はらゆうこが語るひととき
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | My Baby Shines On Me | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | HARABOSE | |
2 | おしゃれな女(Sight of my court) | 斎藤誠 | 斎藤誠 | HARABOSE | |
3 | I Love Youはひとりごと | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | HARABOSE | 1stシングル(同時発売) 最高35位 売上5.1万枚 |
4 | しっかりJohn-G | 原由子 | 原由子 | HARABOSE | 1stシングルC/W(同時発売) |
5 | うさぎの唄 | 関口和之 | 宇崎竜童 | HARABOSE | 2ndシングル(カット) 最高63位 売上1.8万枚 |
6 | がんばれアミューズ | 桑田佳祐 | 桑田佳祐・ 八木正生 |
八木正生 | |
7 | いにしえのトランぺッター | 桑田佳祐 | 桑田佳祐・ 八木正生 |
八木正生 | |
8 | Loving You | 原由子 | 原由子 | HARABOSE | 2ndシングルC/W(カット) |
9 | 幸せなルースター | 原由子 | 原由子 | HARABOSE | 1分10秒付近までは「おしゃれな女」のインストでその後で曲が始まる |
10 | Last Single X'mas | 桑田佳祐 | 桑田佳祐・ 八木正生 |
八木正生 |
Brass Arr:新田一郎(1,9)
Brass & Strings Arr:八木正生(2,3)
リリースデータ
1981年4月21日(LP) 1981年4月21日(CT) 1986年6月21日(初CD化) 1991年5月21日(再発) 1998年2月25日(再発) |
最高6位 最高11位 - - - |
売上18.5万枚 売上10.0万枚 - - - |
Producer:桑田佳祐 | ビクター |
HARABOSEメンバー
Guitars | 斎藤誠、大川真、桑田佳祐 |
Keyboards | 原由子 |
Bass | 山村哲也 |
Drums | 宮田繁男、松田弘 |
Percussions | 菅原友紀 |
Chorus | 桑田佳祐、斎藤誠、松田弘、大山信子さん、江島クン、ヒヨコ&Friends....... |
原由子1stアルバム。サザンオールスターズのキーボード担当メンバーのソロデビュー作。1stシングルと同時発売で2曲ともそのまま収録された。サザンオールスターズからの最初にソロデビューしたメンバーとなった。サザンデビュー当時から部分的にボーカルを取る曲はあったが、80年のサザン3rdアルバム『タイニイ・バブルス』収録の「私はピアノ」が初の単独ソロボーカル曲となり、今作はそれに続くソロボーカル作品となる。「私はピアノ」は桑田作だったため、今作には初となる原由子による自作曲も収録された。7月にサザンの4thアルバム『ステレオ太陽族』と同時発売で2ndシングルとして「うさぎの唄」、B面に「Loving You」がシングルカットされた。このためか『ステレオ太陽族』には原由子のソロボーカル曲は収録されなかった。
多くの編曲を担当しているHARABOSEはバックバンドの名称。またSwingin' HARABOSEとして中牟礼貞則(Guitars)、八木正生(Keyboards)、稲葉国光(Bass)、野村元(Drums)もクレジットされている。青学時代の後輩で現在のサザン・桑田ソロのサポートギターである斎藤誠は今作が初参加となり、83年にはソロデビューを果たしている。サザンメンバーで演奏参加は桑田と松田の2人のみだが、関口が1曲作詞を担当したのに加えてジャケットイラストを担当したとされている。
86年に初CD化、91年に2ndと一緒に再発、98年には2nd,3rdと一緒に再発された。リマスターはされていない。今回入手したのは98年盤。
サザンでも最も早いソロデビューとなったがプロデュースは桑田佳祐が全面的に担当。本人がソロで歌いたがっていたというよりも「私はピアノ」の感触が良かったのが恐らく今作に繋がったと思われ、本人がやりたい方向性というよりプロデューサー桑田佳祐が原由子のボーカリストとしての可能性を探っていったような1作。本人の性格がそのまま反映されたかのようなほんわか、のんびりとしつつも独特のかわいらしさを併せ持った唯一無二のボーカルがやはり最大の魅力だ。そこにかなりきわどい歌詞を持ってくる桑田のセンスも凄いが、原由子がこの声で歌うと全くいやらしく聞こえずに中和されてしまう。以降もソロ曲での必勝パターンの1つとして後年まで使用され続ける強力な個性となった。これ以外にも事務所アミューズの社長や重役の実名を出して冗談めかして色々言いたいことをぶち込んでくる遊び心も原由子のボーカル力でより和やかに成立している感じ。
当時のサザンも支えていた新田一郎や八木正生のブラス、ストリングスアレンジやジャジーなアプローチもあり、歌謡曲っぽい方向性ではあるが、かなりとっちらかっている。しかしどこか懐かしいような、しかし古くはないような…これもまた不思議なボーカルの魅力で古いとか新しいとか超越してまとまった作品のようにも聞こえてくる。プロデューサー桑田佳祐の着眼点、そして原由子のボーカルの魅力が打ち出されていて1stにしていきなりの良作。
そして今作は原由子のソロ作品で唯一独身時代のアルバムとなる。翌82年に桑田佳祐と結婚する事になるわけだけど、今作の最終曲は「Last Single X'mas」。独身最後のクリスマスを歌ったこの曲がここに配置されているのはなかなか意味深だ。
印象度★★★★☆
2018.10.28更新