Music D.
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | Love Communication | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ | |
2 | 恋のベスト10(curtain rise) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ | 16thシングル 最高33位 売上3.3万枚 |
3 | リバース | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ | 「恋のベスト10」のリミックス |
4 | I.C.E. | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 野崎貴朗(Re-mix) 本間昭光(原曲) |
|
5 | ストロボ(remixture) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 野崎貴朗 | 14thシングル 最高5位 売上33.8万枚 リミックス |
6 | School Days | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 野崎貴朗 | |
7 | Rest of Your Heart | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ | |
8 | NIGHTMARE | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | |
9 | ムーンロケット | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 野崎貴朗 | 17thシングルC/W(カット) 全英語詞「Moon-Rocket」にリメイクしてシングルカット |
10 | パリパラ | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | |
11 | BEGIN〜1999's style〜 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ | 17thシングル(カット) 最高26位 売上1.8万枚 「BEGIN〜いくつもの冬を越えて〜」に改題・リアレンジしてシングルカット |
12 | I Wish(a cappella) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 15thシングル 最高15位 売上8.6万枚 アカペラリアレンジ |
13 | dance with me | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 井上ヨシマサ |
リリースデータ
1999年12月16日 | 初登場6位 | 売上19.7万枚 | Producer:広瀬香美、田村充義 | ビクター |
広瀬香美8thアルバム。ベスト盤を経て1年11ヵ月ぶり、2シーズンぶりのオリジナルアルバム。「ストロボ」「I Wish」を持って本間昭光が離れ、新体制へ移行。本間が単独アレンジを手掛けていたこの2曲は完全なリミックスとアカペラにリアレンジされて収録されている。「BEGIN〜1999's style〜」はアップテンポにリアレンジした「BEGIN〜いくつもの冬を越えて〜」として年明けにシングルカット。C/Wには「ムーンロケット」が全英語詞に変更された「Moon-Rocket」が収録された。「ストロボ」がシングル最後のトップ10入りとなり、「恋のベスト10」はアルペンタイアップで初めて明確にコケてしまうなど低迷。それでも前年のベストの大ヒットもあって、アルバムでは売上を下げながらもトップ10入りは果たした。だがこれがオリジナルアルバム最後のトップ10入りとなった。
本間昭光を離れてしまったのがやはり痛手だったように思う。広瀬香美を離れた本間昭光はちょうどこの時期にak.hommaとしてポルノグラフィティの作編曲を担当してまさにちょうどこの頃から大ヒットを連発し作家生活のピークを迎える。ポルノグラフィティの代表曲の1つである「アゲハ蝶」は本間がかつて広瀬と共同アレンジで手がけた「promise」でのアレンジを意識したようなものになっていたし、今まで得たヒットのノウハウを生かして大成功を収めたように見えた。一方でこちらは新たに参加している井上ヨシマサはこの10年後くらいにAKB48で大ヒットを連発する作家である。この時期ヒット曲が無かったわけではないが、更なるピークを迎えようとしていたアレンジャーから離れて、実績はあったが10年後に真のピークを迎えるアレンジャーを迎えたというのはタイミングが良かったとは…。
というわけでベストが大ヒットして、その勢いに乗るのではなく新機軸を目指したような実験的な作品である。まずアレンジから撤退し、今回は多くの曲を新たなアレンジャーに委託している(自身アレンジの3曲のうち1曲はピアノ+ストリングス、もう1曲がアカペラとなっており、普通にアレンジされた曲は1曲だけ)。ヒット性があった本間時代の2曲を全くの別物にして収録してしまい、「恋のベスト10」もシングルにしては妙に複雑な曲で、聞き込めば面白い曲だが正直ヒット性は薄いし、当時はワケが分からなかった。シングルカットした「BEGIN」も強烈な音程差にインパクトがあったもののやはりヒット性は薄くなっていた。アルバム全体通して広瀬香美の作家性が強く出ているような気がするが、ベストがヒットしたので自由に実験してみたくなったのだろうか?意欲的という見方もできるし、いきなり大迷走してしまったような気もする。一方で歌詞の一部にある「いらないメモリ捨ててかないとバグる」「情報が過剰だ」「迷宮のサイト検索して未来」辺りからはパソコンが一般化してきてネットが普及していった当時の世相を反映しているかのようだし、「20世紀」「いくつも冬越えてここまで来たの」という辺りからは20世紀から21世紀に入ろうとしていたあの当時の空気が漂う。世紀末から10年以上経過した時点で聞いてみるとある意味ではこの混沌とした複雑さが世紀末という当時の空気感を写しだしたような作品だなとも思う。当時リアルタイムで聞いてワケが分からなかった人でも、改めて聞いてみると以前よりは何か見えてくるものがあるかも。
印象度★★★☆☆