Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band:Anniversary Super Deluxe Edition

リリースデータ

メンバー

The Beatles8thアルバムの50周年記念エディション。NEW STEREO MIXをメインとした作品。『ザ･ビートルズ 1+〜デラックス・エディション〜』に続いてジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンとサム・オケルが新たなミックスを担当している。

1CD盤(Anniversary Edition)はDISC-1のみ。
2CD盤(Anniversary Deluxe Edition)はセッション音源から18曲を収録したDISC-2が付属する。LP盤には2CD盤のDISC-2の13曲目まで(「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」をカット)を収録している。スーパーデラックス盤(Anniversary Super Deluxe Edition)はセッション音源33曲を収録したDISC-2,3(2CD盤の拡大版)、モノラル版を収録したDISC-4、最新5.1サラウンドオーディオ、ハイレゾ、映像コンテンツを収録したBlu-rayとDVDが付属する。また国内盤のスーパーデラックス盤には日本独自特典として立版古が付属するほか、国内盤はCDは全て高音質SHM-CD仕様。

2019年には映画『イエスタデイ』公開に合わせたカタログキャンペーンとして年内限定で廉価再発された。この際は1CD盤、2CD盤の2種のみでスーパーデラックス盤は含まれていない。O社では別集計された。

DISC 1　NEW STEREO MIX
やっている事は『ザ･ビートルズ 1+〜デラックス・エディション〜』でのリミックスと同じで、左右の音のバランスを整えつつ、現代の感覚で聞いても古さを感じない迫力のあるサウンドに仕上げている。ライナーにもあるが、発売当時はモノラル重視で、ステレオのミックスはメンバーも立ち会わずにかなり短時間で仕上げていて、正直そんなに注力しなかったものだった。しかしCD化以降にメインで流通してきたのは注力したモノラル版ではなく、短期間で済ませたステレオ版だった。そこを考えると元のステレオミックスにそこまでこだわりをもたなくていいのかなという気はするし、個人的には今までもソングトラックやネイキッド、2015年の『1』などのリミックス関連の音源の方がしっくり来ていたので今回も非常に好感触。よりロックな印象になり、今作自体の印象も上がった。

DISC 2&3　SGT.PEPPER SESSIONS
セッション音源が延々入っているデモ音源&レコーディング記録集。アンソロジーシリーズの感触に近い。ただ色々つなげたり編集していたアンソロジーよりも素材をそのまま綺麗にして並べたような感じ。ただこれは別に2CD盤のDISC-2に凝縮した方でも良かった気もしなくもない。

また「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」の2曲は同時期のシングル曲でアルバム未収録という関係からこちらにセッション音源でだけでなく、完成音源であるNEW STEREO MIXが収録されている。このうち「Penny Lane」には新たにミックスを施したのに「Strawberry Fields Forever」は2015年の『ザ･ビートルズ 1+〜デラックス・エディション〜』の映像から(1位を取っていないシングルなので1位を取った曲だけ収録したCDには未収録)の音源を使い回して新たに作らなかったのは謎だ。「Strawberry Fields Forever」はそのままでいいと判断し、「Penny Lane」は新たにもう少し修正したかったのだろうか…。

DISC-4　MONO ALBUM(1967 MIX) AND BONUS TRACKS
モノラル音源。モノラルは2009年のMONO BOXでリマスターされているが、今回は"アルバム・オリジナルのモノラル・ミックス、及び「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と「ペニー・レイン」のシングル音源からダイレクト・トランスファーしたもの"とされている。つまり09年のリマスター音源ではなく、リマスターを施さない当時のそのままの音源を収録し、さらに発見された音源を追加収録したものらしい。モノラルなので音が固まっているだけではなく、明らかに今作の他のディスクよりも音は小さく、迫力も無い。とはいえ基本的に音が汚いということはないんだけど最後に入っている「Penny Lane(Capitol Records mono US Promo mix)」だけは別。突如ブートレグ音源になったかのような音の汚さでアメリカのキャピトルレコードがプロモーション用に制作した音源とのことだが、なんでこんな酷い音なのか。劣化していたのか、プロモーション用の音源なので元からこんなんだったのか。4枚に渡るCDの最後を飾る音源がこれって…。

Blu-ray/DVD
Blu-rayとDVDはセットで入っているが内容自体は同じ。Blu-rayの方が容量がでかくて高音質、高画質なのでBlu-rayの方には"HD"だの"トゥルー"だの"96KHz/24bit"といったよりハイクオリティを思わせる文字が並ぶが、DVDでも当然CDよりは遥かに情報量の多い音源で収録されているが、Blu-rayを再生できる環境があればDVDでわざわざ再生する事は無く、Blu-ray環境が無い場合にDVDで視聴するといった感じ。

AUDIOとVISUALの2種類を最初に選択できるが、最初のメニュー画面に重大な欠陥があり、再生すると選択画面が出てこない。音楽は流れるがなんかにょろにょろした線が中央付近に2つ表示されているようにしか見えない状態になる。これは実際には選択肢が表示されているんだけど、色合いが非常に悪く「AUDIO」「VISUAL」という選択肢の文字がほぼ背景の色と同化して消え去ってしまっているので見えない(物凄く近づいて目をこらすとうす〜く選択肢が見える)。この仕様は今作最大のミスだと思うんだけど制作者は誰も確認しなかったのだろうか…。

AUDIOの選択肢は5.1サラウンドの2種と、ハイレゾの合計3音源が収録されている。5.1サラウンドはスピーカー5個の専用の環境で再生するもので、普通にスピーカー左右2個しかない環境では意味が無いのでハイレゾ音源の方だけを再生したが…。EX-AR3、AR9はDVD-AUDIO再生機能があるので直接再生すればフルスペックで音が出ていると思われるが、Blu-rayはBlu-rayプレイヤー経由で光ケーブルか同軸ケーブルで繋ぐしかなかったため恐らくダウンコンバートされハイレゾでは再生されていないと思われ、フルクオリティでは再生できなかった。フルで再生するにはHDMI出力で繋ぐ必要があるようだがJVCビクターのミニコンポシリーズはHDMI入力機能を搭載していない。そしてBlu-rayソフトの著作権保護の特性上、プレイヤーから出力する際にHDMI以外の光や同軸ケーブルではCD音質にダウンコンバートされて出力されるのが仕様となっているため、HDMI出力でないとフルで出力できないらしい。HDMI入力のないミニコンポではHDMI出力で分配機等を経由させて出力させればよい…という解決方法もあるがそこまでするのもめんどいので試していない。

VISUALの方には92年制作のドキュメントが入っている。92年というのは発売25周年、今作の25年前とちょうど半分の頃。ジョン・レノンは既に亡くなって随分経っていたが、01年に他界したジョージ・ハリスン、16年に他界したジョージ・マーティンはまだ存命で、メンバー全員もまだかなり若い頃のもの。なので存命のポール、リンゴにしてみると今の思いや感覚とはかなり変わっている可能性が高いが、いずれにせよ今よりも当事者が多い状況でアルバムの秘話が語られているのは興味深い。画質に関してはいくらレストアといっても『ザ･ビートルズ 1+〜デラックス・エディション〜』並に綺麗になっているわけではないが、インタビュー中心のドキュメントにそこまで綺麗なものを求めてもしょうがないので普通に満足。PV3曲に関しては『ザ･ビートルズ 1+〜デラックス・エディション〜』に収録されていたのでここで改めて見るものでもないかなと。

というわけで大ボリューム、派手な巨大なBOXによるすさまじい50周年盤だった。コアなファンも多いので最上位盤の内容も相当なマニア向けでそのほとんどは1度聞けば十分な感じで理解できたとは言いがたい。最終的に繰り返し聞くのはシングル2曲も入ったBlu-rayかDVDのハイレゾ音源になってきそうだったので、選択肢としてはこれが最適ではあったが…。正直もう少し買いやすいサイズ、価格で発売できたはず。この手法で他のアルバムが発売されていくとなると置き場所が本格的に無くなるなと思う。置き場所以前に凄い重量&取り出すのも相当な手間なので気軽に聞けない。どうしても置物になりがちだ。

スーパーデラックスエディション(4CD+DVD+Blu-ray)　2CD　　1CD　　LP　

1CD2019年再発盤　2CD2019年再発盤

印象度★★★★☆

2017.6.24更新

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