ポルノグラフィティ 25周年全書回顧2~2004-2008~

スポンサーリンク

2003年末のシングル『ラック』リリース直後12月~1月にかけて行ったツアーを最後にイベント出演はあったがほぼ活動が無い状態が約半年ほど続いた。この間にTamaが脱退を表明しており、6月にベストアルバム『RED’S』『BLUE’S』の発売と同時にTamaが脱退すると発表された。

5周年記念日にシングル『シスター』をリリースして2人体制での再始動となった。基本的にこの時期もak.hommaになるとヒット、メンバー作になると売上が落ちるという状況で20万前後と10万前後を行ったり来たりしながら時代の変化もあって徐々に大ヒット作は出なくなっていった。一方でメンバー2人の自作は飛躍的に成長し、自作メインに緩やかに移行していく試みを開始。7thアルバム『ポルノグラフィティ』はak.homma作曲もあるがメンバー自作をメインにして、これまでは最初から一緒に制作していたのをまずは2人でベーシックアレンジを行ってからak.hommaと合流するというやり方にトライ。デビュー10年目に突入したタイミングでは前回を踏襲したベストアルバム『ACE』『JOKER』を発売し、ak.hommaの作曲に一区切りをつけるのだった。

2025.2~3執筆

15th シスター

B000EBCLFM
2004年9月8日
作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
8月のエイベックス内紛社長交代劇に伴ってCCCDを先導していたエイベックスが速攻CCCD弾力化を発表、追従していたソニーレーベルも即レーベルゲートCD2撤退を発表し、あっという間にCCCD狂騒は終焉。さすがに9月上旬である今作は撤退に間に合わなかったが今作がレーベルゲートCD2最後の作品。『PORNO GRAFFITTI BEST RED’S』『PORNO GRAFFITTI BEST BLUE’S』を最後にTamaが脱退し2人になって最初のシングル。3人時代のシングルで3人が写っていたのは「ヒトリノ夜」と「愛が呼ぶほうへ」の2作のみ、アキヒト1人が「サボテン」だった以外は全てメンバー不在のアートワークだったが、2人組になった事を強調するためなのか、今作と次回作は珍しく2作連続でメンバー2人がジャケ写に登場している(以降はアートワークに戻った)。2人になってしまったものの9月8日はデビュー5周年記念日(水曜日だったのでずらさず発売)、脱退したTamaは4月生まれなので既に30歳になっていたが2人は9月と10月生まれだったのでリリース時点でギリギリ29歳で20代最後のシングルとなるなど節目の重なりまくるタイミングであった。品番SECL101もキリのいい数字を取っておいたものだったのかもしれない(7月に「渦」「音のない森」のレーベルゲートCD2再発をした時点で既にこれより先のSECL104、SECL105を割り振っていた)。

2人になったのを機に編曲の”ポルノグラフィティ”名義が、英語表記の“Porno Graffitti”名義に意識的に変更された。正式なグループ名表記はアートワークの関係でPorno Graffitti表記になる事もあるが、カタカナ表記のままで特に変更されていない。

ベスト盤の大ヒットが効いて固定ファンが以前より増えたのか強力なタイアップや前評判があったわけではないのに初動9.4万枚に上昇しており初登場3位、2週目には2位に浮上するなど好調な推移で5週連続トップ10入り、200位以内20週ランクインで累計24.5万枚と大ヒットとまでは行かずともこの時期としては高い売上を記録した。

Tama脱退の感傷がそのまま曲になったようなやや暗いイメージの楽曲。フォルクローレ風味のアレンジが無国籍感を醸し出していていい曲ではあるがやはり切ない。当時のインタビューではたまたまそうなっただけでそこまで意識しているわけではないような事を言っていたがまあそんなに感傷を隠す気も無いというか、無理に王道のアップテンポでキャッチーな曲を出すよりも自然体な感じはした。辞めるかどうかまで考えて、2人で続けることを決めたからにはやっていくしかないんだ、でもやっぱり寂しさは隠せないという感じが自然に出ているようには思う。ちょっと地味かなとも思ったんだけど、ベスト盤の大ヒットやメンバー脱退で区切りにされずに、話題性が継続してヒットさせるっていう高難度な事をさらっとやれたのは凄かった。
★★★☆☆
5thアルバム『THUMPx
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

16th 黄昏ロマンス

B0002ZMB8M
2004年11月10日
作詞作曲:新藤晴一、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
今作より「Mugen」以来となる正規CDでの発売へ戻った。作詞のメインライターとして初期から昭仁曲が採用された「音のない森」以外の全シングルの作詞を一手に手掛けていたものの晴一の”作曲”がシングル表題曲になるのは初。初期から作曲する事もあったが、ak.hommaの作曲、さらにTamaの作曲の作詞はほぼ全部手掛けていたので作曲よりも作詞が注目されがちで、昭仁曲の採用が増えてきてからは作曲者としては第4の存在にどうしてもなってしまっていたが2人になってからは晴一、昭仁共にメインライターとして正直初期ほどの爆発力が無くなり衰えが見えてきたak.hommaに負けじとほぼ均等な活躍を見せるようになった。とはいえこの時点では圧倒的過ぎたak.hommaの存在感もあって自作になると目に見えて売上が落ちるという状況で今作も初登場3位を記録するも翌週15位に落ちて200位以内16週ランクイン13.1万枚と半減までは行かないが前作から一気に落とした。

ドラマ『一番大切な人は誰ですか?』主題歌。30歳を迎えるにあたって若い時にはあまり考えなかった時の流れに対する心構えを改めて言葉にしたようなラブソング。ラブソングの体裁は取っているが“はしゃぎすぎた季節から黄昏に変わってゆく 僕は上手に乗れてはいないけれど”とか、“何一つ終ってやしないのにまだ生きるとして”とかどこか大人になりきれていない感じがする感覚を表現した部分があちこち突き刺さる。さすがに20歳を前にした当時はこの境地に達しておらず一気に地味になったな、メンバー作だとやはり落ちるか…という率直な印象が先に来てしまっていたが当時のメンバーの年齢に追いついて黄昏に変わっていく中でじわじわ上がっていった。地に足の着いたような落ち着いたバンドサウンドもこれがいいんじゃないか誰だ地味だとか言った奴は(お前だ)。名曲
★★★★★
5thアルバム『THUMPx
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

17th ネオメロドラマティック/ROLL

B000793EJ8
2005年3月2日
初の両A面シングル。公式にはダブルフェイスシングルと銘打たれた。アルバム1ヶ月前先行シングルだったが、好調な売上を記録し、初動だけで11.7万枚と前作累計に迫り、2人になってからの最高初動を記録した。ORANGE RANGE「*~アスタリスク~」の2週目に1万枚及ばず初登場2位。累計では22.8万枚と前々作には及ばずともほぼ巻き返した。なおC/W「プッシュプレイ(LIVE!)」はいきなりライブ音源で収録された新曲でアルバムにスタジオ音源が収録された。

ネオメロドラマティック

作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
ダイハツ「ムーヴカスタム」CMソング。スピード感のあるロックナンバーでデジタル色も目立つ。ベースは打ち込みだがドラムは生になっている点が初期とは異なる部分か。畳みかけるようなメロディーに圧倒されて勢いで聞けてしまうが、正直何を歌っているのかイマイチ意味は掴み切れず、そもそも「ネオメロドラマティック」って結局何なのかもさっぱり分からない。部分的にどこか当てはまる部分が突き刺さればいいというオムニバス感もあるような…。

2人になって最初の2作が暗めで脱退の痛手を引きずっている感じもあったが、これぞak.hommaなヒットチューンで今作で一気に突き抜けて2人のポルノグラフィティも自然と受け入れられてきたというか平常モードになった感はある。しかも前より難易度高そうな曲でしっかり進化も見せてきた。ある種達観したかのようだった前作と打って変わってまだまだ攻め続けなくてはいけないという焦りのような感じも受ける。
★★★★☆
5thアルバム『THUMPx
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

ROLL

作詞作曲:岡野昭仁、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
「C1000タケダ ビタミンレモン」CMソング。メンバーもCMに出演した。J-POP王道を狙って書いたという王道のポップロックチューン。ak.hommaによるキャッチーなシングル曲の方向性に真っ向勝負といった佇まいで見事に拮抗できる1曲を作り上げたシンガーソングライター岡野昭仁の成長は見逃せない。ダブルフェイスシングルとして確かに強力な2曲目にはなったが…さすがに「ネオメロドラマティック」の勢いの前では2番手の印象も拭えず、サビだけ強くて平メロどんなだったっけ…と意外となかなか覚えられなかったりもした。別々に単独シングルで出した方が今作は際立ったように思う。
★★★★☆
5thアルバム『THUMPx
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

18th NaNaNa サマーガール

B0009UVAD2
2005年8月3日
作詞作曲:新藤晴一、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
ジャケットになっているのは歌詞中に登場する“まゆ毛犬”。初動8.4万枚で初登場3位はそんなに悪くはなかったが前々作同様に2週目以降ストーンと落ちて累計11.6万枚と前作初動に及ばない不振となった。「アゲハ蝶」から2000年代前半ソニー特有のマキシケース(CD-Rのような帯が無いと背文字が無くなる薄型ケース)が限定盤を除いて使用され続けていたが今作を最後に廃止された。

男子目線でのストレートなサマーソング。ここまでのシングルの中で最も中身のないバカな男子っぽい歌詞だが、前年にOVER 30’s WORLDに突入したメンバーが30越えたけどまだまだ勢いあるよ!男は永遠に男子なんだよ!的なある種の開き直りの境地を突き進んだかのような1曲。正直ちょっとイメージが違い過ぎたし、シングルで出すには地平の彼方まで滑っていってしまった感がある。もうちょっとキャッチーだったり、引っ掛かりがあれば引っ張れたのかもしれないけど、今作に関しては“ak.hommaに及ばないメンバー曲”の典型を行ってしまった。個人的にも晴一曲はバラードはいいんだけど、アップテンポだとちょっと…という印象がしばらくあった。

『m-CABI』初回盤ボーナスCD(未配信)として1曲だけ収録された「NaNaNa ウィンターガール」はメロディーをほぼそのままに歌詞をウィンターソング風に、アレンジをウィンター&大滝詠一「君は天然色」のパロディにして思いっきり寄せた珍作。歌詞中にも分かりやすく”君は天然色”と歌っていて元ネタを提示。「NaNaNa サマーガール」のメロディーを印象的な「君は天然色」のアレンジに無理やり改変しているのが面白過ぎる。今でもあちこちのCMで使われているので「君は天然色」は聞けば分かるくらいには有名だと思われるが、この当時は前年に松嶋菜々子が出ていた「生茶」CMソングとして使用されていたので一応直近で聞き覚えがあった人は多かったはず。本編最終曲「グラヴィティ」のアウトロで3拍子に曲調が変わってフェードアウトしていくが、今作はその部分がフェードインしてきてから曲が始まるといった繋がりを意識した細工も施されている。
★★★☆☆
6thアルバム『m-CABI
6thアルバム『m-CABI』初回盤のみExtra-Track CD(NaNaNa ウィンターガール)
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

19th ジョバイロ/DON’T CALL ME CRAZY

B000BAYC7G
2005年11月16日
早くも2度目の両A面シングルで、今回も“ダブルフェイスシングル”と銘打たれた。前回同様にak.homma曲を1曲目、メンバー曲を2曲目に配置。初動は10.2万枚と再び巻き返したが嵐「WISH」と3週目の修二と彰「青春アミーゴ」に及ばず初登場3位。累計は19万枚。両A面で底上げしているのもあるが、メンバー作でストーンと売上が半減近く落ちて、ak.homma作だと好調で売上を戻すというパターンが交互に続くというあからさまな結果が連続した。さすがにここまであからさまだと会社側は当然ak.homma曲をA面に要求するだろうし、しかしそろそろak.hommaから離れて自立していきたいし、さらにこのパターンでもジリ貧傾向だしでけっこう難しい時期だったんじゃないかと思う。

今作より通常のアルバムサイズジャケットになった。

ジョバイロ

作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
ドラマ『今夜ひとりのベッドで』主題歌。ドラマには本木雅弘、瀬戸朝香、奥菜恵、要潤らが出演していたが、MVには袴田吉彦と野波真帆が出演していてメンバーは出てこない。大人の恋愛ドラマだったのでそれに合わせてこれまでよりも大人っぽいラテンナンバー。ここぞというタイミングでの必殺ラテンチューンでしかも大人仕様にアップデートという前作とは打って変わって30代少し大人になったポルノグラフィティの進化を見せた名曲。正直もう少しヒットするんじゃないかとも思ったが、ファンが固定化していく中で自作とak.hommaで売上を行ったり来たりしている間にライトリスナーに継続して聞く習慣が無くなってボロボロこぼれ落ちて行ってしまったところはあるか。

必殺技のようになっていたak.hommaによるラテンチューンは結果的に今作が最後。実はそんなに得意ではなかったのか、これ以上のものが作れないので回避するようになったのかは不明だがこの路線が”いつものポルノグラフィティ”と言われる前に代表曲イメージのまま撤退したような形になった。もう少しやってもよかったんじゃないかと思われるくらいが良かったのかもしれない。
★★★★☆
6thアルバム『m-CABI
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

DON’T CALL ME CRAZY

作詞作曲:新藤晴一、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
ダイハツ「ムーヴカスタム」CMソング。「ネオメロドラマティック」が1~4月まで使用され、半年弱空けて9月~年内まで使用された。やたらとド派手なロックナンバー。演奏がとにかく派手な上、サビ終わりにはデスボイスのような声(歌詞では()表記のコーラス的な扱い)も入っていたりとハード方面に振り切っている珍しい曲でこれがよく両A面とはいえシングルになったなと…。サビだけは一定のキャッチーさがあるのでその辺りでCMソングとして採用されたりシングルになったりする機会に恵まれたのかもしれないが…。ak.hommaでは出てこない側面ではあるし攻めの姿勢としては抜群だけど、曲順がバラされている『m-CABI』『BEST JOKER』はともかく、ベスト盤で聞くと「ジョバイロ」「ハネウマライダー」に挟まれるので御乱心みたいな…。
★★★☆☆
6thアルバム『m-CABI
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

20th ハネウマライダー

B000FHYKFY
2006年6月28日
作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
「ポカリスエット」2006年度CMソング。C/W2曲も「ジューンブライダー」「タネウマライダー」で“ライダー”統一された。初動11.1万枚でENDLICHERI☆ENDLICHERI「The Rainbow Star」と893枚差で初登場2位2週連続2位を記録。累計は20万枚を突破し、目立ってヒットした最後のシングルCDヒットとなった。累計で見ると前作と大差ないし、「ネオメロドラマティック」や「シスター」を下回るが、登場週数が27週に達しており、これは同条件(200位集計)になった2003年以降では「メリッサ」に続く数字となる。前作(17週)より10週も多いし、次回作以降なんか10週にも届かないくらいになっているので累計はそこまで伸びなかったが浸透している感覚はあったのかも。2006年末のO社誌のインタビューで岡野昭仁が今年はヒット曲が出せて良かったと語っていたので今作にはかなりのヒットの手応えがあったようだ。Mr.Children「未来」が使用されていた2005年から引き続いで綾瀬はるかが継続出演して2年間お馴染みとなっていたポカリCMで年中かかっていたのも大きかった。90年代のビーイングによるヒットを経てこの綾瀬はるか出演のシリーズでポカリのCMが再度存在感を発揮した印象があったけど、これを最後にポカリのCMってあまり印象に残らなくなったな…。

安定爽やかなヒットチューンといった印象。これまでのak.hommaに比べると勢いは減退していてどこか落ち着いた爽やかさにも聞こえる。代表曲であるのは違いないが、これまでとは少し枠が違う感じがずっとしている。この後明確にak.hommaの作曲の勢いは衰えていくように思うがピークを過ぎた瞬間だったのか、ak.hommaが作り上げたポルノグラフィティ的なシングル曲という方向性を出し尽くしたのか。今作のヒットを機に自作に本格的に傾いていってak.homma離れを少しずつ準備し始めたので区切りになったのは間違いない。
★★★★☆
6thアルバム『m-CABI
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

21st Winding Road

B000FQ5FFY
2006年10月4日
作詞作曲:岡野昭仁、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
C/W含めて3曲全てがメンバー自作となった2人になってから初の全曲自作のシングル。『黄昏ロマンス』『NaNaNa サマーガール』はC/Wにak.homma曲があった。3曲目の「ウェンディの薄い文字」は作詞作曲をした晴一がそのまま自分で歌っているという初のボーカル曲となった。あまり把握せずにシングル聞いてたらなんか知らない声が歌い始めたので驚いた。

品番は1種のみだが、初回限定仕様は豪華20ページの”2つのエンディングのあるブックレット”とされており、A,Bで結末が異なる物語が掲載されていたらしい(“最後がちょびっと違います”とシールには小さく記載)。Sony Music shopにはどちらかは選べないという注意書きがあったが、品番が同じでカタログ上の区別が無いためと思われ、パッケージの袋にはAかBのシールが貼ってあるので店頭で購入する場合は選べたようだ。初動10.1万枚と前作に続いて好調だったのはこの効果があったからなのかは不明だが、いずれにしても強豪に当たって逃し続けていた初登場1位を記録。『ラック』以来となった。ただ2週目以降はあまり伸びずに累計は14.4万枚。そして10万枚を越えたのも次回作と「今宵、月が見えずとも」の2作のみ、今作以上の売上もわずかに上回った「今宵、月が見えずとも」のみとなりこれまでのような曲次第で目立ってヒットする事が無くなり安定期(緩やかな下降)に突入した。前述のように品番1種な上に、袋に貼ってあったシール以外にはAとBどころか初回仕様ではない通常仕様との区別が外見上全くつかないため、中古市場では全く区別されていないどころか、オークションサイトでも区別無しで出品されているものがほとんどである。

アニメ『天保異聞 妖奇士』エンディング。「ガンダムSEED」や「鋼の錬金術師」で一時猛威を振るったソニー最高峰のアニメタイアップ土6枠も勢いが無くなり、今までは1年放送されていたのが半年で終了してしまう事態となった。主題歌もそこまで目立ってのヒットは記録しておらず、同期のOPはいきものがかり「流星ミラクル」(大衆志向の水野良樹が当時アニメタイアップイメージを嫌がっていたようで代表作「ブルーバード」以外をベスト盤に選曲しないなど不遇アニメタイアップシングルの1曲)。初動が落ちなかったのは一応タイアップ効果もあったのかもしれないが広がりはあまりなかった。

ヒット曲を制作するという事に真っ向勝負で挑んだ自作のバラードナンバー。バラードからアップテンポまでストレートにシングル級の良曲が出てくるようになったのは昭仁の方で(晴一はアップテンポだとちょっとハズしてくるのでアクセントにはなる)、ここからシングル採用が一気に増えた。イントロのハーモニカから風が涼しくなっていく季節にハマる雰囲気があり、秋の夜長に浸りたい。秋冬以外だとあまり聞かないかも。
★★★★☆
6thアルバム『m-CABI
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

22nd リンク

B000RJLJGS
2007年7月18日
作詞作曲:岡野昭仁、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
9ヵ月ぶり2007年唯一のシングルでアルバム『ポルノグラフィティ』リード曲。浜崎あゆみに及ばずもわずか2万差での初登場2位。初動9万に対して累計11.6万枚とほとんど伸びなかったが、それでも次以降の10万越えヒットは「今宵、月が見えずとも」1作ポッキリである。

「スバル・インプレッサ」CMソング。改めて自分たちのやりたい事を2人で話し合い、これまでは最初の段階からak.hommaと曲を作っていたが、今回は2人でベーシックアレンジを行い、曲ごとに変えていたサポートメンバーも固定メンバーで制作、最終的にはak.hommaも制作に合流して参加しているが自作曲中心でアルバムを作り上げた。結果的にタイアップもついたからか今作のみが先行シングルとしてリリースされ、シングル1作のみで勝負するアルバムとなったため売上は激減した。ほぼ初動集中で浸透するようなヒットにはならなかったが、CMは1年使用されていたのでそこそこサビを耳にする機会はあったように記憶している。

いきなり激しめのバンドサウンドから始まり、平メロのやたら忙しない演奏、一転してのCMソングらしいキャッチーなサビで視界が開けるような二面性を見せた曲。良くも悪くもサビだけあったところに後から平メロをとってつけたようにも聞こえるが、アルバム曲として制作を進めていたのがたまたまシングルになったと語られているのでCM用にサビだけ先に書いたわけではないようだ。ギターだけでもけっこう派手に仕上がっているのだからストイックに行きたいならストリングスは余計じゃないかなと思ったが、実際ak.hommaによってギターリフにストリングスが重ねられたので晴一は不満だったとも明かされているのでシングルやCMが決まった時点でのak.hommaによるテコ入れはまだまだあった模様。
★★★★☆
7thアルバム『ポルノグラフィティ
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

23rd あなたがここにいたら

B0010E8MSW
2008年2月13日
作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
初動6.4万枚まで落としたが強豪ゼロでまさかの初登場1位。前々作以来となったがこれが最後の1位となった。結果的に1位になった曲はどれも筆頭代表曲にはなっていないようなたまたま1位になっちゃったみたいな曲ばかりで、最高2位3位とかのシングルに代表曲が集中するというのは珍しいかもしれない。累計は8.6万までしか伸びず、長く続いていたメンバー作で売上が下がり、ak.hommaで売上が上がる現象も無くなった

映画『奈緒子』主題歌。ランナーの物語で登場人物を形容する“疾風(かぜ)”が歌詞にも取りれられている。”僕の真ん中にあなた あなたを巡って回ってた日々 日々に終わりなど~”と1番サビで同じ言葉を重ねる試みが施されているほか、同じ歌詞のサビが来ない構成が印象に残る。ak.hommaにしては1発で残ってくるようなキレキレのメロディーではなく、もっとじっくり噛み締めるように染み渡っていくバラードになっていて、最初聞いた時は晴一曲の自作バラードかと思った。故人を思うような歌詞になっているので主人公や周辺人物が死んで終わるような映画なのかと思っていたが、そもそも”奈緒子”は主人公ではなく奈緒子の回想で物語が進むという形式で”日本海の疾風(かぜ)と呼ばれる主人公の父親が奈緒子を助けて命を落としている”という設定のようで、その辺りを加味しつつも広く誰もが感じる別れを描写した曲なのかなと。“さよならばかりが人生”って一定の時期を過ぎると分かるようになるよな。
★★★★☆
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

24th 痛い立ち位置

B0019F59MO
2008年6月25日
作詞作曲:新藤晴一、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
タイアップ無しながら初登場3位で累計は8万枚。ついにak.hommaとメンバー作で売上差が無くなった。MVに事務所アミューズの後輩で当時「ポリリズム」のヒットでブレイクしていたPerfumeが出演、それどころかサビ前のBメロがPerfumeによる歌唱になっている事が話題になったがMV音源限定でCDではPerfumeの声は入っていない

バービーボーイズに受けた影響を存分に注いだ曲と語られており、竹上良成によるサックスをフューチャーしたアダルトで濃厚な歌謡サウンドによるクセ強めな1曲。1番が女性側、2番が男性側の視点で描かれていたりと全体に攻めの姿勢が目立つ。漂う昭和感がどうもしっくり来なくてアップテンポの晴一曲は相変わらず変化球で王道をハズしてくるなぁ…と。MVでのPerfume参加はいいアクセントになっていてもっと大々的にコラボすればよかったのに。事務所アミューズが同じでもレコード会社が違うのでMV用の音源差し替えは出来ても(単なるMV出演&音声部分は台詞という形でキャスト扱いならOKみたいな)CD音源化するのは難しかったのだろうか。
★★★☆☆
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

25th ギフト

B001AT5FCI B001AT5FD2
2008年8月20日
作詞:新藤晴一、作曲:岡野昭仁、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
Tama在籍時は晴一作詞にTama作曲のパターンもあったが、2人になってからの表題曲はそれぞれの作詞作曲か晴一作詞にak.homma作曲の3パターンで固定されていた。アルバム曲では普通に2人の共作もあったので、シングルでは意識的に避けていたと思われるが今作で初めて2人が作詞作曲を分け合った共作でのシングル表題曲採用となった。初回盤DVD付、通常盤の2種発売。

映画『フライング☆ラビッツ』主題歌。この年の紅白ではこの曲が歌唱された。“生まれながらの才能の事を神様からのギフトと人は呼ぶらしい”と冒頭で説明のような歌詞があるように単なる贈り物のことではなく“ギフテッド”の事となっている。”ギフテッド”って当時日本でそんなに浸透している言葉では無かったと思われ、だからこそ冒頭から説明しているんだろうし、インタビュー記事でもライターが”意味が面白いですよね”と歌詞について聞いて、晴一が実際そうやって言うみたいですよと歌詞と同じように”そう言うらしい”という伝聞ニュアンスで回答している事からも伺える。続く歌詞も”僕のはちっちゃい箱”と贈り物のニュアンスと重ねて表現していて作中ではギフト=才能=箱として扱っている。自問自答系、自分自身で気づいて自分を応援して鼓舞していくような内容で一貫しており、歌い手から聞き手(君)への一般的な応援歌ではないところが独特でここが晴一の歌詞らしいところなんじゃないかと思う。前述のようにアップテンポの曲は昭仁曲の方がストレートで勢いのある曲を書いていたし、25作目になるまでこの作詞作曲の組み合わせのシングルが温存されていたのが改めて不思議に思えるほど。
★★★★☆
3rdベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

26th Love,too Death,too

B001DNF7TW B001DNF7U6
2008年10月8日
作詞:新藤晴一、作曲:ak.homma、編曲:ak.homma,Porno Graffitti
ほぼ2ヶ月おきの3作連続シングルリリースにして月末の2枚同時ベスト『PORNO GRAFFITTI BEST ACE』『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER』の先行シングル。「あなたがここにいたら」以降4曲が一挙ベストのみの収録となった。初回盤は特製トランプ54枚収納のBOX仕様でトランプ部分にベスト2枚を収納できる仕組みになっていた。ベスト先行も響いたか、初動6万で初登場2位だったものの急落して5週で200位圏外となり登場週数最低を記録(100位以内だと4週。50位以下をすっ飛ばして4週目から5週目は48位→120位という吹っ飛びっぷり)、累計は7.4万枚で前2作を下回り、ついに差がないどころかak.homma曲で初めてメンバー自作曲を明確に下回り、「音のない森」を下回る最低売上更新となった。前ベスト時を踏襲してさらに今回は間を開けずにベスト盤発売へ繋げ、そもそも今作の不振はベスト先行だったからと思われたが、先行シングル群がどれも話題性に乏しかったために『BEST ACE』『BEST JOKER』は驚くほど伸びずにミリオン前後まで引っ張った前ベストから一転しての15万前後に留まるなどライトリスナーが一気にいなくなってしまった。

メンバー自作とak.hommaの楽曲のインパクトに差が無くなっており、メンバーの実力向上はあるにしてもこの曲を聞くとそれ以上にak.hommaのキレが一気に無くなった感がある。それなりにインパクトはあるしキャッチーではあるんだけど、流れるようなメロディー…というよりかは普通に流れていってしまう。確かにシングルらしいヒット性はあるとはいえ、一連のak.hommaヒット曲群からするとまだまだこんなもんじゃなかったという気がどうしてもしてしまう。以降は主にいきものがかりのバンマス、ストリングスアレンジャーの1人として安定のアレンジャー業中心となり、90年代末からの確変モードから約10年、メロディーメイカーとしての確変は終了…といったイメージ。

愛と死という大きなテーマに挑んだメッセージ性のある歌詞だが、流れるようなメロディーと4つ打ちダンス調の軽めのアレンジにより文字通りに言葉が流れていってしまい、あまり残ってこない。真面目なバラードでこのテーマを取り扱うと重くなりすぎてしまうところはあるだろうけど、しかしちょっと流れ過ぎてしまった感じはある。

2作のベストに収録された新曲「A New Day」「約束の朝」共にCMタイアップがついていて、特に前向きアップテンポな「A New Day」はこれぞak.hommaなキャッチーなシングルらしさ漂う王道ヒットチューンだっただけにせめてそっちを先行シングルにしていればもっと売れたんじゃないかとは思った。前作が「ギフト」で応援歌が続いてしまうから、バランスを取って3曲の中であえてタイアップの無い今作をシングルにしたのかなとも思うが…。
★★★☆☆
4thベスト『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER
5thベスト『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary”ALL TIME SINGLES”
6thベスト『ポルノグラフィティ全書~ALL TIME SINGLES~

コメント

タイトルとURLをコピーしました