ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘

66年公開の7作目。登場怪獣はゴジラ・エビラ・モスラに加えて大コンドル。元々キングコングとエビラで企画が進行していたが、アメリカ側が難色を示したのでゴジラに置き換えたらしい。そのためかゴジラのキャラクターが激変しており、人間の女性に興味を示したり(キングコングの特徴)、当時流行っていた若大将(加山雄三)のマネをして得意げに鼻をこするなどしている。ただ前作でシェーしていたことを考えると後者はキングコングのキャラというより時代の流れっぽい気がする。

前作主演の宝田明がまたしても主演(別人)。これで4作目、3度の主演となるが昭和ゴジラシリーズへの出演はこれがラストだった。前作でX星人を演じた水野久美は今回はインファント島の原住民役に転身し、ヒロインに。4作目となる平田昭彦(赤イ竹の司令官)、さりげにこちらも主要人物になることはないが4度目の田崎潤など、今作も以前出た役者の再起用が多い。小美人はザ・ピーナッツからペア・バンビに交代。

 

南の海で船の乗員数十名が行方不明になった。世間では既に生存が絶望死されていたが、イタコの「生きている」という言葉を信じた良太(渡辺徹)は、行方不明の兄・彌太を探すために上京。しかし警察には相手にされず、自ら海に出る方法を模索する。耐久ダンス大会(良太がついた頃には3日間踊り明かしていた。どんな大会だよ…。)の景品がヨットだと知った良太は会場へ向かうが既に大会は終了間近だった。あと少しのところでリタイアしてしまった大学生2人とヨットのある港へ向かった良太は、3人で船に潜入。そこには吉村(宝田明)という金庫破りが先に潜入していた。良太の暴走で、航海に出る羽目になってしまった4人は嵐にあって遭難。辿り着いた島は南海のレッチ島だった。

ここでは秘密結社「赤イ竹」の基地があり、インファント島から強制連行された原住民たちが働かされており、逃げると近くの海に潜むエビラの餌食になってしまう。基地から脱走してきたダヨ(水野久美)と合流し、5人になった一行は島からの脱出を画策する。

ドタバタの中で、メンバーが1人捕まってしまう。原住民たちはエビラが嫌う黄色い汁の製造を命令されていたが、このメンバーの助言で偽の汁を作ることにする。一方で良太は脱出の際にアドバルーンに引っかかって、インファント島まで奇跡のフライングをしてしまう。そこで兄と再会した良太は小美人らの協力を得て再び島へみんなを助けに戻る。

劣勢になった残された3人は島の洞窟に眠っていたゴジラを落雷で起こそうと計画。作戦は成功し、ゴジラが目覚めた。エビラとの対決の末、エビラが逃走。

赤イ竹の攻撃も虚しくゴジラには歯が立たない。突然襲ってきた大コンドルの激しい突きにひるむも、あっさりと熱線で海に沈めたゴジラはいよいよ赤イ竹の基地を散歩し破壊。赤イ竹は自爆装置を作動させ、島から脱出するも黄色い汁が偽者だったので速攻でエビラに叩きのめされて全滅

ゴジラとエビラの2回戦が始まるが、先ほどと似たような攻防の末、両腕をもぎとられたエビラは敗走。そこに残された人々を救出にモスラが飛来。邪魔しようとするゴジラを羽でひっぱたいた後に、みんなを乗せたかごを持ち上げて逃走。自爆寸前の島からゴジラもまた逃走し、島は大破するのだった。

 

前作以上に人間ドラマが多くなっており、怪獣パートがほとんどおまけ。スリリングなバトルは展開されず、そもそもエビとザリガニそのままのエビラはただの巨大生物であり、技もないので敵としての魅力も薄い。ゴジラも海中に引きずり込まれたりと少しは苦戦するも基本的に楽勝ムード。設定では熱線が効かないとなっているが、普通に喰らって吹っ飛んだりしていたので熱線が効かないという気はしなかった。

モスラは『モスラ対ゴジラ』『地球最大の決戦』の幼虫が成虫になったんだと思うが、何故かずっと眠りっぱ。定期的にインファント島の祈りを捧げるドンドコダンスと小美人の「目覚めてモスラ〜♪」とほとんどまんまな歌が差し込まれるだけ。この代わり映えのしないお祈りシーンの頻度がやたら多いのがやや退屈。正直原住民のドンドコダンスをあんな長尺で何度も見せられても…。最後になってようやく目覚めるも、戦いムードにはならずに救助隊に徹するのであまり熱くはない。予告ではもう少し三つ巴で戦闘するかのように編集されているのでそれはちょっとズルいなぁと思った。

この作品だけは、90年代の平成ゴジラシリーズ全盛期に当時利用していたレンタル屋に無かったためビデオ作品を購入してもらったので見た回数が多い。ただその割に、細かいところはあまり覚えていなかったので印象の強い作品ではなかったのだろう。

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★★☆☆☆

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