悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46

2015年7月公開。乃木坂46初のドキュメンタリー映画。監督は1st〜10thシングルまでの表題曲MVを10作連続で手掛けていた丸山健志。オーディション時から2015年前半までの出来事の裏側を取り上げながら、一部メンバーのみにスポットを当て、インタビュー、プライベートな姿などを織り交ぜて構成している。ナレーションはメンバーの母親視点で語られており、女優の西田尚美が担当。主題歌は「悲しみの忘れ方」。当時はCD化未定だったが、10月のシングル「今、話したい誰かがいる」Type-CのみC/Wとして初収録され、12月のMV集『ALL MV COLLECTION〜あの時の彼女たち〜』ではメンバー全員出演のMVが制作され、16年5月の2ndアルバム『それぞれの椅子』では全種共通収録楽曲として収録された。

AKB48のドキュメンタリー映画が2011年に初めて制作されて以降、AKB48は毎年1年間をまとめたドキュメンタリー映画を制作していた。2015年からは姉妹グループ及び乃木坂46のドキュメンタリー映画の制作も続々発表され、相次いで公開されていったが都合による延期も多く、今作に関しても5月公開予定が追加収録をしたいという理由で7月に延期された。最終的に15年2月にSKE48、7月に今作、16年1月にNMB48とHKT48が同時公開された。

2015年11月には映像作品として発売され、コンプリートBOX、スペシャルエディションがDVD/Blu-rayで発売された。生写真5枚がランダム封入特典として付属する。また早期予約特典としてコマフィルムが付属した。

コンプリートBOXは映画本編を収録したDISC-1、舞台挨拶を収録したDISC-2、本編未収録のインタビューや素材映像をまとめたDISC-3、本編未収録の出来事などを取り上げたメンバーが振り返るアナザーヒストリーを収録したDISC-4の4枚組仕様。

スペシャルエディションはDISC-2までの2枚組仕様。

本編のみ1枚のいわゆる通常盤は存在しないが、代わりにレンタル版がDISC-1のみのDVDで12月にレンタル開始された。

 

DISC-1 本編
扱われるメンバーは生駒里奈、白石麻衣、西野七瀬、生田絵梨花、橋本奈々未の5人。この5人は過去の話や西田尚美による母親目線でのナレーションが使用されじっくり取り上げられる。基本的にこの5人の過去や深い話を知りたいなら興味深い映画だと思う。松村沙友理のセンテンススプリングも取り上げられているが逆にこのせいなのか松村沙友理はこの部分のインタビューしか使用されず、若月佑美も初期すぎてほとんどのファンが知らなかったようなデビュー前彼氏とのプリクラ流出号泣謝罪映像を蒸し返して使用するなどマイナスな出来事や辛かった出来事ばかり取り上げているので全体にしんみりした暗いドキュメンタリーだなというのが率直な感想。悲しみを忘れるほどのポジティブな要素があまり提示されないので、悲しみの忘れ方が何なのかは良く分からないし、辛くても前を向いて頑張っているところに美学を見出させるような作りになっているんだけど後はそれを見たいかどうかっていうところだと思う。

しかしこの2015年前半という公開タイミングは2014年末に紅白落選するわ、スキャンダル出るわと直近が厳しい出来事ばかり。兼任終了というのもあったけどこれは直近すぎて拾いきれなかったので、兼任した時を取り上げているもののこれも結果として何が残ったかは明示されず、単に試練の1つとして処理されるに留まる。結果的に明確にその先の希望も見えないままに終わってしまうのは公開タイミングが悪かったか。結果論だけど結成5周年で作った方が良かったんじゃないか。

他のメンバーは秋元真夏、高山一実、星野みなみ、桜井玲香、伊藤万理華、齋藤飛鳥、兼任していた松井玲奈もインタビュー映像が出てくるけど深い掘り下げはされない。堀未央奈はラストカットのみ西田尚美による母親目線でのナレーションが使用されて登場するがあまりに唐突なのでどうにも違和感が…。本編でも堀の『バレッタ』でのいきなりセンター抜擢がバッサリ飛ばされているからおかしいなぁ…とは思ったけど最後にとってつけたように入れてきたのは謎だ。

メンバーを絞り込まないと掘り下げられずに全部薄味になってしまうとはいえ、やはり乃木坂46のドキュメントとしては大半のメンバーが出てこないので結局薄味な印象。AKB48のドキュメンタリーも最初の1回は裏側を見せるというのと努力の姿勢に感動したが2回目でもう飽きてしまい以降見なくなってしまった。こういう裏側系はもう食傷気味。

今作独自の手法と思われる母親目線のナレーションももちろん母親への取材を基に構成はしているんだろうけど、感動狙いの「作り」っぽさが気になるし、母親目線に対して見ている方はどう捉えていいのか分からない。メンバーの親世代ならナレーションと同じ目線に立てるんだろうけど。

結局こういう影を強調して感動を煽る演出法が秋元康系ドキュメントとしては必須条件なんだろうけど、光7割、影3割、全体には色々成し遂げてきたことを普通に取り上げ、その上で裏では大変なこともあった、メンバーはこう感じていたという裏側を見せ、最終的には絆を前に出したようなそういうドキュメントが見たいので今作は見たかったものとは真逆のしみったれた雰囲気が最後までしっくり来なかった。

DISC-2
各地での舞台挨拶の様子を収録。全編舞台挨拶のみで、舞台挨拶の舞台裏みたいなのは皆無。映画の内容が前述のように主要5人+α程度なので、ほとんど自分の出番が無いメンバーも感動したとか泣いたとか何かしらの見どころを語らなければならない上に、スキャンダルに触れるのはタブーだったらしく、映画内で堂々取り上げておきながらそこに触れないというおかしな事に。唯一、飛鳥が橋本が怒っているシーンを印象的として挙げているがこの時も不自然までに何のシーンなのかを説明せず(松村のスキャンダルについて相手の男が酷いと述べているシーン)、ただ編集で細かく切られているので編集マジックだというような事を語るのみという歯切れの悪さ。絶賛禊中だったこの時の松村は地味にけっこうしんどかったんじゃないだろうか。またこの舞台挨拶では撮影したのにカットされた箇所があることが語られており、その内容はDISC-3で。

DISC-3
撮影したがカットされたインタビュー映像を収録。星野、高山、桜井は単独インタビュー、橋本が母校を訪れたシーン(舞台挨拶で言及)、生田は何故か築地にご飯食べに行くシーン、飛鳥・伊藤、映画では全く出番のない中田・中元が4人でアンダーライブについて語り合うシーン(舞台挨拶で言及)で構成されている。橋本はまあカットでも問題ないし、生田に至っては何でこのシーンを撮影しようとしたのかすら分からないくらい食事しに行っただけでとってつけたように家族についてちょっと語るだけという謎映像だが、これ以外はガッツリ語っているのでむしろ本編よりも興味深い。余計な感動演出も入らないし。

DISC-4
本編でほとんど触れられなかった2期生加入、堀のいきなりのセンター、アンダーライブについてメンバーが対談形式で語り合う恐らく映画とは別に補完のために新規制作されたと思われし映像。秋元真夏、星野みなみ、伊藤かりん、渡辺みり愛が2期生加入について、堀未央奈、北野日奈子、鈴木絢音は堀がいきなりセンターになった頃について、衛藤美彩、斉藤優里、中元日芽香、和田まあやがアンダーライブについてトークする。メンバーが自分の言葉でひたすら語っているのでシンプルだけど余計な感動演出も無いので案外本編よりも本音が伝わる感じで良かった。ここにも呼ばれなかったメンバーが大量に残っているのは残念だけど仕方ないか。本編含めて一切出てこないのに3組全てのトークで名が挙がる伊藤純奈はメンバー間での期待値が非常に高いようで今後が気になってくるところでもある。

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★★★☆☆

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