SHOW WESUGI 25th ANNIVERSARY BOX「世界が終るまでは」

[BOOK]
自伝 世界が終るまでは… 上杉昇

[CD]
2017.9.17 SHOW WESUGI 25th anniv.LIVE in OSAKA at ell theater
No タイトル 備考
1 DON'T TRY SO HARD 4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』収録曲
2 Sleeping Fish 10thシングル『Same Side』C/W
3 世界が終るまでは… 8thシングル

 

[DVD]
2017.9.10 Yaoyuan International Baseball Stadium
No タイトル 備考
1 時の扉 4thシングル
2 FLOWER 4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』収録曲
3 世界が終るまでは… 8thシングル

リリースデータ

2018年1月10日 初登場107位 売上0.09万枚 有限会社オフィスポジョ

上杉昇デビュー25周年記念BOX。WANDSとしての91年12月のデビューから25周年を記念して自伝本+3曲入りライブCD+3曲入りライブDVDを収録。自伝本は320ページに及ぶ単行本形式CDとDVDはDVD用のトールケース収納で全てWANDS時代の楽曲の2017年のライブ映像/音源となっている。メインは自伝本となっているがO社ではアルバムチャートにランクインし、アルバム扱いされた。12月3日のライブで先行販売された。また1月10日の発売から程なくして品切れになっていたが、1月下旬に増刷された(本が第二版になっていた)。

WANDSは「世界が終るまでは…」に以外はちゃんと聞いたのは00年頃だったのでWANDSどころかal.ni.coも既に活動が停止した後で後追いで聞いていた。リアルタイムではその後ソロデビュー作『L.O.G』でついていけなかったので以降は聞いていない。上杉昇はWANDSに対して否定的な考えを持っているというイメージはあったし、実際そういったインタビューを受けているのは近年も何度か話題になった。それだけに2012年にアニサマで織田哲郎が出演した際にゲスト出演して「世界が終るまでは…」を歌ったと聞いた時は驚いた。それとあっさり休止になってしまったけどTRUSTRICKのBillyは上杉がソロと並行して行っているバンド猫騙のメンバーだったとかここ10年以上の上杉昇についてはそのくらいしか把握していない。

改めて自伝で半生が語られるのは興味深かったが、いかんせん値段が高い上に、発売まで内容が不明だった。公式サイトの記載もかなり適当だったのでどうやらWANDS時代のセルフカバー3曲が入ったCDとDVDがつくらしい…というのは分かったが、曲目が無かったので、ソロライブをほぼフル収録したDVDとCDにWANDSの曲が3曲入っているのかなと価格的には予想され、そうなるとついていけなくなってからの初聞きの曲を大量に見たり聞いたりするのはしんどいなとも思ったりしたんだけど…。程なくして品切れになってきていたので慌てて注文…したら実はCD、DVD共にWANDS時代の3曲ずつしか入っていないこと、二版が行われて品切れが解消されてしまい入手困難でもなくなってしまった事が判明。

そんなわけでまあ今作、値段がわりに合わない。単行本だけだったら高くても2000円以下といった感じの装丁だし、そこに3曲ずつのCD/DVDついてどんなに高くても5000円以下が適正価格だろう。それでもインタビューで断片的にしか語られていない上になんだかネット上でも独り歩きしてイメージされてしまっている上杉昇の本来の考えや歩みがきちんとした形で本人の言葉で語られているので、そこに興味があってこの価格(税込みで7000円を越えるが、再出荷後はネット割引で6000円をギリ割り込むくらいで入手可能)を出せるかどうかというところだと思う。

自伝本
自伝といっても本人が文章を書いているのではなく、WANDS時代から信頼している付き合いの長いライターを本人が指名して、その人に話した事を本人の語り調でまとめてもらうという形式で書かれている。このため本人が喋っている感じの文章になっていて、もちろんライターの私見やライター視点での解説などライターの存在を感じるような要素は一切無い。「著者」は上杉昇名義になっていて、ライターは「取材・構成」扱いだ。

幼少期の話は初めて知る話しかなかったし、デビューの経緯もかなり詳細に語られている。WANDSとして活動した大島こうすけ、柴崎浩、木村真也についても語っているが悪いことも語っていない。むしろ3人ともそれぞれ好印象だった部分を思い出して語っていて基本的に褒めている。これは長戸大幸ら他のビーイング時代のスタッフにも通じていて基本的にビーイング時代の関係者へ攻撃的な態度は見せていない。ただしWANDSが脱退後に存続したことと、3期WANDSについては一切言及していない。この点はWANDS以外の事にも共通していて、いい事悪い事含めて率直な当時の思いは語られているんだけど、たとえ悪い事であっても相手を悪く言うようなことはしない代わりにal.ni.coや猫騙でも脱退したメンバーのその後については必要が無ければ特にそれ以上は触れない…などちゃんと気を遣っているので読んでいても嫌な気分になったりしないのは良かった。この辺はライターの人がかなり尽力した部分なのかも。似たような話をしていても週刊誌のインタビューの時とは受ける印象が違う

改めて正式に判明したところでは「Secret Night〜It's my treat〜」のより詳細な制作秘話が語られていたり、「恋せよ乙女」が大島在籍時代に作ってあった曲と明言されたので、過去の『at the BEING studio』や『BEST OF BEST 1000』で矛盾があったり、断定されていたことの一部の事柄が間違っていることは正式に判明した。もちろん全部間違っていたわけではなく、書いてあった通りだったような事柄も正確に判明したのはスッキリした。WANDS時代の楽曲への思いもずっと複雑であることはうかがえるが、アニサマ出演を機に明確に変わってきた事が語られており、ちょっと週刊誌で語っただけでは伝えきれなかった部分まで語っているのでこれは読まないと分からない部分だと思う。

週刊誌のインタビューでもそうだったけど、全体に思ったのはWANDS時代に対して上杉昇自身が最もファン層とか当時の立ち位置に偏見持ってしまっていたんじゃないかなという事。これは直接お客さんの反応を見る機会が売れていた時期にほとんど無かった事、そんな少ない機会の中で当時のライブの観客がキャーキャー系の女性ファンばかりだったという印象を非常に強く抱いたままそんなにライブ本数を重ねずにWANDSを脱退してしまった事、その後ロックの現場でWANDSの上杉という偏見で嘲笑されたり下に見られることがあった…など脱退後メジャーシーンとはかけ離れた場所で活動して畑が違いすぎたのもあるんだろうけど、WANDSに対するイメージが歪んでしまったところは物凄くあったのかなと。実際にはWANDSに対しては謎めいた印象の方が強かったのに、WANDSの事をアイドル時代とか揶揄していたのもようやく納得がいった。

実際にはアイドルイメージが一般的に無いようなロックバンドでもキャーキャー言う女子は必ずいるし、逆にアイドルで売ってない女性シンガーでも前列はアイドル的な声援ここそ送らずとも男性ばかりだったりするのは割と普通だと思うんだけど、下積み経験もすっ飛ばしてのデビューだったのでそういうものだと割り切れなかったのかも。アニサマに出演して熱狂的な反応を受けた事でそんなWANDSへの印象が大きく変わったというのは興味深い話だった。

そんなわけでWANDS時代にしか興味が無くてもこの自伝本はなかなか面白かった。

CD
こちらはアコースティック+ストリングスという編成。ロックを追求しているイメージが根強いが、最近はこういう歌モノの活動もソロ名義では行っているらしい。「DON'T TRY SO HARD」や「Sleeping Fish」はシンプルな曲だったのでこの演奏スタイルも映える。「世界が終るまでは…」はオリジナルとは全く異なるアレンジになっているが、やはりこの曲の歌詞とメロディーは非常に強いものがあるなと思った。国内のライブ録音という事もあり、DVDに比べるとこちらの方が演奏もボーカルも前に出ていて音もいい。

DVD
台湾の球場でゲストで呼ばれてライブを行った時の映像のようだが、こちらはバンドスタイル。歌い方も変わったがキーは変わってないし、WANDS時代のライブ映像だと歌い方がもっと雑だったりしたので今の上杉昇が歌うWANDSの曲としては非常にいいものだと思う。ただ台湾の球場でのライブというのは国内のライブハウスより遥かに環境が悪かったのか画質はともかく音声は演奏の迫力もペラくなってしまっていて率直に音があんまりよくないのは残念だった。また観客を映すのはいいけど、スマホいじっているだけで興味なさそうな観客までわざわざ一定時間映さなくてもいいじゃないか。

SHOW WESUGI 25th ANNIVERSARY BOX「世界が終るまでは...」 (CD+DVD+BOOK)  

印象度★★★☆☆

2018.1.30更新

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