Dear…
No | タイトル | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | Dear… | 深田恭子 | 溝口肇 | |
2 | Do They Know It's Christmas? | Geldof/Ure | 溝口肇 | バンド・エイドのインストカバー |
3 | Into The Light | 深田恭子 | 溝口肇 | |
4 | Canon | Johann Pachelbel | 溝口肇 | ヨハン・パッヘルベルのカバー |
5 | Indigo In The Sky | 溝口肇 | 溝口肇 | |
「Indigo In The Sky」終了後に続けて「Dear…」がリプライズ的に演奏されて終了する |
リリースデータ
1999年11月17日 | 初登場15位 | 売上2.5万枚 | Produced by 溝口肇 | ポニーキャニオン |
深田恭子インストゥルメンタルミニアルバム。完全限定盤。99年5月の歌手デビュー以降2枚のシングルをリリースした後に発売された。自作2曲とカバー2曲を含む5曲のピアノを中心としたインスト作品で一切ボーカルが入っておらず、深田恭子はAcoutic Pianoで全曲にクレジットされている。溝口肇が編曲プロデュースを担当。「Do They Know It's Christmas?」のみ溝口肇にもPianoクレジットが掲載されている。「Into The Light」は翌年の1stアルバム『moon』で新たに歌詞がつけられて歌唱曲としてリメイクされた。唐突なインスト作品で本人の歌唱も入っていなかったため、2ndシングルで失速した売上がさらに失速する事態となり100位以内2週ランクインのみとなった。
アイドルシンガーとしてデビューした直後に突如自作曲とピアノ演奏を売りにしてピアニストデビューしてしまった謎の小品。音大在学や出身という肩書を持った女優やアイドルがピアノアルバムを出すケースは散見されるものの、異例中の異例だ。ミニフォトブックも封入されているが一切笑顔を見せないシリアスな雰囲気は1stシングル「最後の果実」のアートワークと共通していてこの雰囲気は1stアルバム『moon』まで引き継がれた。ピアノは幼少期から習っていたというが、実際に再生してみると聞こえてくるのはほとんど片手の単音弾きのような素朴なピアノの音色。ピアノ演奏の技術的な事は全く分からないがさすがにこれだとピアノの技術で聞かせようという感じは全くしない。打ち込みや弦楽器でアレンジして芸術的なインスト作品風に仕上げている溝口肇の手腕は光っていて、落ち着いた気分に浸れるのでBGM的に流し聞くには意外と癒し系で聞きやすいことは聞きやすいが…。それこそヒットの法則みたいによく言われる"カノン進行"、パッヘルベルのカノンというのが今作に収録されている「Canon」であり、こんな意外なところで聞くことができるのも面白い。
いきなり作曲までしているものの以降の音楽活動に作曲もピアノも生かされる事は無かった。むしろ深田恭子の音楽活動は最もアーティストっぽい作風から始まってブリブリのアイドルに変貌していってフェードアウトという通常と真逆のコースを辿る異色っぷりだったのでほぼ最初に位置する今作は最も"アーティスト"な作品だった。最終的には歌手活動もとっくに終了していた00年代後半になって『新堂本兄弟』に5年半に渡ってキーボード担当で出演するというところへ特技ピアノが繋がったとはいえ、深田恭子の音楽活動はやる気があるんだかないんだか、音楽活動で本当にやりたい事はどういう路線だったのか最後まで良く分からないままだった。
印象度★★★☆☆
2020.1.21更新