君がいる夏-Everlasting Summer-(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 公式による原曲・備考 |
1 | Just When I Needed You Most | Warmer Randall Edwin Van | ランディ・ヴァンウォーマー(78年) | |
2 | So Much In love featuring Kasarinchu | Roy Straigis/Billy Jackson/George Williams | ティモシー・B・シュミット(82年) カサリンチュとのコラボ 原曲はザ・タイムズ |
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3 | California Girls | Mike E.Love/Brian Douglas Wilson | ビーチ・ボーイズ(65年) | |
4 | How Deep Is Your Love | Barry Alan Bibb/Maurice Ernest Gibb/Robin Hugh Gibb | ビージーズ(77年) | |
5 | Reality | Jordan Jeff/Pimper Carola | Cosma Viadmir | リチャード・サンダーソン(80年) |
6 | The Loco-Motion | Gerry Goffin/Carole King | グランド・ファンク(74年) 原曲はリトル・エヴァ |
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7 | Don't Worry,Be Happy | Bobby McFerrin Jr. | ボビー・マクファーリン(88年) | |
8 | Lucky | Colbie Caillat/Tim Fagan/Jason Mraz | ジェイソン・ムラーズ(08年) 彩葉とのコラボ | |
9 | Hitomi Sorasanaide-English Vesrion- | 坂井泉水 英訳:Romeo V.Gonzaga |
織田哲郎 | 36thシングル『Negai』C/W「瞳そらさないで2009」の英語詞バージョン 原曲は5thシングル |
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | OP | |||
2 | 永遠の明日 | 池森秀一 | 池森秀一 | 34thシングル |
3 | 瞳そらさないで | 坂井泉水 | 織田哲郎 | リメイクベスト『The BEST キセキ』収録Ver. 5thシングル |
4 | MC | |||
5 | もう泣かないで | 池森秀一・川島だりあ | 山根公路 | 41stシングル |
6 | このまま君だけを奪い去りたい | 上杉昇 | 織田哲郎 | 13thアルバム『マリアージュ』DISC-2『Triangle Cover Album』収録Ver. 1stシングル |
7 | Peace & Smile! | 池森秀一・古澤辰勲 | 田川伸治 | 14thアルバム『CIRCLE』収録曲 ここからメドレー |
8 | ひとりぼっちのAnniversary | 池森秀一 | 田川伸治 | 4thアルバム『'need love』収録曲 |
9 | 'need love | 池森秀一・田川伸治 | 田川伸治 | 12thアルバム『Graduation』収録曲 |
10 | My Life My Dreams | 池森秀一・樹林伸 | 田川伸治 | 14thアルバム『CIRCLE』収録曲 |
11 | ハリネズミのジレンマ | 樹林伸 | 田川伸治 | 13thアルバム『マリアージュ』収録曲 バンドバージョン |
12 | Future | 池森秀一 | 山根公路 | 41stシングルC/W |
13 | Good Good Time!! | 池森秀一 | 田川伸治 | 7thアルバム『ROAD CRUISIN'』収録曲 |
14 | We can change the world | 池森秀一 | 田川伸治 | 5thアルバム『pray』収録曲 |
15 | 今夜はParty Night! | 池森秀一 | 山根公路 | 14thアルバム『CIRCLE』収録曲 ここまでメドレー |
16 | MC | |||
17 | CIRCLE〜あなたがいたからこそ〜 | 池森秀一 | 山根公路 | 14thアルバム『CIRCLE』収録曲 |
18 | 二十歳 | 池森秀一 | 田川伸治 | 40thシングル |
19 | Birthday eve〜誰よりも早い愛の歌〜 | 池森秀一 | 山根公路 | 24thシングル |
20 | MC | |||
21 | エンドロール&ファンメッセージ映像 |
リリースデータ
2014年6月11日 | 初登場19位 | 売上0.35万枚 | Produced by DEEN | Epic Records |
メンバー
Vocal&Back-up Vocals | 池森秀一 |
Keyboards,Vocal,Back-up Vocals&Programming | 山根公路 |
Guitar,Ukulele,Back-up Vocals,Percussion&Programming | 田川伸治 |
DEEN2ndカバーアルバム。公式では"あの頃がよみがえる究極のSuumer Healing Album"とされている。カバーアルバムとしては01年の『和音』以来となるが、今回は初の洋楽カバーアルバム。7,80年代のヒットナンバーを中心とした8曲+発売から20周年を迎える代表曲「瞳そらさないで」の英語詞セルフカバーを収録した全9曲。「So Much In love」にはカサリンチュが、「Lucky」には彩葉がゲストボーカルとして参加しているが、曲名にfeaturing表記があるのはカサリンチュのみで、彩葉はクレジットにしか表記されていない。初回盤には2014年3月9日に行われたツアーBreak18の最終公演の模様を抜粋収録したDVD付。初回盤はスリーブケース入りでDVDサイズのトールケース仕様となっている。また特設サイトが公開される、全部同じ場所で撮影した簡易的なショートPVとはいえ5曲もPVを制作する、初めて大手音楽情報サイトのナタリーでインタビューを受けるなど、ベスト盤以上に気合の入ったプロモーションが展開された。
あの頃がよみがえる、というのは少なくとも80年代に青春を過ごした2014年時点で40代以上の世代に限った話であり、あの頃どころか合言葉はパクろうぜを掲げていた当時のORANGE RANGEが「ロコローション」の元ネタとするもあからさますぎてキャロル・キング側に抗議を受けてカバー扱いにされた事で、ヒットとは別の意味で04年(もう10年前!)に話題になった「The Loco-Motion」くらいしか聞き覚えが無かった。「How Deep Is Your Love」は河村隆一のカバーバージョンを聞いていたはずだが、特に印象には残っておらず、どれもけっこう当時ヒットしたり、有名な映画の主題歌になったりしたそうだが、映画の方にしても見た事も聞いた事も無い。さすがにイーグルス、ビーチボーイズ、ビージーズといったグループ名くらいは知っていたが…という状態。それだけに物凄く興味の沸かないカバーアルバムだったが、そういった昔の洋楽に馴染みの薄いリスナー用にパッケージには誰のいつのどんなヒット曲なのか1曲ごとに1文書いてあるのは親切な設計だ。
作風はリゾートライブを意識したアコースティック系のバンドサウンドで『クロール』とほぼ同じような路線。どれも短くさらっと聞き通せる。暑い夏をクールダウンしてくれるような涼しげでさわやかな音が心地いい。どうやら基本的には原曲をリスペクトしたカバーになっているようなんだけど原曲をほとんど知らないので違いはよく分からない。ただ非常にリゾートライブモード時のDEENとしては"らしい"作風だと思う。コーラスにも力を入れており、ゲストボーカルを招いている2作以外も「The Loco-Motion」は池森・山根のツインボーカルだし、基本的に山根・田川のコーラスが通常の作品以上に目立っているのもポイント。
残念なのは「瞳そらさないで」の英語バージョン。実にCD化されたものとしては7バージョン目(!!!!!!!)となるが、なんと新アレンジではなく「瞳そらさないで2009」の使い回しアレンジ。このアレンジは07年の47都道府県ライブで原型が披露され、次のツアーでバンドアレンジが完成し、その後で着うた化され、冒頭をギターに変えてCD化され、冒頭をウクレレに変更してアルバム収録し…とこの7年間で延々と使い回しされ続けている。近年のツアーや武道館では原曲やキセキアレンジが使用されるため、常に披露し続けているわけではないもののさすがにこれはちょっとガッカリした。
初回盤DVDは最新ツアーの模様を抜粋収録。価格が5000円に達しないのでまあフル収録ではないとは思っていたけど、「ひとりじゃない」、「永遠のジャンヌダルク」、「Blue eyes」、「少年」(アコースティック)、「言葉で伝えたくて」、「Twist of fate」(田川ソロ)、「DANCE FEVER〜上海ロックスター外伝〜」(上海ロックスター)、「雨の六本木」、「Family」がカットされている。わりと今後披露されそうにない貴重な楽曲が削られてしまっている一方で、どこでも聞けるような定番曲が残されるなど、相変わらず需要が分かってないっぽい選曲が何とも微妙。「永遠の明日」の直後に「ひとりじゃない」だったので「ひとりじゃない」のイントロが急速フェードアウトするという雑な編集で早速萎えそうになるが、ライブ自体はなかなか良くて声の調子もそこそこいい。またメドレーはさすがに途中で切れないので全部入っているものの、この構成で見るとやけに早く終わってしまうというか、忙しない感じ。DEENのライブにおいて真ん中のアコースティックコーナーが終わって田川ソロなどを挟むと、後半はほぼ全部メドレーというのはもう10数年定番のパターンとなっている。なので当たり前に思っていたんだけど、ここ最近は他アーティストのライブを見る機会や、今作みたいにフル披露の楽曲を大幅に削った構成で商品化されたのを見ると少し考えが変わってきた。このツアーの披露だけで終わりそうな最新アルバム収録曲もだいぶメドレーで済まされてしまっているし、新作引っ提げてのツアーなのであれば定番曲はいつもより削って最新作の収録曲をフルでじっくり聞かせるツアーをやってもいいんじゃないかと思えてきた。
また今回も21トラックもあるのにメニュー画面が無い。さすがに20以上もチャプターがあるのにメニューなしというのは欠陥仕様といって差し支えないレベル。BMGから完全にソニーになって以降はほとんどこのDVDメニュー画面無しという悪習慣が続いているがいつになったら治るのか…。
まあメニュー画面無しはいつも通りの事だし、「瞳そらさないで」何度目のリメイクだよというのも今に始まった事ではない。そう考えると概ねまあそれなりにいい作品。馴染みが無い割にはわりと心地よく聞けたし、特に『クロール』が好きなDEENリスナーなら洋楽カバーに抵抗があったとしても好感触で聞ける1作なんじゃないだろうか。
いつになくファン以外へ向けるかのようなプロモーションが目立っていたが、「あの頃がよみがえる」ような収録曲に青春時代を感じる年配リスナーであれば普段DEENを聞かないリスナーでも興味を引かれると思うんだけど、現在カバーヒットシーンの中心になっている"みんな知ってる"往年の日本のヒットカバーアルバムの流れには全く沿っていない。このため特に若い10代20代前半のリスナーや初期のDEENヒット曲を懐かしく思うくらいのアラサー前後の年代でもまだターゲット外な感じがする。メンバー3人にとってはかなり親しみがある楽曲たちだが別にメンバー3人にとって音楽的なルーツである曲たちというわけではないらしく、インタビューで池森は「このシリーズを楽しみにしてくれているお客さんに次は何を届けようかなと考えたとき、誰もが知ってる洋楽のカバー集というアイデアが自然に浮かんできたんです。夏の匂いがする名曲を選りすぐって演奏すれば、ライブも盛り上がるし。」とコメントしている。そもそも肝心のDEENの客層は武道館で「coconuts」を披露した際にビーチボーイズの「kokomo」という曲を知っているかというMCをリーダーがしたところ期待していたような「あ〜」という反応が起こらずざわざわしているだけ。仕方ないので反応をうかがうのを止めて説明を進めた…という事もあった。そんな感じなので今作で「あの頃がよみがえる」リスナーってけっこう少ないんじゃないかと思う。今作に関してはメンバーが打ち立てたコンセプトや選曲理由と実際のリスナー層にちょっと溝というか認識の差があるように感じた。実際シングルを下回る初動に終わっているし、果たして本当にリゾートライブで"誰もが知っている盛り上がる曲"として機能するのだろうか。どう考えても今作とはタイトルニアミスをかましており、何故かいつもライブで外され続ける「君がいない夏」をやった方がファンの歓喜がハンパ無いんじゃないか。
印象度★★★★☆