ハラッド

弦編曲：原由子(1)、大谷幸(3)、八木正生(9)
管&弦編曲：八木正生(8)　

弦編曲：中西俊博&サザンオールスターズ(2)、島健(9)
管編曲：山本拓夫(10)

リリースデータ

原由子30周年ベストアルバム。98年の『Loving You』に続く2枚目のベスト盤となる。ソロアルバムは02年のカバー盤『東京タムレ』以来。その前がベスト『Loving You』で、オリジナルは91年が最後、シングルでも91年までを最後に次が97年まで飛び、07年のハラフウミを挟んで、09年に久々に1作リリースがあったのみである。サザンのアルバムで初の原ボーカル曲『私はピアノ』が収録されたのが80年で、そこから30周年という数え方になっている。ソロデビュー自体は81年である。シングル15枚+コラボシングル、アルバム3枚、カバー1枚、ベスト1枚に加えてサザンオールスターズのアルバムにおけるボーカル曲の中から選曲されている。ソロ名義の作品にサザンでのボーカル曲が収録されるのは今作が初となった。新曲と新録音を1曲ずつ収録している。初回盤は本人監修のコラム本「はらぼん」が付属する。特設サイトはこちら。

ソロでもサザン内においても原ボーカル曲に違いは無く、一貫してほんわかしたボーカルによる独特のゆったりした世界観が生まれている。サザンのアルバムには毎回1枚に1曲、ボーカル曲が入っているのであの感じが好きだという人なら聞いて損は無い内容。nasu-biの方が90年代以降のなじみのあるサウンドの曲が多く、80年代全開のkyu-riに比べると進化していて聞きやすかった。かなり際どい事を歌った曲でも全く際どく聞こえないのもこのボーカルゆえだろう。選曲としては特に代表的なものを選んでいるようだ。ただサザン名義の楽曲がアルバム収録曲しか入っていないのが少し不満だ。サザンのアルバムにも未収録のC/Wとか、ハラフウミのC/Wでのソロ曲とか、今後もアルバムに入る様子の無いレア曲を収録してほしかった気もする。ソロ名義の曲で収録されているのが98年のベスト『Loving You』にも収録された曲ばかりというのも往年のファンには不満が残るのではないだろうか。改めて代表曲を選出しなおしたので被りまくった、ということにしてもいかんせん『Loving You』どころか91年を最後にオリジナル1作も出していないので30周年にかこつけても改める必要があまり無かった気がする。特にまたしばらく作品が出ないのだとすれば尚更。

ただ自作曲が少ないものの、その自作曲が桑田の曲に劣るということもなくかなり良かったりする。また桑田佳祐自身が「本気で曲を作らせたら負けるんじゃないかな」と発言したり、弦アレンジを「楽器のラインを書く才能が凄くある」と評価したり、アコギの奏法であるアルペジオやスリーフィンガーを「俺よりうまい」と言わせるなどかなり才能もありそうなので、竹内まりや同様に子供に手がかかる時期も脱しただろうからこれを機に91年以来のオリジナルアルバムの制作という方向に行くことを期待したい。

初回盤はらぼん付　　通常盤

印象度★★★★☆

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