ハルフウェイ

09年公開。北海道小樽を舞台にした高校3年生のカップルの様子を描写した青春映画。脚本家の北川悦吏子が初めて監督にも挑戦している。全面的なバックアップは監督の岩井俊二が担当しており、プロデューサーとして不慣れな北川を支えた模様。そのほとんどが役者同士のアドリブの掛け合いとなっており、撮影中に北乃きいが「halfway」を「ハルフウェイ」と言い間違えたものをそのまま映画タイトルとして採用している。この間違えたシーンはそのまま本編でも使われている。間違えに気づいた北乃きいが確認するように後ろにいる(と思われる)監督に一瞬目線を送るようなしぐさも見ることができる。北乃きいと岡田将生は08年にドラマ『太陽と海の教室』でもカップル役を演じていた。

ヒロ(北乃きい)はずっと片思いしていたシュウ(岡田将生)に告白しようとするが逆にシュウから告白されて大喜び。幸せな日々を送る2人だが、シュウはずっと前から東京に出て早稲田大学に行きたいと思っており…。

あまりドラマティックなストーリーは無い。アドリブ中心の自然体な2人の会話が主体で、進路や卒業に揺れる高校生のカップルのリアル(と思われる)悩みを描写した青春映画になっている。しかも地元進学と東京進学で離ればなれになってしまうというのは地方限定の出来事なので、2人にとって非常に重大な事柄だというのを理解しないとただの北乃きいが行くなだの行けだの言ってるだけのわがまま映画に見えてしまう危険もある。終わり方も唐突だし。

というか実際にヒロのわがままっぷりは見ていてうんざりするくらいウザい。いくらメチャクチャかわいいといってもこれはさすがにウザすぎる。そういう意味ではシュウの心の広さは圧倒的である。ウザさも若さと葛藤ゆえと割り切ってみたら2人の自然体の会話がリアルだったので非常に青春全開でいい映画だった。映像も綺麗だし。

既に時代に乗り遅れ、21世紀になってからはご乱心としか思えないようなドラマばかり書いている北川さんだが、今回はアドリブに任せたせいなのか今までだったらありえないようなごく自然な若い2人の様子を描いていて、いかにもドラマ的な感じが無い。21世紀の北川作品ではダントツで傑作である。まあ北乃きいのキャラのウザさには少し北川さんの色が反映されているのかもしれないけど…。

 

★★★★☆

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