非実力派宣言

No タイトル 作詩 作曲 編曲 備考
1 17才[カーネーション・ヴァージョン] 有馬三恵子 筒見京平 直枝政太郎 7thシングル リアレンジ 南沙織のカバー
2 これっきりバイバイ 森高千里 斉藤英夫 斉藤英夫  
3 だいて 森高千里 高橋諭一 高橋諭一 8thシングル(カット) 最高8位 売上5.7万枚
4 非実力派宣言 森高千里 斉藤英夫 斉藤英夫  
5 今度私どこか連れていって下さいよ 森高千里 斉藤英夫 斉藤英夫  
6 はだかにはならない 森高千里 直枝政太郎 直枝政太郎  
7 私はおんち 森高千里 高橋諭一 高橋諭一  
8 しりたがり 森高千里 森高千里 カルロス菅野・
前嶋康明
 
9 若すぎた恋 森高千里 高橋諭一 高橋諭一 8thシングルC/W(カット)
10 A君の悲劇 森高千里 斉藤英夫 斉藤英夫  
11 夜の煙突 直枝政太郎 直枝政太郎 カーネーション カーネーションのカバー
12 その後の私[森高コネクション] 森高千里 斉藤英夫 斉藤英夫  
13 夢の中のキス 森高千里 高橋諭一 高橋諭一  
14 17才[オレンジ・ミックス] 有馬三恵子 筒見京平 斉藤英夫 7thシングル 最高8位 売上19.5万枚 南沙織のカバー

リリースデータ

1989年7月25日(CD/CT)
1991年6月17日(再発)
初登場3位、最高2位
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売上21.6万枚
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Album Produced and Directed by YUKIO SETO
Sound Produced by 斉藤英夫(2,4,5,10,12,14)
ワーナーパイオニア
WEA Japan

森高千里4thアルバム。前作から半年でのリリース。南沙織のカバーシングル「17才」を収録。最後に収録されているオレンジ・ミックスはシングルのアレンジを基本としているが、1曲目にはリアレンジを施したTVサイズ(2番カット)のカーネーション・ヴァージョンとしても収録された。「夜の演奏」はカーネーションのカバー。カーネーションの直枝政太郎が作編曲を担当した「はだかにはならない」は後にカーネーションが歌詞を変えた「はだかにはさせない」としてセルフカバーした。「だいて」が9月にラスベガス・ヴァージョンとしてシングルカットされ、C/Wには「若すぎた恋」がシングルカットされた。

カバー曲である「17才」がシングル初のトップ10ヒットとなり、本格的にブレイク。今作も前作に続く2作連続のトップ10ヒットとなり、トップ3入りを記録(2週目に2位に浮上)。売上は大幅に上昇し、初の10万越えを飛び越えて一気に20万枚を突破した。91年に1st〜4thアルバムが一斉に品番改定で再発されている。

今作にはロックバンドのカーネーションがバックバンドとして参加しており、「17才[カーネーション・ヴァージョン]」「はだかにはならない」「夜の煙突」はカーネーションが演奏している。また斉藤英夫の編曲は斉藤英夫による1人オケ制作(All Instruments,Progrraming)となっているが、初参加の高橋諭一の編曲は生バンド編成となっている(「しりたがり」も生演奏)。

カバー曲以外は全面的に森高千里が作詞を担当、「しりたがり」では初作曲を手掛け、Synthesizer Percussionも自ら担当している。「夢の中のキス」ではドラム、オルガンを自ら演奏。ドラム演奏は後に定番となるが今作が初ドラムとなった。

ブレイクが南沙織のカバーだったというのはなかなか異色だが、派手な衣装とユーロビート調で「17才」をカバーするという当時の現代風(?)なインパクトでもってアルバムへとリスナーをひきつけ、その今作では強烈な作詞の個性が全面展開して自身の世界へと引き込むというある意味で蟻地獄のような強烈な1作。カーネーションによるアコースティックなバンドサウンドによる「17才」の新アレンジで幕を開けたと思ったら、2曲目の「これっきりバイバイ」ではいきなりダイダイダイダイ…と"ダイキライ"のダイを超連呼(イヤイヤイヤ、バイバイバイの連呼パターンもあり)、それ以外の歌詞は内容がほとんど無くインパクト勝負という超絶な歌詞センスが只者じゃない予感を漂わせる。タイトルナンバーとなった「非実力派宣言」も"実力は興味ないわ"、"実力は人まかせなの"、"実力がどうしたの"、"実力が好きなのね"、"実力がないわ"などと実力が無いことを堂々連呼し、何かとそのように見られたがりがちだし、なんなら無いのにあるように見せかけるのが常の"実力"に対して真逆な事を唱えまくるという珍作。これだけでも十分にキラーチューンなのに「私はおんち」なんていう音痴ネタのタイトルも…。

実力ないといいながら早くも作曲の実力を見せてくる「しりたがり」だが、なんとほぼ台詞(表記は"・・・・・")で、歌詞は"ああしりたがり"のみでこれを4回繰り返す×2という鼻歌レベルの代物で、これを情熱的なラテンアレンジの編曲で1曲丸々乗り切るというまさに"実力は人まかせ"(ほぼアレンジャーマジック)な非実力派を地で行くような珍作。もちろん後にもっとちゃんとした作曲するようになるが、今作においてはこれがなんだかとってもコンセプトアルバムっぽくて面白い。

斉藤英夫が打ち込みで、斉藤英夫以外が生演奏というバランスのとり方もちょうど良いというか、斉藤英夫の打ち込みには前作までにあったような極端に時代性の強さを感じる部分が少なくて後追いでも聞きやすい。そして特筆すべき点は「夢の中のキス」の本人ドラム。既に演奏経験があったとはいえ、いきなりドラム演奏を自ら開始するなんてのはきっちり実力派だと思うんだけど、どことなくビートルズ感の漂うドラミングは味がある。

南沙織の「17才」自体が有名であったため、曲単体でのリバイバルヒット的な側面もあって本来「17才」1強の印象になってもおかしくないような状況下で「17才」を最初と最後に配置したアルバムなんて普通は「17才」の印象だけで終わってしまいそうなものだが、今作を聞き終えると「17才」はあくまでOP/EDでしかなく、その中身の強烈な個性が印象付けられる。今作は形式上森高千里のプロデュースではないが、とんでもないセルフプロデュース能力であり、非実力派だなんてとんでもない。そんなとんでもない森高千里の個性はまだ始まったばかりな1作。

非実力派宣言91年盤   

印象度★★★★☆

2019.11.13更新

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