Live At The Hollywood Bowl
No | タイトル | 演奏日 | 備考 |
1 | Twist And Shout | 1965年8月30日 | 1stアルバム『Please Please Me』収録曲 トップ・ノーツのカバー |
2 | She's a Woman | 1965年8月30日 | 8thシングル『I Feel Fine』B面 |
3 | Dizzy Miss Lizzie | 1965年8月30日/29日 | 5thアルバム『Help!』収録曲 ラリー・ウィリアムズのカバー |
4 | Ticket To Ride 涙の乗車券 |
1965年8月29日 | 9thシングル、3rdアルバム『A Hard Day's Night』収録曲 |
5 | Can't Buy Me Love | 1965年8月30日 | 6thシングル、3rdアルバム『A Hard Day's Night』収録曲 |
6 | Things We Said Today 今日の誓い |
1964年8月23日 | 3rdアルバム『A Hard Day's Night』収録曲、7thシングルB面(同日発売) |
7 | Roll Over Beethoven | 1964年8月23日 | 2ndアルバム『With the Beatles』収録曲 チャック・ベリーのカバー |
8 | Boys | 1964年8月23日 | 1stアルバム『Please Please Me』収録曲 シュレルズのカバー |
9 | A Hard Day's Night | 1965年8月30日 | 3rdアルバム『A Hard Day's Night』収録曲、7thシングル(同日発売) |
10 | Help! | 1965年8月29日 | 10thシングル、5thアルバム『Help!』収録曲 |
11 | All My Loving | 1964年8月23日 | 2ndアルバム『With the Beatles』収録曲 |
12 | She Loves You | 1964年8月23日 | 4thシングル |
13 | Long Tall Sally | 1964年8月23日 | 5thEP『Long Tall Sally』収録曲 リトル・リチャードのカバー |
BONUS TRACKS | |||
14 | You Can't Do That | 1964年8月23日 | 6thシングルB面、3rdアルバム『A Hard Day's Night』収録曲 |
15 | I Want to Hold Your Hand 抱きしめたい |
1964年8月23日 | 5thシングル |
16 | Everybody's Trying to Be My Baby みんないい娘 |
1965年8月30日 | 4thアルバム『Beatles For Sale』収録曲 カール・パーキンスのカバー |
17 | Baby's in Black | 1965年8月30日 | 4thアルバム『Beatles For Sale』収録曲 |
リリースデータ
2016年9月9日(初CD化) 1977年5月25日(LP) 1977年5月25日(CT) 2019年10月2日(限定再発) |
初登場3位 最高1位 最高11位 - |
売上5.1万枚 売上17.5万枚 売上1.1万枚 - |
Produced by Giles Martin Produced by George Martin Produced by George Martin Produced by Giles Martin |
ユニバーサル 東芝EMI 東芝EMI ユニバーサル |
メンバー
Rhythm Guitar | ジョン・レノン(John Lennon) |
Bass | ポール・マッカートニー(Sir Paul McCartney) |
Lead Guitar | ジョージ・ハリスン(George Harrison) |
Drums | リンゴ・スター(Ringo Starr) |
The Beatles唯一の公式ライブアルバム。1964年8月23日と1年後の1965年8月29、30日にアメリカのハリウッド・ボウルで行われたライブの模様を抜粋収録。64年にライブ録音を試みたものの、当時の環境が劣悪で3トラックしか無かった事や観客の大歓声のすさまじさや機材トラブル等もあって満足のいく音源が録音できずに発売を断念、1年後の65年にもう1度録音を試みるもやはり満足のいく録音ができずにそのまま放置されていた。それから12年が経過、ビートルズが解散してからも7年が経過していた1977年にテープを発見したアメリカでのビートルズのレコードをリリースしていたキャピトル社長の依頼でプロデューサーだったジョージ・マーティンとエンジニアのジェフ・エメリックが音源を整えた事で77年にLPとして発売された。LP当時のタイトルは『The Beatles at the Hollywood Bowl』、邦題は『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』だった。
やがて時代がCDに切り替わってから大半の作品のCD化が進む中で今作は放置されたままだったが、2015年の『1』のリミックス&リマスターを担当したジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンによる新規のリミックス&リマスターにより2016年にCD化された。選曲はLP盤と同じ+4曲を追加したものとなっているが、ジャイルズは元の音源を聞いた上で改めて選曲したところ、77年の父と全く同じ選曲をしていたと語っている。なお当初のプロデューサーであるジョージ・マーティンは2016年3月に亡くなっている。
パッケージには1964年か1965年かの表記と各楽曲の解説で触れている曲もある、という程度で各楽曲の収録日が明記されていないが公式サイトでは収録日が明記されている。また曲間のMCは文字起こしされており、日本語訳もされて歌詞と一緒に併記されている。
CD化にあたってはタイトルが『Live At The Hollywood Bowl』に改められた。邦題は使用されずに単にカタカナ表記した『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』となっている。当時をまとめたドキュメント映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK』と連動しての作品でもあり、ジャケットも映画仕様になっていて初回盤には映画の割引券が封入された。映画は9月22日に公開されおおよそ1ヶ月で公開を終了、12月にBlu-ray/DVD化された。2019年には映画『イエスタデイ』公開に合わせたカタログキャンペーンとして年内限定で廉価再発された。
ビートルズで「ライブ」と題された作品は既に2作存在していて『The Beatles Live At The BBC』(邦題『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』)という作品が94年にリリースされ、第2弾の『On Air-Live at the BBC Volume 2』が2013年にリリースされている。このためややこしいが、あれはBBCラジオ放送で行われたライブ音源を集めた作品であり、普通に観客を入れてライブ会場でライブをした模様を収録した通常のライブアルバムとしては公式で唯一とされている。いちいち「公式で」と形容されるのはこのライブにしても海賊盤としてはかなり出回っているかららしく、コアなファンの間では今作もCDで既に完全版が海賊盤で出回っているので完全盤で出してほしかったという声もあるようだ。
当時録音しながら12年放置、77年にLP化しながら39年放置…と何かと放置されまくりなこのライブ音源。77年当時はみんな存命だったが39年も経過した2016年時点ではジョン、ハリスン、プロデューサーのジョージ・マーティンが他界してしまっている。時の流れを感じる。
ビートルズがこの翌年66年の夏を持ってライブを辞めた、その理由の1つが当時の機材では大会場に対応できず、観客の大歓声で演奏はかき消されてしまい自分たちの演奏も聞こえない事に嫌気が差した事とされている。むしろ難聴になる大爆音が鳴り響く現代のライブ環境ではイマイチピンと来ない感覚だが、今作はその当時の熱狂の一端が記録されているわけだけどなるほどこれは確かに嫌気が差すかも…と正直感じた。
終始観客の大歓声が被さっているその圧倒的な喧噪が何より今作で印象に残る部分だ。ていうかこいつらは何をしに来ているのか?叫び倒すためだけに来ていて歌も演奏もまるで聞いてはいないのではないか?というか絶対聞いてないし聞こえてないよね?っていう…。現代の日本だと大声で終始熱唱しているようなファンがいると周囲の客から睨まれ、「KY」なる言葉の浸透もあり、空気を読むことを求められるので文化がまるで違う感じがするがとにかく今作での観客はひたすら熱狂し続けている。
スピーカーは現代では考えられないくらい貧弱な上に返しのモニターが無い、すなわち演奏しているビートルズも大歓声にかき消されて自分たちの演奏が聞こえない状況だったとされ、そんな状況の中でしっかりした演奏をしているというのが今作の最大のポイントであり、同時にCD版とはちょいちょい違ったアレンジを加えているというのも聞きどころになってくると思う。この時期だけでも十分に貴重だけど、改めてこれより後の楽曲をライブでやってないってのは残念なことだなぁ…とも思った。
印象度★★★☆☆
2016.11.18更新