中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」(初回盤Blu-ray付)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 一期一会 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 40thシングル |
2 | アザミ嬢のララバイ | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 1stシングル |
3 | 悪女 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 11thシングル |
4 | 浅い眠り | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 28thシングル |
5 | 糸 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 20thアルバム『EAST ASIA』収録曲、35thシングル両A面曲(カット) |
6 | ローリング | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 15thアルバム『中島みゆき』収録曲、21stアルバム『時代-Time goes around-』収録曲 |
7 | 流星 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 22ndアルバム『LOVE OR NOTHING』収録曲 |
8 | 最後の女神 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 30thシングル両A面曲 |
9 | 齢寿天任せ | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 43rdアルバム『CONTRALTO』収録曲 |
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 離郷の歌 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 46thシングル |
2 | この世に二人だけ | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 10thアルバム『予感』収録曲、32ndアルバム『いまのきもち』収録曲 |
3 | ナイトキャップ・スペシャル | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 31stアルバム『恋文』収録曲 |
4 | 宙船(そらふね) | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 34thアルバム『ララバイSINGER』収録曲 TOKIOへ提供 セルフカバー |
5 | あたいの夏休み | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 18thシングル |
6 | 麦の唄 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 44thシングル |
7 | 永遠の嘘をついてくれ | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 24thアルバム『パラダイス・カフェ』収録曲 吉田拓郎へ提供 セルフカバー |
8 | 慕情 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 45thシングル |
9 | 誕生 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 27thシングル |
10 | 人生の素人 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 45thシングルC/W |
11 | 土用波 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 15thアルバム『中島みゆき』収録曲、32ndアルバム『いまのきもち』収録曲 |
12 | はじめまして | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 11thアルバム『はじめまして』収録曲、32ndアルバム『いまのきもち』収録 |
No | タイトル | 備考 |
1 | スタジオ・リハーサル | |
2 | 2020年1月9日 東京 | 新宿文化センター大ホール(リハ) |
3 | 2020年1月12日 東京 | 新宿文化センター大ホール(本番) |
4 | 一期一会 | 一部のみ |
5 | 浅い眠り | 一部のみ |
6 | 2020年1月20日・21日 石川 | 本多の森ホール |
7 | アザミ蝶のララバイ | 一部のみ |
8 | 悪女 | 一部のみ |
9 | 流星 | 一部のみ |
10 | 2020年1月29日・31日、2月1日 福岡 | 福岡サンパレスホテル&ホール |
11 | 糸 | 一部のみ |
12 | ローリング | 一部のみ |
13 | 慕情 | 一部のみ |
14 | 最後の女神 | 一部のみ |
15 | 2020年2月13日 東京 | NHKホール |
16 | この世の二人だけ | 一部のみ |
17 | ナイトキャップ・スペシャル | 一部のみ |
18 | あたいの夏休み | 一部のみ |
19 | 2020年2月26日 大阪 | フェスティバルホール |
20 | 離郷の歌 | 一部のみ |
21 | 誕生 | 曲前MC込みでフルサイズ |
リリースデータ
2022年2月2日 | 初登場2位 | 売上8.2万枚 | Recording Producer:瀬尾一三、中島みゆき Produced by あいらんど |
ヤマハミュージック |
中島みゆき6thライブアルバム。全国ツアーとしてはこれが最後として2020年1〜6月まで10都市11会場24公演を予定して開始した『中島みゆき ラスト・ツアー 2020『結果オーライ』』の全曲を収録。これまでのライブアルバムは抜粋で1枚だったが、ツアー1本全曲を収録したライブアルバムは初となり2枚組なのも初となる。また今作ではBlu-spec CD2を採用している。
初回盤はツアー開始前のバンドリハーサルから結果的に最後となった大阪公演までの各会場でのドキュメント映像、ライブダイジェスト映像を収録した約52分のBlu-ray付、DVD付の2種。
当初全24公演の予定だったが東京、石川、福岡、東京、大阪まで回ったところで2月26日の大阪フェスティバルホール公演を最後に新コロ政府要請を受けて(当初は2週間)次の2月28日公演以降を一旦中止、2月の大阪と3月の札幌公演は8月に振替公演を行う、3月の愛知公演の振替は調整中と発表していたがその後緊急事態宣言に突入して再開の見込みが立たない事から4月22日に完全中止が決定、振替も無かった事となり24公演中8公演のみで終了した。商品化の要望に対して発売用に撮影してない、収録していないと言い張っていたが、案の定記録用には残していたようで全曲フル収録での発売となった。どの会場の音源が使用されているかは明記されていない。
瀬尾一三は演奏には参加していないがプロデューサーとして一緒にツアーを回って各会場でも直接指揮を取って裏方として参加している。Conductor,Keyboardsとして中島みゆきに続く2番手にクレジットされている小林信吾は当時既に闘病中でこの後10月に病死したためこれが最後の参加作品となった。クレジットの最後には"In Memory of 小林信吾"と追悼文が掲載されているほか、ドキュメント映像のエンドクレジットでも同様の追悼文が流れる。瀬尾一三は後に当時も小林氏の病気は進行していたが気力で保っていた部分があったと推測し、仮にツアーが6月の最後までやれていたらもう少しもってくれていたのではないかと振り返っている。
ラストツアーという事でデビュー曲「アザミ嬢のララバイ」から最新の43rdアルバム『CONTRALTO』収録曲まで全キャリアの中からの幅広い選曲。80年代の1位獲得曲「悪女」、初のミリオンヒット「浅い眠り」、恐らくライトリスナーが最も期待する有名曲「糸」、TOKIOの代表ヒットして有名な「宙船(そらふね)」、朝ドラ主題歌「麦の唄」などなど代表曲も散りばめられ、過去のライブ盤と比べれば比較的知名度の高い曲が多いものの、「時代」も「ファイト!」も「空と君のあいだに」もなく、リハではやっていた「旅人のうた」もセットリストから外れ(初回盤ドキュメントでリハで演奏しているシーンは流れる)、「地上の星」も「銀の龍の背に乗って」もやっていない。改めて代表曲多いなとも思うが、ラストコンサートではなくラストツアーなだけなのであまりにもファンサービス全部乗せみたいなベスト盤的セットリストは組みたくないが、しかしラストツアーではあるのである程度はそれも意識…という選曲なのだろうか。
さすがにオリジナル当時とは味わいが変わっている曲も多く、強めにがなるような曲も選ばれていないので全体に落ち着き気味ではある。一応ざっと全アルバム聞いたもののあまり印象深く残ってない曲も半分以上あって、それよりも他に聞きたい曲が…と思ってしまう部分もあるが、60代後半となった現在でも凄みを感じさせる圧倒的なボーカル力は健在。「離郷の歌」や「慕情」など老人向けドラマタイアップもあって近年の曲は老いの目線で書かれたようものが多いので、キャリア終盤を思わせるような流れも感じさせる中で最後に選ばれているのが「はじめまして」というのもなかなか凄い。公言していたように単発のライブはまだやるし、引退でもないわけでここで完結ではないという意味合いもあったのかもしれない。またデビュー曲「アザミ嬢のララバイ」は本人が瀬尾一三に原曲から変えないでアレンジしてほしいとかなり念入りに注文したそうでオリジナルアレンジを再現したようなアレンジになっていたりするので重ねた年月の深みがそのまま出るなと。
中島みゆきの場合、観客が大歓声を挙げるようなライブではない。なので対策とされるあらゆる規制が生じる前の最後の時期である今作でも規制後の世界と変わらずほぼ拍手しか聞こえてこないので、声出し禁止でもそうでなくてもライブ音源として大きく違う部分は無い。ただ出演者が高齢である事や、観客も同様に年配である事や何より1度根付いた意識を変える事は容易ではないが、何年も待っていられるほど若くもなく、コンディションをどこまで維持できるのか、元のようなライブがまた開催できるのか、瀬尾一三は75歳定年を撤回したものの時は流れて年は取っていくわけで非常に難しい局面にあると思う。この後はツアー中止後の年末に『ここにいるよ』を出すも2021年はついに1枚もリリースが無いというデビュー以来初めての年となるなど沈黙が続いている。また前述のようにバンドメンバーのリーダーであり、瀬尾一三の片腕的存在でもあった小林信吾にはもうこのツアーしか時間は残されていなかったのだから2度と再現も出来ない。
Blu-ray
リハーサル段階から全会場、裏側の様子という今まで見たことないような本当にドキュメントな部分が記録されていて貴重な映像集。ラストツアーを銘打っていたので恐らく後でラストツアードキュメントを劇場公開するつもりでずっとカメラを回していたのではないだろうか。ドキュメントがサポートメンバーまでしっかり映し出しているのに対してライブダイジェスト部分はほぼ中島みゆきの遠景といういかにもな記録映像っぽい映像になるのでライブ映像をガッツリ収録するのはラスト前の5月の大阪公演か、ラストの新宿文化センター大ホール公演で準備していたのではないか。まあ収録してないと言い張っていた以上、ここでしっかり撮影されたライブ映像が出てしまうと明らかに嘘をついていた事にもなってしまうが…。
最近はビシッと決めたジャケ写と『ここにいるよ』のライブ映像も2010年のものだったのでさすがに舞台を降りた時の中島みゆきは普通におばあちゃんだなぁとも感じたが、瀬尾一三はさらに年上のおじいちゃんだし、バンドメンバーも高齢者が多く、全国を回るツアーは確かにそろそろ…というのは納得だと改めて思った。あまり目立って映ってはいないが小林信吾も明らかに弱っている様子ではなく、瀬尾一三が残念がっているようにツアー途中終了+その後の自粛生活により生きる目標を失って一気に病状が進行してしまったというのは本当にそうだったんじゃないかと思う。何故かベスト盤になると名前が消されてしまったりもするが、瀬尾一三の右腕的存在としてオリジナルアルバムでは毎回共同アレンジャーとしても数曲クレジットされている事が多かった小林信吾が最後に参加したライブだけに彼のためにも作品として残したかったというのもあったんだろうな…。
印象度★★★★☆
2022.2.26更新