X-MEN ファイナル・ディシジョン

06年公開。シリーズ3作目にして最終作とされているが、本当のタイトルは「The Last Stand」で、ファイナルディシジョンというのは邦題である。前2作の監督ブライアン・シンガーは同時期に「スーパーマン・リターンズ」の監督を引き受けることが決まり降板。さらにサイクロップス役のジェームズをそちらに起用して連れて行ってしまったため、スケジュールの都合がつかなくなり、サイクロップスの出番が激減し、序盤で退場することとなった。

 

前作までよりもミュータントの地位が向上。学園出身者で全身青色の獣の姿をしたビーストが政府の一員として活動していた。そんな中で、ミュータントの能力を無効化する能力を持つ少年リーチの細胞からミュータントの能力を消す「CURE」が開発されたことで状況が一変する。あくまでCUREの使用は希望性だとする政府だったがマグニートーは絶対強制してミュータントを根絶やしにするはずだと確信。決起集会を開き仲間を集めて戦争をふっかける。一方で死んだはずのジーンが復活。しかしそれは強力な能力を持つ眠っていた人格フェニックスだった。X-MENの仲間が連続して失われ、マグニートーについていってしまうフェニックス。すべての事態を終結させるために残されたX-MENは昇格した仲間たちとともに最終決戦に挑む。

監督が変わってしまったものの今回もCUREは治療か?そもそもミュータントは病気なのか?というところは描いている。ただやはり監督が変わった影響か、全体の印象はやや異なる(監督は世界観を継承したと発言しているが)。選択肢としてそれはどうなのか?と賛否両論を呼ぶシーンも多いし、何よりジーンがほとんどしゃべらず厳しい顔をして立っているだけなので色々表情で描写していても非常に分かりにくい。アクションもそれなりに派手だけど、旧メンバーが次々退場したり、出番が少ないのは少々残念だ。ただ氷と炎の対決はようやく戦闘が見れて面白かったし、新メンバーの壁抜け少女のキティはかわいかった。

今回気になるのは急に能力の階級が出てきたことである。フェニックスは「クラス5」とかいきなり言い出すのだが、特にそれ以外のメンバーのクラスは明示されないし、今作以外に能力階級の話も出てこない。いきなりなんだったのだろうか。

ラストということにはなっており、主要人物もけっこう犠牲者が出るのだが、ラストシーンでは微妙な匂わせをして、後々どうにでもなるようにしているのはポイントだ。直接の続編はまだ作られていないが気になる描写があったのでやってほしいところ。

色々惜しいところはあるものの、派手な大人数バトルが拝めるのは今作が初だったし、バトルは生かせているので面白かった。

B079W2K8LD18年発売Blu-ray版     B01E7BJ2061,2,ファイナル・ディシジョン,ファーストジェネレーション,フューチャー&パスト5枚組Blu-ray BOX

★★★★☆

以下ネタバレ含む、登場人物のまとめ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルヴァリン…本名はローガン。主人公。次々と主要戦力が失われたため、以前のような単独行動ではなく、前線でチームを引っ張っていく事となり、だいぶ仲間意識が高くなっている。最終決戦ではストーム以上にチームの中心として指揮をとる。ジーンの復活に動揺し、彼女を救おうと奔走する。ラストカットではやや落ち着いていたようにも見えるが、ジーンをその手で殺害した事に悩み続け今作より後では学園を去って放浪世捨て人生活を送っていた事が『ウルヴァリン:SAMURAI』では明らかになっている。

ストーム…本名はオロロ・マンロー。髪が短くなった。主力メンバーがいなくなったのでX-MENリーダーとなる。出番と見せ場が激増した。風を操って空を飛んだり、回転しながら相手を吹き飛ばすなど新たな技が増えたほか、電撃等の能力も増大している。序盤ではプロフェッサーXに後継者として指名されている(スコットはまだ生きていたがジーン死亡後変わってしまったので適任はストームと判断されたらしい)。プロフェッサーX亡き後に学園を継続しようと最初に言い出したのもストームだった。

プロフェッサーX…本名はチャールズ。20年前にジーンの中に眠る巨大な力に危険を感じ、ジーンが能力を操作できるように精神に介入した過去がある。その時封印された人格フェニックスが目覚めたと知り、止めようと説得にあたるが、マインドコントロール対決に敗れて爆発霧散する。冒頭の授業シーンで「意識を移す」仮定の話をしていたが、EDロール後のラストシーンでは生まれた時から脳死状態だった双子の兄弟へと意識を移動させて目覚めた事を示唆するシーンがあり、今作以降の時系列である『ウルヴァリン:SAMURAI』ラストシーン以降、何事も無かったように登場する(ウルヴァリンは驚いていた)。

サイクロップス…本名はスコット。X-MENリーダーだったが恋人のジーンを失い無気力状態となっていた。しかしジーンに呼び出されるように彼女が消えた湖へ向かう。そこでジーンの復活を目撃。熱く抱き合うが能力が暴走したフェニックスによって…。ローガンとストームが駆けつけた際にはサングラスしか残っていなかった。

アイスマン…本名はボビー。氷を操る能力者。ローグと恋仲になっているが、キティとも親しくなる。今回はついに戦闘訓練を受ける段階に昇格している。さらにメンバーが減ったことでキティ、コロッサスと共にX-MENメンバーに昇格し最終決戦に挑む。因縁の相手パイロとの直接対決では敗北しかけるも自身を凍らせる文字通りのアイスマンの能力を発動し、パイロを打ち破る。

ビースト…本名はマッコイ。ミュータント省の長官。今作が初登場だが、元々は学園出身者で、ストームを本名で呼んでいた。全身青色の毛むくじゃらの獣の特性が強い風貌で、戦闘スタイルも獣そのものだが特殊能力は獣的なこと以外には無いようだ。最終決戦ではマグニートーにCUREを撃ちたてる。政治家として出世した本ラスト以外に未公開映像として学園で教師になった別バージョンがある。

キティ…キティが本名で能力ネームは原作によればシャドウキャットらしいがキティとしか呼ばれていない。壁抜け能力を持つ。前2作ではそれぞれ1回ずつ登場していた。役者が3回とも違っているが同一人物設定。幼い外見だが18歳に成長しており、今回は一気に戦闘訓練を受けるメンバーに抜擢されている。最終決戦時にはX-MENメンバーに昇格。壁抜け能力を駆使して、リーチ救出とジャガーノートとの追走劇を繰り広げる。アイスマンに励まされて感謝するなどしているが、恋心があるかは不明。

ローグ…本名はマリー。アイスマンとの交際は続いているが、能力ゆえに触れることが出来ないままで苦悩。CUEEの存在を知り、治療したいと考える。冒頭では戦闘訓練を受けるメンバーの1人にまで昇格していたが、CUREの治療のため街を出て以降最終決戦にも参加せずラストカットまで出番がない。能力を失ったにも関わらず学園に戻ってくるという結末には賛否両論が巻き起こった。監督もローグをどうするか迷っていたようで未公開カットとして、CUREを使用せずに帰宅した別バージョンも制作し、DVD特典として収録している。

コロッサス…本名はピーター。ムキムキの巨漢。生徒の中では年長。全身を金属の鎧にする能力を持つ。前作では学園襲撃の際に、生徒ながらも率先して幼い子供たちを逃して、誘導していた(それっきり出番なし)。今回は戦闘訓練を受けるメンバーに抜擢されており、最終決戦にはX-MENメンバーに昇格して参加。能力を生かしてウルヴァリンを放り投げるという連携技を持っている。

 

ジーン/フェニックス…前作で湖に沈んで死んだと思われていたが、復活。しかし幼い頃にプロフェッサーXが危険だと感じて封印したフェニックスの人格が目覚めており、スコットを殺害。その後は台詞はほぼ無く怖い顔で立っているだけとなり、プロフェッサーXも爆散させてしまう。マグニートーに連れられていくが、やはり怖い顔をして立っているだけで何を考えているのかは不明。ラストでは大暴れするが、わずかに残っていたジーンの人格が自分を殺してくれと頼んだ事からローガンに殺害される。

マグニートー…本名はエリック。CUREの存在を知り、仲間を募り、Botherhoodを組織。戦争をしかける。プロフェッサーX爆散の際にも立ち会っており、その後冷静にフェニックスと化したジーンを連れ出す。しかし敵対していてもプロフェッサーXへの一定の尊敬や友情の念は持っていたようで、爆散直前にはやめるんだ!と叫んだり、プロフェッサーXをバカにしたパイロに対して彼は偉大だったと説くシーンがある。最終決戦でCUREを撃ちこまれ能力を消失。失意のおじいちゃんと化すが、ED直前のカットでわずかにチェスの駒が揺れるようなカットがある。これが能力復活への示唆とされており、今作以降を描いた続編では何事も無かったかのように復活して登場する。

ミスティーク…今回は最初から捕まっていた。救出に来たマグニートーらを守るためにCURE銃の盾となり能力が無くなってしまい見捨てられる。その後政府に協力していたようでアジトの場所を教える。しかし既に移動後で政府に協力していたのか、実はまだマグニートーを支持していたのかは謎のまま。今作以降の時系列の続編では登場しない。

パイロ…本名はジョン。炎を操る能力者。前作終盤でマグニートーについていく道を選択。マグニートーの片腕的存在だが、ミスティークも捕われてしまったので仲間を集める前はパイロとマグニートーの2人しかいなかった。タガが外れたので容赦なく能力を使い、敵の殺害を躊躇しない。アイスマンとの戦闘では優位かと思われたが自身を凍結させたアイスマンの方が格上に成長しておりアイス頭突きを喰らい気絶。学園でしっかりと戦闘教育も受けたアイスマンと、自由奔放に能力を使うも訓練はせずにせいぜいライター所持ではなく直接着火装置を手に巻き付けて能力発動を便利にしていただけというところで差が生じたか…。その後は不明だが、フェニックスが周囲を跡形も無く消失させていたので誰かに助けてもらってなければ気絶したまま爆散…。

ジャガーノート…危険人物とされ、完全拘束されていた囚人。突進しただけで壁を軽々破壊する能力者。最終決戦時にキティの壁抜けを壁を破壊して追いかける追走劇を繰り広げる。直接死んだ描写は無いが、気絶したままフェニックスの周囲破壊に巻き込まれ爆散したものと思われる。

 

瞬速女…マグニートーが集会で仲間を募った際に立候補した女。瞬速移動する能力者。前作のナイトクロウラーに比べると一段弱い能力だが、他にミュータントの感知能力があり、相手のレベルまで察知できる。この能力を使ってミスティークやフェニックスを探し出してマグニートーに重宝された。ストームに勝負を挑むが、敗れて感電死する。

分身術の男…同じく拘束されていた囚人。分身の術を使う能力者。出番がほとんどなく、おとりに使われて以降最終決戦時にはいなかったので捨て駒にされた模様。

ほか3人…マグニートーが集会で仲間を募った際に立候補したメンバー3人。それなりに能力を見せる機会はあったが、全員逃げ遅れて爆散する。

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