれにてお役御免となり、ハワイ経由でサンフランシスコの自宅へ帰ろうとするが、ムートーはハワイへ上陸。ムートーが復活したならゴジラも復活するのではないかという芹沢の危惧通りにゴジラもハワイへ上陸。2体は戦いを始めるが、ほとんど戦闘描写は無いまま戦闘は終了。ムートーは飛び去り、ゴジラもムートーを追って移動。さらに芹沢はムートーが電磁波で何かに呼びかけていた事に注目する。相手はゴジラではないかと言う助手に対して、ゴジラはそれを聞いていただけで、相手はもう1体のムートー、卵だった方のムートーが復活したのではないかと推測。卵は当時調査したが孵ることはない冬眠状態だと判断され、放射能度が高かったので核廃棄処理場に捨ててあったが、予想通りこれも孵化して既に動き出した後だった。ムートーはオスとメスで合流を目指しており、ゴジラも後を追っていて3者の激突する先はサンフランシスコ湾だという推測結果が出る。

軍隊は54年当時より大幅にパワーアップした核爆弾で攻撃する作戦を立てるが、ムートーは放射能を食べるのに効くかどうか分からない。さらに芹沢は父が原爆で命を落としている事から核攻撃に反対するが、軍は他に方法が無いと核攻撃作戦を強行。

ハワイでゴジラとムートーにあやうく潰されかけながらも、ムートーを追う軍隊と合流したフォードは、目的が一致したので核爆弾を運ぶ部隊に志願して部隊の一員としてサンフランシスコへ向かう。しかし道中でムートーに遭遇。この時点でまだオスと出会ってないなけど、ムートー(メス)は既に卵をくっつけているのをフォードが目撃している。部隊は全滅し、フォードも恐ろしく高い鉄橋から海面へ叩きつけられるも、奇跡的に生存。

サンフランシスコで2体のムートーは合流したが、別に交尾して卵が出来るわけではなく、メスは単独で卵を産めるらしく、既に大量の卵を産んであって巣作りもしていた。核爆弾2つのうち1つは飲み込まれ、もう1つは巣の中に卵の栄養源として持ち込まれてしまった。ムートーは電磁波攻撃を行うため、飛行機など電子機器は停止して墜落してしまい、近づけない。電磁波攻撃が及ばない超上空からスカイダイブして降り立ち、核を回収し、既に起動した爆発時間までに解除するため、唯一の核爆弾搬送部隊の生き残りとしてフォードも参加。

地上に降り立ったころにはムートー2体とゴジラが激しい戦いを繰り広げていた。2体1では分が悪く、ゴジラはフルボッコにされかけていた。核を回収した部隊はそのまま立ち去ろうとしたが、大量の卵が危険だと判断したフォードは核解除の要の技術者としてスカウトされていたにも関わらず、部隊から離れ、ガソリン(?)を引火させて、大量の卵を一挙炎上させる破壊工作を決行。

卵が全滅して慌てたムートー(メス)は巣に戻っていき、この動揺した隙をついたゴジラはムートー(オス)をビルに叩きつけて殺害。しかしそのビルが倒壊して一時ゴジラも戦闘不能に。何とか起き上がったゴジラはムートー(メス)には熱線を浴びせるが仕留めきれず、逆に自身が力尽きて倒れてしまう意外と強くねぇ…

運ばれた核爆弾は解除できないのでそのまま遠い沖へ運ぶ予定だったが、何もかも失ったムートー(メス)が一目散に迫ってきて部隊を全滅させてしまう。遅れて到着したフォードは単身船を始動させるが、眼前にムートーが迫る。そこに復活したゴジラが掴みかかり、ムートーの口の中に直接熱線を噴射。ムートーの頭部は吹き飛び、ゴジラの勝利となるが、熱線はかなりパワー消費が激しいらしく、ゴジラもまた力尽きて今度こそ本格的に倒れてしまった。

フォードもまた船の上で意識が朦朧となっていたが、救助部隊により救助され、無人の船はその後、沖合で核爆発。1954年の核より圧倒的に強力とか言っていた割には妙にしょぼい爆発だったが、ムートーの卵にだいぶ放射能を吸い取られていてパワーダウンしていたのだろうか…。

その後、妻と息子とも再開したフォード。芹沢らも現地調査に入り、すっかりホコリ被ったゴジラの死体の目前まで迫っていたが、何とゴジラ復活。そのまま海中へと去っていったのであった。

 

というわけで主人公フォード無敵すぎ。父が死亡する程の周囲半壊の中で生き残り、部隊全滅の2度の危機も乗り越えてしまうまさにハリウッドの主人公。また芹沢博士や軍隊司令部が一切無傷なのはいいとしてもそれ以外はかなりハードにあちこちボッロボロに破壊され、死者数もハンパ無く、過去のゴジラシリーズに無いほどの緊迫した状況がリアルに表現されていて驚いた。かなり大人向けというかこれ子供が見たら怖くて泣くか、幼すぎればトラウマになるレベル

ムートーが人間に対して明確に破壊を行ってくるのに対して、出現したゴジラはただムートーを倒すためだけに動いており、人間が攻撃しても無傷&無視。ムートーが出てきたから自然の調和のためにゴジラが出てきたなど、人類の敵としても味方としても描かれていないのは新鮮だった。また一応勝利したもののフルボッコにされたり、熱線当てても仕留めきれないどころか熱線撃って力尽きるなど圧倒的強さというわけではないのも少しハラハラした。

米軍はゴジラもムートーも一緒に始末しようと核爆弾を使用するとする辺り(そして日本人の芹沢が反対する)は人間の愚かさを皮肉っている感じで、日本が作るならまだしもアメリカ映画でよくやったなと思う。

またあまり怪獣バトルに重点が置かれていない印象もあった。初戦のハワイでの戦いはほとんど2体が激突した瞬間に、TV映像を通してフォードの息子と妻が見て驚くシーンに飛んでしまい、次の瞬間には2体とも去った後。最終対決においても、悪天候と破壊されるビル群の砂煙などで視界が悪くなっていて、人類サイドで戦いを終始見守っている存在は皆無。日本のゴジラ映画の定番である、戦いを全編見守りながら解説したりいちいち驚いたりするリアクション要員がいないのである。芹沢博士にしてもこれまで研究して来て分かっている事とそこから予測できる事以外に知っている事も無いので、日本のゴジラ映画でよくあったその場で怪獣の生態や目的を推測して説明したりもしない。見たままが全て。そういった描き方は新鮮だった。

今回は日本のとは違うけど、確かに新しいゴジラ映画だったと思う。

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★★★★☆

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