カメレオン

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 それだけなんだけど 前田由紀 坂井紀雄 坂井紀雄  
2 桜並木道 Whiteberry Whiteberry 伊藤銀次&Whiteberry 5thシングル 最高16位 売上5.5万枚
3 かくれんぼ 川村恵里加 たなかひろかず たなかひろかず 6thシングル 最高20位 売上3.2万枚
4 ときめきラブコール Whiteberry Whiteberry 坂井紀雄 7thシングルC/W
5 中国四千年の恋 Whiteberry Whiteberry 坂井紀雄  
6 夜と霧 Whiteberry Whiteberry 坂井紀雄  
7 どろぼうヒゲマニア 川村恵里加 森永直樹 伊藤銀次  
8 立入禁止 Whiteberry Whiteberry 坂井紀雄&Whiteberry 7thシングル 最高59位 売上0.5万枚
9 正直者 前田由紀 たなかひろかず たなかひろかず  
10 炭酸水 Whiteberry 馬場一嘉 坂井紀雄  
11 10 years after Whiteberry 坂井紀雄 坂井紀雄  

リリースデータ

2002年1月23日 初登場48位 売上0.6万枚 Produced by 坂井紀雄、伊藤銀次(2,7)、たなかひろかず(3,9) Sony Records

メンバー

Vocal 前田由紀
Drums 川村恵里加
Keyboards 水沢里美
Guitar 稲月彩
Bass 長谷川ゆかり

Whiteberry2ndアルバム。前作から1年4ヵ月ぶり。前作以降のシングルのうちリメイクだった「あくび」は未収録で、それ以降の3シングルとC/W1曲を収録。「あくび」で大失速となった後、「桜並木道」、「かくれんぼ」はタイアップもあって何とかトップ20ヒットを記録したが、「立入禁止」では一気にトップ50落ち、1万割れと大暴落し、今作もほぼそれと同等の売上まで大暴落した。結果的に今作が最後のオリジナルアルバムとなり、同年秋にカバー3シングル連続リリースを決行した後はリリースが停止、04年年明けに解散が発表され、次のオリジナルアルバムの制作に至る事は無かった。

イメージ戦略の失敗により、ほぼ1発屋状態でブレイク前より一気に低迷していく中でソニーは早くも同じ北海道出身でZONEをデビューさせ、「夏祭り」の大ブレイクと全く同じ夏休み期のTBS昼ドラ主題歌というタイアップ戦略で「secret base〜君がくれたもの〜」でZONEは大ブレイク。"北海道出身のガールズバンド"は全部ZONEに持っていかれてしまい、ZONEブレイク後のシングルとなった「立入禁止」は壊滅的に大暴落してしまった。

色々な曲が入っていてカメレオンのようだからという理由でタイトルが決定したそうだが、ジャケットにメンバーを出さずにまさかのカメレオン5段重ね。裏ジャケでは横顔アップで横たわる前田の顔面にカメレオン、ブックレット内でもカメレオンのイラスト、メンバー写真のどこかに張り付いているカメレオン…といくら何でも見た目そんなに気持ちの良いものではないカメレオンを写しまくっていて奇異というかちょっと気持ち悪い、不気味な印象がある。前田のメイクもかなり濃いがダーク化したメンバーの雰囲気よりもカメレオンの不気味さが印象に残る。

今作ではバンド名義での作詞作曲がシングル含めて5曲に及び、メンバーが曲作りを本格的に楽しみ始め、バンドとしての進化の可能性の萌芽を感じさせるような1作。まだこれがやりたいとかよりもみんなで曲作りするのが楽しいという感じで、特に自作曲はどれも方向性が違っていて、まくしてたり、煌めいたり、ふざけたり、超絶後ろ向きだったり、反抗したりとてんでバラバラ。アレンジに参加したのはシングルだけなので坂井紀雄がハチャメチャな楽曲群をうまく色づけした感じで地味に坂井紀雄の奮闘っぷりも前作以上に目立つ。1曲目の「それだけなんだけど」の全くそれだけではない反抗期の一方的な私の事をもっと分かってほしいアピールはまさに「あくび」以降の前田由紀をそのまま表現したような1曲で、「立入禁止」のインパクトも強いので、反抗的な側面が目立つんだけど、「正直者」「炭酸水」では一転して思春期から青春バンドへと少し成長した煌めきが感じられ、なんだかんだ1番期待されていたガールズバンドとしての方向性にもキッチリ応える。そして最後の「10 years after」では10年後もバンドは続いていくという約束が歌われる。

総じてとっちらかっていて何がしたいのか、どこへ向かいたいのかは見えにくい1作ではある。ただがむしゃらな勢いは唯一無二のものだし、通常メジャーのバンドなんてもっと形になってから評価されてデビューするだけにここまで荒削りで成長途上なバンドの姿はなかなか聞けるものでもない。もしかしたら珍しさだけで小学生バンドを無理やりデビューさせたので実力的な限界を感じるところもあったのかもしれないし、覚悟も足りなかったのかもしれないが、この先があるなら可能性はそれなりに見えた1作だったとは思うし、成長の余地はありあまるほどにあった。「10 years after」で終わるようなアルバムを出して、この後に初のツアーを行って…という段階でライブ経験を重ねればまたバンドとして進化できたのは確実だっただろうし、その後で見える曲作りもあったはず。無限大の可能性はあったのにこの先が最早ほとんどありませんでした…なんてオチは本当に残念だった。今作で終わってしまうのであれば今作も単なる迷走作でしかなくなってしまう。

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印象度★★★★☆

2020.9.27修正

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