携帯彼女

2011年発売。携帯小説が原作。鈴木愛理と竹富聖花主演のホラー映画。劇場公開はされず、いきなりのDVD発売のみ。09年に川島海荷、朝倉あき主演で公開された映画「携帯彼氏」の半年後を描いた続編。「携帯彼氏」の出来事も少し回想される。「携帯彼氏」は文字通り悪霊が彼氏の携帯アプリだったが、今作はそれの彼女版が登場する。2012年にはさらに別のキャストで第3弾「携帯彼氏+」、第4弾「携帯彼女+」がDVDで発売されている模様。なお今作はガラケーだが、第3弾、第4弾はスマフォにパワーアップしている。

ゲーム画面に謎の美少女エリカ(竹富聖花)が現れ、ラブゲージを0にしても100にしてもプレイした男性が直前に若い女性を殺害してから怪死する事件が発生。ある日、絵理香(鈴木愛理)は事件に巻き込まれてしまう。携帯彼女の犠牲者となり暴徒と化した男性に、絵理香の友人が背後から頭をバチコンされて意識不明の重体に。アプリの少女エリカと同じ名前、同じ生年月日の絵理香はエリカと同調してしまい、自分が殺される悪夢に悩まされるようになる。さらに目の前にエリカの幽霊が見えるようになり、同級生男子も殺されてしまう。

その頃、失踪した妹を探していた村瀬(馬場徹)は、その行方を追う中で妹が携帯彼女化していることに気づき、真相を突き止めようとしていた。婚約者がいるくせに妹!妹!な村瀬は、悪夢に悩まされる絵理香に、あの夢はきっと殺された妹の記憶だ!君が殺されるわけじゃないからもう1度悪夢を見て情報を教えてくれ!と迫り、ついには睡眠薬で無理やり悪夢を見せる。同調がさらに進んだ絵理香は、悪夢の舞台である廃ビルへ、村瀬、幼馴染の刑事、村瀬の婚約者と共に向かうがそこで恐るべき真相が…。

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレ

 

廃ビルで絵理香は突如、村瀬の婚約者を名指しし、婚約者がエリカを殴ったところを思い出したと語る。エリカは重度のお兄ちゃんLOVEで結婚に反対し、婚約者に迫っていたが婚約者はそれを拒絶したという。私は悪くない!と叫んで飛び出してしまう婚約者。追いかける刑事、そこに謎の銃声が。エリカの兄LOVEを知らなかった村瀬が脱力している中、さらに導かれた絵理香は何故か廃ビルの中で植物状態で生かされているエリカの元に辿りつく。

そこに負傷した婚約者が襲い掛かってくる。ワケが分からないことになってきたが、見事にこれが絵理香が見ていた悪夢の内容と合致。エリカが殺される記憶じゃなくてやっぱり絵理香自身の夢だった!しかも予知夢じゃねぇか!!

しかし戦意を喪失した婚約者、そして絵理香はやはり婚約者がエリカを襲ったわけではないと確信。そこに再度銃声が響き、婚約者退場。そこにはまさかの刑事が!村瀬は既に縛られており、突如女子高生LOVEだったという正体を明かした刑事は、エリカへの愛を語り出す。婚約者とエリカの対立場面までストーキングしていた刑事は、その後でエリカが村瀬へ告白しようとしているのを察知し、スタンガンで気絶させたが倒れた際に打ち所が悪く、エリカは植物状態になってしまったらしい。エリカをこっそり廃ビルで生かし続け永遠に俺のものだ!とサイコさん化する刑事。絵理香と村瀬を始末しようと村瀬を滅多打ちにし始める。絵理香はエリカに助けを求めると、エリカと絵理香の意志が入れ替わり、既に生霊と化しているエリカの能力が発動。携帯彼女が瞬殺ゲームオーバーになりそこから刑事はゲームに吸収され携帯ごと粉砕されてしまう。なおエリカは前作「携帯彼氏」の悪霊に取りつかれており、その状態で仮死状態になってしまったので、携帯彼氏の悪霊と融合してしまっていた。つまり超サイヤ的な悪霊か。

こうして事件は一件落着したかに見えたが、鈴木愛理の中の人は実はエリカに切り替わったまま。大好きな村瀬と結果、いい感じになれてご満悦の鈴木愛理inエリカ。植物状態で病院に移送された竹富聖花の中で絵理香は助けを求めて叫ぶのだった…。

 

鈴木愛理が目当てで見たんだけどとんでもない話だった。終わってみれば、主要キャストの中で友人女子と犠牲になった男子以外にまともな奴がいなかった。婚約者がいるのに休職をし続けて妹を追い続け、鈴木愛理に睡眠薬まで入れておいて、妹の愛にはまるで気づいていなかった村瀬、兄LOVE!から生きたまま悪霊になり改心せずに悪霊のまま大勝利を獲得するエリカ、そんなエリカに発狂させられさらに巻き添えで殺された婚約者、最後になって全部持っていった刑事、唯一まともな絵理香も後半はエリカの影響でほとんどイタコ状態…。そもそも悪霊が兄LOVE!でしただけでも濃いのに、さらに女子高生LOVE!な刑事の二段オチという濃厚すぎる真相の連続攻撃、そして既に何人も殺した悪霊エリカだけが単独勝利な後味最悪のオチ。ただ名前と生年月日が同じなだけで巻き込まれた上に、真相を暴くのに尽力したのに入れ替わられてしまった鈴木愛理を想うと涙が止まらない。これが携帯小説か…。噂に聞いていたがこいつは本当に常識の圏外を軽く飛び越えていくな…。ホラーとしては全く怖くなかったが、あまりに真相が斜め上すぎて最後まで話が読めなかったという意味では面白かったのかもしれない。ある意味でホラー…。

鈴木愛理は劇場公開作ではないものの映画初出演、いきなり主演。さすがに普段の鈴木愛理の滑舌の悪さを知らないと今作でも滑舌イマイチに思えるようだけど、Buono!ライブMCでの滑舌の悪さ(本人も自覚)からすれば、思いのほかしっかりしていた印象。

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