Luno(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | ボトルシップ | 藤森真一 | 藤森真一 | |
2 | うさぎとかめ | 藤森真一 | 藤森真一 | |
3 | ステラ― | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
4 | メッセンジャーの棲むところ | 藤森真一 | 藤森真一 | |
5 | すべてが終わった夜に | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
6 | 降車ボタンを押さなかったら | 佐々木健太 | 佐々木健太 | 16thシングル 最高71位 売上0.15万枚 |
7 | 魔法以上が宿ってゆく | 佐々木健太 | 藤森真一 | 17thシングル 最高64位 売上0.12万枚 |
8 | 剥がれ落ちて水になれ | 佐々木健太 | 佐々木健太 | |
9 | 猫のヒゲ | 藤森真一 | 藤森真一 | |
10 | バースデイイブ | 藤森真一 | 藤森真一 | |
11 | 存在とパン | 佐々木健太 | 渡辺拓郎 |
初回盤DVD
aobozu TOUR 2016「OTOMOTO〜ハナミドリームをもう一度〜」
DOCUMENTARY「10年の背中」
リリースデータ
2016年9月14日 | 初登場32位 | 売上0.2万枚 | Produced by 藍坊主 | Luno Records/タワーレコード |
メンバー
Vocal | hozzy(佐々木健太) |
Electric Guitar,Acoustic Guitar,Programming&Chorus | 田中ユウイチ |
Bass,Programming&Chorus | 藤森真一 |
Drums,Keyboard,Programming&Chorus | 渡辺拓郎 |
藍坊主8thアルバム。前作『ココーノ』を最後にトイズファクトリーから離れ、2015年に自主レーベルLuno Recordsを立ち上げた。ライブDVDと先行2シングルをリリースした2015年時点では事務所GOOD DAYには引き続き所属。シングル2作の段階ではレコーディングスタジオ含めて音源制作に関与しているスタッフは変わらず、CDの品番も「DLCR」とGOOD DAYのインディーズレーベルで使用しているもので藍坊主も『藍坊主』などインディーズ時代に使用していた品番だったが、2016年になるとGOOD DAYからも離れて完全に独立。今作は完全に独立体制で制作され、シングル2曲以外はこれまでと異なるスタジオやスタッフで制作され、録音には全面的にhozzyが参加(本職のエンジニアと共同)、ミックスはhozzyが単独で担当している。楽器の調整などもドラムを除いて自分たちで行ったとされている。Luno Recordは単なるレーベル名であり、CDを全国流通させる販売網を持たないためかロゴが小さく表記されるに留まり、今作では販売元も発売元もタワーレコードへ変わった(品番はTRJC)。初回盤は10年前の3rdアルバム『ハナミドリ』の楽曲を行うツアーのドキュメント映像を監督を立ててドキュメント映画風にまとめた35分程度のDVD付属。
レコード会社や事務所の偉い人の意見を聞かなくてよくなり、やりたいようにやれるようになったのが良くも悪くも反映された今の藍坊主が恐らく100%提示された藍坊主らしいアルバム。曲の難解さに関してはメジャー時代の方が強く、シングルっぽい曲というのにこだわらなくなってきたのかミニアルバム2連発や前作辺りから均等にいい曲が並ぶようになった印象はあったけど今回もそのモードは継続。いかにもアルバムだからやれるような実験曲は無くてどれもいい。ただ前作以上にリードする曲も無くなってしまった感じで、シングル「魔法以上が宿ってゆく」を越える印象の曲は個人的には無かった。
また気になるのは藤森曲で歌われている「君」がどうも父から子へみたいな曲ばかりになってしまい、これまでもちょいちょいあったとはいえ、自主レーベルで止める人がいないせいか今回ほとんどそれじゃないのかっていう。そしてhozzyのボーカルが枯れ気味、苦しげに聞こえてきたり、どうにも出し切れてなくてボーカルコンディションが悪く聞こえる点、録音まで極力自分たちでやったために全体のサウンド含めてトイズ時代に比べて弱くなったというか、単純に音質が落ちた感じはどうしてもしてしまう。
CDのプラケースが薄くてヤワになった事やブックレットの紙質がトイズ時代より安っぽくなっちゃったのはレコード会社によるところだと思うんだけど、音源そのものに関しては藍坊主の場合、トイズファクトリーではなく事務所GOOD DAYが所有しているらしきTAKE OFF studio、そこに在籍しているエンジニアを使ってずっとレコーディングを行っていたので、事務所離脱で制作環境を失ったのが1番影響大きいと思う。ここ数年はhozzyがマイクの自作を始めたり、録音やミックスにもhozzyが関与することはあったので、相当関心が高まっている感じはあり、そこも含めて人任せじゃなくて自分たちの思い描く音を実現したいということなんだとは思うけど、それでも大半を専任のエンジニアが手掛けてきたこれまでの音作りに比べると音が荒いというか藍坊主ってこんなもんだっけ?もっと凄いバンドじゃなかったっけ?という感じは否めない。エンジニアの違いなんてほとんど分からないんだけど、今作は明らかに違和感があったし、どうもパッとしないのは曲そのものだけでなく、自分たちでなんでもやりすぎたという点がけっこう響いているんじゃないかと思う。自主レーベルまでは分かるんだけど、事務所まで離れて制作環境を手放してレコーディングまで自分たちでやるのは少々やりすぎだったというか、今後これで大丈夫なのかなという感じはある。今までそんなに縛られていて窮屈な感じがあったのだろうか。
初回盤のDVDは10周年を迎えたオリジナルアルバムをピックアップして行う企画ライブの3年目3rdアルバム『ハナミドリ』のツアーのドキュメント。hozzyが既に当時の高音ボーカルを再現することが出来なくなっていたようで、ライブそのものはほとんど収録されていないが漏れ聞こえるライブ音源からはかなりCDとは異なるボーカルが…。ドキュメントっぽくメンバーインタビューを挟んだり、終盤は「魔法以上が宿ってゆく」のMVに主演した女の子が来場するなど「演出」っぽいところもあるけど、わざわざ演出を入れてまとめなくてもというところもあり、ドキュメントとしては中途半端。監督を置いてプチ・ドキュメント映画風に仕上げるなら、自主レーベルを立ち上げてから今作制作までの過程を追った方が明らかに見ごたえのある内容になったし、メンバーの真意や意気込みも伝えられて良かったと思う。10年前のアルバムを行うツアーに密着することで今とこれからを伝えていくにはドキュメントとして描写不足だしどうもなぁ…。
印象度★★★☆☆
2016.11.22更新