中央突破

No タイトル 備考
1 スタートライン  
2 カナデアイ 2ndシングル両A面曲
3 宿り星 1stシングル両A面曲
4 あなたが好き  
5 はちみつ色の月  
6 さいごまで 2ndシングル 最高18位 売上0.6万枚
7 ドンマイ!!  
8 半径10メーターの世界  
9 ヒトリノセカイ  
10 スターダスト 1stシングル 最高14位 売上0.7万枚

※作詞作曲編曲表記一切無し
シングル盤でのクレジットは4曲とも「作詞作曲:伊東歌詞太郎、編曲:宮田“レフティ”リョウ」だった。

リリースデータ

2017年6月21日 初登場14位 売上0.6万枚 Producer:加藤信介(avex group) avex trax

メンバー

Vocal,Agt 伊東歌詞太郎
Bass,Key,Chorus 宮田“レフティ”リョウ

イトヲカシ1stアルバム。2人は中学の同級生で別々に音楽活動をしていたが2012年に結成。インディーズでの活動を経て2016年9月にメジャーデビューした。2シングル4曲全てを収録。伊東歌詞太郎は2011年頃からニコニコ動画に投稿してソロシンガーとしての活動も行っており、2014年にはトイズファクトリーからソロデビューもしていた。1stは4位、15年の2ndは6位で共に2万枚越えのヒットを記録していたが、今作はそれを大幅に下回り、シングル2作も下回った(2ndと今作は数十枚差で今作の方が下回った)。先行2シングル4曲を全て収録。DVD付、CDのみの2種発売でDVD付にはシングル4曲+「半径10メーターの世界」「スタートライン」のMVが収録された(シングル4曲のMVはシングル盤のDVD付に収録済み)。DVD付が3000円(税抜き)、CDのみは2000円(税抜き)と廉価設定になっている。初回盤はスリーブ仕様、ステッカー付属。

イトヲカシでメジャーデビュー以降はソロ活動を行っていなかったが今作の後は10月に伊東歌詞太郎がインディーズに戻って3枚目のフルアルバム『二天一流』をリリース、そして11月にはイトヲカシの3rdシングル『アイオライト/蒼い炎』をリリースし、このシングルが最後となっている。この直後に伊東歌詞太郎が声帯結節の手術のため一時歌唱活動を停止すると発表。以降イトヲカシでは2018年2月には「さいごまで〜Reprise〜」が「さいごまで」の翌年の同じタイアップ(河合塾)となり、3月には新曲「シンギュラリティ」がスマホRPG「GOD EATER RESONANT OPS」テーマ曲となるなど未発売楽曲がタイアップに起用されたのが伝えられていたものの2018年4月を最後に公式サイト/Twitterの更新が完全に停止した。そのままお互いにソロでの音楽活動に戻ってしまい、特に休止宣言も無くイトヲカシはフェードアウトしてしまっている。

メディア出演(というか写真)においてメンバーの顔は非公開という方針を徹底している。MVにも出演しておらず、役者やエキストラ、アニメ映像で構成されている。仮面を被っているわけではないため、顔を小道具等で隠すか、フレームアウトさせる手法を取っており、普段は素顔で行動している。このためライブでは普通に顔出しをしていた模様。

CDのみが2000円と安かった事、エイベックスだと平気で3990円とかにするのにDVD付でも通常のアルバム価格3000円は魅力ではあったが、シングルを買っているとDVDのMV6曲のうち2曲しか新しいものが無いのでCDのみの方を選択した。

J-POP王道を掲げてタイトルも堂々の「中央突破」。タイトル通りにまっすぐな歌詞、まっすぐなメロディー、まっすぐなバンド演奏による何もかもすべてがド直球で貫いた王道J-POPアルバム。Goodbye holidayやShiggy Jr.など王道を目指したいと発言している若いバンドはいくつか聞いてインタビューも読んだけど、彼らの王道にかける熱意は並々ならぬものがあり、かなりの覚悟を持って中央突破に挑んでいるような印象を受けた。それだけに全曲のド直球っぷり、ひたすら前を向いている姿勢には憂鬱を全て吹き飛ばすような爽快さがある。迷いを歌った「ヒトリノセカイ」みたいな曲もあるが、これも小難しい言葉を並べ立ててはいない。誰もが1度は感じた事のありそうな感情がストレートに歌われている。歌詞太郎のボーカルはAcid Black Cherry、Janne Da Arcのyasuに非常に似通ったところがあるが、より爽やかでストレート。『中央突破』の名に恥じないこれぞJ-POPな良作

一方で20年近く前(2017年時点)の中学生の頃に出会っていればドハマりしていたけど、今はちょっと対象から外れてしまったと感じる部分が多かった。個人的には「スターダスト」リリース時にラジオで流れてきたこの曲にノスタルジーを感じて彼らに興味を抱いた。ただ結果的には心に響いたという点では「スターダスト」が今のところ奇跡の1曲だったという印象。というのも歌詞の対象年齢が概ね中高生くらいに絞り込みすぎているような感じがある。特に「スタートライン」や「さいごまで」に代表されるような応援歌に関してはタイアップ先のテーマが受験や専門学校だったりする事も相まって、20代半ばくらいの少し先を行くお兄さんから受験生の君たちへ…的な目線で書かれている(メンバーの年齢は非公開だがキャリアを考えると概ね20代半ばから行ってても後半くらいのはず)。

「スターダスト」も表面的には中高生向けだがこの曲には大人でも童心に返してくれるようなノスタルジックな空気感があった。個人的に他の曲では教室が生活の主軸にあるような空気感が漂うばかりでそれをあまり感じられなかった。年齢に関係ない普遍性、メンバーの等身大であり同世代以上の人々の日々を彩るような視点の楽曲があればなぁ…とはどうしても思ってしまった。

音楽はYou Tube(公式ch除く)某FM無料アプリのように違法と知らずに公式のものだと思い込んで愛用し、音楽を聞くのは完全無料という認識で育ち、これまた違法という認識を持たずにbotなんか作ってSNSで流しまくったり、CDってなんですか?状態の現代の中高生相手にターゲットを絞り込んでCDで勝負するには些か無謀が過ぎると思う(もちろんCDを大事にする中高生も、違法と合法を分かっている聡明な中高生もいるとは思うけど)。ブームは過ぎているものの動画サイト界隈からのCDデビューというのは例えタダで動画サイトで音楽を聞けたとしてもCDを買うというリスナーを一定以上掴める傾向があるようでニコニコ動画から人気を獲得していた歌詞太郎ソロアルバムは2作連続で2万枚を越えていたらしい。しかしエイベックスで大々的にメジャーデビューしてからの今作がその1/3以下になってしまったってのもCDを買う気の無い層にだけアピールした結果であり、ターゲッティングなんじゃないかなと思う。

中央突破 (DVD付)DVD付  中央突破CDのみ 

印象度★★★★☆

2017.9.2更新

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