隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

08年公開。1958年に製作された黒澤明監督による「隠し砦の三悪人」を現代風にアレンジした作品である。主人公を変更し、一部のキャストを追加している他、大まかなストーリーは同じだが、恋愛要素を組み込んだりとオリジナルには無い大幅なアレンジが施されている。

ストーリー
戦国時代、小国の山名が隣の国の秋月に攻め入り陥落させる。しかし山名は秋月の軍資金である金を発見できずにいた。山名の侍に城で強制労働させられていた武蔵(松本潤)(ちなみに「むさし」じゃなくて「たけぞう」)は、地下を掘り進めるうちにガスが噴出したのに気づき、脱出。気づかない侍たちが火を近づけたため大爆発が起こり、混乱の中で武蔵は逃走。それに一足先に気づいてくっついてきた新八(宮川大輔)と共に逃亡に成功した武蔵は川べりで金を発見する。

そこに六郎太(阿部寛)という男とその弟を名乗る人物が現れる。実は六郎太は秋月家の家臣であり、弟を名乗っていた人物こそが、生き残った秋月の姫、雪姫(長澤まさみ)だった。この金と雪姫をこっそり隣国の早川に運んで国を再建させるための旅に、肝心なことは伏せられたまま武蔵と新八も同行することになる…。

 

というわけで、旅が進むに連れて最初は騙されたと憤慨していた武蔵は雪姫を守ろうとかっこよさを見せ、雪姫もそんな武蔵にひかれるというラブストーリーも展開。これはオリジナルには全く無かった(身分違いの恋など成立しない)要素だけにオリジナルのファンは激怒しまくりだと思われる。

ただ現代のリメイクとしてはまあアリなんじゃないかと思った。この時代にただ姫をお守りすることだけに全てを捧げるみたいな内容じゃ客が呼べないだろうし。そんなわけで普通に楽しめた映画であった。ラストのオチもちゃんとしていて良かったし。なのになんとなく終わってみると印象が強くない

普段よりも男勝りできりっとしている長澤まさみの新境地(ここのところあまり面白くない作品が続いているので久々にファンなら必見)、阿部寛の好演、敵役の椎名桔平の怪演、芸人とは全く違う役者としての才能をいきなり開眼させ以降の役者としての躍進につながった宮川大輔など各役者はどれも印象的。逆に「花より男子」の印象をなくそうと汚いメイクで頑張っているにも関わらず松本潤の印象が薄い=主役の印象が薄いのが原因だろうか。基本的に敵の椎名と戦うのは阿部だし、松本潤は長澤まさみを連れて逃げ回るだけで画面にはずっと出ているのだが、誰か倒すとか決定的な見せ場が実はない。だからかな?

あと主題歌を手がけた縁でKREVAが同じ樋口監督の「ローレライ」に続いて出演しているのもポイント。しかも椎名が用意した雪姫と政略結婚させる相手として登場したにも関わらず最初から画面の隅っこに極力目立たないように登場。ほとんど見切れている状態で一言も発しないままに、武蔵が助けに来て六郎太が解放されると巻き添えで瞬殺されてしまい、一言も発しないままであった…。「ローレライ」ではもっと普通に喋ってたよね?

それと結局三悪人ってどの3人なんだろう?

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★★★☆☆

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