岩田さゆり Best+

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 空色の猫 AZUKI 七 中村由利 古井弘人,
GARNET CROW
2ndシングル 最高31位 売上0.8万枚
2 Thank You For Everything 岩田さゆり 小林正範 鎌田真吾 4thシングル 最高16位 売上1.5万枚
3 LailaLai 岩田さゆり 柴山一幸 鎌田真吾 新曲
4 空飛ぶあの白い雲のように 三枝夕夏 大野愛果 徳永暁人 1stシングル 最高40位 売上1.3万枚
5 アツミサオリ 大葉るか Lee Jae-Kwan 新曲
6 step up tears 岩田さゆり 大島こうすけ 大島こうすけ 新曲
7 凛々 當眞健司 Dr.Terachi&
Pierrot Le Fou
ミニアルバム『風と空と』収録曲
8 最後のラブレター 岩田さゆり 宇津本直紀 鎌田真吾 1stアルバム『Thank You For...』収録曲
9 時効 岩田さゆり 平賀貴大 池田大介 新曲
10 「忘れない」 凛々 須藤智之 鎌田真吾 1stDVD『First Scene』収録曲 初CD化
11 不機嫌になる私 小松未歩 小松未歩 MissTy 3rdシングル 最高48位 売上0.4万枚
12 言葉 岩田さゆり 小澤正澄 小澤正澄 新曲
13 First Love 上原あずみ 小澤正澄 林良 1stアルバム『Thank You For...』収録曲
14 壊れたピアノ 岩田さゆり 栗林誠一郎 Lee Jae-Kwan 新曲
15 明日は今日より笑っていられますように 凛々 Bonn 小澤正澄 ミニアルバム『風と空と』収録曲
16 さよならと… 凛々 小澤正澄 小澤正澄 1stシングルC/W

 

初回盤DVD(約6分)
ジャケット&ブックレット写真撮影メイキング、レコーディング映像、インタビューなど

リリースデータ

2008年6月4日 初登場69位 売上0.3万枚 Produced by KANONJI GIZA studio

岩田さゆりベストアルバム。2年半ぶりのアルバム。2005年の間にシングル4枚、ミニアルバム1枚、アルバム1枚を一気にリリースしたっきり新曲リリースが停止し、06年にDVDがリリースされて意向は公式ページの更新も途絶えてしまっていた。沈黙を経て突如リリースされたのが今作。ベストアルバムと銘打たれているが、シングルA面4曲、ミニアルバムから2曲、フルアルバムから2曲とアルバム初収録となるC/W「さよならと…」に加えて、06年のDVDに新曲として収録していた「忘れない」の初CD化、新曲6曲を収録。16曲中8曲がアルバム初収録(7曲はCD初収録)で構成されている。初回盤はジャケット撮影メイキングをメインにしたDVD付。

今作のリリース前後には久々に公式ページも更新されたが次の歌手活動は行われなかった。やがてコンテンツが削除されてディスコグラフィーのみが掲載される墓場と化した後にGIZA全体が整理されて公式サイトは消滅した。以降は俳優として活動していたが、2015年頃を最後に出演作が途絶え、やがて公式サイト・ブログ等全てが消滅(リンク切れ)となり事務所スペースクラフトからも名前が消されてしまい、正式な発表無しで芸能界フェードアウト引退となっているようだ。

今作リリース当時は17歳。ジャケット写真も今作のために新たに撮り下ろされており、初回盤DVDではわずかにその模様も見る事ができる。ほぼ2005年だけの活動で止まってしまっていた中で急に動きがあったのはかなり謎。後に岸本早未は突然消えた理由として5年契約だったが4年目の段階でもうCDを出せないと言われたので契約を途中解除したと2021年に自身のYouTubeで振り返って説明している。初期と異なりこの時期は最後にベスト盤を出して活動終了するGIZAアーティストが増えていたので岸本早未の場合ベスト盤も出さずに消えたのは契約を自ら途中解除してしまったためであった可能性が高い。岩田さゆりの場合も同様に2005年の活動で売上が乏しくCDを出せなくなったがGIZAとの契約は解除せずにそのまま残していて契約切れの前に最後にもう1枚という話になった…とかなのかもしれないが、6曲も新曲を制作しているのでけっこう本格的なんだよな…。

制作陣も後にも先にも見ないような独特な布陣で三枝夕夏×大野愛果×徳永暁人という当時のGIZA筆頭プッシュ制作体制による「空飛ぶあの白い雲のように」、GARNET CROW4人全員参加の完パケ提供曲「空色の猫」、作曲のみ提供は細々していたが作詞作曲での提供は初期以来となる小松未歩提供「不機嫌になる私」と最初の3作の顔ぶれが凄い。『コナン』タイアップとなった「Thank You For Everything」がトップ級ではない作家陣&本人作詞で最大ヒットになってしまう辺り、結局コナンタイアップが全てな感じもしてしまうが…。これ以外にも当時活動が止まっていた(同年末復活)上原あずみ、元WANDSの大島こうすけ、元PAMELAHの小澤正澄元DEENの宇津本直紀、演奏陣では元FIELD OF VIEWのベース新津健二が2曲に参加、DIMENSIONの2人が数曲に参加するなど新旧のビーイングGIZA勢がぞろぞろ登場してくるというなかなか凄いクレジットだ。

しかも今回の新曲では大葉るか栗林誠一郎って一体いつのストック曲を倉庫から掘り出してきたんだという驚くべき名前がクレジットされている。大葉るかは99〜01年にBERGレーベルで数枚リリースしていた人物で7年も経って急に提供したとも思えないし、04年デビューだった作詞のアツミサオリとは活動時期が重なっていない。「嘘」は大葉るかのメロディーのみの残されたストックに新たにアツミサオリが歌詞をつけて蘇らせた曲なのだろうか。栗林誠一郎に至っては1998年を最後に表舞台から姿を消し、現役でのコーラス参加が確認できる最後の作品は2000年のTUBEのアルバム、以後ZARDのアルバムでストックと明言される形で06年まで作曲作品が登場していたが、まだ眠っていた曲があったという事に…。この「壊れたピアノ」も岩田さゆり本人が作詞しているのでストックを引っ張り出して新たに歌詞をつけたという事か。このような消えて何年も経過していたミュージシャンによる未発表曲が突如提供曲として登場してくるなんて前例はあまりなく、岩田さゆりの制作体制は最後まで異色だった。

か細いボーカルは決して上手くはなく、安定感も無いが逆に儚げな少女というイメージで不思議な魅力がある。シングル以外はイメージを生かした無難でライトなポップスが多いが、シングル4曲はやはり相当気合が入っていてかなり本気で売ろうとしていた事が伺える。特に「空色の猫」「不機嫌になる私」は作者本人よりもこの当時の岩田さゆりにマッチした少女感とかわいらしさが秀逸な仕上がり。儚げに消えていってしまった歌手活動だが、この雰囲気はこの頃しか出せなかったものだったような気がする。

ほぼ3年ぶり17歳(7月誕生日で18歳)となった今作での新曲ではやはり声が成長。当時限定だったと思われる儚さは薄れたが、以前よりも歌声がしっかりして棒歌唱というか丁寧に歌うので精一杯だったっぽい当時よりも余裕が出ているように思う。これに伴って当時は無かった「step up tears」のような明るくポップな楽曲に挑むなど新たな方向性も見せている。しかし結局これっきりになってしまったのも含めて新曲だけ時空が飛んでいてベスト盤としては歪なのも確か。2006年、2007年、そして今作とここに至るまでの成長を作品として残していればまた違ったと思うし、そういった成長記録を残せなかったのは惜しい。

ブックレットやDVDでは少女と大人の狭間くらいの女子高生へと成長していて、だいぶ垢抜けた。ちょうど今作の発売タイミングの時期には石原さとみ主演のドラマ『パズル』にレギュラー出演中で、主人公一派の手柄を横取りしようとしたり、石原さとみが従えている生徒の男子勢(山本裕典、木村了、永山絢斗)を誘惑したりする腹黒で嫌な女子生徒3人組のリーダー格という役どころなのでかなりギャルっぽかったが、今作では以前のイメージに合わせてかもうちょっと清純派っぽくまとめている。歌手活動についても少し語っているが、今後については一切言及していないので今改めて当時の曲を歌ったらどうなるんだろうという話はしている)、やはり契約終了前提のアルバムだったのかな…。

B001714B2Y初回盤DVD付  B001714B38通常盤 

印象度★★★★☆

2022.11.10修正

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