Ken's Bar

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考、原曲
1 Open       SE(外からバーへ向かう靴音)
2 even if 〜instrumental〜   平井堅 Peter Cincotti 11thシングルのピアノインスト
3 THE ROSE Amanda McBroom Amanda McBroom 塩谷哲 ベット・ミドラー
4 ONE DAY 桑田佳祐 桑田佳祐 鈴木大 KUWATA BAND
5 LOVIN' YOU Minnie Riperton,Richard Rudolph saigenji ミニー・リパートン
6 WHAT A WONDERFUL WORLD George David Weiss,Bob Thiele Juana Molina ルイ・アームストロング
7 You've Got A Friend Carole King Carole King Paul Jackson Jr. キャロル・キング Lalah Hathawayとのデュエット 
8 〜Intermission〜   平井堅 鈴木大 新曲 ピアノインスト
後の6thアルバム『SENTIMENTALovers』収録曲「センチメンタル」の原曲
9 大きな古時計 Henly Clay Work
保富康午(日本語詞)
Henly Clay Work 矢野顕子 16thシングル 別アレンジ 童謡カバー
10 FAITH George Michael George Michael 石成正人,酒井秀彰 ジョージ・マイケル
11 When You Wish Upon A Star Ned Washington Leigh Harline クリヤ・マコト 映画『ピノキオ』挿入歌(邦題「星に願いを」)
12 ABC Freddie Perren,Alphonso Mizell,
Berry Gordy,Deke Richards
石成正人,大神田智彦 ジャクソン5
13 Don't Know Why Jesse Harris Jesse Harris Jesse Harris ノラ・ジョーンズ
14 Close       SE(バーから外へ向かう靴音)
15 見上げてごらん夜の星を 永六輔 中村八大 本間昭光 坂本九 坂本九の当時の音源とデュエット

Vocal Arrangement:Lalah Hathaway&平井堅(7)

リリースデータ

2003年12月10日
2009年5月27日(Blu-spec CD)
初登場2位
初登場234位
売上49.2万枚
売上0.06万枚
All Produced by 平井堅 DefSTAR Records

平井堅1stコンセプトカバーアルバム。売上不振により新作リリースが滞るようになっていた1998年にドリンクを飲みながら聞くコンセプトアコースティックライブとしてスタートした「Ken's Bar」でこれまで取り上げていたカバー曲を改めてレコーディングしている。11thシングルとしてリリースされていた「even if」も元々はこのライブのテーマ曲として作られた楽曲で今作ではピアノインストで収録されている。「大きな古時計」はシングルとして前年リリースされていたが、今作では矢野顕子のピアノアレンジ&演奏でリメイクされている。「見上げてごらん夜の星を」は原曲の坂本九のボーカルとデュエットする編成になっており、この年の紅白でも坂本九の昔の映像とデュエットする形で"共演"した。初回盤は紙ジャケット仕様。今作にDVDは付属しないもののこの紙ジャケットの初回盤は続編でも踏襲された。09年に続編『Ken's BarU』発売時にはBlu-spec CDとして再発された。EXILEの2週目に数万枚及ばず初登場2位で、前後のオリジナルアルバムを下回ったものの、下位でロングヒットし、05年2月まで300位以内に63週ランクインした。

文字通りにバーをコンセプトにしていて、外からバーに向かう靴音のSEと逆に外に出ていくSEを最初と最後に配置。本編は1部と2部に分かれ、間を「〜Intermission〜」が繋いでいる。1部はピアノのみ、アコースティックギターのみの伴奏になっていて、2部ではいくつかの楽器を組み合わせたアコースティック編成の演奏中心。「見上げてごらん夜の星を」はアンコール扱いとなっている。「Close」でバーから外に出ちゃったけど細かいことは気にするな徹底して1つのライブのように構成されていて公式にはコンセプトカバーアルバム扱いされているがかなり雰囲気作りにも凝ったカバーアルバムだ。

02年の「大きな古時計」大ヒットに続いて、03年は「見上げてごらん夜の星を」の故・坂本九の音声を使用してのデュエットが話題となった。実は今作発売直前の11月27日には坂本九の娘である大島花子が「見上げてごらん夜の星を」をカバーして歌手デビューを飾っていた。しかし平井堅の御本人とのデュエットは完全に実の娘によるカバーという話題をかき消してしまい(一応当時この娘がカバーするという話題は芸能ニュースでもそこそこ取り上げられはした)、なんとそのまま紅白でも"共演"してしまった。もっと言えば「見上げてごらん夜の星を」は何故か01年頃からDEEN、堂本剛、Re:Japanと相次いでカバーが発表されていたので、御本人デュエットの荒業を繰り出した平井堅が全部持っていってしまったのはそれはズルい…と思ったのが正直なところ。特にDEENは坂本九と同じ航空機事故で父親を亡くしたダイアナ湯川のヴァイオリンをフューチャーするという縁を感じさせるカバーをやっていたのに当時ほとんど話題にならなかったので、よりいっそう平井堅だけズルい…と思ったのを記憶している。そもそもこの曲は今作の中では浮いた存在のカバーであり、本編から外したアンコール曲扱いなのに、アルバムのリード曲としてMVまで作って目玉にする気満々だったのもけっこうちゃっかりしていた。

というわけで前年の「大きな古時計」とリード曲として紅白で本人共演までした「見上げてごらん夜の星を」の印象、21世紀になり平成も10年を越えていよいよ遠ざかっていく古き良き昭和の匂い…みたいなイメージが先行することとなったが、ノラ・ジョーンズのカバーである「Don't Know Why」だけは2002年に出たばかりの新曲であることを除けば今作自体は洋楽スタンダードのカバーアルバムである。自身が敬愛するサザンオールスターズ桑田佳祐が86年にKUWATA BANDとして発表した「ONE DAY」のみが日本の曲。

後半の曲だと音数も増えて多少は盛り上がりも見せるが、前半はピアノ1本かギター1本でしっとり歌い上げる曲が続くので、基本的には平井堅の歌に浸るためのアルバム。洋楽スタンダードにあまり関心が無いとそんなに面白いアルバムではないと思う。続編の方がJ-POPカバーが多く、流行歌を歌っていきたいとする平井堅のルーツ寄りの志向がより鮮明になる気がするので、シリーズの中では1番クールでいかにも"アーティストのカバーアルバム"っぽい雰囲気だと思う。それでもどんな曲でも平井堅の歌になってしまう辺り、やはり存在感のあるボーカリストだなとは思った。

Ken's Bar     Ken’s Bar(ブルースペックCD)Blu-spec CD 

印象度★★★☆☆

2017.7.28更新

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