ゴジラ×メカゴジラ

02年公開のミレニアムシリーズ4作目。例によって前作は無かった事になっている。今回の世界観は1954年の『ゴジラ』、1961年の『モスラ』、1966年の『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』の映像が流れ、これらの出来事が過去にあったという設定になっている。芹沢博士の名前も出てきて1作目の出来事を振り返っているが、ゴジラは骨格だけは残っていたという風に変えられている(実際には骨まで完全消滅した)。またメカゴジラがあまりメカゴジラと呼ばれず、開発名称である機龍と呼ばれているのが特徴。愛称がゴジラの松井秀喜が一瞬だけゲスト出演している。

99年、ある物が運び出された数日後、ゴジラが出現。特生自衛隊が攻撃を開始するが歯が立たない。隊員の茜(釈由美子)は激しい戦火の中で仲間の車両に激突。仲間の車両は崖下に転落して、ゴジラに踏み潰されてしまう。この件で茜は資料課に転属させられてしまう。

03年、99年に運び込まれたある物とは1954年に初代ゴジラの骨格だった。オキシジェン・デストロイヤーで葬り去られた初代ゴジラの骨格は実はずっと海中に眠っていたのだった。この初代ゴジラの骨格を元にしてついに機龍(メカゴジラ)が完成。機龍は、直接乗り込んで操作することも出来なくはないが多大なGがかかるため、人間には耐えられない。そのため基本は支援航空機から遠隔操作を行うというシステムになっていた。3年半干されていた茜は機龍のメインオペレーターに抜擢され、打倒ゴジラに燃える。

やがてゴジラが八景島に出現。機龍が出撃し、ミサイル攻撃を連発。微動だにしないゴジラは沈黙したまま攻撃を浴びまくるが、何故か闘わずに逃げる構えを見せる。逃がすかとばかりに最終兵器であるアブソリュート・ゼロ(絶対零度の光弾で直撃するとその物体は瞬間的に凍結し、やがて粉砕される)を放とうとするが、ゴジラの泣き声を聴いた瞬間、機龍が制御不能になってしまう。ゴジラは退散したが、制御不能になった機龍は燃料切れになるまで破壊の限りを尽くし、ゴジラ以上に甚大な被害をもたらし八景島付近を完全壊滅させるのだった。

暴走の原因は初代ゴジラのDNAを組み入れていたため、ゴジラの泣き声に反応して初代ゴジラの意識が目覚めてしまったという。この点を修理するも、暴走の危険がある機龍を再度使うことをためらう総理(中尾彬)。しかし品川に再上陸し、破壊の限りを尽くすゴジラに耐えかねて出撃が決定。

ミサイル攻撃を駆使して奮戦する機龍だったが、ゴジラの攻撃でパーツが破損していってしまう。それでも何とかアブソリュート・ゼロでトドメというところまでいったが、ふいうちで起き上がったゴジラの熱線を喰らうと大ダメージを受けて吹っ飛び、アブソリュート・ゼロはあさっての方向に発射され近くのビルを2,3個消滅させ、機龍は機能停止寸前になってしまう。再びコントロール不能になってしまった機龍だが、茜が自ら機龍に乗り込んで直接操作。茜の決死の特攻で、ゼロ距離からアブソリュート・ゼロを直撃させることに成功。ゴジラは瞬間的に凍結するが、すぐに復活。機龍は既に機能停止状態で万事休すかと思いきやゴジラもいっぱいいっぱいだったのか、そのまま海へと去っていき、何とか追い返すことには成功するのだった。

 

今回のメカゴジラはこれまでのメカゴジラのようにビームの乱発だけではなく、運動機能が強化されているようでゴジラをつかんで放り投げたり、ジェット噴射で体当たりしてゴジラを吹っ飛ばすなど外部コントロールならではの機敏な動きも見せている。しかし、以前のメカゴジラはゴジラの最大最強の武器である熱線を念頭において熱線への防御対策を入念に行っており、2,3発喰らった程度ではピンピンしていたのに比べると、そっちの対策はお粗末なようで熱線をちょっと喰らっただけですぐに致命的なまでの大打撃を受けてしまう。ミサイル攻撃がそれに代わるほど強力化されているようにも見えずあまり強い感じがしない。次回作でも触れられているように初代ゴジラの骨格を使ったことがゴジラを呼び寄せてしまうという踏んだり蹴ったりな顛末は人類の愚かさを示しているようでメッセージ性はあったけど。

主演の釈由美子はかっこいい女性自衛官をクールに演じており、当時としては意外な才能を見せ付けた。この経験が後に松岡圭祐の著作「千里眼」シリーズにおいて最強の元自衛官でカウンセラーのヒロイン岬美由紀のキャラクターとして起用されるのにつながっているようだ。

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★★★★☆

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