歌ってみた 歌われてみた
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 原曲、備考 |
1 | WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント〜 | 小室哲哉 | 小室哲哉 | 広瀬香美 | H Jungle with t(1995) |
2 | 白日 | 常田大希 | 常田大希 | 広瀬香美 | King Gnu(2019) |
3 | もしかしてだけど | 江口直人 | 江口直人 | 広瀬香美 | どぶろっく(2013) |
4 | 奏(かなで) | 大橋卓弥 常田真太郎 |
大橋卓弥 常田真太郎 |
広瀬香美 | スキマスイッチ(2004) |
5 | Pretender | 藤原聡 | 藤原聡 | 広瀬香美 | Official髭男dism(2019) |
6 | 愛があれば大丈夫(with 眉村ちあき) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 1stシングル コラボセルフカバー |
7 | ゲレンデがとけるほど恋したい(with 鬼龍院翔<ゴールデンボンバー>) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 7thシングル コラボセルフカバー |
8 | ロマンスの神様(with 百田夏菜子) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 3rdシングル コラボセルフカバー |
9 | Dear...again(with chay) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 8thシングル コラボセルフカバー |
10 | promise(with HAN-KUN) | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 11thシングル コラボセルフカバー |
11 | 30年 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
12 | HENTAI | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
13 | 新しいピアノきた | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
14 | エンターテナーになりたい | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
15 | 心の音 | 宮原心音 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
16 | キススイカカレ | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
17 | Lonely Boy〜遠い記憶の中で〜(スーパースタッカート Ver.) | 山内健司 (かまいたち) |
広瀬香美 | 広瀬香美 | 新曲 |
タイトル案:兼近大樹(EXIT)(16)
リリースデータ
2021年1月27日 | 初登場67位 | 売上0.18万枚 | Produced by 広瀬香美 | ビクター |
広瀬香美14thアルバム。ベスト盤を除くと16年のセルフカバーアルバム『25thプレイリスト』以来となるオリジナルアルバム通算カウントに含まれる作品。19年12月からYouTubeを開始し、当初は出演した番組のレポートやツアーグッズの紹介を経て音楽学校をやっていた経緯から音楽レッスンを連続更新していたが、2020年3月より「歌ってみた」を公開したところ、ピアノ弾き語りなのにとんでもないパフォーマンスを繰り広げる姿が話題となり、メディアでも再ブレイク扱いされるようになった。今作はそこから誕生した企画作品で「歌ってみた」シリーズでカバーした中から5曲+新たに「歌われてみた」として自身のセルフカバーをコラボで行った5曲、新曲7曲を収録した企画盤。YouTube音源とは異なり、新たに録音されているとはいえ大半がYou Tubeにて発表済みの楽曲ばかりで購入に至らなかったのか、CD売上は不振となったがこれでも近年のベスト乱発の中では十分に高い売上となった。
「心の音」は1月23日放送の読売テレビ『4匹のクツガエル〜子供による元子供のための番組〜』にて出演者の子供のうちの1人宮原心音が書いた歌詞にメロディーをつけるという企画から生まれた楽曲。「Lonely Boy〜遠い記憶の中で〜(スーパースタッカート Ver.)」は2020年7月25日放送のフジテレビ『有吉ダマせたら10万円』の企画でかまいたち山内健司が学生時代に書いた歌詞に広瀬香美がメロディーをつけて披露したものに山内がさらに2番の歌詞を書き下ろして完成させた楽曲。
話題になったのはその破天荒なカバーっぷりだったが、1番最初にカバーしていた米津玄師「Lemon」を筆頭に収録されなかった曲の方が多く、カバーは5曲だけで後は自身の有名ヒット曲を「歌ってみた」の形で再利用し、この流れ(破天荒ピアノ弾き語り)で制作された新曲を詰め込んだため単なるカバー一辺倒のアルバムではない3部作構成。ベスト盤しか出せない状況がもう何年も続いていたのでこの機に乗じつつもただそのままカバーアルバムにするだけではなく、もっと企画として発展させたものにしたいというクリエイター魂によるものなのだろうか。
そんなわけで全編に渡って演奏はピアノ弾き語りのみながらも終始テンションは高く飽きさせない。カバーは有名どころばかりだがどれも自分流にアレンジして歌っていてだいぶ崩しつつも聞かせどころは見抜いていてちゃんとやっているような感じ。ゲストを招いてのセルフカバーでは基本的にゲストをメインにして自身は演奏とコーラスをメインにしているが、女性シンガーは比較的そのまま共演、男性シンガーは相手に合わせてキーを下げている一方で「ゲレンデがとけるほど恋したい」に「女々しくて」のメロディーをぶち込んで来たり、「promise」には新たなラップパートを加えたりといった工夫も。
後半に連発される新曲も近年ベスト盤で発表してきた新曲とは方向性が異なる。近年ついにアルペンがCMから撤退してしまったものの新曲は全盛期よりも徹底して自身の冬の女王イメージに応えたものが続いていたが、今回は今思っている事を即興でそのまま歌うといった某男性シンガーの初期のキャッチコピー"リアルタイムシンガーソングライター"を地で行くような内容。「30年」はそのまま30周年(厳密には30周年は来年で30年目)を歌っているだけだし、「HENTAI」は自身の破天荒な性格をさらけ出して普通を目指したこともあったが開き直った心情を歌い、「新しいピアノきた」はそのまま新しいピアノをが届いただけの歌、「エンターテナーになりたい」は連続して『歌ってみた』投稿を続けた後に一旦休止したがその際に今後目指すべき道を見つけたという決意表明をそのまま歌にしたもの…といった具合に最近思ったことがそのまま曲になっている。こういった試みは今までやっていなかった事で、ここまでパーソナルな心情を見せるのも総じて作家的側面の強い広瀬香美としては新境地だと思う。このためいわゆるヒット曲然とした作り込まれた曲ではないものの、フレーズを繰り返したりすることでそれなりに引っかかりはある。
そしてラスト3曲はどれも番組企画等で作られた楽曲。こちらは真面目モードの普通にいい曲。少し前にTV出演していた際(25周年前後)はやたらと高音維持をアピールするプロのシンガーとしての真面目さを見せる部分が目立ったが「ロマンスの神様」をさらに高いキーで歌えるとかこだわりの強さが出すぎていてちょっと異様というかドン引きされかねないような状態に加えて自分が社長になれば返り咲けると言ったとか言わないとかで強引に独立した事務所独立騒動もあってイメージが悪くなってしまうところがあった。しかし独立後はそういった高音維持アピールではなく、破天荒な性格は開き直ってさらけ出した上で積極的にバラエティに出たりするようになったのは自分が主導権取って運営すれば返り咲ける発言も間違ってなかかなり変わったなと思う。若手のヒット曲へと嫉妬まで嫌味の無い本音含めてぶっちゃけて認めてカバーした上で一般人にも分かりやすいような解説もさらっと加えるというなかなか高度な音楽トークを堂々繰り広げるとか広瀬香美にしか出来ないところに達した。それこそ「HENTAI」「エンターテナーになりたい」で歌われている心情そのままと思われ、エンターテイナーとしての今後が楽しみだ。
印象度★★★★☆
2021.2.28更新