JUDY AND MARY シングル回顧2~1997-2001~
大ブレイクを境にしてソングライターとしてTAKUYAがメキメキ成長、恩田快人は曲を一気に書かなくなってしまい、いつしかTAKUYAがバンドの主導権を握るようになった。作曲面に限らず、YUKIとの作詞の共作の増加、Additional Production by TAKUYA(『THE POWER SOURCE )→Album Concept and Additional Production:TAKUYA(『POP LIFE』)→Total Stage Concept by TAKUYA(『44982 VS 1650』)→Produced by TAKUYA、編曲:TAKUYA(『WARP』)とアルバムにクレジットされていた表記を見てもどんどんリードしていったことが分かる。
99年に1度活動を休止、解散は絶対ないと念を押してこの間に各自ソロ活動を行い、1年後に約束通りに復活。しかしそこから1年で結局解散となってしまった。完全にやりきっての解散、ソロアーティストとしてのYUKIの大成功もあって、再結成ブームの中においても再結成の可能性は限りなく低いものと思われる。不仲だったイメージが強いがメンバー間の共演が無いわけではなく、06~07年頃に高橋瞳のプロデュースをTAKUYAが担当した際に、ドラムに五十嵐公太を起用するなどもしている。
11th くじら12号
97年2月21日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
サッカー日本代表応援の意図が見え隠れするナンバー。当時初のW杯出場が決まってサッカー日本代表=青のイメージが強くなっていたところだったが、くじら→ドルフィン・キック、12号→サッカーの背番号でサポーターナンバーという意味合いが強い。ストレートに表現せずに含ませるTAKUYA独特のひねくれっぷりが炸裂していて、楽曲自体もかなり意欲的に攻めまくっていてキャッチ―なんだけど前作に比べてもかなりひねくれている印象も受ける。ギターだけでなくベースドラムもボーカルもみんな跳ね回っているイメージ。
PVでのYUKIのすさまじく濃いメイクもインパクトで、前作で赤いドレスで歌ってた人と同一人物に見えず、シングル出すたびに印象が違うのでしばらくYUKIの顔の印象が定まらなかった。なおこのPV、やたらバッチバチしており、大爆発でメンバー全員黒コゲでモッハモハというコントみたいなオチがついているがショートサイズで一部分しか制作されてないのでフルサイズが存在しない。
★★★★★
4thアルバム『THE POWER SOURCE』
1stベスト『FRESH』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
12th ラブリーベイベー
97年5月21日
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
アルバムからのシングルカット。かなり激しくギターが鳴り響く爆音ロック。この爆音っぷりが爽快。Aメロでは叫びのような呪文のような謎の言葉が羅列され、わけが分からないんだけど勢いで何もかも乗り切ってスルッと聞けてしまう。
★★★★☆
4thアルバム『THE POWER SOURCE』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
13th LOVER SOUL
97年10月14日
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
冬のバラード。6分を越える長尺のバラードだがバラードでは1番有名かつ人気が高いのはこの曲と思われる。雪原がイメージされる雄大なメロディーが印象的だがよく聞くとこんなメロディー重視の曲でもギターは限りなく挑戦しまくっているのが凄い。バンドの緊張感、4人のせめぎあいという意味でもバンドがキャリアハイに達していたのはこの時期だと思う。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE』
1stベスト『FRESH』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
14th 散歩道
98年2月11日
作詞:YUKI、作曲:五十嵐公太
シングルでは唯一の五十嵐作曲ナンバー。鈴木保奈美主演のドラマ『ニュースの女』主題歌。ニュースキャスターを題材にしたストレートなドラマだったが、鈴木保奈美が西村雅彦と結婚した直後に西村が亡くなり、その死亡ニュースをキャスターとして読まないといけないというハードな展開から連れ子だった高校生の滝沢秀明と同居することになるというストーリーが展開。タッキーへ片思いする同級生役でブレイク直前の深田恭子が出演していた。鈴木保奈美は今作の後にとんねるず石橋と結婚・妊娠引退(現在は復帰)してしまったので、久々の主演作にして最後の主演作(当時)でもあったが、何故かこのドラマたまたま見ていたのでその主題歌である今作もリアルタイムで聞いた。さらに誕生日が近かったので誕生日プレゼントしてシングルをもらったので、現役時代のシングルで唯一所持したシングルでもある。散歩のウキウキ感を極限まで高めたようなポップなメロディーは恩田・TAKUYAの両名に全く引けをとらない。本人も「こんなすげぇ曲を書けたことに自分が一番驚いている」と後にコメントしたが、キャリアハイのバンドの勢いはこういうところにも出ていたのかも。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE』
1stベスト『FRESH』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
15th ミュージック ファイター
98年4月1日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
ドゥビドゥビバッパ連呼→イエ~イと同時に縦横無尽な爆音サウンド炸裂→繰り返し→浮遊感のあるサビメロ+暴れ回るバンドサウンド、というとんでもなくトリッキーな実験ナンバー。曲だけ聞いても凄いが、歌詞カードが律儀でドゥビドゥビバッパをちゃんとカタカナで一語一句漏れなく正確に記載している。意味不明と切り捨てるか逆にすげぇ!と熱狂するかの両極端になりそうな曲だが、当時すげぇ!の方に傾き、この曲の不思議な魔力にハマった。佐久間正英がリミックスしたC/WのヒヨちゃんMIXはさすがによく分からなかったが…。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE』
1stベスト『FRESH』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
16th イロトリドリ ノ セカイ
98年9月9日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
アルバムからのシングルカットだが元々TAKUYAのソロユニットであるROBOTSの楽曲でもあり、シングルカットの際はROBOTSとしても同時発売された。JAMが11位、ROBOTSが31位とシングルカットゆえにどちらもトップ10入りを逃したが「LOVER SOUL」と並ぶバラードナンバーとしてインパクトも負けていないと思う。後にBank Bandがカバーしているので世代によってはむしろこっちの方が知られているかもしれない。なんだか万華鏡のようなバラードだなぁという印象がある。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3
17th 手紙をかくよ
98年11月11日
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
立て続けのシングルカット。いい曲ではあるが2連続でシングルカットはどうにもこうにもでトップ20落ちしてしまい、ヒットせず。シングルとしてのインパクトも弱め。良質なアルバム曲という印象が今でも強く、それでも名盤『POP LIFE』の中でわざわざこの曲じゃなくてもなぁ…という。手紙をテーマにした楽曲ということで今作は女性目線だが、2013年にYUKIが作詞を担当したTOKIO「手紙」は男性目線。別に繋がっていたりはしないと思うんだけど、両者ともしばらく離れている相手に対して手紙を書いている点は共通している。
★★★☆☆
5thアルバム『POP LIFE』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
18th Brand New Wave Upper Ground
00年2月23日
作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
約1年に及んだ休止からの復帰作。何故か今作だけ新レーベルSO What? Recordsでリリース(レーベル自体はEpicの内部レーベル扱い)。8センチシングル→マキシシングルに変わってのリリースだったのと復帰作だったので心機一転の意味合いがあったのだろうか。まさにBrand Newな感じのJUDY AND MARYらしい復帰作なんだけど以前と同じではない進化も感じさせるナンバー。
たださすがにピーク時の煌めきは無くなったかなと思うところもあり、実際当時の評判もマチマチだったように記憶している。ここからはTAKUYAが1人で突っ走りすぎて3人が1歩引いた感じになってしまいせめぎあいがあまり感じられないんだよなぁ…。またTAKUYAは自分で歌いたいタイプの人なのか、コーラス以上の存在感でコーラスを入れてきたり、時には一部単独で歌ったりする事が主導権を握ってから随所で見えてはいたが、今作でもサビの一部をガイドボーカルかよ!というくらいの存在感で絡んできてそこがどうにも微妙。TAKUYAのボーカルはどう考えても本職のボーカリストではなく、楽器が本職の人が歌っている以上のものが感じられず、ボーカリストとしてはあまり魅力が…。
★★★☆☆
1stベスト『FRESH』
6thアルバム『WARP』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
19th ひとつだけ
00年7月5日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
ベストアルバムを経て当時はここから年内発売になるであろうオリジナルアルバムへ向けて進んでいくと思われていたが実際には解散へ向けて加速していくような状態だった。『WARP』のラストを飾ったため、これが最後の曲という感じもあり、発売当時にかかっているのを聞いた時と、アルバムで聞いた時でだいぶ聞こえ方が変わった。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録(ボーカルテイクが異なる)
6thアルバム『WARP』(ver.WARP)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(ver.WARP)
20th motto
00年11月22日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
愛をもっとォォォォ!自由をもっとォォォォ!のサビ頭のインパクトが強烈かつ狂気をはらんだ超絶楽曲。解散へ向けて暴走、爆走していくような全シングルの中でも最大級の猪突猛進な勢いはなんだかとてつもないものがあった。PVもなんだかカオスで屋上でチアガールがバックダンサーで女王様風のYUKIが何故かムチ片手に歌っているという謎のシチュエーション。あと高校1年生当時、教室で真顔で愛をもっとォォォォ!自由をもっとォォォォ!と叫んでいたJAMのコピーバンドをやっていた女子の姿が何だか怖かった。
★★★★☆
6thアルバム『WARP』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
21st ラッキープール
01年1月24日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
解散発表直後にラストシングルとして発売された事もあってか、復帰以降のシングルの中では最もJUDY AND MARYらしいというか落ち着いたところに着地したような比較的綺麗な印象の楽曲。実際のところサウンドが暴れ回るというより聞かせる事に徹している感じもある。個人的にも復帰以降のシングルの中では1番好き。MVにメンバーが一切出てこない(外国人のJUDYさんとMARYさんの物語)のは残念。
★★★★☆
6thアルバム『WARP』
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
22nd PEACE-strings version-
01年3月9日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
正確には3月8日のライブで解散しているので、解散翌日にリリースされた。リアレンジでのシングルカット。原曲の時点でTAKUYA feat.YUKIみたいな曲だな…という印象だったが、ストリングスを入れた事でますますTAKUYAのソロ曲にメンバーがゲスト参加したような異色っぷりが…。TAKUYAがデカいコーラスや部分的ボーカルに留まらずについにメインで歌い始めてしまいツインボール体制となったが、かっこつけまくり&低音地声なTAKUYAのボーカルはねっとりとしていてどうにもビミョー…。
ただMVでは外ロケに始まり、2番以降はスタジオで歌うTAKUYAの姿に切り替わり、奥でドラムを演奏する五十嵐(ドラムだけ部屋が別なのでかなり遠いけど…)、近くでベースを演奏する恩田、そしてストリングス隊、最後は涙を見せるYUKIの姿も映し出され、バンドからの最後のメッセージっぽさは割と伝わるようになっている。
★★☆☆☆
6thアルバム『WARP』(原曲「PEACE」)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』
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