J-FRIENDS 全曲回顧

J-FRIENDSとは当時のSMAP以外の現役若手だったTOKIO、V6、KinKi Kidsの3組が終結したスペシャルグループである。95年1月に起きた阪神淡路大震災のチャリティのために2年後の97年末に結成された。震災当時の小学1年生が義務教育を終えるまでということで、03年まで活動を続けたが、その間にも国内外問わずいろいろな災害や事件が起こったため、世間的には最後の頃には阪神淡路大震災のチャリティという名目は若干忘れられていた。SMAPがいない理由は既にSMAPがジャニーズで集まるイベントに参加しておらずこの時点で既に独立(孤立)状態だったこともあるが、SMAPだけ関西出身者がいなかったという理由も一応あった模様。

3組がそれぞれ違うレコード会社(TOKIO=ソニー→ユニバーサル、V6→avex、KinKi→ジャニーズエンターテイメント)に所属していたため、1つのレコード会社から毎回出すのではなく持ち回りのように1作ごとに違うレコード会社からリリースをしていた。このためか活動終了後に総括的なベストアルバムの類が一切発売されず、基本的にシングル(と2ndに相当するミニアルバム)作品しかリリースされていないので基本的に現在は中古でシングルをかき集めるしか入手手段が無くなっている。J-FRIENDSとしての最後のリリースは当時のカウントダウンライブを中心に集大成と位置付けた映像作品『J-FRIENDS Never Ending Spirit 1997-2003』。

※2015年末、C/Wを加え全面改訂。

1st 明日が聴こえる/Children's Holiday
98年1月21日
初回盤は特殊パッケージ仕様。通常盤は懐かしの8センチシングルジャケット(2枚入る特殊トレイ仕様)。共に8センチCD2枚組という変わった仕様だった。通常盤を当時というか少し後の誕生プレゼントとして買ってもらったのを記憶している。1週前にSMAPが『夜空ノムコウ』で空前のヒットを飛ばす中で、残りの後輩たちが結集してもSMAPに及ばなかったというところで逆にSMAPの強さが見える結果になったものの、今作もミリオンヒットを達成している。TOKIOとV6にとっては最大ヒットの2倍近い数字となる。

明日が聴こえる
作詞:松井五郎、作曲:織田哲郎、編曲:是永巧一
爽快なバンドテイストのロックナンバー。専業作詞家として数多くのヒット曲を手がけた松井五郎、ビーイングで多くのヒットを生み出し、ビーイングとの関係が途絶える直前で相川七瀬を全力でプロデュースしていた頃の織田哲郎、REBECCAのサポートギタリストにして数多くのギター演奏や編曲プロデュースをしていた是永巧一という国内の豪華提供陣でガッチリ固め、REBECCAメンバーだった小田原豊がドラムを担当。歌詞カードには歌割が記載されているが今作にソロパートは無く、グループごとシャッフルしての数名ずつのパートになっている。グループごとに歌っていてもグループごとにユニゾンに特色があってそれぞれのグループの曲を聞いていれば違いが分かるのが面白い。結果的にはJ-FRIENDS唯一の王道J-POPナンバーで聞きやすさでは断トツNo.1だと思う。日テレの長野オリンピックテーマ曲としてもかかりまくっていたのでJ-FRIENDSといえばこの曲!この曲だけは知っている!という人も多いと思う。
★★★★☆

Children's Holiday
作詞作曲:MICHAEL JACKSON、日本語詞:松井五郎、編曲:MICHAEL JACKSON,BRAD BUXER and GEOFF GRACE
あのマイケル・ジャクソンによる提供曲。単なる曲提供だけでなく、オケも全てマイケルサイドで制作されているようで、日本サイドで行われた作業はクレジットを見る限りだと松井五郎が日本語詞を担当したのと、オケにJ-FRIENDSのボーカルとチャイルドコーラスを追加しただけ。まさにジャニーズ版「We are the world」みたいな合唱曲。これで名曲にならないはずがない確かな名曲…なんだけど、この曲最大の謎は歌詞カードには歌割が記載されているにも関わらずサビでJ-FRIENDSのボーカルが全く聞こえないことである。抑えめの平メロは確かにメンバーの声なんだけど、サビになるとチャイルドコーラスに切り替わってしまう。メンバーの声がチャイルドコーラスに埋もれてるとかそういう話ではなく、メンバーの声が入ってなくてチャイルドコーラスしか聴こえない。この曲はサビが進むにつれてどんどん転調してキーが上がっていくので一般男性には不可能なほどの高音に達する。このためメンバーの出せる最高音を軽く越えていてほとんどのメンバーがまともに歌えなかったと思われるが、しかしマイケル様に完パケ提供された曲に対してキー下げしての作り直しを要求するとか、ましてや日本側で勝手に機械的にオケのキー下げるとか、勝手に再録音するとかそんな失礼な事をするわけにもいかないだろうし、しかしサビが歌えない…。一応歌詞に記載したような歌割で収録したけど最終的にカットすることになり、歌割の記載はその名残であり、完成版では全面チャイルドコーラスでごまかすという苦渋の荒業を決行、と考えるのが無難か?しかし謎だ…。平メロが少なくてサビがひたすら長い曲なので、メンバーが曲の大半で不在っていうのはなぁ…。
★★★★☆

明日が聴こえる

2nd People Of The World
99年1月13日
唯一のミニアルバム。実質的にはマキシシングルのような形態だったが、マキシが普及していなかった当時はチャートでもアルバム扱いされた。もしシングルで発売されていた場合は、Mr.Childrenの「光の射す方へ」と同日発売だったためMr.Childrenの連続1位記録を止めることになっていた(2014年にSexy Zoneによって連続1位は止められた)。2曲目以降はJ-FRIENDSとしてではなく、グループそれぞれが歌い、アレンジと一部歌詞などの構成が異なる「一秒のOthello〜君に選ばれたい〜」を収録。それぞれのグループで過去にアレンジを担当したことのあるアレンジャーが担当した。

People Of The World
作詞作曲:MICHAEL JACKSON、日本語詞:秋元康、編曲:MICHAEL JACKSON,BRAD BUXER and GEOFF GRACE
ボーカルアレンジ:MICHAEL JACKSON、コーラスアレンジ:MICHAEL JACKSON and TOM BAFTER
前作同様にマイケル提供、マイケルサイドでオケ制作がされた楽曲。前回を反省してか今回はちゃんと歌えるキーに設定されているようだがそれでも今回も後半はキーが上がっていき、チャイルドコーラスで埋もれていき、最後はコーラスだけになった挙句に子供たちのメッセージで締めとなるという子供たちを重視した構成。今回はメンバー全員で歌う箇所が無く、全てソロパートの歌いまわし。日本サイドにリードボーカルのプロデューサーやらボーカルディレクターの表記があるので、日本サイドで歌割を決めたっぽいけど、堂本剛だけ異様に歌割が多く何度も登場。最後は完全独壇場で13行歌いっぱなし。長瀬、井ノ原、坂本、山口、城島には2回出番がある一方で、最も出番が少ない森田はわずか4文字「みんなで」のみ、三宅も「いつの日にか」のみ、長野も「肩を抱いて」だけなどV6メンバーが最低ワード数トップ3を締めるなどかなり偏りがあり、今作をきっかけに堂本剛 with 長瀬&井ノ原&etcみたいな歌割がJ-FRIENDSの基本パターンになっていった。当時インターネットが普及していたらそれぞれのファン同士で抗争に発展していたんじゃないかという勢い。確かにこの当時の堂本剛はずば抜けている感じはするし、最後の13行の歌い上げっぷりも素晴らしいんだけど…。
★★★★☆

一秒のOthello〜君に選ばれたい〜(TOKIO MOON VERSION)
作詞:秋元康、作曲:筒美京平、編曲:そうる透
ひたすら掛け合いボーカルが延々続いていくというかなり変わった楽曲。TOKIOはバンドなのでポップバンド色が強いアレンジになっているがお祭り感もある仕上がりに。まさにソニー時代後半のTOKIOの王道といった仕上がり。
★★★★☆

一秒のOthello〜君に選ばれたい〜(KinKi Kids STAR VERSION)
編曲:新川博
哀愁&歌謡っぽさが漂うKinKi Kidsらしい仕上がり。このバージョンのみ一人称が「僕」(TOKIOとV6は「俺」)になっているのは当時のKinKi Kidsが10代だったからだろうか。また何故かサビが1回多い。3作の中では最もすっきりして聞きやすい。
★★★☆☆

一秒のOthello〜君に選ばれたい〜(V6 SUNSHINE VERSION)
編曲:上野圭一
当時のV6らしいダンスナンバー風の仕上がり。サビは当時のV6らしい煌めきがあるんだけどそれ以外はリミックスみたいな重たい電子音とギターが鳴り響いていて3作中最もハードな雰囲気が漂う。
★★★☆☆

People Of The World

3rd Next 100 Years
99年12月22日
作詞作曲:Jon Bon Jovi and Richie Sambora、日本語詞:稲葉浩志、編曲:重実徹
アルバムサイズジャケット仕様で中身は8センチCD、最後の8センチ短冊ジャケットという2形態での発売。BON JOVI提供、B'z稲葉が歌詞提供というとってもロックな組み合わせのロックナンバー。今回は曲提供のみで演奏は完全に日本制作だがB'z近辺のミュージシャンではなく、湊雅史(ドラム)、松原秀樹(ベース)、北島健二(ギター)によるもの。1999年→2000年、いわゆるミレニアムという千年単位の移り変わりの時期だったので、Next 1000 Yearsでも良かった気がしなくもないが、Next 100 Yearsでもハマりがギリギリだったのでこれでよかったんだろう。デモを稲葉が歌っていたとされており、それを聞いてメンバーが歌入れしたせいなのか、全員の歌い方がちょい稲葉イズム入ったロックな感じになっているのが印象的。今作より歌割の記載が無くなったが、サビはユニゾンを中心にしつつ堂本剛を筆頭に長瀬、井ノ原の声ばかりが目立って聞こえる。最後のラララパートはみんなが平和的に合唱している前でまたも堂本剛の独壇場となり、ひたすらフェイクしまくる(長瀬もちょっと入っている)。これ以降、ロック路線が無くなってしまう事もあるけど、こういう路線の曲をJ-FRIENDSでもっと聞きたかった。
★★★★☆

C/W 届くといいね just wishing
作詞:伊達歩、作曲:加藤和彦、編曲:有賀哲雄
ジャニーズ版「あの素晴らしい愛をもう一度」みたいなザ・フォークソングなメロディーに、ちょい現代風なアレンジを加えたフォークロック風のナンバー。懐かしくてさわやか。加藤和彦が作曲ということで彼が作曲した「あの素晴らしい愛をもう一度」みたいなテイストというのも織り込み済みというか最初からそういうオファーだったのだろうか。
★★★☆☆

Next 100 Years

4th I WILL GET THERE
00年11月29日
作詞作曲:Diane Warren、日本語詞:J-FRIENDS PROJECT&小幡英之、編曲:Rob Mathes
Boyz U Menのカバーでいきなり本格的な洋楽志向に。薄いバックトラックにあまり起伏の無いスローなバラードナンバー。パッと聞くとけっこうたるくてゲッゼーゲッゼー連呼しているくらいしか記憶に残らない。やはり実力派のコーラスグループが歌って映える曲であって、ちょっと人数が多すぎるし、当時のメンバーが歌うにはまだ若すぎたのでは。
★★★☆☆

C/W CAN YOU FEEL THIS CHRISTMAS?
作詞:J-FRIENDS PROJECT&真木須とも子、作曲:椎名KAY太、編曲:鈴木雅也
タイトル通りのクリスマスソングだけど、これまた軽めのバックトラックでややクールな方向性。アレンジ次第ではもう少しキラキラな雰囲気にもできたと思うんだけど何だかもったいない。R&B大ブームという時流に合わせて大人っぽく攻めていったんだと思うんだけど、クリスマスソングなんだからもう少しキラキラしててよかったと思う。
★★★☆☆

I WILL GET THERE

5th ALWAYS(A SONG FOR LOVE)
01年12月19日
作詞作曲:Franciz&LePont、日本語詞:J-FRIENDS、編曲:CHOKKAKU
初回盤は飛び出す絵本仕様のJ-FRIENDS全作品中最大サイズのパッケージ。前作同様の打ち込みバラードナンバーながら、前作に比べるとかなりJ-POPに戻ってきて優しさを感じられるミディアムナンバー。911が起きた年でこの時期には世界平和をテーマにしたような曲も多かった。この曲も平和な合唱系だし、元々の目的であるチャリティっぽい雰囲気も久々に戻ってきた印象。しかし前作ではプロジェクト扱いでそれも謎だったが、今回は日本語詞がJ-FRIENDSというクレジットになっているが13人もいるのに一体誰がどこを書いているのか…。
★★★☆☆

C/W 僕の持つ愛のすべて
作詞作曲:周水、編曲:松本良喜、ストリングスアレンジ:長岡成貢
KinKi Kidsの「青の時代」「もう君以外愛せない」など人気バラードを多く手掛けていたcannaの周水による大バラードナンバー。これはこれでいい曲だとは思うし、これがA面でもよかったとは思うけど、ミディアム〜バラードの連発でどれも似たような印象になって埋もれてしまった感じは否めない。
★★★☆☆

ALWAYS(A SONG FOR LOVE)

6th Love Me All Over
02年12月18日
作詞作曲編曲:MAURICE WHITE&PRESTON GLASS、ホーンアレンジ:JERRY HEY、日本語詞:J-FRIENDS
Earth,Wind & Fireによる提供曲で、演奏もEarth,Wind & Fireのメンバーが担当している上にゲストボーカルとしても参加。かなりクールでカッコいいファンクナンバー。いくらなんでも本格的に洋楽に振り切りすぎたんじゃないかと思い、当時は全く良さが分からなかったが、10年くらい経過してからはこのクールな雰囲気にかなりハマった。メロディーどうこうとかいうよりクールな演奏に耳を傾けたい。相変わらず堂本剛ばかりが目立っている中でサビに用意されたラップのようなパートでJ-FRIENDSにおいては出番無さすぎだったV6カミセンメンバーっぽい声が聞こえるのが感慨深い。初回盤はトランプ等のグッズが付属していて2曲のみだったが、通常盤には2曲のカラオケトラックが追加されていて、この曲はカラオケトラックだけでも聞きごたえがある。
★★★★☆

C/W 君を想うよ
作詞作曲:清水昭男、編曲:新川博、コーラスアレンジ:知野芳彦
この時点では確かTOKIOにしか提供していなかった清水昭男だが、後にV6にもKinKiにも曲を提供。織田哲郎もTOKIOにだけは提供してないが、清水昭男は3組+J-FRIENDSにまで提供した唯一のコンプリート作家なんじゃないだろうか。これまたバラードナンバーだけどバンドサウンドになっているのは久々。しかしJ-FRIENDSって途中からミディアム〜バラードの連発だったな…。
★★★☆☆

Love Me All Over (初回生産限定盤)
Love Me All Over (通常盤)

戻る