Mr.Children REFLECTION

2015年2月7〜27日の3週間限定公開。95年の『【es】 Mr.Children in FILM』(VHS化)、10年の『Split The Difference』(DVD化)に続く3作目の映画。今回はドキュメンタリーではなく、LIVE FILMとされており、2014年9〜10月に行われたファンクラブツアーの最終日である2014年10月9日Zepp Sapporo公演の模様を中心に合間に若干のイメージ映像&インタビューが挿入される形になっている。

当初商品化の話は出ていなかったが、12月にはライブ映像作品『Mr.Children TOUR 2015 REFLECTION』とのセット販売『Mr.Children REFLECTION{Live&Film}』として商品化された。

タイトルはライブ写真を見た田原健一によりつけられた。ライブにおいて新曲の説明などMCは全て桜井が行っていることもあるが、インタビューパートにおいては桜井以外のメンバーが喋る部分が多くなっており、前作とは演出が大きく異なる。

近年のミスチルは新譜リリースの際も各誌インタビューを全く行わない姿勢を取っており、たまにインタビューに応じても桜井単独であったが、映画内及びパンフではメンバー全員(パンフではサポートのSUNNY氏も)がインタビューを受けている。パンフによればこれは7年ぶりのことだという。

事務所が分社化されたため小林武史は一気にExcutive Producerですら無くなり、Spescial Thanks扱いとなっている。これまでの感謝を込めたクレジットであり、小林武史は一切関与していないものと思われる。

 

10月9日のライブの模様はほぼ全曲がそのまま入っている。

1.Everything (It's you)
1997年2月5日(シングル)。

2.旅人
1996年8月8日(シングル「マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-」C/W)。

3.名もなき詩
1996年2月5日(シングル)。

4.Melody
2014年11月19日(シングル「足音〜Be Strong」C/W)。ライブ当時は未発表曲。

5.FIGHT CLUB
新曲。

6.斜陽
新曲。映画公開時点でも未発売だが、12月のFNS歌謡祭で披露。

7.蜘蛛の糸
新曲。

8.I Can Make It
新曲。

9.放たれる
2014年5月24日配信リリース。ライブ当時は未CD化曲。11月にシングル「足音〜Be Strong」C/WでCD化。

10.花 -Memento-Mori-
1996年4月10日(シングル)。桜井による1コーラス弾き語り。

11.進化論
新曲。

12.足音〜Be Strong
2014年11月19日(シングル)。ライブ当時は未発売。13日からタイアップ先ドラマが放映開始。

13.幻聴
新曲。

14.口笛
2000年1月13日(シングル)

15.未完
新曲。

16.独り言
1999年1月13日(シングル「光の射す方へ」C/W)

 

前2作と違って一応映画作品なので最小限のインタビューパートも入れたという程度で基本的にライブフィルム。序盤3曲を「これまでのMr.Children」として、以降にこれからを示す新曲を大量披露している。07年より小林武史がライブにおいてもキーボードを担当していたが、このライブからはそれ以前に担当していたSUNNYが復帰。彼は小林武史のように主張しないキーボード演奏がまず素晴らしいが、コーラス面での活躍が大きいことが分かる。

5年前の『Split The Difference』の悪夢を思うとMr.Childrenが4人組ロックバンドMr.Childrenであることを高らかに宣言したような構成になっている。明らかに桜井と小林そしてバックバンドの3人という構図だった『Split The Difference』や近年の作品のサウンドバランスから一転、今作では4人の奏でる音をメインにしたロックサウンドが炸裂しまくり。

特にギター田原さんの覚醒っぷりはすさまじく、そもそもその御声を聞けるだけでも一体いつ以来だろうか…?とちょっと考えてしまうくらい久々。『Split The Difference』での田原さんは既存曲でもコバチルリアレンジによりピアノとボーカルだけで曲の前半が進む中で2番以降になるまで画面にすら出てこないとか、近年の作品でも意識して耳を傾けないとギターが遠いなどがデフォの状態まで窓際化していたので、まさかこんな前面でギターが鳴っているとは!しかもなんと楽しそうな微笑みまで浮かべていらっしゃる。田原さんのギターを待ち焦がれていたファンは失神モノである。しかもライブ写真からインスピレーションを受けて作品タイトルを考案なさり、映画の締めの言葉も桜井ではなく田原さんが「まだやりたいことはたくさんある」と意欲を述べられる。田原さんがついに本気をお出しになられたのだ。これは期待せずにはいられない。

 

こうなった理由はやはり小林武史を離れた事で、バックバンド化状態だったメンバー3人、特に最も後退していた田原さんも自分たちがバンドの一員であることを強く意識して、自分たちだけでMr.Childrenを作っていこうという状況になったからだろう。

そもそも冒頭3曲を「これまでのMr.Children」というけどこれは96、7年という最もミスチルがロックバンドしていた時期の曲であり、この3曲が出てきた時点で既にここ10年くらいを含めた「これまで」とはまるで違う。特に『Split The Difference』では過去の曲までピアノまみれにしていた事を考えると、冒頭3曲の時点で"ロックバンドMr.Children"の生還と言ってもいいくらいだ。さすがに公式でそんな事を言ってしまうわけにはいかないだろうけど。

新曲含めても全体的にバンド色、ロック色が極めて強い。「Melody」や「足音〜Be Strong」「放たれる」など発売済みの曲はCDよりもバンド以外の音がかなり引っ込んでいてバンドの音が前に出ていた(近年のアレンジとは逆のバランス)印象。なので、新曲たちもCDになったらもうちょっとストリングスなりブラスなりの装飾音が増えたりはしているかもしれない。

あと映画館でライブを見るというのは音響の良さはもちろん、実際のライブでは音量過多による音割れなどもあり音などまともに聞こえない事を考えると、各楽曲が本当に綺麗に聞こえて最高だった。

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