ええ愛のメモリ

No タイトル 作詞 作曲
1 ネイビーオレンジ(AI VOCAL) 奥田民生 奥田民生
2 米米夢(AI VOCAL) EBI EBI
3 オラ後半戦いくだ(AI VOCAL) 手島いさむ 手島いさむ
4 モッカ幸せ(AI VOCAL) 川西幸一 川西幸一
5 OAW!(AI VOCAL) ABEDON ABEDON

リリースデータ

2023年10月11日 配信限定 初登場5位 売上0.08万DL Ki/oon Records

メンバー

ABEDON
EBI
奥田民生
川西幸一
手島いさむ

UNICORN配信限定EP。『ツイス島&シャウ島』から2年2ヶ月ぶりの新作。8月27日に次のフルアルバム『クロスロード』を11月15日発売と告知していたが、今作は10月4日に突如として「宇宙兄弟」作者の小山宙哉とのコラボでBGMをABEDONが手掛けた特別編ショートストーリー『ええ愛のメモリ』をYouTubeに公開、この映像の中で発掘された「ええ愛のメモリ」5曲を配信したのが今作という流れになっている。このためか曲間にはコンピューター音やノイズが意図的に混ぜられている。ABEDONによるインタビュー動画が公開され、制作経緯が説明された。今作ではメンバーは一切歌っておらず、メンバーの若い頃のボーカルを学習させたAIボーカルとなっている。5人それぞれがあの頃作っていたような曲というテーマで過去の自身の楽曲をオマージュしたような曲を制作している。

1週間後の18日に『クロスロード』とその後のツアーも含めた特設サイトが開設され、『クロスロード』にこの5曲が収録されることが判明、AI VOCALの表記が消えている事から現メンバー歌唱に差し替えての収録になるようだ。

「ネイビーオレンジ」→「Maybe Blue」(1stアルバム『BOOM』収録曲)
「米米夢」→「米米米」(17thアルバム『ツイス島&シャウ島』収録曲)
「モッカ幸せ」→「ロック幸せ」(4thアルバム『ケダモノの嵐』収録曲)
「OAW!」→「WAO!」(10thシングル)

「オラ後半戦いくだ」→不明

コアなファンでなくともある程度過去の作品をチェックしていれば知っているようなそれぞれが過去に作った代表的な曲が元ネタになっているようだが、EBIと手島いさむに関しては他の3人とはややズレた考え方で曲を用意してきたような感じはある。「米米米」は前作の収録曲で1人だけ真新しい曲が元ネタだし…。「オラ後半戦いくだ」に至っては明らかに吉幾三「俺ら東京さ行ぐだ」をパロディにした曲名になっており、元ネタとなった過去の手島曲は不明というか存在しないような…曲自体は「デーゲーム」や「自転車泥棒」的な手島いさむっぽい感じではあるんだけど…。

現在のメンバーによる円熟味のある演奏と若い頃の声を学習させたため初期のような声のAIボーカルという組み合わせの妙により不思議な味わいの1作。最も分かりやすいのはいかにも初期全開で1stアルバムの曲をパロディにした民生曲2009年再結成1発目シングルのパロディにしたABEDON曲の2曲だろうか。奥田民生がこういういかにも初期らしい若い勢いに溢れた曲を書くのはこんな企画でも無ければまずやらなかったと思われるし、セルフパロディ的な事を企画に乗っけてやる発想は斬新で面白い。何よりAIボーカル、言われなければ機械だと分からないくらいかなり緻密に作られている。一昔前のボーカロイドとはレベルが違う感じで、まるで生身の人間のような揺らぎもあって機械っぽさがほとんどない。AI美空ひばりは紅白でかなり話題になったが、この技術かなり恐ろしい領域にまで進化していたようだ。コアなファンであればこれは違う、やはり機械であって本人ではないと強く感じるのだろうけど、そこまでのファンではないので正直分からない。

今のところ高齢化が深刻化しつつあるこの日本においてはギリギリまで現役を続けてきた人気ミュージシャンが一気に引退するかこの世を去っていくラッシュ状態に陥る事は避けられない事態としてそう遠くない将来待ち受けているわけだけど(既に始まっている?)、このAI技術はそんな喪失が続くであろう時代を埋めるアイテムとしていずれ乱用される事になるかもしれない。そうなる前に全員元気なうちにこういう企画としてあっさりやってしまえるところは昔からなんでもありだったUNICORNらしいといえる。

印象度★★★☆☆

2023.10.28更新

※Amazon Musicで視聴。

戻る