元気ですか

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 20thアルバム『EAST ASIA』収録曲、35thシングル両A面曲(カット)
2 狼になりたい 中島みゆき 中島みゆき 石川鷹彦 5thアルバム『親愛なる者へ』収録曲
3 時代 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 21stアルバム『時代-Time goes around-』収録Ver.
30thシングル(カット) 最高22位 売上10.1万枚
2ndシングルのリメイク
4 化粧 中島みゆき 中島みゆき 吉野金次 4thアルバム『愛していると云ってくれ』収録曲
5 空と君のあいだに 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 31stシングル 最高1位 売上146.6万枚
6 「元気ですか」 中島みゆき     4thアルバム『愛していると云ってくれ』収録曲 朗読
7 アザミ嬢のララバイ 中島みゆき 中島みゆき 船山基紀 1stシングル 最高38位 売上7.9万枚
8 世情 中島みゆき 中島みゆき 吉野金次・福井崚 4thアルバム『愛していると云ってくれ』収録曲
9 ファイト! 中島みゆき 中島みゆき 井上堯之 10thアルバム『予感』収録曲、31stシングル両A面曲(カット)
10 後悔 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 28thアルバム『短篇集』収録曲
11 ヘッドライト・テールライト 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 37thシングル両A面曲 初収録フルバージョン
12 恋文 中島みゆき 中島みゆき 瀬尾一三 31stアルバム『恋文』収録Ver.、38thシングルC/W

リリースデータ

2006年6月14日 初登場14位 売上11.4万枚 Produced by 瀬尾一三、中島みゆき ヤマハミュージック

中島みゆき6thベストアルバム。『Singles』シリーズ以外で現存するベストアルバムとしては『大吟醸』『大銀幕』に続く3作目「元気」「勇気」「希望」を与えてくれる中島みゆきの楽曲のカバーを集めたコンピ盤『元気ですか』と同時発売。同じタイトル、選曲、曲順でリリースされたいわゆる御本人バージョンという企画作品であり、正規のベストアルバムとしては扱われていない(純然たるベスト盤は『大吟醸』と『前途』の2作のみとされている)。作品タイトルが同じためカバーアルバムの方には『元気ですか(カバー・バージョン集)』と表記されている。今作は「リマスター」と帯部分に表記されている。リマスターはTom Bakerではなく、鈴木浩二が担当。発売当時は7週ランクインして300位圏外となったが、2013年11月に238位に浮上、14年1月に296位、14年7月に287位、14年10月に296位…と断続的にランクインするようになり、14年11月以降は連続ランクインするようになった。2015年になるとついにトップ100に浮上してくるようになり、15年2月には29位まで浮上した。2016年3月には1度圏外となったもののそれ以外は延々と300位圏内にランクインし続けて現在も売れ続けている。

「時代」はオリジナルではなく93年に瀬尾一三によるアレンジでリメイクしたバージョン。シングルカットした方ではなく、アルバムに収録されていた冒頭に75年の『世界歌謡祭』出演時の音声(坂本九が紹介してジュディ・オングが英語でタイトルを言って中島みゆきが冒頭を歌う)を収録したものとなっている。アルバムクレジットにおいて「Special Thanks to 坂本九、ジュディ・オング」と表記されているのはこのため。

「ヘッドライト・テールライト」はシングル、アルバム『短篇集』『Singles 2000』で全てフェードアウトで終わる構成だったが今作ではフェードアウトせずに完奏するフルバージョン。今作唯一の初収録バージョンとなる。「ヘッドライト・テールライト」を聞くたびにフェードアウトしないでくれ最後まで聞きたいんだと思っていたリスナーには今作が必須となっていた。

応援歌的なコンセプトかと思いきや「元気ですか」というワードの奥深さを考えさせられる選曲。聞き手を鼓舞するような勇ましい曲はレパートリーにたくさんあったはずだが、今作に収録されているのはそういった力強く励ますような曲ではなく、悲しい曲やしっとりした曲ばかり。良くない状況だけど今頑張ってる…みたいな基本的に失恋や敗北感などの哀しみ、負の感情に優しく寄り添ってくれるかひたすらそこに浸るかといったような曲ばかり。このため一般的な応援歌的なものを期待して普通に励まされようと思って今作を聞くと落ち込んでなくても暗くなってしまうという…。「ファイト!」もCMやちょっとTVでかかる程度の印象(サビ)だとストレートな応援歌だけどフルで聞くと全く違う印象になる曲だし。

発売当時はさほどヒットせず、2013年以降からじわじわとロングヒットが開始されたのは配信で「糸」が常時上位に居座るような長期的なスタンダード化の動きを見せるようになり、その「糸」が1曲目に入っている効果だと思うけど、「糸」目当てで今作だけ持ってるみたいなリスナーは中島みゆきをどう捉えるのだろうか。「元気ですか」なのに他のベストアルバムよりも暗いし、他のベストアルバムを入口にしたリスナーとは微妙に印象が変わってきそう。

ジャケットがなぜ馬が走っているところなのか、これは馬車馬の如く頑張れというドSなメッセージなのかも含めてコンセプトに関しては奥深すぎるところがあるが、今作の魅力は瀬尾一三に出会う前の古い曲がリマスターで聞けるというところにもある。オリジナルアルバムはBOXとクリスタルディスクでしかリマスターが出ていないので諭吉を数名〜何十人も召喚しないとリマスターが聞けない。今作はTom Bakerではないので、Tom Bakerだったらもっとド派手にするのかもしれないとは思ったけどそれでも「アザミ嬢のララバイ」や4th、5thアルバムの曲は随分生まれ変わって聞こえた気がした。

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印象度★★★★☆

2016.11.20更新

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