婦人の肖像 (Portrait of a Lady)(完全生産限定盤A)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 千の扉〜Thousand Doors〜 | 森雪之丞 | 原由子 | 原由子&桑田佳祐&曽我淳一 | |
2 | オモタイキズナ | 桑田佳祐 | 原由子&桑田佳祐 | 原由子&桑田佳祐&曽我淳一 | |
3 | Good Times〜あの空は何を語る | 原由子 | 原由子 | 原由子&曽我淳一 | |
4 | 旅情 | 桑田佳祐 | 原由子&桑田佳祐 | 原由子&曽我淳一 | |
5 | スローハンドに抱かれて(Oh Love!!) | 桑田佳祐 | 原由子 | 原由子&桑田佳祐&曽我淳一 | |
6 | ぐでたま行進曲 | 原由子 | 原由子 | 原由子&曽我淳一 | |
7 | 夜の訪問者 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐&曽我淳一 | |
8 | ヤバいね愛てえ奴は | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐&原由子&曽我淳一 | 8/17先行配信 |
9 | 鎌倉 On The Beach | 原由子&桑田佳祐 | 原由子 | 原由子&桑田佳祐&曽我淳一 | 9/30先行配信 |
10 | 初恋のメロディ | 桑田佳祐&TIGER | 原由子 | 原由子&桑田佳祐&曽我淳一 |
弦編曲:曽我淳一(1)、原由子&曽我淳一(8,10)
管編曲:山本拓夫&曽我淳一(7)、原由子&曽我淳一&山本拓夫(9)
No | タイトル | 備考 |
1 | あじさいのうた | 6thシングル |
2 | ガール(GIRL) | 7thシングル |
3 | ためいきのベルが鳴るとき | 9thシングル |
4 | 愛して愛して愛しちゃったのよ | 10thシングル |
5 | じんじん | 12thシングル |
6 | 涙の天使に微笑みを | 14thシングル |
7 | 太陽は泣いている | カバーアルバム『東京タムレ』収録曲 いしだあゆみのカバー |
8 | 東京タムレ | カバーアルバム『東京タムレ』収録曲 渚エリのカバー |
9 | 夢見るアニバーサリー | サザンオールスターズ 48thシングル『彩〜Aja〜』C/W 一部のみ サザンのシングルだが名義は原由子&ALL STARS |
10 | 夢をアリガトウ | 15thシングル |
11 | 京都物語 | 2ndベスト『ハラッド』収録曲 |
[Bonus Track] | ||
いちょう並木のセレナーデ | 2ndアルバム『Miss YOKOHAMADULT』収録曲 | |
ハートせつなく | 11thシングル | |
恋は、ご多忙申し上げます | 4thシングル |
リリースデータ
2021年10月19日 | 初登場4位 | 売上5.4万枚 | ビクター |
原由子4thアルバム。2010年のベスト盤『ハラッド』以来12年4ヶ月ぶりのアルバムでオリジナルアルバムとしては1991年『MOTHER』以来となるため31年4ヶ月ぶり。2012年に同時配信されていた「ウルワシマホロバ〜美しき場所〜」「ヘヴン」は未収録、未CD化のままとなり、全曲新曲で構成されている。今作発売告知と共に8月17日に「ヤバいね愛てえ奴は」が専用ジャケットで先行配信され、9月30日には「鎌倉 On The Beach」が今作の流用ジャケで先行配信された。前3作では桑田佳祐がプロデューサーとしてクレジットされていたが今作にはプロデューサー表記が無い。久々のアルバム発売で本人稼働も含めてTVで特集されるほど大々的なプロモーションが行われ、『ハラッド』が一時品薄になるほどの反響もあったものの今作の売上自体は伸び悩んだ。
完全生産限定盤は歴代のミュージックビデオ+2010年7月4日の単独ライブ『原由子スペシャル「はらばん」鎌倉ライブ』ライブ映像から3曲を収録したソロ初の映像作品『Harvest』付属。AがBlu-ray、BがDVD付。
通常盤はCD1枚のみ。限定生産でアナログ盤でも発売。
完全生産限定盤パッケージはスリーブケースに通常DVDトールケース内にCDと歌詞ブックレット、別の薄型デジパックケースにBlu-ray(or DVD)が収納されている。CD側は一般のDVDと同じトールケースながらもブックレットはCD通常のサイズのため、全体に妙にスカスカしたパッケージになってしまっていて1枚のデジパックに2枚収納するならまだしも何故こんなパッケージの無題遣いのような仕様に…。
ブックレットには本人による全曲解説も記載されている。原由子はこれまで桑田佳祐の事をインタビューで語る際には「桑田」としていたが、今作では制作に手を貸して助言・導きをしてくれる存在として「天の声」という独特の表現をしている。
これまでの作品では本人の作詞作曲、桑田佳祐の作詞作曲、その他提供曲、本人はアレンジには関与せずお任せというものが多く、共作もあまりなかったが、今作では原由子と桑田佳祐の共作パターンが連投されているほか、アレンジの筆頭人物として原由子が積極参加している。制作陣は本人に加えて桑田佳祐、そして曽我淳一が多くの編曲に参加した。曽我淳一はサザン・桑田ソロにおいて2011年以降において参加するようになり、ピアノシンセの片山敦夫とプログラミングの角谷仁宣、2人の仕事を1人で担当出来る人物として2人に代わって重宝されるようになっていたがサザンの『葡萄』頃までをピークに桑田ソロでは片山・角谷メイン起用方針に戻っていき出番が激減し桑田ソロ『がらくた』で1曲ポッキリとなり、『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』では起用されなくなっていた。今作では全面起用されており、曽我淳一がいれば担当が被る片山・角谷の2人は参加の余地が無く、今作には片山・角谷は一切関わっていない。曽我淳一の積極起用は原由子との共同アレンジが多い事からも原由子本人の意向と思われる。また前3作ではアレンジは桑田佳祐を中心として任せていたのが今作では桑田佳祐の手を借りる程度の起用に留まっていて原由子がアレンジの中心人物となっている事も今作に桑田佳祐プロデュース表記が無い理由と思われる。本人が性格上主張しなさそうだし、プロデュース表記はされていないが、事実上今作はこれまでの作品よりもセルフプロデュースに近いと言えるのではないか。本人解説によれば桑田がツアー中だったため制作開始時は原由子と曽我淳一とエンジニア宮沢竣介の3人+ツアー途中に桑田がちょくちょくスタジオを訪れて手伝っていたが、ツアー終了後の制作後半は常に桑田がスタジオに常駐しての制作となった模様。
桑田ソロ、サザンとは制作陣を微妙に変えているほか、今作ではアレンジャーとしての手腕も発揮して完全お任せではないところに前作以降31年の経験が積み重なり、円熟味のあるポップスが並ぶ。いわゆる「原坊」と呼ばれたほんわか優しい雰囲気は変わっていない。1曲1曲に強いインパクトはないがスーっと染み入る曲が並んでいて非常に聞きやすい。曽我淳一の起用や最近の桑田ソロでもそうなのもあってか、打ち込みを駆使した曲が多く、フルのバンド編成は「旅情」「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」「夜の訪問者」と10曲中3曲しかないが、人件費的な問題ではなくあえてやっているのだろう。改めて31年も間を開けずにもう少しコンスタントに活動を行った上にここにたどり着いて欲しかったところではあるが…。まあもうソロアルバム自体が2度とない可能性が高かっただけに60代半ばになってもう1度アルバムを作ってみる気になってくれただけでもありがたい。アレンジ面にしてもそういえば2000年代以降のサザンでは時々管弦アレンジで単独表記されることがあったりと(アレンジャーとの共同名義が多かったけど)、本人謙遜してあまり主張していないし、サザンではもっと目立つサポートメンバーが常駐しているのであまり注目もされていなかったが、今作でのアレンジで8曲が「原由子&○○」と筆頭に名前が来ている事からも原由子が中心にアレンジしていると思われる。60代になってメインアレンジャーデビューするなんて前例は恐らく無く、そこまでやれるならもっと発揮する機会があったらなぁ…とはどうしても思ってしまった。
これだけ長期で活動が無く、また大きなヒットはしていないためCS放送で懐かしのヒット曲集があっても取り上げられる機会が少なくほとんど見る事ができないMV一挙収録というのはかなりの貴重映像。1番古い「あじさいのうた」は1987年で本人12月生まれなのでこの時で30歳という事になるが、80年代の人は老けて見えるとはいえ、最初からおばちゃん顔で変わっていないのが凄い。ただ昔の方がもう少しキリッとしていて今見るとちょっと怖そうな雰囲気もある。時代が進むにつれてほんわかした雰囲気に変わってくるような印象で1997年の「涙の天使に微笑みを」辺りからはほとんど印象が変わっていない。25年前だぞこれ。今作に収録されているのはライブも含めて『ハラッド』までとなっていて干支1周前(12年前2010年)。最新の姿はYouTubeで公開されている「ヤバいね愛てえ奴は」「鎌倉 On The Beach」MVで見る事が出来るが…う〜ん…変わらねぇ…。ていうかなんで最新作収録しなかったの…。
完全生産限定盤A(Blu-ray付) 完全生産限定盤B(DVD付) 通常盤 LP盤
印象度★★★★☆
2022.12.10更新