誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました…

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 花は桜 君は美し 水野良樹 水野良樹 いきものがかり with Snake Allstars 後に8thシングルでリメイク
2 歌姫 水野良樹 水野良樹 いきものがかり with Snake Allstars  
3 地球 山下穂尊 山下穂尊 いきものがかり with Snake Allstars 後に5thアルバム『NEWTRAL』でリメイク
4 秋桜 山下穂尊 山下穂尊 いきものがかり with Snake Allstars 後に4thアルバム『ハジマリノウタ』でリメイク
5 ノスタルジア 水野良樹 水野良樹 いきものがかり with Snake Allstars 後に17thシングルでリメイク
6 夏・コイ 山下穂尊 山下穂尊 いきものがかり with Snake Allstars 3人ボーカル曲
後に1stアルバム『桜咲く街物語』でリメイク
1stべスト『いきものばかり』で2010 versionとして再度リメイク

リリースデータ

2003年8月25日 チャート対象外 Thunder Snake Record

メンバー(表記無し)

吉岡聖恵
水野良樹
山下穂尊

いきものがかりインディーズ1stミニアルバム。99年2月に水野・山下のデュオとして結成、11月に吉岡が加入して3人組となり路上ライブでカバー曲中心の活動を行っていたが大学受験に伴い00年9月に1度解散。水野・山下が浪人、1つ下の吉岡がストレートに進学したのを機に活動を再開しようとしたが音大で挫折した吉岡が再開を渋り、水野が説得を試みるも失敗が続いていた。バックパッカーとして海外を放浪していた山下が帰国後に03年2月に水野に内緒で吉岡を説得したところあっさり快諾したため活動再開が決定。4月より路上ライブを再開したが、ライブハウスへの進出を試みて03年6月2日に地元厚木市のライブハウス「Thunder Snake ATSUGI」にていきなりワンマンライブを決行。今作はそのThunder Snake ATSUGIの全面協力の元、ライブハウスでライブハウス関係者のサポートメンバーを招いてのレコーディングが行われ、発売元もそのままThunder Snake Recordとして事務所無所属の状態でリリースされた。

歌詞カードにはメンバーの写真がふんだんに盛り込まれているが作詞作曲以外にメンバー名の表記が無い。ジャケット裏には演奏に参加したSnake Allstarsのギター、ベース、ドラム、キーボードの4人の名前が表記されているが、うっかりしていたのか肝心のいきものがかりのメンバー表記が抜け落ちており、作詞作曲に参加していない吉岡聖恵に関してはCDに名前が一切載っていないという珍妙な事態となっている。

メジャーデビュー後一時入手困難になっていたようだが、後の2作が激レアで高騰したままであるのに対して今作は早い段階で入手しやすくなった。これは後の2作が事務所キューブに所属後にリリースしたため事務所キューブが権利を持って一切再販しなかったのに対して、今作の権利はThunder Snake側にあるためThunder Snakeが売り続けていて流通量も多くなっていたためと思われる。いずれにせよ通常はインディーズ時代の作品は古いほど出回ってなくてレアになりがちだが、いきものがかりの場合は1番古い今作が1番入手しやすい状態となっている。

今作はライブハウスThunder Snakeでの6月2日のライブをそのままCD化したという説ワンマンライブの後で改めてライブハウスでレコーディングしたという説が錯綜しているが、水野良樹の著書『いきものがたり』によればライブハウスを1日貸し切ってレコーディングを行ったとされている。基本はステージでの1発録音だがリテイクや若干のダビングは行ったという。また演奏メンバーも全員Thunder SnakeのスタッフでギターはPA、ベースは照明、ドラムはブッキングスタッフ(同い年)、キーボードは店長のバンド仲間…というメンツだった。

そんなわけで手作り色が強く、かなり録音状態も良くなく、ほぼその場で連続1発録音したかのような音源で率直にはかなり音はしょぼい。もう何年か後だとこういう環境でももっとクリアな音で録れるようになっていたのではないかと思うが…03年の最新鋭でもないライブハウスでの録音環境だとこんなものか…。

曲自体は「歌姫」以外がメジャーでブラッシュアップされてリメイクされており、こんな最初期の曲から2曲もシングル表題曲となっていて、当初から水野のソングライティング能力はA面向きだった事が伺える。山下も劣っているわけではなく、3人ボーカル曲の「夏・コイ」は定番曲だったようでメジャーで2度もリメイクされている。吉岡のボーカルはまだかなり若く、正直そんなにうまくもないガチャガチャした荒い演奏に飲み込まれてしまうようなところもあるけど、それでも十分にうまい。難点としてはアコースティック主体のシンプルなバンドアレンジではあるんだけどシンプルなのに6曲で36分で各楽曲が長い。しょぼい音な上に曲がダラダラと長いのでどうにも冗長な印象にはなってしまう。それでもライブを見ていたキューブ関係者が獲得に乗り出したというし、粗削りでも確かなソングライティング能力とボーカルという、いきものがかりの基本要素がこの時点でしっかりしていた事は分かる1作だと思う。

B00E3BL8C6 

印象度★★★☆☆

2021.4.28更新

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