LOVE COOK

Strings Arranged by 弦一徹(2,6)、クラッシャー木村(7)
Brass Arranged by YOKAN(9)

リリースデータ

大塚愛3rdアルバム。前作から1年1ヵ月ぶり。前作以降3シングル4曲と3月に発売されたトリビュート盤『LOVE for NANA〜Only 1 Tribute〜』に収録されていた「Cherish」を収録。前作からリアレンジ&タイトル変更でシングルカットした「黒毛和牛上塩タン焼680円」は未収録(オリジナルアルバム未収録でベスト盤に収録)。DVD付、CDのみ、初回盤描き下ろし絵本付の3種に加えて初回盤フォトブック付の合計4種で発売された。DVDには「ビー玉」「Cherish」のMV収録。これ以外のシングル3曲はシングルのDVD付にそれぞれ収録していたため、未商品化の2曲のみを収録した形。

「さくらんぼ」の50万越えのヒット以降のシングル曲は概ね15万前後で推移していたが、「SMILY/ビー玉」は初の1位を獲得して自身3番(当時2番)ヒットを記録、「プラネタリウム」はドラマ『花より男子』イメージソングとなり、ドラマの大ヒットと共にロングヒットして自身2番ヒットとなった。シングル2作が30万枚を越えるという好調の中で今作がリリースされ、今作は自身最大のヒットを記録した。

セールス面でキャリアハイに達した時期の作品だが、個人的には前作で見切ってしまったため今作はスルーしてしまい、この次がベスト盤だったのでそこで戻った。このためオリジナルアルバムで今作だけリアルタイムで聞かなかったアルバムとなってしまった。正直前2作の延長にあるようなアルバムだと思っていたが、今作は前2作とはかなり異なる。良くも悪くもインパクト重視の前2作に対して今作はかなり腰を据えて可愛いノリのいい曲とバラード以外のもう1歩踏み込んだところを見せようとしていたようだ。

冒頭「5:09a.m.」から朝もやのような静かな雰囲気で入り、サビのみ爆音ロック化。続く「羽ありたまご」も落ち着いたミディアム系。そして3、4曲目でようやくこれまでの大塚愛らしいイメージのヒットシングル2曲が出てくる。この2曲に関しては前作までの延長っぽい雰囲気で、実際今作の飛び道具ネタポジションの「ラーメン3分クッキング」と並んで8thシングルの2作はバンド風打ち込み、それ以外は生音で制作されており、サウンドプロダクションの時点でも前2作とは全く異なる。今作がしっかり地に足がついた感じがするのはこういった生音中心の音作りに加えて、かわいくて明るいアイドル的なノリのアップテンポとじっくり聞かせるバラードという二軸に留まらないアーティスト大塚愛の多彩な魅力が存分に発揮されたからだと思う。冒頭2曲もそうだし、人気曲の「Cherish」やジャジーな「東京ミッドナイト」、ここまでを締めくくるような「LOVE MUSiC」などシングルでは見せていなかった一面を見せての良作が目立つ。ここまで培ったパブリックイメージにシングルで応えつつも違う魅力もしっかり発揮できた傑作アルバム。

DVD付　　フォトブック付　　絵本付　　CDのみ 　

印象度★★★★☆

2018.7.27更新

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