木造の瞬間(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | 群青 | 佐々木健太 | 佐々木健太 | 3rd配信限定シングル、WIZY群青映画化プロジェクト版『太陽の夜 ORIGINAL SOUNDTRACK』収録曲 |
2 | ダンス | 藤森真一 | 藤森真一 | |
3 | 嘘みたいな奇跡を | 佐々木健太 | 藤森真一 | |
4 | 同窓会の手紙 | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
5 | トマト | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
6 | かさぶた | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
7 | ブラッドオレンジ | 藤森真一 | 藤森真一 | WIZY群青映画化プロジェクト版『太陽の夜 ORIGINAL SOUNDTRACK』収録曲 |
初回盤:
冊子「藍坊主の瞬間」(著:hozzy)
リリースデータ
2018年1月24日 | 初登場48位 | 売上0.2万枚 | Produced by 藍坊主,時乗浩一郎 | Luno Records/タワーレコード |
メンバー
Vocal,E.Guitar&Chorus | hozzy(佐々木健太) |
E.Guitar,A.Guitar,Programming&Chorus | 田中ユウイチ |
Bass,Piano&Chorus | 藤森真一 |
Drums | 渡辺拓郎 |
藍坊主3rdミニアルバム。「もくぞう」ではなく「きづくりのしゅんかん」と読む。2017年の配信限定シングル「群青」を収録。2015年の「魔法以上が宿ってゆく」MVや前作『Luno』初回盤DVDのドキュメントを担当した監督勝又悠と特にhozzyが親交を深めており、2017年は「群青」の世界観から着想を得た勝又悠監督が映画『太陽の夜』を制作するというWIZYでのクラウドファンディング型のプロジェクトが行われ、藍坊主は映画の音楽を担当。WIZYでのプランのうち試写会&ライブと映画のDVDのみの最安プランを除く応援プラン以上には映画のサントラCDも付属し、「群青」と新曲の「ブラッドオレンジ」はそちらで既にCD化されていた(締切時点で入手不可)。これら2曲は既にMVも制作されていたが、今作のリード曲として「嘘みたいな奇跡を」のMVが制作された。初回盤はhozzyがこの数年間の自身の事、バンドの独立の事、今作にまつわる話を書き下ろした3万字32ページの冊子「藍坊主の瞬間」が付属する。
今作では初期の共同プロデューサーで2010年のアルバム『ミズカネ』頃までストリングスアレンジ等で関わっていた時乗浩一郎が久々に共同プロデューサーとして全面参加している。時乗浩一郎は2011年頃に事務所グッデイを辞めていたようだが、2016年に藍坊主も事務所を辞め、お互いが事務所を離れて再会する事となった(交流復活は前作後のツアーを時乗さんが見に来た事らしい)。その第1弾が「群青」だったが、これが全盛期を彷彿とさせる名曲で衝撃を受けた。
事務所独立前からどこか様子がおかしいというか率直にバンドのピークが過ぎ去ってしまった感じが薄々漂い始めていた。更にレコード会社を辞めて自主レーベルを立ち上げての2015年のシングル2作はまだいいとして、2016年は事務所まで辞めてエンジニアの仕事もhozzyが担当したアルバム『Luno』はインディーズというかもうほとんど自主制作盤に近い状態で、曲自体もどこかパッとしない、それ以前に音そのもののクオリティも明らかに下がった感じがしてしまい、ちょっと先に期待できなくなってきていた。
それだけに「群青」のこれぞ藍坊主な会心の1曲っぷりは凄かったし、「ブラッドオレンジ」も良かった。そんな中の今作も厳選された7曲が並ぶ期待以上の1作で、かつて好きになった藍坊主がその道の先に見事に復活したといった趣き。これは時乗浩一郎との再会により、バンドがかつての感覚を取り戻したという側面も当然あったとは思うんだけどそれだけではここまでにはならない。その答えは初回盤のhozzyが書き下ろした「藍坊主の瞬間」で明かされていた。hozzy自身のあらゆる面での不調に端を発しての解散危機や、レコード会社離脱、事務所離脱によるバンドの立て直し、そしてそれらを経て感覚が戻った事を実感している心境が率直に綴られていて、だからこその今作のこの充実ぶりなのかと納得した。
2014年の配信シングル「向日葵」リリース頃からのhozzyは確かに様子がおかしく、マイクを自作してそれに妙に凝ったり、ソロプロジェクトを立ち上げたり、Twitterで突如スタッフ(?)相手に怒りのつぶやきを連投したりと、何か袋小路に迷い込んでいるような感じはあった。当時はこんなんで大丈夫なのかなと思っていたが、このように概ねここ数年の藍坊主やhozzy大丈夫なのかな?と思っていたような人が読めば納得できて、そしてこの先に迷いのない期待が持てると思う。これでまだミニアルバム。30代半ばを迎えた藍坊主にここでもう1度全盛期が来るならばこんな楽しみなことは無い。最高傑作まではまだいかないとは思うんだけど、それでも2018年時点においてこれは確かな名盤だ。久々に名盤を聞いた。
印象度★★★★★
2018.4.14更新