対談レビュー第22弾 Beautiful Dreamer×unnamed Stories〜永遠の明日へ〜
WANDS『PIECE OF MY SOUL』全曲レビュー

すざきんぐ->こちらでは初期にPondaringさんとやっていますが、この組み合わせでは初のアルバム対談レビューですね。
MOMA->1年ぶりの対談ですが今回は新たな試みということで。
すざきんぐ->
発売20周年記念!
MOMA->95年4月24日発売ということでね。個人的に初めて聞いたのは00年頃だったので15周年くらいですが…。
すざきんぐ->自分がこのアルバムを中古で買ったのが2012年だったので…3周年ですね!
MOMA->当時の感じとかは全く語れないわけですが(汗) とりあえずこれ以前の3作は久しく聞いてないですが、このアルバムはけっこう継続的に聞いてます。
すざきんぐ->WANDS(上杉・柴崎在籍時代)のアルバム史上でも一際突出してるアルバムだと思います。1曲1曲。
MOMA->早速見ていきましょう。


1.FLOWER
すざきんぐ->1曲目からギターでロックにかっこいいWANDS!
MOMA->ド頭から
"PUNK ROCKを聞いてはMilkを飲む老婆"ってのがなんか凄い。どんな老婆なんだ。
すざきんぐ->割と歌詞はアウトロー(?)というかパンク(?)ですね…。
MOMA->自己嫌悪が炸裂してますからね。
すざきんぐ->あと、なんといってもイントロがかっこいいです。反町のポイズンを思い出すような。
MOMA->サビが「私は自分の魂と心を嫌悪する」(直訳)だもんなぁ…。
すざきんぐ->けっこうこのアルバム、吐き出すような歌詞が多いような気も。脱退前WANDSにはよくあることですけども。
MOMA->ニルヴァーナにけっこう影響受けてたみたいでそのボーカルが前年に自殺してるんですよね。会社とのいざこざも含めてダークな精神状態だったのかもしれないですね。

この曲の印象は…
MOMA★★★★★->シングル級の名曲。
すざきんぐ★★★★★->そういう意味では、アルバムの説明にはわかりやすすぎる1曲目なんですかね。ギターかっこよすぎ!


2.Love&Hate
MOMA->アルバムの中では最も以前のWANDSに近いキャッチーなナンバーですかね。
すざきんぐ->
鏡を覗きこんで見えないものとただ一人きり向き合って もがき苦しむ♪ これも自己葛藤な歌詞が。
MOMA->歌詞とギターが重い割にさわやかメロディーと煌びやかなキーボードサウンドとのギャップが…。
すざきんぐ->キーボードが鳴り響いてるのがこれぞThis is WANDS!90's!! な耳触り。でもなんだか不思議と安心しますね。このキーボードがあると。
MOMA->
2期で木村氏が存分に弾き倒したのってもしかしてこれが最後なんじゃ
すざきんぐ->やっぱりもっと弾きたかったんでしょうかね…。(3期まで続いたことも振り返って)
MOMA->でもあんまりこの手のキーボードの音色が前に出すぎると今となっては古さを感じてしまいますけどね。

この曲の印象は…
MOMA★★★★☆->自虐的な歌詞とキャッチーなメロディーとのギャップが不思議なバランスを醸し出した1曲。
すざきんぐ-★★★★☆->赤★4にしましたが、「FLOWER」と同じぐらい好き。暗いんだけどパンチがあるのが良いです。


3.世界が終るまでは…
MOMA->8thシングル。アニメ『SLAM DUNK』2期ED。
すざきんぐ->ここに来て最大の有名曲が。(※最大の有名曲…91年生まれの観測)
MOMA->不良化した三井がバスケ部に乗り込んできてひとしきり暴れまわった後に、実はバスケ部だった過去が明かされるエピソードに入った辺りから使用され始めました。
有名なセリフ「あきらめたらそこで試合終了」と「バスケがしたいです」はこの曲の使用期間中に登場しました。
すざきんぐ->主題歌先のスラダンも不良青春ストーリーだったので、もがく歌詞が多いこのアルバムに通じるものも…あったかも…?
MOMA->いやこの後はバスケ一直線のストーリーになりましたのでそんなに通じてはいきませんが、冒頭の歌詞を三井と重ねた視聴者は多かったんじゃないかなと思います。
すざきんぐ->確かにそれ以降は大会一直線になっていったんですけども。有名シングルでも浮かずに割とハマってるのが凄いなと思います。
MOMA->リアルタイムで最初に聞いたのがこの曲っていう当時の少年少女は多いだろうし、この曲で知ったならこのアルバム聞いても以前からのリスナーほど衝撃は無かった…かも。楽曲自体物凄くダイナミックですよね。ここまでのスケールを感じる楽曲は全期通しても他にないかも。
すざきんぐ->タイトルが「世界が終るまでは…」ですからね…。
略してセカオワ
MOMA->このトラジディナーイ→ドラジディナ〜イ→ドラゲディナ〜イ、あれ?
すざきんぐ->
このドラゲ〜ナ〜イ〜♪

この曲の印象は…
MOMA★★★★★->20年後を予見した曲だったのか(違)
すざきんぐ★★★★★->楽曲単体だと赤★5に+まで付けたいぐらいなんですけど、アルバムの空気にピッタリハマってて圧倒されました。ドラゲナイ最高。


4.DON'T TRY SO HARD
すざきんぐ->ブルーなバラード
MOMA->今作唯一のバラードにしてベスト盤収録頻度も高い1曲。プロデューサー長戸大幸が気に入っているという理由で何故かat the BEING studio、BEST OF BEST 1000に連続収録される優遇っぷりです。正直ベスト盤に何度も入れるような曲じゃないと思うんですよね…。
すざきんぐ->このアルバムの路線でバラードだけあって暗さが一級品ですね。
MOMA->まあどっちかというと今作の中では比較的安らぎを感じているようなナンバーではあるんですが…雰囲気は暗いっていうか
疲れ切ってますよね。
すざきんぐ->最初の歌詞から体疲れ果ててますし…。

この曲の印象は…
MOMA★★★☆☆->この曲だけベストで聞かされても今作聞こうと思えないんじゃないかと…。
すざきんぐ★★★☆☆->「おつかれいなバラード」って抜かしたらこのアルバムの空気感全てぶち壊しになりそう。


5.Crazy Cat
すざきんぐ->歌い出しでこれまた軽快なキーボードが。
MOMA->木村氏のピアノが!と思ったら
最初と最後以外は埋もれまくりっていう…。基本は重たいロックナンバーですね。
すざきんぐ->ホーンも鳴ってるのが「LOOSE」期のB'zみたいな。この曲では歌詞で堂々心まで病んでいってますね…。
MOMA->Aメロが全体的に1番重い感じがするけど、サビのメロディーはけっこうキャッチーなのが救いですかね。
すざきんぐ->
「もし太陽が燃え尽きても僕らはきっと動じないだろう」とか、キャッチーさとある種の力強さがありますよね。
MOMA->病んでると自覚している自分と「似たような」相手ですから、破滅の匂いが漂いますけどね。

この曲の印象は…
MOMA★★★★☆->軽快なキーボードの部分が良かったのでピアノロック的な方向でも聞いてみたかった気もします。
すざきんぐ★★★★☆->病んでるのにキャッチーさとアレンジで中毒になってしまうのが!


6.Secret Night〜It's My Treat〜
MOMA->9thシングル。初動売上はWANDS史上最高。
すざきんぐ->「世界が終るまでは…」の後でアルバム発売後の「Same Side」の前。橋渡し的なロックシングルでしたね。
MOMA->セカオワ(おい)から8ヵ月ぶりという待望のシングルなのに
改めてすげぇ曲をシングルにしたなと。
すざきんぐ->前のドラゲナイ(違ぇよ)よりも世界終わりそうな歌詞が…。
MOMA->アルバムにおいては1番最新のシングルということで合ってはいますけど…このアルバムの中だとそんなに上の方に来ないかも…。
すざきんぐ->他の曲よりもだいぶ意味深な感じがします。

この曲の印象は…
MOMA★★★☆☆->栗林誠一郎の「IT'S MY TREAT」が原曲ですが、上杉が気に入った説、長戸推奨説の結局どっちなんでしょうか。
すざきんぐ★★☆☆☆->意味深すぎて他よりあんまり響かないようなそれでもかっこいいような。


7.Foolish OK
MOMA->少年少女の自殺をテーマにした曲…ですかね。「最上階の柵を越えて」って屋上から飛び降り自殺ってことでしょうし。ビルか学校か。
すざきんぐ->
「例えば僕が消えてもいつも通りに時代は移りゆくのだろう」って歌い出しから凄まじい自暴自棄感が。
MOMA->サビは「君」に向けてるのでメッセージソングになってるんですよね。今作の中では唯一かな?
すざきんぐ->最上階の柵を越えて自由になるのを止めてるんですよね。この曲は。退廃的なこの作品の中では前向きかも。
MOMA->遠回しだけど君たちは逃げてでも生きろ!って言ってますからね。Loser OK Loserですよ。
すざきんぐ->少年少女を越えて年を重ねても響く歌詞なんじゃないかなと。曲は子供たちを描いてるわけではありますが。
MOMA->直接生きろと言わないけど落ち込んだ時に逆に活力をくれるものはありますね。
すざきんぐ->君達を必要としてくれる人は〜〜とか
就活かよ系の美辞麗句なんかより遥かパワーを感じます
MOMA->どん底からの応援ソングとしても実はかなり優秀?

この曲の印象は…
MOMA★★★★☆->愚かでも敗者でもいいから食いつくせ!まずはそれからだ!
すざきんぐ★★★★☆->このぶっちゃけ開き直り感がとてもたまらないです。


8.PIECE OF MY SOUL
すざきんぐ->このアルバムのタイトルソング。
MOMA->抑えたA,Bメロからサビで爆音ロックが炸裂!なんていうかもう魂削られまくりな様子がひたすら痛々しいんだけど引き込まれる曲です。
すざきんぐ->「Foolish OK」で救われた直後、また削られまくり…。
MOMA->
「少しずつ消えるくらいならひと思いに散ればいい?」って2回も出てきますからね。
すざきんぐ->オチに救いが待ってるわけでもないですし。
MOMA->キーボードがどんどん窓際化する中で木村氏はまた別の意味で上記の歌詞を感じていたような気がしなくもないですが
すざきんぐ->心の感覚と自分の存在感まで薄れ…
MOMA->
「すべては自分次第 幸せはどこにでもある」に対して「誰かまたそう僕をだましてよ」は改めて見ても重いよなぁ…。
すざきんぐ->「Foolish OK」のぶっちゃけさとは似通っているかもしれませんね。綺麗ごとは通用しない的な。
MOMA->まあでも大人になって好きな曲になった、というところはありますけどね。一時期こればっかり聞いている時期はありましたよ、正直。この曲とレミオロメンの「アイランド」をセットで聞くとしばらく戻ってこれなくなるから絶対にマネしちゃダメだゾ!

この曲の印象は…
MOMA★★★★★->名曲。そしてきっとこの曲は留まる曲じゃなくて乗り越えらなければならない通過点。
すざきんぐ★★★★☆->説得力が違いますね。


9.Jumpin'Jack Boy〜Album Version〜
MOMA->7thシングル。アレンジはここでしか聞けない別バージョン。
すざきんぐ->原曲をそのまま収録すると飛んだファンキーソングになり兼ねないので、ロックバンドアレンジに。
MOMA->よく聞くとキーボードけっこう残ってるんですけど、ドラムが生になってギターが重くなるだけでかなり印象変わりました。
すざきんぐ->それでもこの曲はだいぶ浮いてるような気…
MOMA->木村さんには悪いけどもっとキーボード抑えてしまった方が良かったか…そもそもメロディーがキャッチーすぎてこれ以上はロックにならないか…どうでしょうね。
すざきんぐ->曲そのものはWANDSシングルトップ級に好きなんですけど、思い切って未収録にした方がよかったようにも思います。
MOMA->何故か『WANDS BEST』では未収録になったっていう…
すざきんぐ->無理矢理ロックにしてスピードがもたついた感じがするんですよね…。
MOMA->打ち込みならではのスピード感は生ドラムになってやっぱり落ちましたからね。打ち込みドラムが生に差し替わってスピード感が…という感覚はB'zの「IT'S SHOW TIME!!」に通じるところがちょっとあるかも?
すざきんぐ->
生演奏のワイルドさと打ち込みのスピード感の板挟み的な

この曲の印象は…
MOMA★★★★☆->まあでもシングルよりはアルバムバージョンの方が好きかなぁ。
すざきんぐ★★★★☆->イントロからBメロにかけては気持ちいいんですけどね。このアレンジで6人時代のKAT-TUNがカバーしたら絵になりそう。


10.MILLION MILES AWAY
MOMA->唯一の木村作曲。いやぁこれも一時期聞きまくった。これとSOPHIAの「Place〜」をセットで聞くとマジこっなごなになるのでマネ(以下略)
すざきんぐ->去年にこのアルバムを聴き返してなくてよかっ…。大サビで
「粉々に砕けたガラスのようだ」って連呼してるし。
MOMA->
「…でも終れない…」んですよ。
すざきんぐ->
だからもう僕は一人きり行こうってアウトロー宣言で締められるんですね。
MOMA->アウトローになろうとしているというよりは、あくまで覚悟的なものだと解釈してます。まあ周囲も必要ですけど最終的には結局1人で決めて行くしかないと思うんですよね。
すざきんぐ->実際に上杉さんと柴アさんは脱退するので、改めてかっこいい曲だなと。そんな名曲を3期がセルフカバーするわけですが…。
MOMA->恐らくこれをほとんどそのまま打ち込みでやり直しただけで編曲をWANDS名義に変えて3期でカバーしたのを聞いた時の
リスナーの心情が「粉々に砕けたガラスのよう」だったのではないかと。
すざきんぐ->あんな不明瞭な交代劇を経て「だからもう僕は一人きり行こう」って歌われても。 ハッ木村さんの感情か
MOMA->「まだ終れない」心情だったし、唯一の自分の作曲だったからでしょうけど、この歌詞は入ったばっかりの3期メンバー2人にはあんまり…ねぇ?
すざきんぐ->あの時期の上杉さんが歌うからこそ孤高の決意を感じるんでしょうしね。
MOMA->今作を聞く上では重いままで終わる曲も多いだけにこの曲の締めは欠かせないですし、ここだからこそ映える曲だと思います。

この曲の印象は…
MOMA★★★★★->連呼される「粉々に砕けたガラスのようだ」よりも最後のそれでも進んでいこうとするところがこの曲のポイントだと思います。
すざきんぐ★★★★★->この曲があるからこそ、今までの曲の重たさ、痛さ、暗さが映えるのかなと。


まとめ
すざきんぐ->1曲1曲噛みしめて聴き返すと、かなり奥が深いアルバムでした!
MOMA->改めて重たいアルバムだなと思いました。でも歌詞抜きにしても、
メロディーがけっこうキャッチーで楽しめるアルバムですね。
すざきんぐ->少なくとも、確実に2012年(当時大学3年)で聴いて心に響くアルバムじゃなかったなと(苦笑)メロディーとアレンジのキャッチーさだけでもずば抜けてることには変わりないですけども。
MOMA->そうですね。最初は普通にロックでかっこいいアルバムだなとしか思ってなかったですね。
すざきんぐ->それほど思い詰めて人生絶望したわけでは僕はないですけど、今聴くとはっとさせられる曲はありました。
MOMA->どうなんでしょうねぇ。こんな心情が若かった一時期に通過点になったっていう人も少なくはないかもしれないとも思いますけどね。
すざきんぐ->このアルバムで聴いてどう感じるかで人生観が変わってくるでしょうか。
MOMA->人生観というか「Foolish OK」でテーマにしたような少年少女の自殺とか当時も社会問題になってたらしいですからねぇ。入り込み方に差はあれど、ある程度の需要というか20年経った今でも
一定の若者の共感を呼ぶアルバムなんじゃないのかなとは思ってます。
すざきんぐ->一概に語り尽くせない重みがあると思いました。
MOMA->で、まあ惜しいのがこの先がシングル2枚出ただけっていう…。次のオリジナルアルバムが出たらどうなっていたのか…。
すざきんぐ->次に上杉さんがアルバムでシャウトするのはal.ni.coになっちゃいますし…。
MOMA->WANDSでは柴崎さんがメインで作曲しているっていうのが大きかったのかなとal.ni.coを聞いて思いました。al.ni.coは今でも苦手なんですよね。
すざきんぐ->この時期のダークさとWANDSのキャッチーさが、絶妙かつ奇跡的に絡み合って出来たのがこのアルバムだったと思うしか。
MOMA->この時期でしか生み出せなかった1作なんでしょうね。

改めてトータルの印象は…
MOMA★★★★★->今聞くとまた違って懐かしく聞こえましたがやはり名盤だなと。
すざきんぐ★★★★★->生きることを支えてくれるアルバムなんだなと。また5年ぐらいしたら違う響きで聞こえるかもしれません。


MOMA->というわけで古いオリジナルアルバムを1曲ごとに振り返っていくという試みでした。
すざきんぐ->感触が良ければまた続くかも?皆さまよろしくお願いします。
MOMA->まあなかなか全曲っていうと難しいですけどね。
すざきんぐ->見逃しがちだった名曲を再発見できればいいなと思います。
MOMA->対談シリーズのパターンの1つとしてね。ここのところ3分割するくらい長いのを年1でっていうのが続いたんで、こっちの方がもう少しコンスタントにやれる…かもしれません。そもそも初期の更新頻度がおかしかっ
すざきんぐ->あの頃は若かっ
MOMA->サイトを長くやっていると
過去曲回顧が過去になりすぎて再回顧の対象になっていくんですよ。現在の感覚で振り返ったはずなのにもうこれ今の感覚じゃねーぞっていう。対談シリーズも初期のはそうなってきてますので対談のリメイクもあるかも?
すざきんぐ->まあ僕も対談初期は16歳だったので。そもそも過去じゃない時期にやったものも…。
MOMA->あれ?
第1回が08年だから俺が今のすざきんぐさんの年齢くらいだったのか!?対談シリーズも節目のシーズンに入ったようで。
すざきんぐ->まわる〜ま〜わる〜よ時代〜はまわる〜(棒)
MOMA->そんな対談シリーズ、またいつかの次回でお会いしましょう!
すざきんぐ->あの眩しいノリもリフレッシュしたいなと思ってはいますので(笑)ではまたいつか!対談で!
MOMA->ドラゲディナイ!(挨拶)
すざきんぐ->ドラゲれいな!

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