東京タムレ(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 原曲、備考 |
1 | 太陽は泣いている | 橋本淳 | 筒美京平 | 片山敦夫 | いしだあゆみ(1968) |
2 | 愛のさざなみ | なかにし礼 | 浜口庫之助 | 斎藤誠 | 島倉千代子(1968) |
3 | 私と私 | 永六輔 | 中村八大 | 斎藤誠 | ザ・ピーナッツ(1962) |
4 | 東京タムレ | 山上路夫 | 鈴木庸一 | 片山敦夫 | 渚エリ(1963) |
5 | 夏の日の思い出 | 鈴木道明 | 鈴木道明 | 斎藤誠 | 日野てる子(1965) |
6 | 生きがい | 山上路夫 | 渋谷毅 | 斎藤誠 | 由紀さおり(1970) |
7 | 夜霧のわかれ道 | 中山大三郎 | 新井利昌 | 片山敦夫 | ザ・キューピッツ/ブルージーンズ(1968) |
8 | 学生時代 | 平岡精二 | 平岡精二 | 斎藤誠 | ペギー葉山(1964) |
9 | 花のように | 北山修 | 加藤和彦 | 斎藤誠 | ベッツィ&クリス(1970) |
10 | いつでも夢を | 佐伯孝夫 | 吉田正 | 片山敦夫 | 橋幸夫/吉永小百合(1962) 桑田佳祐とのデュエット |
11 | 川は流れる | 横井弘 | 桜田誠一 | 斎藤誠 | 仲宗根美樹(1961) |
12 | 天使の誘惑 | なかにし礼 | 鈴木邦彦 | 片山敦夫 | 黛ジュン(1968) |
13 | 今日の日はさようなら | 金子詔一 | 金子詔一 | 片山敦夫 | 森山良子(1967) |
14 | もいちどタムレ | 山上路夫 | 鈴木庸一 | 片山敦夫 | 「東京タムレ」のコーラス部分のリプライズ |
Bonus Track | |||||
15 | 花咲く旅路 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | 小林武史&桑田佳祐 | 3rdアルバム『MOTHER』収録曲 |
弦編曲:村山達哉(5)、島健(6)
管編曲:山本拓夫(10,12,13)
コーラス編曲:島健(13)
No | タイトル | 原曲、備考 |
1 | 太陽は泣いている | カラオケバージョン |
2 | いつでも夢を(原坊と歌おう! Version) | 桑田の声を抜いたカラオケバージョン |
3 | いつでも夢を(けいちゃんと歌おう! Version) | 原の声を抜いたカラオケバージョン |
4 | いつでも夢を(一緒に歌おう!! Version) | カラオケバージョン |
5 | 東京タムレ | カラオケバージョン |
リリースデータ
2002年3月13日 | 初登場4位 | 売上25.0万枚 | Produced by 斎藤誠&片山敦夫 Otetsudised by 桑田佳祐 |
ビクター |
原由子カバーアルバム。98年のベスト盤『Loving You』以来4年1ヵ月ぶりのソロ作品。1961〜1970年の歌謡曲のカバー14曲を収録。ボーナストラックとして「花咲く旅路」がオリジナルのまま収録されている。これで「花咲く旅路」は3作連続でのアルバム収録となったが(次の『ハラッド』にも収録されたので4連続収録)、この当時コカ・コーラ「まろ茶」CMタイアップとしてOA中だったため収録されたものと思われる。桑田佳祐は「いつでも夢を」でデュエット歌唱、「私と私」「今日の日はさようなら」「もいちどタムレ」、そして既存曲の「花咲く旅路」にコーラス参加しているもののそれ以外は参加していない。代わって当時の桑田佳祐ソロ、以降のサザンオールスターズでも正規メンバーよりも重宝される片腕的サポートメンバーとなった斎藤誠、片山敦夫が編曲及びプロデュースを共同で担当している。桑田佳祐は"Otetsudised"として別枠でクレジットされているがこれは"お手伝い"を"Produced"風に表記した造語と思われる。
初回盤はカラオケバージョン3曲(5トラック)を収録したカラオケ8センチCD「歌ってタムレ」が付属する。初回盤と通常盤では品番による区別はされていない。
00年を最後にサザンオールスターズが長期休止状態で、桑田佳祐が前年「波乗りジョニー」「白い恋人達」を連続ミリオンヒットさせて02年はアルバムに向けて準備が進められている中で今作がリリースされた。久々の原由子ソロ作品という事と、ちょっとしたカバーブームのような時流もあってか、CDが急速に売れなくなる時代背景の中で『Loving You』を上回るヒットを記録した。
桑田佳祐が今回あまり参加しなかったのはシングル『東京』、アルバム『ROCK AND ROLL HERO』を準備しつつさらにその後には『TOP OF THE POPS』も準備していてさすがに年間3枚ものアルバムに関与する余裕が無かったためと思われる。とはいえ今作を任された斎藤誠&片山敦夫は桑田佳祐ソロにも中心人物としてガッツリ関わっていたので、何気にかなり大変だったんじゃないかとも思うが…。
選曲範囲は原由子が幼〜少女時代(56年12月生まれなので大体4〜13歳頃)に該当する。後追いで聞いていたなら話は変わるが、リアルタイムで聞いていたのであれば自分でレコードを買ってきて聞いていたというよりは本当に流行歌としてラジオやTVでかかっていて自然に耳に馴染んでいた曲たちなんじゃないかと思う。ほぼ60年代のカバーとなると今作が懐かしいのは完全に原由子と同世代以上という事になる。
ライナーによれば忠実なものから大胆にアレンジしたものまで幅広くやっているようだけど、全体通してのトーンは圧倒的に昭和歌謡の世界。そして同時に桑田佳祐がアレンジに参加していなくても、斎藤誠、片山敦夫の2人はサザン・桑田佳祐のアレンジにも深く関与している人たちだけに今までのイメージとかけ離れた感じにはならない。そういう意味でも安心して任せたんじゃないかと思われる。
元々オリジナルのソロ曲でも昭和歌謡風味の作風をやると妙に似合っていたように、原由子のボーカルには不思議な魅力があってこういう歌謡曲がよく似合う。それも極度に新しい解釈をしなくてもどういうわけか現代でも成立してしまい極端な古臭さを感じさせない。まさに"現代に蘇る"といった形容がしっくりくる。スタンダードな教科書ソングと化している「今日の日はさようなら」以外は正直全く馴染みが無い曲ばかりであったし、改めてオリジナル歌手を聞こうとまでは思わないけど、原由子というボーカリストを通してこれらの曲を聞くとこれはこれで独特の風情があっていいなと思えた。
ライナーでは続編を期待するようなライターのコメントが載っているし、実際好評なアルバムだったものの1回限りの企画で終わってしまった。今作もかなり久々だったのにこれ以降またしても07年のハラフウミ(風味堂とのコラボ)までソロ活動は途絶えた(サザンのC/Wと『キラーストリート』でのソロはあったが…)。以降アルバムもベスト盤『ハラッド』しか出してない。当初から本人がのんびりすぎて積極的にソロ活動をしようという気持ちがあまり無さそうではあったが…改めて惜しい。
印象度★★★★☆
2019.1.9更新