第46回 スピッツシングルレビュー〜1991-1999〜

何気にスピッツはSMAPと同様に最初期から聞いていた。ゆえに聞き込み度は深いのだがそれでいてコアなファンの仲間入りを果たさないのは、難解というか意味不明の歌詞世界を解釈しようとせずほとんど雰囲気で聞いているからだろうか。リアルタイムで聞き始めたのは96年の「渚」から。これをレンタル落ちで購入し、同時にレンタル屋が勝手にセレクトして固めていた6枚セットレンタルとして「魔女旅に出る」「空も飛べるはず」「青い車」「ロビンソン」「涙がキラリ☆」「チェリー」を借りてきてテープに録音。これら7シングルはC/Wまで含めて14曲、スピッツの個人的な原点となった。またアルバムは同じく同時期に出た「インディゴ地平線」からリアルタイムで購入し、97年に1st2ndをレンタルしテープ録音後、00年以降に改めてCDで全作集め、さらに05年頃に02年リマスター盤での買い直し&レンタルを敢行している。

99年までの8センチシングル20枚は00年で全て廃盤となり、その年に色違いのマキシシングルとして再発された。ところが05年に『CYCLE HIT』がリリースされることが決まるとこれら再発シングルもあっさり廃盤となってしまったため現在は入手困難となっている。各オリジナルアルバム及び未収録曲集『花鳥風月』と『色色衣』でC/Wも全て回収はできるが、一部バージョン違い楽曲はシングル収録のみで残されている。

1stシングル ヒバリのこころ 
91年3月25日
1stアルバム『スピッツ』と同時発売。C/W共々アルバムに収録、というシングルにほとんど意味が無い当時の典型パターン。アルバムではラストを飾っている。意味不明な歌詞が特に多い初期においてはわりと分かりやすい言葉が並んでいて「僕らこれから強く生きていこう」と歌うサビはメジャーデビューしたバンドの姿とも重なり、いかにもデビュー曲っぽい(あまり意図したわけではないらしいけど)。最初に聞いたのは97,8年頃だったと思うけど、当時から好感触でずっと好きな曲。初期では今作のみPVが制作されており、若き日の動くメンバーを拝むことが出来る。またアルバムの方がフェードアウトするのが30秒ほど遅いという違いがある。
★★★★★
1stアルバム『スピッツ』(フェードアウトが遅い)
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』(シングルバージョン)

C/W ビー玉
ヤ〜ンヤンヤンヤ〜ンヤンヤン♪という歌いだしからなんとものんびりした印象の曲。全体的にかわいらしい雰囲気だが歌詞はいきなり"お前の最期を見てやる"に始まり"ナイフ"や"真っ赤な血の海"などけっこう怖い単語が続々としておりかなり毒々しいというギャップがある。まったりさが苦手で1stアルバムの中では1番聞かない曲かも。
★★☆☆☆
1stアルバム『スピッツ』

ヒバリのこころ ヒバリのこころ


2ndシングル 夏の魔物 
91年6月25日
1stアルバム『スピッツ』からのシングルカット。大阪FM802のヘビーローテーションにはC/Wの「ニノウデの世界」が選ばれていたというしわざわざこの曲をA面でカットしたのはなぜなのか分からないが単に夏だったからか?シングルとしてはやや地味だが不思議とハマる曲。初めて聞いた時は「ヒバリのこころ」がやはり耳に残って、この曲はシングルだということも知らなかったんだけど、ある時から急にハマりまくって今ではけっこう好きな曲に。なおこの曲以降PVが制作されていない。
★★★★☆
1stアルバム『スピッツ』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W ニノウデの世界
1stアルバム『スピッツ』1曲目を飾っていた曲で同じくシングルカット。前述のように当時の知名度やプッシュ度はこの曲が上だったようだ。アルバム1曲目を飾った曲でもあり、アップテンポで勢いがある。始まりの1曲という感じ。歌われているようにタ〜ンタタンタ〜ン♪とはブレイクできなかったのが今となっては不思議。
★★★★☆
1stアルバム『スピッツ』

夏の魔物 夏の魔物


3rdシングル 魔女旅に出る 
91年10月25日
長谷川智樹を迎えてオーケストラとコラボレイト。2ndアルバム『名前をつけてやる』ではラストを飾ったがこのコラボが全面的に展開されたのがこの次のミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』となる。何故魔女なのかは謎だが、魔女と聞いてイメージされるほど魔法じみた印象は無い。本来知名度的にはかなり低かったはずだが、前述のように6枚セットレンタルに何故か売れてないシングルでこれだけ放り込まれていたのでスピッツの入り口として聞いている。全く違和感が無く受け入れられたので初期から売れるまで一貫していたんだろうなと改めて思う。
★★★☆☆
2ndアルバム『名前をつけてやる』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 鳥になって
インディーズというかアマチュア時代の代表曲。勢いのあるサウンドに乗せて突っ走っていく。どこがサビなのかよく分からないが全編に渡って勢いがあるのでこれが代表曲だったというのもうなずけるだけの名曲。ライブで出て来れば間違いなく上がる。
★★★★☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

魔女旅に出る


4thシングル 惑星のかけら 
92年8月26日
アルバムの1曲目も飾った先行シングル。いきなり歪んだギターが炸裂し、全体通してヘビーなロックサウンドが極めて強い印象を残す。初めて聞いた時にはもう「メモリーズ」リリース以降だったのでそこまで驚かなかったが、もう少し前に聞いていたら衝撃だっただろうし、最初に聞いていたらファンになっていたかどうか…(J-POPを聞き始めた当初はギターサウンドが強い曲は受け付けなかった)。結果的に後追いで聞いたのが良かったのか、最初に聞いた時から一貫して初期スピッツのロック路線の金字塔的名曲という印象で固まっている。ただ歌詞を見ると"君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い"とかけっこう…。ていうかスカート盗んだ上にこっそり履いたのかよ!
★★★★☆
3rdアルバム『惑星のかけら』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W マーメイド
3rdアルバム制作時に「波のり」とどっちにするかで悩んだとされている曲。だが結果的にはアルバムに入った「波乗り」はほとんどライブでやらず、ライブではこっちがよく演奏されるようになったらしい。"サマービーチ・お魚・白い雲"という何の繋がりも無い3単語がサビ頭に並んでおり、文字で見ると意味不明だが、メロディーに乗っけて聞くとかなりキャッチー。バンドマジック的な良曲。
★★★★☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

惑星(ほし)のかけら 惑星のかけら


5thシングル 日なたの窓に憧れて
92年11月26日
3rdアルバム『惑星のかけら』からのシングルカット。アルバムの中ではわりかしポップな印象の曲。歌詞は相変わらずというか何だか引きこもりの一方的な片想いみたいな雰囲気があるけど。わりとバンドサウンドも派手になっているんだけど全編に渡って「ピッポッパッポッピッポロパッポ♪」というシーケンスの音が前面で鳴っているからだろうか。下手したらサビやよりもピッポッパッポのほうが印象的なんじゃないかというくらいの勢い。バンドの演奏が終わってからもピッポパッポは鳴り続けるがアルバムでは曲間無しで次の曲が始まるので急に停止する。しかしシングルでは停止せずにゆっくりフェードアウトしていくという微妙な違いがある。
★★★☆☆
3rdアルバム『惑星のかけら』(ピッポパッポがフェードアウトせずに止まる)
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』(シングルバージョン)

C/W コスモス
ドリーミーな雰囲気が漂う『オーロラになれなかった人のために』の延長にあるような楽曲。バンドサウンドも抑えめでかなりまったりしている。ライブでも1度も演奏していないとされているが、確かに演奏されても着席者続出になりそうなどうにもかったるくて苦手な曲。
★★☆☆☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

日なたの窓に憧れて 日なたの窓に憧れて


6thシングル 裸のままで 
93年7月25日
そろそろ売れなくては…ということでユニコーンやプリプリを手がけていた笹路正徳との共同プロデュースがスタート。一気にポップになったがこの曲は正直やりすぎてしまった感満載。ホーンやストリングスを取り入れて派手なサウンドにするのはいいがバンドを押しのけてそっちがサウンドの中心になってしまった。メロディーもけっこう売れ線を狙っている感じだが、メロディーに関してはけっこう好き。アレンジが狙いすぎててちょっと苦手な曲だ。この曲よりPV制作も再開されたがでかい蝶ネクタイをして居心地悪そうな草野マサムネの佇まいが印象的。
★★★☆☆
4thアルバム『Crispy!』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 心の底から
「心の底から愛してる〜♪」といつになくサビがストレートで出来た当初、草野マサムネはこれでブレイクだと思ったと語っている。口笛の音も今までだったらやらないような雰囲気でかなり売りに走っている感じはする売れ線ポップ。この曲も笹路正徳に作り込んでもらった感じが強いが、ちょっとやりすぎた感じはある。
★★★☆☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

裸のままで 裸のままで


7thシングル 君が思い出になる前に
93年10月25日
4thアルバム『Crispy!』からのシングルカットだったが、O社で初めてランクインした記念すべき曲。『RECYCLE』に今作以降が収録されたのは単純にここから売れたからというのが理由である。当時は全く知らず、97年にCMタイアップがついて夏ごろ(「夢じゃない」と「運命の人」の間の時期)に再発売されて上位入りこそしなかったものの30位前後をうろつくロングヒットとなった。装い新たな再発というよりジャケット内のインフォメーションなどを最新のものに書き換えるなど変更を施した程度だったので確か品番や発売日付の表示などはそのままだったと思う。ただ93年から97年の間に消費税が3%から5%になったので値段は変わった。当時、新たにレンタルにも出てきたし、情報も少ない時代だったので普通に新曲だと思ってレンタルしたらどうもなんか様子が違う。そもそもジャケットの左の人の髪の色こんなんだったか?と思ってよく見たら大昔の曲だったと知った。当時中学1年生にとっての4年前とは小学3年生であり大昔だったのである…。肝心の楽曲の方はかなりおとなしくてまったりしていて地味ながら味わい深さがあるといった印象。初めて聞いた97年当時はけっこう好きな曲だったんだけど、その後ロックサウンドなスピッツを好きになるにつれて段々聞かなくなっていってしまった。
★★★☆☆
4thアルバム『Crispy!』
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 夏が終わる
この曲もアルバムからのシングルカット。物凄く個人的なんだけどこのシングルが再発ヒットしていた97年の8月下旬に家族で北海道旅行に行った。8月下旬の北海道は既に涼しくて、そこにこの曲が物凄くハマった。このためこの曲を聞くと97年夏の北海道を思い出す。今でも毎年、夏が終わったなぁ〜と思ったらこの曲に浸る。改めてポップなサウンドに耳を傾けるとけっこう凝っていて聞き応えもある。
★★★★☆
4thアルバム『Crispy!』

君が思い出になる前に 君が思い出になる前に


8thシングル 空も飛べるはず 
94年4月25日
三大ミリオンヒット曲の1つ。当時は最高28位程度のヒットだったが96年にドラマ『白線流し』主題歌に起用されて再発売したところ一気に1位を獲得して発売から2年の時を経て大ヒットした。ドラマではアルバムバージョンが使用されていたというがシングルとアルバムの違いはボーカル再録音とミックスの違い。確かに聞くとなんとな〜く違うのが分かる。世間的には「涙がキラリ☆」と「チェリー」の間に出た曲という認識のため、シングルコレクションでは配置に微妙な違和感を感じるリスナーの方が多いかも。以降10年近くに渡ってSPで続編が放映され続けた『白線流し』が青春ドラマだったこともあってかこの曲を青春時代の思い出の曲や象徴に挙げる人も多い。個人的にはヒット当時の96年でも小学生だったしあまり青春的なイメージはないのだがスタンダードな名曲には違いない。当時は単純にメロディーがいいとしか思ってなかったが、改めて三輪のギターサウンド、田村と崎山のリズム隊の存在感もなかなかでスピッツのバンドとしての魅力はこの頃にも確かにあったんだなと感じている。
★★★★★
5thアルバム『空の飛び方』(Album Version)
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』初回盤DISC-2(原曲「めざめ」)

C/W ベビーフェイス
そこそこ明るい曲調なのだが、"星になったあいつ"へ向けて歌っている楽曲。わりかし励まし系で悲しみを乗り越えていこうといった前向きさが感じられる。シングル廃盤により取り残されてしまったバージョン違い楽曲のうちの1つ。単なる誤表記だと思うが手書きで書かれたアルバム『フェイクファー』に記載されているディスコグラフィーでは「ヘビーフェイス」にされている。「空も飛べるはず」「青い車」と異なり、シングルは土方隆行との共同アレンジだが、アルバムでは笹路正徳アレンジに変更されている。ホーンが加わったりテンポも少し違っていたりと、アルバムバージョンの中ではけっこう分かりやすく変わっている。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
5thアルバム『空の飛び方』(Album Version)

空も飛べるはず 空も飛べるはず


9thシングル 青い車 
94年7月20日
珍しいサマードライブミュージック。スピッツ流だけどでもちょっとらしくないかなという気もする。他にあんまりこんな感じの曲も無いし。初めて聞いた時から今に至るまであまり印象が変わらず、シングルの中ではかなり下の方になってしまう。アルバムではミックス変更のみ施され、サビのコーラスやエンディングが短くなっているなどの違いがある。
★★★☆☆
5thアルバム『空の飛び方』(Album Version)
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 猫になりたい
ファン投票では1位になったこともあるという人気曲。直前までこの曲がA面予定だったため、そのまま変更せずに8センチシングル盤のジャケットは明らかにこの曲仕様のデザインになっている。ジャケット差し替える余裕もないほどギリギリでひっくり返したのか、単に変更する予算が無かったのか。最も売れていた時期のスピッツサウンドの王道ともいえる曲調で、ファン人気の高さもうなずける。
★★★★☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

青い車 青い車


10thシングル スパイダー
94年10月26日
5thアルバム『空の飛び方』からのシングルカット。個人的には『RECYCLE』発売時まで唯一知らなかった曲。テンポの速さとアコースティックなサウンドが印象的。何気にライブで披露されると非常に盛り上がる1曲。
★★★☆☆
5thアルバム『空の飛び方』
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 恋は夕暮れ
同じくシングルカット。明確なサビが無く、AメロとBメロだけしか無いような地味な曲構成のためパラッパッパララパーという何度も登場するブラスサウンドが最も印象的な曲。曲というよりアレンジが好きな曲だ。
★★★☆☆
5thアルバム『空の飛び方』

スパイダー スパイダー


11thシングル ロビンソン
95年4月5日
スピッツ最大のヒット作。一気にトップ10入りしてロングヒット…したものの当時は音楽など聞いてなかったので耳には入っていたかもしれないが当時の記憶はない。4月発売で"新しい季節はなぜかせつない日々で"という冒頭の歌詞からなんとなく新生活スタートのイメージがある。個人的には高校3年生(02年)のクラス替えで前のクラスから同じ人0人、知り合いもほとんどいない事実上の転校生状態に追い込まれたため、冒頭のフレーズがドンズバでハマってしまい、久々に引っ張り出してよく聞いていた記憶がある。とにかく最初から最後まで素晴らしき名曲。本当に"誰も触われない"ほどの圧倒的なものを感じる。サウンド面はおとなしめだが、印象的な三輪のアルペジオといい、演奏の良さに関しては後々になってから実感していった。
★★★★★
6thアルバム『ハチミツ』
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 俺のすべて
当初A面予定だったという当時にしてはロックテイストの曲。これがA面だったらブレイクしていたかは分からないが、C/Wにしておくにはもったないほどの勢いがあり、何気にけっこう好きな曲だ。笹路プロデュース期としては異色のイメージも強かったが、ロック化が進んだ00年以降になると最早何の違和感もないスタンダードソングとなり、ライブ終盤を盛り上げる定番曲として演奏され続けた。見た目1番地味なのに実は最も激しく暴れ回るベース田村の姿は必見。
★★★★☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

ロビンソン ロビンソン


12thシングル 涙がキラリ☆
95年7月7日
七夕リリース第1弾。この年から98年までスピッツは七夕に何かしらのリリースを行なった。この頃にしては珍しくエレキギターが目立っているんだけどそこがまた良かったりする。夏祭りとか花火とかで盛り上がっている時よりも宴の興奮が冷めた後に聞きたいといったイメージがある。
★★★★☆
6thアルバム『ハチミツ』
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W ルナルナ
バンド以外の音もけっこう目立っている笹路プロデュースの良さが出ているようなポップな曲。派手さはないが安定してC/Wとは思えない曲のレベルの高さには驚く。
★★★☆☆
6thアルバム『ハチミツ』

涙がキラリ☆ 涙がキラリ☆


13thシングル チェリー
96年4月10日
ノンタイアップながら大ヒットした三大ミリオンの1つ。初登場は2位。ノンタイアップ同士の対決でMr.Children「花-Mement Mori-」に1位を譲ったが粘って4週目に1位を獲得。「ロビンソン」にわずかに及んでいないものの、現在最も知名度が高いのはこの曲ではないかと思う。個人的には中学の音楽の時間でギターを使った授業の時には基本コードばかりで初心者に優しいこの曲が選ばれたり、高校の文化祭でもステージでこの曲を歌っている集団がいたのを記憶している。"愛してる"といつになくストレートな言葉をサビ頭に持ってきているのもこの曲が愛された理由の1つだと思うけど、"響きだけで強くなれる気がしたよ"というオチがついており、気がしただけで強くなってないのがスピッツらしい。一時期はちょっと飽きてきて聞かなくなった時期もあったが1周回ってやはりスタンダードだなと思う。

発売当時まだCDを手に取る前の個人的なイメージではこの曲は勝俣州和と本上まなみのテーマソング。日テレ『ウリナリ』内のモテない勝俣を救済する企画で当時ほぼ無名の新人だった本上とデートさせるという企画をやっていたのだがそこで毎回盛り上がるところで「君を忘れない〜♪」とこの曲がかかっていた。その印象が非常に強い。企画自体は小学生の俺が見てても明らかにヤラセ全開で「番組以外で付き合ってください」→「いいですよ」というハッピーエンドで終わっておきながら本上にその気は全くなかったということで企画終了後は「あれ以来連絡が取れなくなってしまった」などとその事自体もネタにしていた。この後に本上は連ドラによく出るようになってブレイクした。勝俣も「ウリナリ」ではモテないブラザーズを内村と結成するなどモテないキャラが根付いていたが無事に結婚した。
★★★★★
7thアルバム『インディゴ地平線』
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W バニーガール
毎回アルバムに1曲は入っていたロック色強めのアップテンポ曲。何故にバニーガールなのかはよく分からないが、とにかくバンドサウンドに勢いがあって好き。シングル時とアルバム収録時でミックスエンジニアが変更になっており、アルバムではremixと表記されている(曲ではなくクレジットに)が、他の曲に比べるとその違いはよく分からない。また実は8センチシングルの初回盤はジャケットデザインの切手がリアルに全部シールになっている。このため下記画像と違い、上部までもう1段切手で埋まっている。
★★★★☆
シングルミックスアルバム未収録
7thアルバム『インディゴ地平線』(ミックス担当者が違う)

チェリー チェリー


14thシングル 渚
96年9月9日
この曲からリアルタイムで聞き始めた。当時レンタル落ち700円で購入。レンタル落ちシステムを知らなかった当時小6の俺は1週間後500円になり、2週間後には300円に落ちていく事実に愕然としたのを記憶している。ポッキーCMソングとしてもかかりまくっていた。ドラムが大地の鼓動みたいな雰囲気になっているのがなんか良い。楽曲の良さもCMタイアップでの露出も十分だったのにミリオンに届かずここでピークを越えてしまったのは何気に謎だ。聞き始めた途端に…。
★★★★★
7thアルバム『インディゴ地平線』(イントロ追加)
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W 旅人
いきなりサビから入るポップな印象の曲。意味不明な部分もあるけど、全体的には新たな道へ進んでいく際に勇気をもらえるような内容になっている。最初に買ったスピッツCDだけにこの曲もかなり聞いた覚えがあるが、不思議と飽きない。
★★★☆☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

渚 渚


15thシングル スカーレット
97年1月29日
ドラマ『メロディ』主題歌。と聞いたので新曲をいち早く聞くためにドラマを見始めてはまって結局最後まで見た。小泉今日子主演でケーブルテレビ局を舞台にしたドラマだったと記憶している。落ちぶれた歌手役で玉置浩二が出演。この人をケーブルテレビに招いてドタバタとした展開が…とかそんなドラマだったような。「メロディ」というのは玉置浩二の既存の曲で劇中玉置演じる元人気歌手の過去のヒット曲として何度も使用された。正直主題歌がスピッツである必要がなく、玉置でよかったような気がしなくもない。ドラマ自体も大したヒットにならず、あまりドラマ主題歌として記憶している人はいない気がする。冬になると聞きたくなるようなぬくもりを感じる曲。ただややこじんまりしていたせいなのか1位は取ったものの以降『スターゲイザー』まで途絶える事になり人気のピークは過ぎていった。というかここから極端にリリースが鈍るようになった。笹路正徳が関わった最後の曲でもある。
★★★★☆
8thアルバム『フェイクファー』(Album Mix)
非公認シングル集『RECYCLE』
1stシングル集『CYCLE HIT 1991-1997』

C/W うめぼし(Live Version)
1stアルバム収録曲のライブバージョンで、96年5月26日の名古屋センチュリーホールでの音源。これは前年に発売されていたライブビデオ『JAMBOREE 1』(DVDでは『ジャンボリー・デラックス』)に収録されていたものと同一音源。うめぼし食べたいを連呼するまったり弾き語り系の曲で、うめぼし食べたい僕は今すぐ君に会いたいというほとんどそれだけの歌。1stアルバムを借りるよりも前に聞いたので、最初に聞いたのは原曲じゃなくてこっちだったと思う。人気曲とはいえそんなに好きな曲ではない。
★★★☆☆
ライブバージョンアルバム未収録(ただし1stライブDVD『ジャンボリー・デラックス』には収録されている)
1stアルバム『スピッツ』(スタジオ録音)

スカーレット  スカーレット


16thシングル 夢じゃない
97年4月23日
4年前の4thアルバム『Crispy!』からのシングルカット。テレ朝のドラマ『ふたり』主題歌に起用されたことでのリバイバルとなった。笹路正徳を離れて新作リリースが開き気味になっていたこともあってか、夏には「君が思い出になる前に」がCM起用で再プレスされたりと、97年は『Crispy!』収録曲を再ピックアップした1年となった。今作に関してはメンバー自身の再録音はしていないが新たなミックスを施して、納得が行ってなかったという間奏のシンセ音を収録し直している。ドラマの方は出来る姉(一色紗英)とダメな妹(奥菜恵)の姉妹が主人公で姉の方が交通事故で死亡。その魂が妹の心の中に宿り(TVドラマという演出上幽霊として登場)、姉に励まされながら妹が成長していくというファンタジー系のストーリー。ソロ活動を開始した河村隆一が奥菜の恋する相手としてドラマ初出演したが無敵かというくらいこの頃の隆一はかっこよかったのが凄く記憶に残っている。そんなドラマだっただけに(?)この曲は主題歌としてけっこうドラマにはまっていたと思う。
★★★☆☆
4thアルバム『Crispy!』
非公認シングル集『RECYCLE』(シングルVer.)
2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005』(シングルVer.)

C/W 君だけを
ドラマ『ふたり』挿入歌としてこちらも『Crispy!』からのシングルカット。ドラマの盛り上がるところでは毎回かかっていたので印象深い。スローテンポのバラード曲なので苦手系統なんだけど、ドラマが良かったのでけっこう好きになった。この曲は原曲そのまま。
★★★☆☆
4thアルバム『Crispy!』

夢じゃない 夢じゃない


17thシングル 運命の人
97年11月27日
新作としては10ヵ月ぶりで笹路正徳を離れて棚谷祐一と共同プロデュース。はねた感じの曲調で今までになかった感じはするもののサウンド的にはそこまで大きく振り切ってはいない。プロデューサーが変わったというのも当時聞いてもそんなに分からなかった。PVでは死体と化したメンバー4人が解剖の場で、突如ゾンビの如く動き回り、複数その場にいる医師のうち1人だけがことごとくそれを目撃。発狂して最後は追い出されるというシュールな内容。これ以外にはやたら楽しそうに公園でスキップしているという謎映像もあり、スピッツのPVの中でもシュール度が屈指。アルバムバージョンでは半音下げで収録されているが『CYCLE HIT』の解説では「かなりキーが高かったため」と理由が明らかに。そういう理由だったとは。なお半音キーが下がったくらいじゃ一般男性には相変わらず届き得ない高音…。
★★★★☆
8thアルバム『フェイクファー』(Album Version)
非公認シングル集『RECYCLE』
2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005』

C/W 仲良し
アコースティックな曲調。さりげなく名曲。初恋を思い出すような「いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかブルーになってた あれは恋だった」はさりげなく最強フレーズ。
★★★★☆
8thアルバム『フェイクファー』

運命の人  運命の人


18thシングル 冷たい頬/謝々!
98年3月18日

冷たい頬
初の両A面。1週間後の8thアルバム『フェイクファー』に一切の変更なく収録された。1週前先行シングルだったのだがネットも無い当時は情報が少なく、それを知らずに中1の当時小遣いをやりくりして出した1020円はあまりに痛すぎた。1週間後『フェイクファー』を買った時は本当にビックリした。両方入ってんだもん。リアルタイムでシングルCDを買うようになったのは98年からだったんだけど、この苦い経験からスピッツはアルバムは全部購入、シングルはレンタルというのが自然と個人的な決まり事になった。思い出が極めて個人的に苦いものの、曲としてはけっこう好き。アルバムはもう少しロックになってきていて驚いたんだけどこの曲に関してはこれまでからそんなに違和感が無かった。ギターをいじった頃に最初に練習したのもこの曲のイントロのコード進行。CとCの人差し指を外す反復だけなのでイントロのコード弾きだけはギター初日に習得できる。GとAmだけでAメロ行けてしまうミスチルの「名もなき詩」と並んでギター初心者におススメな1曲でもある。
★★★★☆
8thアルバム『フェイクファー』
非公認シングル集『RECYCLE』
2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005』

謝々!
ホーンアレンジが施されていてにぎやかな雰囲気。00年代にストリングスがJ-POPを完全に侵食するまでは何故かホーン系のアレンジが苦手だったので、この曲も当時から長年苦手だったんだけど、ホーン系アレンジが逆に珍しくなるにつれて良さを再認識していった。
★★★☆☆
8thアルバム『フェイクファー』

冷たい頬/謝々!


19thシングル 楓/スピカ
98年7月7日


8thアルバム『フェイクファー』からのシングルカット。暗めのバラード曲。発売当時は中2だが、1年半後の中3の最後に何を間違えたのか三送会(00年3月。3年生を送る会。)で3年生である我々はこの曲を歌うハメになった。何曲かの候補から多数決で決めたはずなのだが、候補にはゆず「いつか」なども挙がっていた。どうにも卒業とはズレた候補ばかりだった記憶があるが、要するに「ギターの弾ける奴何人かがコード弾き演奏してそれにあわせてみんなで歌う」という企画が前提にあったらしく、誰でも弾ける簡単なコード進行&面倒なアルペジオとかも無いひたすら簡単なストロークのみの曲という条件で選ばれたんだろう。そんなわけで1,2年生が19「この紙ヒコーキ くもり空わって」を歌ってくれて青春の匂いが炸裂した直後に葬式のようなテンションで"さよなら 君の声を抱いて歩いていく ああ 僕のままで どこまで届くだろう"などと何とも煮え切らない感じでアンサーするという言葉に出来ない展開に陥った。しかも原曲キーなので男に歌えるはずがなく地声で歌うしかないので暗さ3割増。試しに地声で歌ってみて欲しい。そしてその合唱を想像してみてほしい。紙ヒコーキの後にそれが来る地獄を想像してみてほしい。個人的には困った思い出である。曲自体はまあまあいいな程度だったのだがこんな事があったので、長年にわたって苦手な曲になってしまっていた。最近ようやく記憶が風化してスピッツ名バラードの1つとして認識できるようになった。

また99年冬の反町隆史&江角マキコによる月9ドラマ『Over Time』では木村佳乃との恋に悩む反町隆史のバックで数回でこの曲が使用された。挿入歌でもないのにいきなりかかった上に1度じゃなかったのでいったい何が起こったのかと思ったが反町の役名が「楓」だったのでシャレだった模様。ドラマ自体は激しくつまらなく、田中麗奈が当時唯一のドラマ出演(数回ゲスト)を果たした以外に見所はない。
★★★☆☆
8thアルバム『フェイクファー』
非公認シングル集『RECYCLE』
2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005』

スピカ
新曲。歪んだギター音から入り、かなりギターがガンガン鳴りまくるロックサウンドへ。『惑星のかけら』以来の変貌を果たしている。『フェイクファー』でもギターサウンドが目立ってきていたがこの辺りから変化していくこととなる。ちょっとギターうるさすぎる気もしたけど、数年経ってみればわりと標準的な楽曲になった。
★★★★☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』

楓/スピカ


20thシングル 流れ星
99年4月28日
アルバム未収録曲を集めたスペシャルアルバム『花鳥風月』からのシングルカット。昔96年に辺見えみりに提供していた曲のセルフカバー。『花鳥風月』制作の時にPUFFYへ提供した「愛のしるし」と一緒に新たにレコーディングされたが、辺見えみりがヒットしてないこともあり普通にスピッツの新曲として認知されたように思う。ただシングルカットするほどでは無かったと思うし、シングルにするには暗すぎた気がする。宇宙服来た草野がギター弾きながら宇宙を漂流しながら歌ってて、地球ではメンバーが演奏、最後草野がそのまま流れ星になってしまうというPVは「運命の人」と並んでシュールすぎる。何故か『ソラトビデオカスタム』では外されてしまったが、『ソラトビデオCOMPLETE』には無事に収録された。
★★★☆☆
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』
2ndシングル集『CYCLE HIT 1997-2005』

C/W エトランゼ(TANAYAMIX)
アルバム『フェイクファー』冒頭曲のリミックス。1分半の原曲を8分を越える長さにした典型的退屈ループリミックス。元が1分半しかないものを延々と引き伸ばしたのでほとんどインスト状態でかなり通して聞くのがしんどい。
★☆☆☆☆
アルバム未収録
8thアルバム『フェイクファー』(原曲)

C/W 愛のしるし(LIVE'98 version)
『花鳥風月』収録のPUFFY提供曲セルフカバーのライブバージョン。アレンジがアルバムと違ってPUFFY版に近い。8センチなのにC/W2曲は最後にして初の試みだったが、ここまでのシングルが廃盤になってしまったので(1度12センチで再発売されていたものも全て廃盤)、バージョン違いとはいえ2曲とも貴重だ。今作に関してはシングル盤が売れなかっただけあってレア盤となっている。当時テープ録音だったので再度入手するのに苦労した。まとめると8センチ時代のシングルでは「空も飛べるはず」「スカーレット」「流れ星」の3シングルにアルバム未収録Ver.が取り残されているということになる。他にもミックス違いはあるが、完全に演奏まで別テイクというのはこの3シングルのC/Wに限られる。
★★★☆☆
ライブバージョンアルバム未収録
1stスペシャルアルバム『花鳥風月』(スタジオ録音)

流れ星 流れ星

 

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